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労働の解放をめざす労働者党機関紙
海つばめ』

◆隔週日曜日発行/A3版2ページ
一部50円(税込み54円)

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郵政民営化の中で何が起きているのか?
郵政労働者は告発する!

■民営化の嵐の中で最大の御用組合の登場――JPU臨時全国大会議案批判
■郵政民営化――今、職場では/郵政現場からの報告
■恐竜化か、リリパット化か――郵政民営化のジレンマ
■西川善文著『挑戦――日本郵政が目指すもの』/民営化に賭けるトップの本音


憲法改悪と
いかに闘うか?


■改憲に執念燃やす安倍――「国民の自主憲法」幻想を打ち破れ
■労働者は改憲策動といかに闘うか
■国民投票法をどう考えるか
■安倍の「美しい国」幻想――憲法改定にかける野望


本書は何よりも論戦の書であり、その刊行は日和見主義との闘いの一環である。
マルクスが『資本論』で書いていることの本当の意味と内容を知り、その理解を深めるうえでも、さらに『資本論』の解釈をめぐるいくつかの係争問題を解決するうえでも助けとなるだろう。


全国社研社刊、B6判271頁
定価2千円+税・送料290円
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「不破哲三の“唯物史観”と『資本論』曲解』(林 紘義著)」紹介(『海つばめ』第1048号)


全国社研社刊、B6判384頁
定価2千円+税・送料290円
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「天皇制を根底的に論じる『女帝もいらない 天皇制の廃絶を』(林 紘義著)」(『海つばめ』第989号)他

理論誌『プロメテウス』第54号
2010年10月(定価800円)

《特集》菅民主党のイデオロギーと“体質”
・神野直彦の思想と理論――菅直人のブレインは「曲学阿世の徒」
・原則なき寄せ集め政党――顕現するブルジョア的“体質”
反動的な「文化」の擁護に帰着――レヴィ=ストロースの「文化相対主義」批判


 
 
 教育のこれから
   「ゆとり」から「競争」
   そして「愛国教育」で
   いいのか
 林紘義 著 7月1日発売

  (全国社研社刊、定価2千円+税)
  お申し込みは、全国社研社
  または各支部・会員まで。
  メールでの申し込みも可能です。

まかり通る「偏向教育」、「つくる会」の策動、教育基本法改悪の動きの中で、“教育”とは何であり、いかに行われるべきかを、問いかける。  


 第一章  
教育基本法改悪案の出発点、
森の「教育改革策動」
 第二章  
破綻する「ゆとり」教育の幻想
 第三章  
“朝令暮改”の文科省、
「ゆとり」から「競争原理」へ
 第四章  
ペテンの検定制度と「つくる会」の教科書
 第五章  
歴史的評価なく詭弁とすりかえ
つくる会教科書(06年)の具体的検証
 第六章  
日の丸・君が代の強制と
石原都政の悪行の数々
 第七章  
憲法改悪の“露払い”、教基法改悪策動

●1324号 2018年4月8日
【一面トップ】19参院選を断固闘い抜こう──労働者党の初議員誕生目ざして
【1面サブ】天皇は恥を知るべき──沖縄にどの面さげて行くのか
【コラム】飛耳長目
【二面〈主張〉】迷走する安倍の改憲策動──自民党の〝最終的〟憲法草案
【二面トップ】開始された米中の貿易戦争──厚かましいトランプの米国第一主義

※『海つばめ』PDF版見本

19参院選を断固闘い抜こう
労働者党の初議員誕生目ざして

 全国の『海つばめ』の読者の皆さん!

