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労働の解放をめざす労働者党機関紙
『海つばめ』

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郵政民営化の中で何が起きているのか?
郵政労働者は告発する!

■民営化の嵐の中で最大の御用組合の登場――JPU臨時全国大会議案批判
■郵政民営化――今、職場では/郵政現場からの報告
■恐竜化か、リリパット化か――郵政民営化のジレンマ
■西川善文著『挑戦――日本郵政が目指すもの』/民営化に賭けるトップの本音


憲法改悪と
いかに闘うか?


■改憲に執念燃やす安倍――「国民の自主憲法」幻想を打ち破れ
■労働者は改憲策動といかに闘うか
■国民投票法をどう考えるか
■安倍の「美しい国」幻想――憲法改定にかける野望


本書は何よりも論戦の書であり、その刊行は日和見主義との闘いの一環である。
マルクスが『資本論』で書いていることの本当の意味と内容を知り、その理解を深めるうえでも、さらに『資本論』の解釈をめぐるいくつかの係争問題を解決するうえでも助けとなるだろう。


全国社研社刊、B6判271頁
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「不破哲三の“唯物史観”と『資本論』曲解』(林 紘義著)」紹介(『海つばめ』第1048号)


全国社研社刊、B6判384頁
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「天皇制を根底的に論じる『女帝もいらない 天皇制の廃絶を』(林 紘義著)」(『海つばめ』第989号)他

理論誌『プロメテウス』第54号
2010年10月(定価800円)

《特集》菅民主党のイデオロギーと“体質”
・神野直彦の思想と理論――菅直人のブレインは「曲学阿世の徒」
・原則なき寄せ集め政党――顕現するブルジョア的“体質”
反動的な「文化」の擁護に帰着――レヴィ=ストロースの「文化相対主義」批判


 
 
 教育のこれから
   「ゆとり」から「競争」
   そして「愛国教育」で
   いいのか
 林紘義 著 7月1日発売

  (全国社研社刊、定価2千円+税)
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まかり通る「偏向教育」、「つくる会」の策動、教育基本法改悪の動きの中で、“教育”とは何であり、いかに行われるべきかを、問いかける。  


 第一章  
教育基本法改悪案の出発点、
森の「教育改革策動」
 第二章  
破綻する「ゆとり」教育の幻想
 第三章  
“朝令暮改”の文科省、
「ゆとり」から「競争原理」へ
 第四章  
ペテンの検定制度と「つくる会」の教科書
 第五章  
歴史的評価なく詭弁とすりかえ
つくる会教科書(06年)の具体的検証
 第六章  
日の丸・君が代の強制と
石原都政の悪行の数々
 第七章  
憲法改悪の“露払い”、教基法改悪策動

●1317号 2017年12月24日
【一面トップ】空っぽの「所得税改革」――矮小化し頽廃するアベノミクス
【コラム】飛耳長目
【二面〈主張〉】安倍政権の危険な軍国主義――ついに敵基地攻撃の武器までも
【二面トップ】アベノミクス破綻の証明――〝賃上げ減税〟邪道の政治

※『海つばめ』PDF版見本

空っぽの「所得税改革」
矮小化し頽廃するアベノミクス

 12月中旬の14日、自民・公明両党は、来年度の「税制大綱」を決定した。そして政府は16日、18年度予算案の概要を明らかにし、22日には閣議決定した。いずれも政府と与党の、国家の収入と支出についての観念と政策の根底を明らかにするものとして決定的に重要である。我々はそれを検討することによって、安倍政権が日本の国家をいま経済的にいかに動かし、〝管理〟しようとしてといるのかを――まだ、まともにそれができるとしてのことだが――明らかにしなくてはならない。

迫る財政再建ならぬ財政崩壊

 彼らは現在の国家財政について、財政再建を、したがってまた増税が必要なことは認めている、しかしこの「大綱」においては、口先では増税を謳っても、実際にはどんな真剣な増税も提起しないし、できないのである。

