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巻頭言



【2022.4.15】
空想的・観念的平和主義の破産
 ──志位の「急迫不正の侵略に自衛隊活用」論

【2022.3.31】
独裁的権限を認めよと
 ──自民党、維新らによる「緊急事態条項」

【2022.3.17】
ゼレンスキーの罪
 ──プーチンのウクライナ侵攻を挑発

【2022.3.11】
核兵器に対する労働者の考え方
 ──核廃絶のお題目ではなく、ブルジョア支配を廃絶する闘いの組織化を

【2022.2.25】
ロシアのウクライナ軍事侵攻を糾弾する
 ──軍事同盟を拡大し、ロシアと対抗する米国らにも責任

【2022.2.19】
膨張する関西万博、IR の整備費用
 ──しわ寄せは労働者・働く者へ

【2022.2.11】
安倍ら反動派に追随する岸田
 ──佐渡金山の世界遺産登録推薦を決定

【2022.1.28】
資本主義の延命を画策する岸田の施政方針
 ──その延命策を授ける不甲斐ない共産党 などの野党

【2022.1.7】
「ルールある経済社会」から「やさしい強い経済」へ
 ──志位・共産党のブルジョア的堕落の深化

【2021.12.29】
岸田政治象徴する安倍犯罪の隠ぺい
 ──「桜を見る会」不正を起訴せず


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空想的・観念的平和主義の破産
志位の「急迫不正の侵略に自衛隊活用」論
2022年4月15日


        
 ウクライナ侵攻について、「日本は憲法9条を生かし、平和的解決に力を尽くすべき 」と言い、「ウクライナ侵略とそれを口実にした9条破壊、改憲は許さない」と言っていた共産党志位の「万が一、日本に対する急迫不正の侵略が起きた場合には、自衛隊を含めてあらゆる手段を用いて国民の命と日本の主権を守り抜く」という発言がマスコミを賑わしている。
        
 「急迫不正の侵略が起きた場合」というあいまいな言い方で、自衛隊の活用を押し出したのは、ロシアによるウクライナ侵攻に触発された国防論議に対して、共産党の立場(憲法9条の完全実施にむけて、国民多数の合意で自衛隊を段階的に解消していく)の「正当性」を主張するためだったのであろうが 、残念ながら「正当性」どころか一貫性を疑われ、いよいよ信頼低下を強めたことを理解していないかに見える。「今まで言っていることと全然違う」といった反動派からの批判にムキになって反論する共産党の姿は醜悪ではないか。
        
 共産党の改憲反対議論における「自衛権」の論じ方が空想的・観念的であるばかりかブルジョア的であり、労働者は支持できないことを我々は指摘してきた(『海つばめ』3月27日号「ブルジョア秩序に拝跪」など)が、そうした批判がなされていたことを一切無視し、共産党はブルジョア的堕落を深めている。
        
 志位や小池といった中央官僚は、綱領改定の際に「自衛隊活用」は確認されていると言うわけだが、「急迫不正の侵略」に対して自衛隊を活用するなどと確認されているわけではない。そんないいかげんな規定をしていて誇れるわけがないではないか。「急迫不正の侵略」 という支配階級が持ち出す決まり文句を安易に使った志位が、その軽率さを反省すれば済んだことかもしれないが、すっかりブルジョア政治に染まったということではないか。
        
 かつて社会党は、「違憲の自衛隊が法的に存在している」という「自衛隊違憲・合法論」を押し出し、どんどん右に寄って行って、自衛隊合憲論に行き着いたのであった。自衛隊について、「自衛のための必要最小限度の実力組織」であり、「憲法の認めるものであると認識する」と、首相になった社会党村山委員長が国会で述べたこと、そしてその後の社会党消滅ということから何を学んだのか。同じ轍を踏む共産党も消滅するのか、今の社民党のような存在になるのか。新しい労働者派の闘いの増強は急務である。
        