 労働の解放をめざす労働者党は3月下旬、臨時大会を開催、19参院選に確認団体として10名の候補者を擁立して参加し、初の議席を目ざして闘い抜くことを決定しました。この決定は、昨年四月大会のホップ、ステップ、ジャンプの三段階の闘いを経て、22年参院選で議席獲得を勝ち取る方針を訂正したものでした。私たちは、昨年の総選挙の闘い(神奈川11区の闘い) の総括の上に立って、議席獲得のための〝決戦〟を3年間早めたのです。

方針変更とその理由

 4年数ヶ月かのちの22年参院選ではなく、1年数ヶ月後の19参院選において議席獲得を目ざすという、今回の臨時大会の方針は、昨年の再建党大会の方針を変更し、当初の計画より3年も早い参院選で最初の目標を達成するということであり、党内にも無理だ、不可能だなど反対の声も多く出されましたが、私たちは慎重かつ徹底的に議論と検討を深め、最後にはこの方針変更を採択しました。

 私たちが19年に〝決戦〟を挑む決意を固めたのは、次の選挙闘争への準備もしくは総稽古の闘いは昨年の神奈川11区の闘いで十分であり、それによって我々は立派に闘い抜けるという自信を持つことができたからであり──この闘いについては、私たちの著書、『我々はいかに闘ったか・神奈川11区の闘い──安倍、小泉の政治に反対して』に詳しいので、是非とも参照してください──、また〝決戦〟を4年半も後に引き延ばすのは意味がなく、来年の19参院選こそ安倍政権との本当の対決であり、安倍政権を粉砕し、一掃すべき重大な闘いになると評価したからです。

 私たちは来年の参院選に、合計10名の候補者を擁立します。というのは、10名の候補者がいないと、確認団体──公職選挙法上の政党──として扱われず、参院選比例区に参加できず、したがって2%の得票で国会に議席を持つことができないからです。選挙区で当選のためには、最低、10%や2、30%が必要ですから、私たちの今の力では最初から当選の展望はありません。

 私たちは10名の候補者を比例区で何人、選挙区(都道府県単位)で何人と割り振ることはまだ決めていません。比例区に2人なら、選挙区は8人となります。この場合は、都道府県のうちの8つから立候補して闘うことになります。比例区5人なら選挙区も5人です。

選挙資金の解決のために応援と協力を!

 選挙費用の内、供託金は最低3300万円(比例区1、選挙区9の場合)ですが、比例区の供託金は1人600万、選挙区は1人300万のため、比例区が1人増えるごとに、供託金は300万ずつ上積みされていきます。5人ずつ比例区と選挙区に立候補すると、供託金だけで4500万(3300+300×4)も必要になります。選挙のための単なる参加料、寺銭のようなものだけで、こんな不当な金額を払わなくてはなりません。

 今の日本の選挙制度ほど、民主主義とはほど遠い、差別的で──というのは、自民党等には、供託金の負担はほとんどゼロである上に、何億、何十億という政党助成金が供与されるからです──、不公正で、正義にもとるものはありません。

 供託金に事務所や選挙カー、宣伝費や運動費等々の通常の選挙費用を加えると、最低7~8千万という、私たちのような超ミニ政党には重い、重い負担がのしかかってきます。一部の党員は、そんな負担だけで参院選参加を止めるべきだと主張しました。

 しかし現在の社会における、そして政治闘争における議会での活動の意義や役割の大きさを考えると、労働者のいくらかでもまともで、有効な政治闘争は、議会選挙や国会活動への参加なくしては考えられません。何としても、このカネの問題を解決し、選挙闘争に勝ち抜かなければならないと私たちは考えます。

 ここでも、私たちの基本的観念は、個々の資本家や企業との職場での経済闘争だけではなく、彼らの政治支配やその政党である自民党などとの政治闘争を闘い、勝ち抜いて行かなくてはならないという、多くの労働者の強い意思や協力や応援に依拠して、つまり〝大衆路線〟でカネの問題も解決するということです。

 私たちの合い言葉は、「長者の万灯より貧者の一灯」です。7500人の労働者、勤労者が1万ずつカンパすれば7500万です。2万、3万、あるいはいくらかでも余裕のある労働者、勤労者が5万も寄付していただければ、2千、3千人でも十分です(5万円以下なら、収支報告書に名前を記す必要がありませんから公表されません)。

 私たちは全党一丸になってカネ集めに奮闘し、カネの問題も解決し、供託金などという障害を作り上げ、労働者党などを選挙から排除しようとするブルジョアや自民党などの汚い策動を断固粉砕し、彼らの鼻をあかしてやらなくてはと固く決意しています。

 お金の問題が解決されないと、私たちの闘いも最初から頓挫します。この点でも、多くの労働者、勤労者の皆さんの、物心両面における大きなご支援とご協力を呼びかけ、お願いします。

安倍政権の打倒のために! 