 どんな国家の収入も中心は税金であるが、税金にも様々あって――根底は労働者、勤労者が生み出した財貨の一部、つまり剰余価値以外ないとしても――、日本では大きく法人税と所得税、そして消費税の3つに分けられている。我々はさしさわり、これらの税金の概念を〝厳密に〟問わないことにし、こうした通俗の区別のまま考察を進めよう。

 バブル以降の十数年間で、三つの形の税金の比重は大きく変化したし、またさらにしつつある。1991年には、所得税45%、法人税28%、消費税8%だったのが、18年度の予想では、所得税は32%に減り、また法人税も21%に縮小したのに対し、消費税は30%に大きく膨れあがり、次の消費増税でもあれば、まさに最大の税収として浮上する勢いである(合計が100%にならないのは、その他の項目があるから)。

 国の財政規模の肥大化にもかかわらず、税金の総額は約60兆円と59兆円で、増加しないで縮小しているのだが、それは、財政が借金にどれほど依存し、健全性を喪失して寄生性を深めてきたかを暴露している。

 そして今では資本の階級も自民党政権も――したがって安倍政権も――、事実上、財政再建を口にはするが、完全に諦め、放棄して経済と国家を〝経営〟しようとするのだが、それはとりわけ今度の総選挙において露骨に暴露されてしまった。 安倍は二回にわたって消費増税を延期して、財政再建にそっぽを向いてきたのだか、今度は消費増税はするが、その使い道を変更して、財政再建のために決められていた部分を、教育無償化という安倍政権のためだけの政策に流用すると公言するのであり、同時に財政再建の課題は先送りすると宣言したのである、つまり財政崩壊に対しては何ら手を施さないと無責任を決め込んだのである、というのは、財政の危機は余りに深化し、深刻になりすぎてしまって、手を打つにはすでに遅すぎるし、できないということである。

 そんな無責任と無政府主義の立場を前提とする、「税制大綱」が徹底的に無内容で、あれこれの矮小で、どうでもいいことにこだわり、ゴタゴタと述べてはいても、決定的なことは何一ついえないし、提起できないのもけだし当然である。

 「増税ありき」だとか、「公平感を演出」だとか、「社会保障を圧縮」だとか、「所得税改革」だとか、あれこれの課題を盛り込んだかにいうが、どれもこれもたいした内容は無く、財政危機の中で、要するに何もしないに等しいようなことだけが並べられている。危機感など、皆無に等しい。

 他方、18年度の予算案で、財政支出を見ると年々増大し、総額97・7兆円と100兆円に近づいた。8%への消費増税の効果や所得税の増加など税収が順調に増えると推定し、余裕があるかの楽観的で、何の問題がないかの予算案を装っているが、景気が改善し続けるという見通しの下の予算だから、景気の悪化が顕在化すればたちまち赤字国債に頼るしかない脆弱性を秘めている。

 一般的に言えば、安倍政権のもと、税金は消費増税8%への引き上げもあり――さらに2年のちには10%への引き上げだ――、また所得税などの増大もあって、税金は増えているが、2年後の消費増税分が教育無償化というバラまきに化けたように、安倍政権は増税があったとしても、基本的にバラまきにせいを出すだけで、財政再建にも社会保障にも関心も熱意も示していない。政権の維持と延命が国家運営の最優先課題だからである。

 財政危機は少しも改善されないばかりか、真剣に対応し、根本的に解決しなくてはという意思が安倍政権に皆無であり、その改善を先送りするというより、全く考えないで済ますという〝超〟能天気で、無責任な立場を決め込んでいる。近い将来、財政崩壊で経済も混迷し、労働者・働く者の生活が破壊されていく様な時代が訪れるとするなら、その責任は上げて、これまでの自民党の(さらには民主党の)政権、とりわけ安倍政権にある。

 新規国債の発行を前年度に比べて減らすといっても、わずか0・7%ほどあり、まだ年間33・7兆円も借金を積み重ねていくつもりである。支出における国債費、つまり国債の利子(約9兆円)と義務的な国債の償却費(約14兆円)と相殺するとしても、国債純増発(国の借金の純増)は10兆円ほどもある。

