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巻頭言



【2025.10.30】
“働かせ改革”に断固反対する
 ──高市の労働時間延長策動

【2025.9.18】
ネタニヤフのガザ抹殺最終章
 ──イスラエル労働者は「祖国防衛第一主義」を投げ捨てよ!

【2025.8.28】
「スパイ防止法」制定策動を許すな!
 ──国民全体が対象になるのは避けられない


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“働かせ改革”に断固反対する
高市の労働時間延長策動
2025年10月30日

        
 上野厚労相は22日、就任会見で高市首相から労働時間の規制緩和を検討するよう指示を受けたことを明らかにした。指示書では「心身の健康維持と従業者の選択を前提にした労働時間制の規制緩和の検討」とされ、罰則付きの時間外労働の上限緩和のほか、規制の例外としての裁量労働制や高度の専門性を持つ専門職の拡大を意図したものだとされている。
 
なぜ、規制緩和なのか

        
 現在の残業時間の規制は、2015年、当時電通の新入社員だった高橋まつりさんの「過労死(自殺)」事件など多発する「過労死」を背景に、「働き方改革」の一環として行われた。
        
 2019年(中小企業は20年)に施行された「働き方改革関連法」は、長時間残業による過労死や健康被害を防ぐために、残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間とし、臨時的な事情がある場合に限って、労使の合意によって年720時間以内、2~6か月平均80時間以内(休日労働を含め月100時間未満など)とする罰則付きの上限規制が定められた。
        
 また、原則である月45時間を超えることができるのは、年間6か月までとなっている。
        
 政府は規制緩和=残業上限を“柔軟化”する理由について、裁量労働の制の拡大を通じて、テレワークや成果主義といった「多様な働き方」を促進するためであるとしている。
        
 だが、これはまったくのごまかしである。
        
 緩和は何よりも人手不足に悩む企業の要求に応じたものであり、一般労働者を対象としたものである。高市の指示に対して、経団連は早速「時宜に適したもの」として歓迎している。
        
 もっと働きたいという労働者がいるといっても、「自分の能力を発揮したい」というより、むしろ低賃金のために日常的な生活もおぼつかないとか、住宅や自動車などのローン返済のために収入を増やさなくてはならないとしてもっと働きたい労働者もいる。高市の言うような規制緩和が労働者の「労働意欲」を反映したものだなどとはとても言えない。労働時間の延長よりも、物価上昇に追いつかない低賃金こそ解決しなくてはならない問題である。
        
 また「労働者の自主的な選択」といっても、規制が緩和されることになれば、管理者の労働時間延長の“要請”を断ることも困難になり、それに従わざるを得なくなることは目に見えている。「自主的な選択」など空約束である。
        
 結局、高市が言う労働時間の規制緩和策は、人手不足に悩む資本の立場を代弁したものにすぎず「働かせるための労働改革」なのである。
 
政府の「労働時間規制緩和」策を粉砕しよう

        
 23日、立憲民主が国会内で開いた会合で、過労死で亡くなった高橋さんの母親の幸美さんは、「過労死ラインまで働かせるのはやめてください」と訴えた。これこそ労働者の真実の声である。
        
 現在の労働時間規制法は、労働組合が認めれば「過労死ライン」である720時間までも働かせることができるものである。労働者にとって、労働時間の短縮こそ切実な要求であって、労働時間の規制緩和は労働者の要求に逆行するものである。実際厚労省の発表(6月)では、24年度の過労死等(死亡ばかりではなく、深刻な心身の疾患を含む)の賠償請求件数は23年度よりも212件増加し4810件と過去最高を更新した。支給決定件数も196件増加し、1304件と過去最多を記録した。これは、訴訟になったケースであり、実際の過労死等の発生件数はもっと多いだろう。
        
 AIなどの活用、生産の自動化など生産力の発展にもかかわらず、労働時間の短縮が進まず、まだ「過労死ライン」といわれる過酷な長時間労働が存在するのは、労働の搾取を原理とする資本による生産だからである。賃金は労働者の労働量全体の対価ではなく、労働者の生活に必要な価値(労働量)であり、残りは利潤として資本の取り分となる。したがって、資本は規定外の労働(残業)に割り増し賃金を支払ったとしても、利潤を増やすことができるのであり、資本の下での生産では、労働者の生命を擦り減らす長時間労働は避けられない。
        
 こうした資本の横暴を制限することのできるのは、国家による強制・規制である。そのためには労働者の闘いが必要である。8時間労働制も世界の労働者がストライキなど資本との激しい闘いを繰り返すことを通じて勝ち取った結果である。労働者は団結して高市の労働時間延長策動を粉砕しよう!
        