 森友学園事件など、安倍政権の腐敗汚濁は極限にも達し、その権威や信頼は地に落ち、安倍政権に対する批判は膨れあがり、普通なら1日と持たないような追い詰められた状態です。

 大多数の労働者、勤労者は安倍の権力犯罪は明らかであり、安倍は辞めるべきと信じています、しかしそんな批判がどんなに大きくても、安倍は自らの底知れない腐敗には白を切り、国会の多数と権力をカサに知らぬ存ぜぬで乗り切ろうとしています。

 どんなに安倍政権に対する批判が高まろうと、安倍一派は、国民の全体が民進党とか共産党とか立憲民主党などのインチキ政党を信用しておらず、その支持率もほとんど上がらないのを見て開き直り、居座り、自らの犯罪を官僚等に転嫁し、卑しい政権延命の策動に走っています。

 こんな状態が続けば、安倍政権の5年間が明らかにしてきたように、日本はますます経済的に衰退し、寄生化する国家に、そして政治的には腐敗し、虚偽で凝り固まったファシズム的な専制国家に転化していきます、いやむしろ腐りきり、軍国主義国家に転落し、〝一党独裁〟ならぬ〝一派独裁〟を強める安倍政権はすでに、半ばファシズム国家であるといわざるを得ません。

 安倍政権の打倒と一掃は焦眉の課題であり、1日遅れれば、それだけ日本の国家と経済は壊されて行くのです。

今こそ労働者党の決然たる闘いが必要なとき

 たった一つの小政党が1人の議員を生んだとしても何ができるのか、といわれそうです。

 しかし私たちは1人の議員などと考えていません、10人、20人、そして数十人と、闘う労働者党の議員が増えていくなら、労働者の生活や労働条件の改善のために大きな役割と力を発揮できますし、さらに進んで、大きな影響を国政の段階でも持ち、腐敗と国家主義と反動に走る安倍政権を圧倒し、一掃する力と影響を持つことができると信じます。

 私たちはすでに神奈川選挙区の予定候補として、総選挙を神奈川11区で闘った圷孝行を内定しています。今後、続々と東京や大阪を始めとして全国の選挙区(都道府県)から、そして比例区から立候補する仲間を明らかにし、遅くとも今年中には10名全員の候補者を決定し、来年夏の決戦に備えます。

 私たちの前には、カネの問題を始め、想像もつかないような多くの困難がありますが、しかし私たちは断固として挑戦し、闘い抜き、勝利するつもりです。

 全国の読者の皆さん、そして労働者、勤労者の皆さん、労働者、勤労者の政党とその闘いのために、大きな支援と協力を重ねて呼びかけ、お願いします。

 ともに闘いましょう!

   

【1面サブ】

天皇は恥を知るべき
沖縄にどの面さげて行くのか

 天皇が退位を目前に、11回目の沖縄訪問に出かけた。

 戦後一時期、天皇は沖縄に足を踏みいれることも困難であった、というのは、天皇と天皇制によって、最初の本土決戦場として、そしてその実験場として耐えられないほどの犠牲を払わされた沖縄県民の反感と憎しみは深く、沖縄に行くことは危険極まりないことだったからである。

 実際、今の天皇一家の厚顔無恥には呆れるばかりで、戦後一時期の反省や殊勝な立ち振る舞いはすでにない。むしろ日本の主権者であるといわんばかりの出しゃばりや横着ばかりが目だっている。

 敗戦後、事実上、〝戦犯〟の筆頭として、戦後の〝東京裁判〟に引きずり出され、有罪を宣告されんばかりであり、辛うじてマッカーサーの思惑によって救われたという事実さえ、のど元過ぎれば熱さを忘れのたとえ通り、すっかり忘却の彼方にあるかである。