 安倍政権は2020年までに、少なくともこれをゼロにすると公約していたのだ。23兆円もの「政策的に」ではなく支出される無駄金が、財政の中にあることの、そしてそれが減らないで増大していくことの意味を、我々は深く反省すべきである。

 1000兆円もの国家の借金の利子がたった9兆円で済んでいるのは、安倍政権が〝異次元の〟金融緩和やゼロ金利、マイナス金利政策で利子率を極端に引き下げてきたからであって、利子率が2、3%、あるいは数%に上昇する経済情況になれば、それだけで日本国家財政はたちまち崩壊するしかないのであり、社会保障制度などたちまちどこかに雲散霧消してしまいかねないのである。

高所得者への増税はペテン

 しかも何か目玉であるかに持ち出されているのが、賃上げを持続させ、アベノミクスをさらに〝深める〟ためかどうかは知らないが、3%の賃上げをした企業には――ついでに、設備投資に積極性を発揮した功績も加えて――、いま30%ほどの法人税を実質20%に減らすという、まるでそれこそ白昼夢のような話まで大げさに持ち出している。安倍は酩酊した結果、途方もないよた話を言い始めたとしか見えない。こんなものが経済政策、財政政策だというなら、不真面目と不誠実の極みであろう。

 所得税の見直しで高所得のサラリーマンへの増税だというが、かつて改悪した累進的課税を復活するならまだしも、そこには手を付けず、年所得850万円以上には何とわずか1・5万円くらいの増税、2000万円の人でもやっと8・6万円の増税だという。大騒ぎするような内容は何もない。年給料が5千万円には36万円の増税だなどといっても、ブルジョア層には、まるで蚊に刺されたほどの痛痒も感じないだろう。

 法人税は減免ではなく増税こそが正当であり、妥当であるのは、大企業がため込む「内部留保」のカネが膨れあがっていることからも明らかだが、政府のやることは、それを賃上げなどに回せなどということだが、そんな暇があったら、法人増税として取り立てて、政府が支出すればすむことであって、安倍政権のやっていることは余りに姑息であり、愚昧である。アベノミクスの面目を立てることが重要なのか、まともで分かりやすい政策をきちんとやるのがいいのかの判断も、すでに安倍政権にはないのである。

 消費需要を冷え込ませるのを恐れて、消費増税を2回にもわたって先送りしておいて、今さら所得税増税もない。安倍のやろうとしている政策は、まさに増税の影響を最も受けそうな層に向けられていないか。安倍はすでにどんな政策的な一貫性も持てなくなって、場当たりで、どっちつかずの、矛盾した政策をその場に応じてもてあそび、右往左往するだけである。

 公的高額年金給付者に付いても、年1000万円以上の高年金取得者や、また1000万円以上の高所得者に対する増税を図るというが、雀の涙ほどの増税ではなく、彼らの年金支給を中止すべきである。

 そしてさらに、年100万円にも満たない数百万人の、あるいは何千万人とさえ言える低額の年金取得者のいる現実を確認するなら、年金差別の一掃こそ必要であって、老後にまで年金差別を持ち越すことを止めるべきである。

安倍政権のもと社会保障も崩壊へ

 社会保障についていえば、18年度も5000億円の巨額の増加であり、総額33兆円、予算の33%を超えていく。社会保障は予算膨張の最大要因だが、安倍は医師会などと結託し、ただ政権維持のために財政政策までも歪め、あるいは私物化し、膨張に手を貸しさえしている。

 政府は6300億円の増加となるはずなのに、5000億円増に留めたなどと、さも財政膨張抑制のために奮闘したかにいうが、要するに5000億円も膨張させ、何の対処もできず、いたずらに国の借金を膨らませるしか芸がないということにすぎない。まさにモノは言いようである。

