労働の解放をめざす労働者党トップヘージ E-メール

労働の解放をめざす労働者党ホームページ
巻頭言



【2026.3.26】
横暴きわまりないイラン攻撃
 ──恥知らずなトランプと高市

【2026.3.12】
GDP上昇は「経済成長」を意味しない
 ──イラン攻撃で生活悪化は必至


 過去のメッセージへ

横暴きわまりないイラン攻撃
恥知らずなトランプと高市
2026年3月26日


追い詰められるトランプ

        
 〝被害者〟を演じるネタニヤフと〝全能〟の大統領と思い込むトランプが引き起こしたイラン軍事攻撃から3週間が経過した。トランプが夢想したシナリオは早々に破綻した。
        
 イランによるホルムズ海峡封鎖が現実化する中で原油価格は急騰し、トランプは21日にイランが封鎖を解かなければ「48時間以内にイラン最大の発電所を攻撃し破壊すると」恫喝。イランは「発電所が破壊されれば発電所が再建されるまで海峡の封鎖は続く」と反発し、「イスラエルの発電所を粉砕する」「湾岸諸国の発電所も破壊する」と警告した。23日にはTACOトランプに相応しく、イラン側からの申し出で「協議が好調に進んでいる」「建設的な話し合いが行われ」、5日間の攻撃停止を国防省に命じたと〝一人田舎芝居〟を演じた。しかし当事者のイランは「米国とは一切交渉は行われていない」。フェイクニュースだと否定するなど、情報は錯そうしている。
        
 24日トランプは、イランとの停戦交渉を巡り、具体的な人物を明かすことなく「適切な相手と取引している」「当初とは全く異なる人物が指導者になっているのだから、これは体制転換だ」と主張し15項目の停戦案をイランに提示し交渉を呼びかけたが、〝戦争終結はイランが決める〟とイランは拒否した。トランプは交渉を呼びかけながら、米本土や日本などから数千人の海兵隊が派遣されている。交渉はアリバイ作りと時間稼ぎで、地上軍の投入を含む新たな攻撃が準備されているのは確実である。
        
 これまでも繰り返されてきたトランプの、現実と願望が入り混じった問題を先送りする無責任な立場であるが、〝一人芝居〟を演じなければならないほどトランプの政治な立場は揺らいでいる。自分を全能な大統領と自負するトランプは、愚かな裸の王様である。トランプの支持率は低迷を続け(36%2期最低24日ロイター)、政権内のMAGA派も徐々に離反しつつある。
        
 イランに対する軍事攻撃に抗議して「米国家テロ対策センター」ジョー・ケント所長は17日、「良心に従えば、イランで続く戦争は支持できない」と辞任した。彼は、「イランの差し迫った脅威は存在しなかった」、ネタニヤフの入れ知恵でそそのかされイラン攻撃を行ったとトランプを批判し、政権を去った。この人物は、トランプ1・0からの熱心なトランプ支持のMAGA派の活動家。トランプはいつもの通り「そのような人間は要らない」と悪態をついている。
        
 トランプ2・0の「移民政策」は、〝粗製乱造〟で急増したICE職員の暴力的な取り締まりに対する反発が高まり、世界各国にかけた「相互関税」は違憲判決が出された。バイデンの物価高を批判して、トランプ政権が誕生し1年以上が経過したが物価は少しも安くならず、イランに対する軍事攻撃で大統領の支持率に直結するといわれるガソリン価格は3月に入ってから高騰(1ガロン2ドルから3ドル台に50%上昇)している。〝一人芝居〟であれ何であれ、トランプは追い詰められている。

法的制約を持ち出し、自衛隊派遣を煙に巻いた高市

        
 19日に訪米した高市は、ホワイトハウスでトランプの歓待を受けた。昨年2月にゼレンスキー大統領がつるし上げられたホワイトハウス執務室で首脳会談冒頭、高市は「世界中に平和と繁栄をもたらせるのはドナルドだけだ。私は諸外国に働きかけて、しっかりと応援したい」と歯の浮くようなお世辞で媚びる発言を行った。イランについては「核兵器の開発は許されない、我が国は周辺国に対する攻撃、ホルムズ海峡閉鎖についても非難し、イランの外務大臣に対してやめるように申し入れてきた」。
        
 政府関係者が危惧した公開の場での自衛隊の派遣や軍事攻撃に対する支持を求められることもなく、「日本はNATOよりもよくやっている」と評価されたことに安堵したが、トランプは「日本の石油の95%はホルムズ海峡を経由して日本に送られている」「彼らは何をすればいいかを理解している」と発言。「我々は日本で役割を果たし、兵を置き、多額を投じてきた」と主張し、「正直、誰の助けも要らないが、日本が役割を果たすのは適切なことだと思う」と、日本自ら軍事的な貢献の提案をしてくるだろうとトランプは述べた。
        
 労働者はネタニヤフ・トランプによるイラン軍事攻撃を断固糾弾する。一方的な軍事攻撃で犠牲を受けるイラン人民の苦しみに深く同情し、イラン攻撃と闘い、イスラム体制と闘う人々に連帯の挨拶を送る。トランプに媚びイラン人民に塗炭の苦しみを強いる高市政権を打倒する闘いを推し進めよう!
        