 もし東条らが有罪であったとするなら、15年にわたる侵略戦争と帝国主義戦争の期間中を通して、一貫して日本の「元首」として、最高の支配者として君臨し──名目的であろうと、実質的であろうと同じことだ──、日本国民を反動的で、無意味で、悲惨な戦争に先頭に立って駆り立て、大なる悲劇と不幸と生活破壊と死の元凶だった天皇やその一家が無罪などということはあり得なかったのである。

 実際、天皇の戦争犯罪は、東条の数倍、数十倍だったといってもいい足りないくらいである。

 天皇一家は自らの戦争犯罪を恥じ、せめて憲法の枠内で〝謹慎〟し、厳しく身を慎むべきである。

 沖縄に行き、慰霊だとか、沖縄に「心を寄せ続けてきた」とかは聞くも腹だたしい妄言だと今も思っている戦争犠牲者やその家族は、今なお沖縄に──そして全国にも──何万、何十万といることを、天皇一家は知り、反省すべきである。

 天皇一家は1975年、沖縄への初訪問がようやくかなったとき、沖縄県民から火炎瓶で迎えられたことを忘れるべきではないのだ。


【飛耳長目】

★「政治主導」をやかましくわめいたのは、09年に政権を握った民主党だった。彼らは民主党に背きかねない官僚を支配するために、「政治主導」を声高に叫ばなければならなかったが、そんな必要は全くなかった。彼らは官僚がやってほしいと願望しているような改良といえるような改革や政策実現に励むことが皆無だったし、まして反動的な官僚が抵抗したり、サボタージュしなくてはならないことは何一つしなかったからである★かくして「政治主導」は権力主義そのものである安倍政権のもとで採用され、貫徹するのだが、安倍はそれを自分の野心実現や、権力の強化と永続のために悪用するのだ★官僚はいわば安倍やその連れ合いの〝私用〟のためにまでかり出され、森友学園や加計学園等々の、いわば安倍の個人的な野暮用のために奉仕させられ、きりきり舞いさせられ、あげくの果てに国民に対し、真実を隠し、平気で虚言を並べるまでに頽廃した★確かに安倍は「政治主導」を実現したが、その特徴的なものが森友学園等々のスキャンダルだったとは、また何という矮小な形で、矮小な目的のために機能したことか★ブルジョア的、反動的な意味での「政治主導」の究極の表現がファシズムだとするなら、安倍政権はその安直な前座であり、矮小な茶番である。我々はブルジョアや反動たちの「政治主導」は、彼らの専制への志向であることを確認する。(鵬)

   

【主張】

迷走する安倍の改憲策動
自民党の〝最終的〟憲法草案

 3月下旬の自民党大会は、党の憲法改定推進本部の〝たたき台〟として提起された「素案」を巡って混沌とし、意思の一致を勝ち取ることができず迷走した。

 安倍の改憲策動は、安倍の支持率の低下もあって、ますます見通しの立たないものになりつつある。

 推進本部の提起した「素案」は、安倍の唱える、9条の条文に「自衛隊の存在」を追加明記し、「必要最小限の実力組織」と位置づけるというものと違っていた。

それは、既存の9条の規定に続いて、「前項の規定は」という文章を入れて現行の憲法2項との関係を示しつつ、自衛隊は「必要な自衛の措置を取ることを妨げず、そのための実力組織」と位置づけるといった、一層混雑したものであった。

 安倍改定案にあった、単純なメリットさえなくした、意味不明の駄文でしかなく、自民党が安倍の意を受けてか、単なるアドバルーンとしてかは知らないが、こんなものを持ち出すことによって、安倍政権の改憲策動はますます混沌とし、迷走するしかないように見える。

 安倍改定案に盛り込む予定の、自衛隊は「必要最小限の実力組織」という規定が、現行憲法9条の禁じる「戦力」とどう違うのか、事実上違わないなら、改定案でも憲法議論は残り、継続するだけであって、改定によってはどんな変化も生じないという批判は高まっていた。