 ブルジョアたちも危機意識を抱き、財政制度等審議会(会長は経団連の榊原である)は、総選挙における消費増税の使途変更〝公約〟で財政再建が放棄されたことを危惧して、予算編成の一つの焦点である「医療・介護報酬の同時見直し」で減額を求めている。彼らの安倍政権への「建議」では、「財政規律がこれまでに増して強く求められている」と強調し、診療報酬の「2%半ば以上のマイナス改定が必要」と、大幅の減額を要求した。

 しかし現実にはどうなったのか。注目の診療・介護・障碍福祉の3報酬の同時改定では、薬価は下げるが、いわゆる「本体」(医師の人件費など)は0・55%を引き上げて、結局、国費投入は800億円増、患者の負担増は3000億円増という結果である。

 こうした結果は極めて安倍政権に特徴的であり、その政権の本質を暴露して余りあるので、少し詳しく報告しておこう。

 マイナスで決まってもおかしくなかったが、財務大臣の麻生は最初から、0・5%の引き上げで済まそうと考えていた。

 しかし日本医師会会長の横倉義武は、この数字を厚労省から聞かされると、「了解していない」と強く反発、結局、安倍が暗躍して0・55%に落ち着いたという。横倉の強硬姿勢の背後に安倍がいたということだ。

 安倍政権は医師会のために0・5%という報酬の引き上げを策動しただけではない、さらに安倍は個人的にもさらに0・5%を0・55%にまでつり上げて、 横倉のメンツのために個人的に奉仕したというわけである。医師会は自民党に対する巨額献金を行っている、自民党の大スポンサーだが、横倉はとりわけ安倍と親密であり、安倍が若手の駆け出し政治家だった頃から個人的に懇意で、第一次安倍政権が倒れた後も支え続けた〝お友達〟の1人である。

 そして0・55%という数字は、安倍らが財務省の岡本主計局長に、総選挙でも「大変お世話になった、よろしく頼むぞ」と横やりを入れてきて決まったという。

 「最終的には麻生は『四捨五入で6%だ』という形で折れた。『上積みは横倉さんが自民党が下野したときに裏切らなかったことへの総理の恩返し』。こう語る厚生省幹部もいる。安倍・麻生が完全に主導権を握り、決着当日、知らせがなかった自民党厚労族幹部もいた。」

「診療報酬改定で主要なプレーヤーのはずの中央社会保険協議会は13日、報道で決着の事実を知り仰天した。45兆円の診療報酬の配分を決めるこの協議体は、日医などの『診療側』と健康保険組合など保険料の『支払い側』が互いに意見を表明し、段取りを踏みながら改定率を決める習わしだ。

 『我々が意見陳述する前に、改定率が決まるなど前代未聞だ』。13日にマイナス改定の意見表明をするはずだった委員の1人、健保組合運動会の幸野庄司は憤慨した」

 「日本医師会は20万票ともいわれる医師の組織票に加え、多額の政治献金で自民党の政治家を支援している。『《横倉さん、こっちを向いて》という政治家たちの思惑の積み重ねが0・55という数字を作った。まっとうな政治の筋論などない』。財務省若手官僚はこう嘆くが、一体で動く政権と日医の前では戦うことすら許されなかった」(日経新聞12月19日)。

 安倍政権の経済政策や財政政策も、みなこんな形で決まり、強行されていくのであり、安倍一派と安倍政権の利益や延命のためにのみ動かされていくのである。政治でも政策でも、経済や財政の運営でも、〝公〟と〝私〟が混同され、私物化されていくのであり、金融や財政や、否、国家自体が、労働者・働く者の生活や人生や運命がどうなろうと、今や安倍政権にとってはどうでもいいことと化していくのである、というのは、安倍にとって唯一関心のあることは自らの政権の維持であり、延命だからである。

 今や社会保障は利用者にとってますます〝高価〟なものになり、労働者・働く者とりわけ貧しい人々は消費増税等々でさらに大きな負担を強いられ、また社会保障を支える労働者・働く者は疲弊し、それら諸困難をしわ寄せされる財政は――内での小槌でない以上――、ますます崩壊を加速していくしかない。社会保障制度の解体は、日本資本主義の解体の一環であり、その最も尖鋭で、代表的な現れである。