 高市は帰国後の国会審議の中で、トランプとの首脳会談で自衛隊派遣については、「法的制約の中で出来ること出来ないこと」を説明したと答弁し、具体的内容については明らかにすることをかたくなに拒んだ。トランプの怒りを買わないために「法的制約」を持ち出し、自衛隊派遣についてあいまいな態度に終始したが、米国国連大使が22日に「日本の首相が海上自衛隊による支援を約束したばかりだ」と米CBSの番組が言及したように、トランプとの間で何らかの合意がなされているのだろう。
        
 日本の護憲勢力は、高市がトランプに自衛隊の派遣を約束しなかったのは「憲法9条」があるからだと「憲法9条」を持ち上げたが、高市が「法的制約」を持ち出して自衛隊の派遣について曖昧にしたのは、自衛隊派遣を国民の80%以上が反対する状況の中で、国内の反発をそらすためでしかない。欧米各国はトランプの派遣要請に反対したが、高市にとっては、中国と帝国主義的な対立を深める中で米国との同盟関係を維持することは重要であると判断し、トランプに嫌われないために見え透いたお世辞と媚びる醜態をさらしている。
        
 労働者は、「憲法9条」幻想に反対し、トランプの軍事攻撃を支持する高市を暴露し、高市政権打倒の闘いを進めよう!(古)

GDP上昇は「経済成長」を意味しない
イラン攻撃で生活悪化は必至
2026年3月12日

        
 トランプとネタニヤフによるイラン攻撃で、まず石油関連物資の価格が上昇し始めた。
 物価上昇が「経済成長」にとってプラスであるという観念に染まるブルジョア(高市ら)にとって、元来、善であるはずの物価上昇に危機感を丸出しにしている。高市らは物価上昇を手放しで喜ぶことができない事態に突入したと感じているようだ。そこで、この間の物価上昇が何を意味するのかを、各種統計資料から検討してみた。

物価上昇をGDPやGDIなどから見る

        
 22年から名目GDPが大幅に増えている。それを見て、高市政権は「経済成長」が始まった、これをさらに確実なものにするためにと「経済成長戦略」を立ち上げている。
        
 確かに、25年10~12月期(年換算)の名目GDPは671・6兆円であり、21年同期の579・5兆円と比較すると92兆円(増加率は16%、年増加率は4%)も急速に増えている。17年から21年の名目増加額はわずかに9・8兆円(増加率は1・7%、年増加率は0・4%)に過ぎなかったのだから、21年以降の増加は相当なものだ。
        
 それでは、上記の数値を実質GDPで見るとどうなるか。21年10~12月期では、それは580・0兆円であり、25年同期では591・9兆円となっている。
        
 この間の増加額は11・9兆円(増加率は2・1%、年増加率は0・5%)であり、17年から21年までのそれと大差がないばかりか、上記に示した名目GDPの増加率とほとんど一緒である。つまり、21年~25年の実質的なGDP拡大はほとんど無かったことを意味している。
        
 他方、GDIはGDPに対して輸出入金額の変動を加えた統計であり、円安による生活への影響が反映された数値になっている。17年度の実質GDIは576・0兆円であり、21年度のそれは566・6兆円、24年度のそれは577・5兆円となっている。
        
 これを見ると、17年度と21年度の比較では9・4兆円も減り、17年と24年の比較ではわずかに1・5兆円増額しているに過ぎない。このように、実質GDIの最近の変化を見れば分かるように、円安の増進によって物価が上昇し、「実質の総所得」(企業の利潤と労働者の賃金など)はほとんど増えていないことが分かる。
        
 それはなぜか?企業は実質的に利潤を増大させたが、労働者の実質賃金低下によって実質GDIが大して増えないことが起きているのだ。例えば、20年の実質賃金を100とした場合、24年のそれは99と1%も大きく下落している――政府の「毎月勤労統計調査」より。
        
 次に、GNI(国民総所得)という海外から入ってくる、企業の「利益」や労働者の「所得」を加えた数値を見ていこう。
        
 これによると、17年度の実質GNIは596・6兆円であり、21年度のそれは595・1兆円、24年度は613・2兆円であった。17年度と21年度の比較では、1・5兆円も減少したが、21年度と24年度の比較では、実に18・1兆円も増加している。それは、国際収支のうち、海外との取引の結果を示す経常収支が近年大幅に増額していることと大いに関係している。
        
 経常収支の一項目である「第一次所得収支」(対外直接投資によって設立した海外子会社が得た利潤を親会社の会計に還流させるなど)は、21年には20・4兆円の黒字を計上し、24年には40・2兆円、25年には41・6兆円もの大幅な黒字を弾き出し、貿易収支の赤字やサービス収支の赤字を補い、国内経済の低迷をカバーしているからだ。
        
 実質GNIや経常収支の「第一次所得収支」を見れば明らかなように、日本資本主義は国内の資本の過剰を尻目に、さらに「資本輸出」を強めており、ますます「帝国主義化」した資本主義に、また軍事強国化を目指した国家なっていくのは必至である。
        
 以上、各統計を見ながら、名目GDPを持ち上げて自慢する高市政権の論拠を掘り崩してみた。どの経済統計を見ても、物価が高騰し始めた22年以降にいくらかの名目的な上昇があるだけで、実質的な「経済成長」は見られない。
        
 要するに、物価が上がりそれにつれてGDPも上昇する、その結果、「経済成長」につながり労働者の生活も良くなるというのは詭弁である。むしろ、物価上昇が起きれば、労働者の実質賃金が低下するのは明らかであり、各種統計もそれを証明している。
        
 労働者は高市政権が繰り出す「経済成長論」に与せず、理論的に武装し、組織的にも団結し、「資本と賃労働」の関係を打破するために反撃しなければならない。そうした質と量によって広範囲に組織された労働者の闘いが無ければ、今後の生活も未来もおぼつかない!
        
 労働者は急きょ始まったイラン攻撃に抗議すると共に、高市政権のGDP上昇が経済成長に繋がり、財政不安も打ち消すことが可能であるかに言う欺まんと矛盾を暴露し、断固として高市政権の打倒を目指して闘わなければならない。  (W)