 安倍はそんな批判を封じ、行き詰まりを打開しようとして、今度は党の口を借りて、それを回避する案を提示し、観測気球よろしく打ち上げたのだろうか。

 しかし今回の党の「素案」でも「実力組織」という言葉が残るのだから、結局は同じことであり、まるでつまらない小手先細工であって余りにばかげている。

 安倍の改憲策動の迷走ぶりは、そもそも安倍の改憲策動の目的さえ疑わせ、それがむしろ存在しないことを暴露している。

 安倍は憲法改定策動の最初から、「自衛隊を明記しても、現実は今と何も変わらない」といってきた。

 つまりこれは安倍にとって、ブルジョアや反動にとってさえ、現行憲法を変えなくてはならない〝緊急の〟必要性も必然性もないということではないのか。

 というのは、現行憲法の下でも、世界に冠たるような強大で、最新鋭の兵器──惜しむらくは核兵器を欠いているが、それは米国のもので代用し、傘とすることでとりあえずは済んでいる──で武装した国家に成り上がってくることができたからである。

 共産党やリベラルなどの、「憲法を守れ、そうすれば日本は非武装の平和愛好の国家として永遠に存在できる」といった太平楽で、無力な観念論やおしゃべりにふけるのを聞き流し、適当にあしらいながら、である。

 90年代、自民党と連合して滅んだ社会党も、自民党の軍門に下る共産党も、民主党や立憲民主党も、リベラルもみな同様で、その結果、今や彼らは安倍政権と闘う力さえなくし、安倍が野党の無力さをあざ笑いつつ、好き勝手するのを許している。

 安倍は日本国家を、国を守ることのできる強大な軍隊を持ち、国民全体が自国防衛の強い決意に燃えている「普通の」国家にする、という国家主義者の理想に生きてきたはずである。

 だが権力維持に汲々とし、権謀術策に溺れる安倍に、すでにその面影はなく、卑小な政治屋の本性が醜く露呈しているだけである。

 そんな安倍の実行しようとする憲法改定がろくでもない結果に終わることだけは確かである。

   

開始された米中の貿易戦争
厚かましいトランプの米国第一主義

 米国と中国の間で突如、激しい〝貿易戦争〟が勃発した。3月始め、トランプは世界各国から輸入する鉄鋼に25%、アルミニウムに10%の関税を課すことを発表、また輸入制限の発動を命じる文書に署名したが、22日から23日にかけて、中国製品に対して600億ドル(6兆円余)もの関税を課す〝中国制裁〟を決め、鉄鋼・アルミニウムの輸入制限も発動した。これに対して中国も直ちに反発、128品目の米国からの輸入品に30億ドルの追加の〝報復関税〟をかけると発表し、にわかに米中を中心に、自国第一主義と保護主義の経済風潮が世界に広がった。

米国の継続的な巨額の貿易赤字の意味

トランプの言い分によれば、米国の対中貿易赤字は年間4000億ドルにも達していて、到底容認はおろか、我慢できる水準をこえている、この赤字は中国が米国と米国労働者の犠牲──失業や生活の悪化等々──で達成したものであり、断固として是正されるべきものである、中国はすみやかに1000億ドルの対米黒字縮小を実行すべきだということになる。

 米中の貿易関係は確かに極端に不均衡で、米国から見れば、輸入は5000億ドルに対して、輸出は1000億ドルにすぎない。そして米国の貿易赤字の半分が対中によって占められている。保護主義をかかげて労働者の支持をかき集めようとするトランプが、中国に食ってかかるのも一つの必然である。

 トランプは3月22日、「対中貿易赤字は巨額で制御不可能。こんなことは終わりにしなくてはならない。そのために私は大統領に選ばれた」と豪語した。

 しかし米国の貿易赤字が巨額になり、大戦直後の一時期を除き、すでに半世紀にわたって継続してきているのは偶然ではなく、戦後の世界体制と世界経済が米国、つまりドルを中心にして経営され、動いてきた結果であり、米国は常にドルをバラまいて世界から買いまくり、収奪し、高い生活水準を維持してきたのである。