   

【飛耳長目】

★黒田は最初からカギの掛け違いをしたのである。物価2%上昇を可能にするなら、つまり黒田の言葉でいうなら、デフレ脱却を実現するなら、すべての経済的困難は一掃され、経済的繁栄する、黄金期の日本が戻ってくると、新興宗教の教祖よろしく叫んでしまったのである★それ以来、黒田は2年どころか、すでに5年近くも自らのえせ宗教を説教し続け、悪戦苦闘してきたが、いまだにありがたい教えの功徳は現れていない。彼が説いたのが、妄想もしくはドグマのたぐいだったからである★労働者は最初から、物価上昇が労働者の利益だといった観念的たわ言と無縁であり、原油価格の低落や、〝デジタル革命〟による多くの消費財の劇的な価格低下や〝無料化〟までも歓迎し、享受したのだが、黒田らから見れば、そんな物価下落も、彼の信仰教義を挫折させる悪魔の仕業にでも見えたのだろう★黒田や安倍が下らないリフレ派経済学か何か知らないが、そんな新興宗教並の俗思想に溺れ、〝異次元の〟金融緩和や後先も考えない財政膨張に走って、国家財政や経済を泥沼の困難や破滅に導くなら、労働者はそれを止める気はないが、しかしもし彼らの愚昧な試みが労働者・働く者の生活や人生を打ち壊し、不幸や悲劇の淵に追いやるようなことがあれば、彼らを決して許しておかないことだけは、しっかり心に留めおいてもらわなくてはならない。(鵬)

   

【主張】

安倍政権の危険な軍国主義
ついに敵基地攻撃の武器までも

 安倍政権のもと、最新鋭の機能を持った兵器による軍備増強が進んでいる。

 極東における軍事危機の深化――ブルジョア的大国としてのし上がり、急速な帝国主義的膨張を遂げる中国や、小国ながら核兵器を手段に、尖鋭な軍事挑発によって国家的存在を誇示し、維持を図る北朝鮮――に対抗するためというのが、安倍政権が軍拡主義に邁進する口実である。

 最近発表された18年度予算案では、防衛費は5兆2千億円で、第二次安倍政権のもとで数千億円も膨張している。それ以前の5年間は4兆7千億円前後で横ばいに推移してきていた。

 ミサイル防衛の強化を合い言葉に、PAC3(地対空誘導弾パトリオット)や、迎撃ミサイル搭載のイージス艦や、最近では地上イージスの導入が米国に大金を払って進められてきたが、安倍政権は12月、戦闘機に搭載する、長距離巡航ミサイル導入の関連予算を計上する方針を明らかにした。

 これは射程数百キロに達するもので、航空自衛隊のF15機や最新鋭のステルスF35機に搭載して遠距離の場所を攻撃できる武器である。

 反動派はすでに本当の国家防衛は敵基地を先制的に攻撃してこそ可能になり、〝完成〟されると言いはやしてきた。自民党政務調査会も今年3月、「巡航ミサイルを始め、わが国としての『敵基地反撃能力』を保有すべく、政府において直ちに検討を開始すること」を要求した。

 安倍政権は「あくまで自国防衛のためで敵基地攻撃のためではない」、離島防衛のためだと言いつくろうが、しかし安倍自身、今回改定する「防衛計画の大綱」で、「従来の延長線上でなく、国民を守るために真に必要な防衛能力の安全を見定めて行きたい」と、13年末の前回改定時に見送った、敵基地攻撃能力を備えた軍事力を念頭において語っている。

 憲法改定の条文がどうあろうと、そんなものに一切関係なく、安倍政権は今や強大な軍隊を保有するだけでなく、北朝鮮か中国かは知らないが、他国と最新鋭の武器を手に闘い、先制攻撃も辞さず相手を粉砕すると宣言する。