 しかし、労働者は資本の下での労働時間の規制にとどまっていることはできない。労働が資本の利益のためではなく、直接社会のために行われるようになれば、現在の生産力水準の下でも現在の生活水準を維持するための労働時間は現在の2分1、3分の1とすることも可能である。労働時間を縮小し、各自が自由に自分の才能を発揮することのできる社会の実現を目指して闘おう。(T)

ネタニヤフのガザ抹殺最終章
イスラエル労働者は「祖国防衛第一主義」を投げ捨てよ!
2025年9月18日


パレスチナ人根絶の最終章を許すな

        
 2023年10月7日のハマスによるイスラエルに対する軍事急襲に対するイスラエルの圧倒的軍事力による反撃は、9月15日にルビオ米国務長官がネタニヤフと会談しイスラエルへの「揺るぎない支持」の表明を受けて、16日ガザ市に対する地上軍の本格的侵攻によるガザ抹殺、パレスチナ人根絶の最終章は幕を開けた。
        
 イスラエル軍は、ガザ市内の高層ビルの破壊を完了しネタニヤフは住民に対して「そこから立ち去れ」と警告。6万人の予備役兵を招集し、戦車を先頭にハマス戦闘員を殺害するために無差別攻撃を仕掛けている。すでに6万5千人の犠牲者が出ているが犠牲者が圧倒的に増えることは確実である。イスラエル軍は報道陣を敵と見なし攻撃する。ガザからの報道は今後間違いなく減少するだろう。
        
 ネタニヤフは住民に退避を呼び掛けているが、ガザ市内にはまだ数十万人のパレスチナ人が残っていると言われるなかで、ガザ市制圧作戦は数か月間継続する見通しであることが17日昼のニュースで報道された。食糧支援物資の空中投下も中止され、飢饉が発生したと国連が認めたガザ状況は一層深刻になることは明らかである。飢饉や不衛生な環境の影響を最も受けるのは、体力のない乳幼児である。爆撃で傷を受けて死ぬ率が高いのも乳幼児である。パレスチナ人がこの後、運よく生き延びたとしても自立した国家として建設するには乗り越えるべき課題は多くあるだろうが、パレスチナ人民は世界の労働者階級と連帯して必ずそれを成し遂げるだろう。
 
ネタニヤフ政権打倒の闘いに連帯を

        
 1948年の英・米・仏など帝国主義列強の都合で、パレスチナ人を追い出し建国されたイスラエルが現在の対立を生み出した原因である。その後4度にわたる中東戦争をへて、イスラエルは.四方を敵に囲まれていると妄想″し、自ら敵を作りだし攻撃する事を自衛権の行使と正当化し、戦争を止める事の出来ない国家になった。イスラエルは、ホロコーストの被害者と言う.歴史的事実″を盾にイスラエルを批判するのは「反ユダヤ主義」と断じて、「ハマスのテロを容認する」などと各国をけん制してきた。
        
 ネタニヤフの狂気じみたガザ・ジェノサイドに対しては、フランス、英国、カナダがパレスチナ国家承認でネタニヤフに抗議の意思を表明し、マクロンは「イスラエルと将来の独立したパレスチナ国家の共存が中東全体の安全になる」と表明した。ネタニヤフは8月17日、「あなたの国家承認の表明は、反ユダヤ主義の火に油を注ぎ、ハマスのテロに報酬を与える」と批判した。
        