 そのためにドルは世界中にばらまかれたが、米国はそのドルを絶えず減価することによってドル債務の負担を減らしつつ、繁栄と高い生活水準を持続してくることができたのである。

 だから継続的な貿易赤字はトランプの考えるのとは反対に、ドル体制は米国の世界支配を象徴し、表現しているのであって、米国が他国に収奪されてきたことを意味するのではなく、反対に米国が世界を収奪し、搾取する帝国主義的国家であることを教えているにすぎないのである。

 米国の鉄鋼業などの既成の重化学産業が衰退したのは、米国が世界を収奪する帝国主義国家に堕したことの一つの結果であって、米国はますます金融やドル支配などによって繁栄する国家になったのである(もちろん米国は日本などとは違って、IT産業などで世界の先頭に立ち得る、他の契機も持つのだが)。

 米国が他国に〝貿易戦争〟を挑み、横暴を発揮したのは、特別珍しいことではなく、1970年代末から90年代にかけての〝日米貿易摩擦〟の時代、現在の中国の〝役割〟を担ったのは、当時米国の貿易赤字の半分に責任を負っていた日本であって、繊維を皮切りに、鉄鋼や半導体、自動車などの産業で米国の圧力のもと、輸出の〝自主規制〟等々を強要されたのであった。日本産スーパーコンピューターも、通商法301条発動の憂き目に会ったのもこの頃のことであった。

トランプの保護主義の本性

 米国の貿易において恒常的な赤字をもたらしたドル支配体制は米国の利益であり、世界の収奪を可能にしてきたのだから、トランプはそれを口実に、中国や世界に対して、さらに犠牲を甘受せよと振る舞うのは横着千万といえるのだが、しかしトランプは今や世界一の大国、米国の大統領であり、手にした権力を手放すことはできないのであり、安倍と同様に権力維持が第一義的な執着となったのである。

 トランプは先頃、共和党の圧倒的に有利だった下院議員補欠選挙などで大苦戦するか、敗北している。そして秋にはトランプが大統領として再選されるかどうかを占う、中間選挙が迫っている。それらを勝ち抜くためには、貿易保護主義の派手なパフォーマンスが、没落に瀕する鉄鋼産業などの白人労働者層の支持を得るために再び必要だというわけである。

 だから今、米中を軸とした全面的な貿易戦争が始まるとか、世界が保護主義やブロック経済にたちまち染め上げられ、分裂するとか、現段階で判断し、言うのはいささか早計である。

 トランプも習近平も〝貿易戦争〟に必ずしも本気でも真剣でもなく、トランプは対中の〝経済制裁〟をわめきつつ、本心は中間選挙で勝つことを意識した、中国へのブラフであり、また中国もトランプの挑発を真に受け、本気でトランプと「事を構え」ようとはしていないのである。

 しかし他方では、米中の二大国家が、そして世界中のブルジョア国家がみな揃って自国第一主義を掲げ、これまでの〝国際協調〟を忘れて保護主義に走り、お互いに対立し、争う情況は、現代資本主義世界の一つの真実を、分裂と対立を深める世界という隠れた内容を暴露しているのであって、こうした趨勢がさらに進んでいくときこそ、世界資本主義の本当の危機が顕在化してくるだろう。

トランプと安倍

  安倍政権は当初、トランプの保護主義や輸入制限の発動も重大視せず、米国の対象は中国等々であって、〝親密な〟同盟国の日本は無関係だと高をくくり、軽視していた。

 しかし安倍は米国第一主義やトランプの本性を、独りよがりの〝お坊ちゃん〟政治家として見誤ったのである。

 トランプは、〝親密な〟同盟関係を持ちだして、日本を鉄鋼などへの関税の適用対象から外すように懸命に求める河野等に対し、冷然と「日本の安倍首相らは、『こんなに長い間、米国をうまくだませたなんて信じられない』とほくそ笑んでいる。そんな日々はもう終わりだ」と言い放って、楽観していた安倍に冷水をぶっかけた。