一体安倍はどんな国家との、どんな戦争を想定して語るのか。北朝鮮や中国と、か。

 そんな可能性が今、ほとんどあり得ないのは明らかである。北朝鮮はただ「よく吠えるだけの」臆病な子犬にすぎない。中国もまた米国等々と戦争を始めるまでに帝国主義を発展させてはいないし、また好戦的な帝国主義国家――第二次世界大戦時のような天皇制軍部の日本とかナチスドイツのようなファシズム国家――として登場しているわけでもない。

 とするなら、安倍はなぜこんなにも軍国主義を扇動し、危険な軍備増強に熱中するのか、しかも何百、何千億円という大金を湯水の如く浪費しながら、である。

 言うまでもなく国外の〝危険な〟敵についてわめき立て、国民の危機意識を煽り、外敵に対して団結して当たるように扇動すること、そして自らが外敵に対して、先頭に立って果敢に闘う勇者であることを誇示することは、労働者、勤労者の支持を失いつつある政府にとって、支持率を挽回し、求心力を回復する最も安易で、効果的な方法だからである。

 だからこそ、トランプも習近平も金正恩も、そしてわが安倍も、みな同じように軍国主義的策動にふけるのであり、そんな挑発に走って、自ら最も危険で、悪質な戦争煽動者、戦争準備人として現れ、国民を不幸と悲劇のどん底に陥れようと策動するのである。

   

アベノミクス破綻の証明
〝賃上げ減税〟邪道の政治

 1面でもちょっと触れたが、自公両党が平成30年度税制改正大綱で、30%の法人税率を10%も下げることを提起している。安倍が今月8日、アベノミクスの看板政策の一つ、「生産性革命」の中で述べた構想で、自公がさっそく「大綱」の中で具体化して提起してきたというわけである。しかし実際に30%下げるという話ではなく、企業が、安倍が謳う3%の賃上げをしたら、法人税を5%引き下げ、さらに先進技術等に投資を拡大したら、また5%下げる、つまり2段構えで法人減税して20%にするというのである。

 何か思いつきの、雑な観念であって、そんなものを経済政策の要であるかに持ち出すというなら、それはアベノミクスが完全に行き詰まり、破綻しつつあることの証拠であり、証明であろう。

 トランプも35%の連邦法人税率を21%に引き下げると大張り切りだが、〝賃上げ減税〟といった邪道のやり方でトランプと張り合おうとすることは、余りに陳腐矮小でトランプに勝てるはずもない。

 安倍政権が3%、連合が4%の賃上げを謳っているが、しかし肝心の経営者は、そんな賃上げはとんでもないという構えで、実際、昨年の賃上げは2%を下回っている。安倍政権が3%といえば、そんな賃上げが可能になるなどと考えるとするなら、そんな連中は現代資本主義についても、何も分かっていないのである。

 もし法人減税が本当に日本経済にとって重要であり、経済成長やデフレ脱却に大きな意義を持つというなら、そのものとして提起し、実現を図るべきである。さもないなら、法人減税をもてあそぶことは止めるべきである。

 安倍政権は大企業のために、金融緩和や円安を実現して、大儲けを可能にしてやった、その結果として巨額の内部留保が企業の手元に蓄積された、今度は企業が儲けをため込んでばかりいないで、安倍政権とアベノミクスのためにはき出してしかるべきだと思うのだが、しかしそれなら、企業に大増税をして、安倍政権が豪勢にバラまけば済むだけのことであって、賃金をはずめとか、それでアベノミクスのために尽くせとかいったことは余計である。

 まして、その結果、企業への減税を保証するというなら、また企業の内部留保を増やすことになり、元の木阿弥に返るだけである。混乱だらけ、矛盾だらけ、何をやりたいのかも定かではない政策である。

 元日銀理事の早川英男は、アベノミクスとして実践されたリフレ派経済学の失敗や挫折を確認しながら、また日銀の〝異次元の〟金融緩和も物価上昇には成功していないとケチを付けつつ――後からなら、なんとでも言えるのだ――、昨今の安倍の〝賃上げ減税〟の珍説に期待をかけ、そこに2%のデフレ脱却の突破口があるかに言いはやしている。安倍政権がこの政策で「汗をかく」ことだけが必要だというのだ。