 パレスチナの国家承認は140ヶ国を超えているが、イスラエルの傲慢な軍事行動はそんなことなど全く無視している。むしろ直近ではイランに対する大規模な空爆、レバノン、シリア攻撃、カタールのハマス停戦交渉団攻撃、イエメン空爆。傍若無人なイスラエルの軍事行動を可能にしているのは、米国のイスラエル擁護にある。トランプ政権は、岩盤支持層のキリスト教福音派が強固なイスラエル支持であることから、イスラエルに対する支持は揺るがない。
        
 イスラエルの労働者は、イスラエル軍が支配階級の暴力装置であると理解し、「祖国防衛第一主義」の〝紐帯〟から自由にならなければ、支配階級に対する労働者階級の階級闘争の前進はなく、ネタニヤフのパレスチナ人ジェノサイドとも一貫して正しい立場で闘う事は困難になる。日本の労働者は、ネタニヤフ政権を擁護しパレスチナ国家承認を拒否する自公政権を糾弾し、打倒する闘いを推し進めることで、イスラエル労働者のネタニヤフ政権打倒の闘いに連帯する。 (古)

「スパイ防止法」制定策動を許すな!
国民全体が対象になるのは避けられない
2025年8月28日

        
 日本の帝国主義化が進む中で、参政党の神谷代表は、選挙後の記者会見で秋の臨時国会に向けて「スパイ防止法案」の提出を目指すと述べた。「他党との交渉をある程度始めている」とも言う。
        
 「スパイ防止法案」の具体的な内容はまだ明らかにされてはいないが、参院選中の7月14日松山市における街頭演説会で神谷は、公務員を対象に「極端な思想の人たちはやめてもらわないといけない。これを洗い出すのがスパイ防止法です」とし、「極左の考えを持った人たちが浸透工作で社会の中枢にがっぷり入っていると思う」と述べている。
        
 左翼の思想を持った公務員を外国のスパイ視する神谷の発言は、思想信条の自由を認めている憲法19条さえ否定するものであり、共産党やそれに同調した者を「非国民」として摘発、弾圧した戦前の軍部ファシストを思わせる。
        
 神谷は、「スパイ防止法」が取り締まりの対象とするのは国家、自治体に働く公務員だと言う。だがそれにとどまらず、国民全体が対象になるのは避けられない。このことは1985年に、当時の自民党が議員立法として衆院に提出した「国家秘密に係わるスパイ行為等の防止に関する法律案」(最高刑は無期懲役及び死刑)にも表れている。
        
 この法案に対してたちまち世論やマスコミなどの反発を呼んだが、当時の日本弁護士連合会が出した反対声明は次のように述べた。
        
 「この法案は報道機関取材・報道活動、一般国民の日常生活上の行為をも広く処罰の対象としており、憲法が保障する言論・表現の自由をはじめとする国民の基本的人権を侵害し、国民主権主義の存立基盤を崩壊させかねない極めて危険な内容をはらんでいる。
        
 法案の定義する国家秘密の範囲は極めて広範かつ無限定であり、その構成要件の不明確性は明白である。しかも『秘密』の指定は政府等行政当局の専権によるものであり、行政当局の『秘密』に対する恣意的判断の場においてもそのまま押し通されることになる危険性は過去及び現在の実務に照らしても極めておおきく、本来国民に開示されるべき『違法秘密』の公表も、重罰を覚悟のうえでなければできなくなってしまうのである」
        
 何が「秘密」かは一方的に国家が決め、罰則の適用も国家の恣意的判断にゆだねる自民党の「スパイ防止法案」は、強い反発によって廃案に追い込まれた。
        
 「スパイ防止法」に関しては参政党ばかりでなく、自民党の高市などがこの必要をとなえており、野党では国民民主は「自分の国家は自分で守る」「実効的な法律を」と言い、維新も「絶対必要」と積極的な姿勢をとっている。
        
 「外国への国家機密の流失を防ぐ」、「国家の安全保障のため」という名目で、言論を弾圧し、労働者の闘いを抑圧しようとする「スパイ防止法」制定の策動が進められようとしているが、断固粉砕されなくてはならない。 (T)