 仮に関税の適用除外を可能にしても、日本は避けたいと思って11ヶ国TPPに賭けてきた努力も水泡に帰し、韓国などがそうであったと同様に、米国との2国間交渉に追い込まれかねないのである。

 安倍は自国第一主義を掲げる連中の間では、真の同盟関係など幻想であって、労働者の国際主義や友好や接近や共同の闘いとは違って、ただ仮初めの、表面だけの協調や偽りの同盟でしかないことを知らざるを得なかったのである。

 トランプは握手の度に見せた、安倍のへつらいの愛想笑いを、つまり安倍の根性悪を、卑屈な奴隷根性を見抜いていたというわけだ。

 トランプと安倍の関係は、たとえていえば、ムッソリーニの追従根性を見て取り、軽蔑していたヒトラーといったところであろうか。

混沌とした世界に落ち込んでいく世界資本主義 

 今後どういう展開をたどるか今の段階で明言できないとして、世界の二大大国の間で勃発した貿易戦争、経済戦争という現実は決して軽視していいものではない。

 仮に今の段階では、お互いに強がりや駆け引きやブラフのようなものであろうとも、行きがかりもあってそれらがお互いに実行に移していくなら、実際的で、重要な意味を持ってくることも十分あり得るのである。報復が報復を呼び、対立がエスカレートして、引くに引けなくなるくときもしばしばあるのは、太平洋戦争開始に至る日本の例をあげるまでもなく明らかである。

 とにかく米国と中国はお互いに、公然と自国第一主義を持ち出して、政治の分野だけでなく、経済の分野でも張り合い、対立し、衝突し始めたのである。

 そしてそれは世界中を緊張させ、身構えさせ、動乱の世界の出現を予感させたのである。

 トランプは保護主義が米国の利益だと独善的に、短絡的に信じ込むのだが、しかし現代の資本主義国家は経済的に深く相互的に結びつき、関係しているのであって、米国と中国の間を取っただけでも、相互的な関係や結びつきは密接であって、米国が保護主義で中国との関係を断つなら、それは中国の損失であると共に、米国の損失でもあることから明らかである。

 米国は中国を始めとする輸出入を切断することによって、利益よりも損失を受けるのは、他のどんな国家も〝鎖国〟に逆戻りすることによって、単に致命的な損失を受け取るだけでなく、国家として破滅してしまうことからも明らかであろう。

 例えば、米中の経済的な結びつきの一端について、朝日新聞は次のように書いている。

「米通信大手のAT&Tは1月、中国最大手のスマートフォン・メーカー華為(ファウェイ)の製品を不採用とした。米当局は同社製品から機密情報が中国に筒抜けになるリスクを警戒し、AT&Tに圧力をかけたとされる。22日の対中制裁でも、通信器機が対象商品の筆頭に上がる。

 ただ中国製スマホの多くは米クワルコムの半導体を採用。同社の販売先の6割は中国だ。グーグルは検索などの基幹サービスで対中進出を阻まれているが、スマホ用OS『アンドロイド』は中国で圧倒的なシェアを誇る。対米輸出で上位の企業は、アップルのスマホなどを出荷している。中国製ハイテク製品は心臓部も頭脳も米企業が担い、対中制裁はそのまま米国に跳ね返る」(朝日新聞3月24日の同様な記事も参照されたい)。

 外国からの安価な鉄鋼製品が入らず、高価な国内産の鉄鋼を用いるハメになるなら、多くのアメリカの企業が苦況に追い込まれることは簡単に推測できる。日本の鉄鋼資本は、米国への輸出品は硬度や耐食性が高く、米国では製造できないから安心だというが、それはそれとして、もし高関税を課せられることになるなら、それは米国産自動車の価格高騰を、したがってまた競争力の低下を意味し、米国にとって損失である。

 自国第一主義や保護主義に後退していく世界資本主義は、自ら解体と没落の道に落ち込んでいくしかない。労働者にとって恐るべきことは、このこと自体ではなく、自らの力でこの資本主義の危機を未来に向けて止揚できるかどうかということだけである。

   

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