「この点、物価が上がらない最大の理由を賃金低迷に求めるなら――早川は自らのこの大前提が、つまり仮定がナンセンスであることを知らないのだ――、安倍首相が以前から経済界に求めている賃上げについて、3%という数字を初めて明示したことは大きな前進だ。賃上げをした企業への減税など、税制面でのインセンティブ(誘因)を強めるという。2%の物価目標達成に3%の賃上げ(定期昇給を除くと1%強)ではやや力不足だが、まずは3%の実現が第一歩になる」(日経新聞12月21日)

 リフレ派経済学がダメなら、別の経済学だと言うのだが――何という学派かは定かには知らないが――、賃上げが物価上昇につながるとか、第一義的な起動力になるといった経済学は俗流学派の中でも、リフレ派にも勝とも劣らない最も俗流的な学派であることは、我々にとっては、常識中の常識である。

 というのは、賃金は商品価値(価格)の一部を占めるが、賃金が上昇しても利潤が縮小するなら、商品価値は変わらないのは、誰でも――ブルジョア諸君でも――簡単に確認できる理論だからである(ブルジョア諸君の理解を容易にするために、〝価格〟でもって論理を述べている)。

 早川は自らの俗流経済学をもってしては、アベノミクスを正当化し、救済することは決してできないこと――したがって安倍の新理論をもってしても、アベノミクスの破綻を回避すること――は不可能であることを知るべきであろう。

 もしブルジョア諸君が安倍や早川の理論の勧めるところに従って、一斉に3%の賃上げに走ったとするなら――もちろん、そんなことは決して起こらないだろう、ということは、ブルジョア諸君はそんなことをしたら、どんな事態が生じるかをよく知っているから――、経済はたちまち激しい恐慌に直面するかも知れず、ブルジョア諸君は物価上昇どころか物価が急降下していく、泥沼の情況に直面しかねないのである。

 大企業であろうとも、簡単に3%の賃上げをして、いいことなど余りない。

 少しでも景気が悪化してくるなら、そんな「固定費」の増大は経営に重くのしかかってくることは明らかである。賃上げによる負担増は直接に明らかになる重荷であり、デメリットだが、それに対して、安倍政権が約束する〝賃上げ減税〟というアメは、そのメリットが不確かで危うく、ブルジョア諸氏がおいそれと乗れるものではない。

 しかも3年間の時限法案だというから、便宜的なものであって、真剣で、実際的なものでないのは明らかである。賃上げの負担は恒久的なものであり、法案の利益は3年だけというなら、ますます企業は安倍の思いつきの政策にそっぽを向くことは確かである。

 賃上げをすると負担が重くなるから減税をしてやるというのだが、企業はそんなくらいなら、最初から賃上げを強要しないでくれなければいいと言わないだろうか。

 法人減税が、企業の投資活動を活性化し、あるいは拡大してデフレ脱却――継続的な物価上昇のことだという――や景気回復や経済成長につながり、それを可能とするというなら、信念をもって断固として法人減税に突進すればいいのであり、あるいは賃金上昇が、どんな契機で、またいかなる原因で起こるかを問わず――それが一般的な物価上昇に直接に波及し、押し上げる、つまり〝コストプッシュ〟インフレの形でか、消費需要の拡大をもたらし、その結果として物価上昇をもたらす、つまり〝デマンドプル〟インフレの形かは知らないが――デフレ脱却や経済成長を可能にすると思うなら、断固として、政府の強制力で賃上げを図ればいいのであって、両方を足して2で割るような、中途半端で、分けの分からないことをしても何の益もなく、どんな実りある成果を生むこともできないだろう。

 二股をかけるということは、安倍政権にすでにアベノミクスに自信も見通しもないことを白状するようなものである。アベノミクスは行き詰まり、破綻した。後に残るものは、金融破綻、財政破綻、産業資本の頽廃、して経済の衰退や空洞化であり、国家の〝ギリシャ化〟の危機である。

   

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