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巻頭言



【2025.2.13】
「ガザ所有」を公言するトランプ
 ──「米国第一」は領土拡張も辞さぬ帝国主義そのもの


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「ガザ所有」を公言するトランプ
「米国第一」は領土拡張も辞さぬ帝国主義そのもの
2025年2月13日



 「米国がパレスチナ自治区ガザを長期的に保有し、再開発する」――このトランプ発言は世界に衝撃を与えた。トランプはパレスチナ人を域外に移住させ、ガザ地区から不発弾を撤去し、再開発を行うとも付け加えた。これは去る2月4日、イスラエルのネタニヤフ首相との共同記者会見で述べたものだ。
        
 この発言は唐突に出たのではなく、ネタニヤフとの協議の上のことであるが、トランプが以前から考えていた野心の発露でもあった。
        
 まず、ユダヤ人強国を目指すネタニヤフは、国内ではユダヤ国粋主義による国家化――ユダヤ愛国主義を掲げて、国内のアラブ人を差別し隔離し追放する――を進める一方、ガザ「入植」という名の占領政策を拡大しながら、さらに、レバノンやシリアにまで戦地を拡大して一部を領有さえしている。
        
 イスラエルの支配地域を確立し、さらに拡大するためには、パレスチナ人をガザから追い出す必要があった。しかし、ガザを完全に占領しイスラエル化するためには米国の後ろ盾を必要とし、さらに長期の軍事侵攻をせざるを得ない。だが、その帝国主義的な占領政策はアラブ諸国のみならず世界の労働者の猛反発を招くのは必至である。
        
 トランプの方も、先の大統領選で、この戦争を早期に終わらせると息巻いたこともあってか、早速、ガザを「購入する」という〝商売〟話を持ち出した。米国がガザを「長期的に保有し、再開発する」構想を打ち出せば、イスラエルの占領とは違って、少しはマイルドになると考えたのだろう。
        
 トランプは自分のガザ所有構想を実現させるために、米国から多額の支援を受けているヨルダンとエジプトに圧力をかけ、ガザの住民を恒久的に受け入れろと要求し出した。ヨルダンのアブドラ国王は「病気の子ども約2000人」を受け入れる意向を表明したが、それ以上の回答を出していない。エジプトもトランプ構想に反対を表明している。
        
 この構想がうまくいく保証はなく、挫折後にトランプがどう出るかは不明だが、黙って引っ込むことはないだろう。
        
 結局、トランプのガザ購入とは、戦争終結の名のもとにイスラエルに代わってガザを占領し、イスラエルと共同して米国の領地拡大と中東での覇権を強大化するためである。
        
 トランプの「米国第一」や「強い米国復活」は、衰退しつつある米国製造業の保護のみならず、ヒットラー並に帝国主義的な領土拡張を求めていることを暴露した。 (W)