 プーチンがウクライナ侵攻を「他に選択肢はなかった」と言うのは、NATOの東方進出があり、ロシア系住民への民族主義的迫害があり、単なる口実ではない問題があったのである。歴史的な経緯の中で対立を克服できなかった背景があるのであって、単なる「急迫不正」などというものではないことを志位らは理解していない。志位がウクライナ侵攻に触発された国防論議で「急迫不正」を持ち出すことは、ブルジョアのごまかしを助長するものである。ソ連邦崩壊を科学的に評価できていない(表面的な大国主義・覇権主義批判だけだ)共産党の歴史認識も問題であろう。
        
 ブルジョア的な立場の共産党の堕落は必然であったとしても、一歩進んだ(後退した?)方針だという自覚がないとすれば、政治的音痴以外ではない。「今まで言っていることと全然違う」ということではなくても、「今まで言っていることと違う」からこそ注目されているし、そのために志位らは発言したのではないのか。
        
 志位の発言に立憲の泉が、「自衛隊や日米安保は国民共通の前提だという認識を多くの人が持っていることを共産も踏まえつつあるのではないか」、「明確に自衛隊は合憲だという理解をしてもよいのではないか」と言い寄っていることを志位らは歓迎しているのであろうか。立憲に歓迎されて喜ぶのは「野党共闘」幻想から醒めていないからであろうが、泉の狙いが別にあること、自衛隊合憲の立憲の立場の正当性をアピールしようということを見るのは容易い。
        
 ロシアによる武力侵攻によってブルジョアたちが身構え、軍国主義を推し進めようと策動し、「正当防衛」だと強弁して「先制攻撃」まで持ち出している時、共産党が「自衛隊活用」を正当化することは、軍国主義化に手を貸す利敵行為であり、断固糾弾されるべきである。   (岩)
        

独裁的権限を認めよと
自民党、維新らによる「緊急事態条項」
2022年3月31日


        
 朝日の3月29日号に緊急事態条項に関する批評が掲載されていた。
        
 すでに明治憲法に緊急事態条項の規定があった。明治憲法では、天皇の名において「緊急勅令」や「戒厳」や「非常大権」などを国家が実行できるようになっていた。これと同じものではないにせよ、戦後も国家の独裁的権限の復活を狙って、自民党(最近では維新も)から発言が相次いだとある。
        
 1954年に、岸信介は天皇を利用した非常事態や緊急命令の公布を改憲案に盛り込み、2012年には、自民党は改憲草案に外部からの武力攻撃や大規模災害を非常事態規定として盛り込んだ。さらに、安倍や維新・馬場らはコロナが流行れば感染拡大時の緊急事態宣言発出を叫んだ。
        
 その独裁的権限の復活を自民らが策動する理由について、渡辺治・一橋大名誉教授は「9条の改憲につなげるための苦肉の口実作りに見える」と述べている。だが、改憲のための口実作りというより、やはり、国家権力としてはいつでも、どこでも、独裁的権限を行使できる状態にしておこうとするのである。
        
 大規模な労働者のスト、デモを想定し、また対外武力行使や近い将来に起こりうる大規模な軍隊派遣に反対する世論の高まりを想定して、これらを合法的に国家が粉砕できるように準備するのである。そのための改憲であり、安保法制定であり、警察によるヤジ封殺である。 (W)
        

ゼレンスキーの罪
プーチンのウクライナ侵攻を挑発
2022年3月17日


        
 ウクライナのゼレンスキー大統領は 16 日のビデオ演説で、ロシアの停戦協議について「交渉に現実味が出てきた」と語った。ロシアのラブロフ外相も、同日メディアに「歩み寄りの兆しがある」と述べた。
        
 一方、英紙フィナンシャル・タイムズによると、ウクライナとロシアは、停戦条件を定めた草案をつくることで合意したという。その内容は、①ウクライナが中立を宣言し、軍備の制限を受け入れれば、ロシア軍をウクライナから撤収する。②ウクライナの安全保障の見返りして、ウクライナが NATO 加盟を取り下げる──などだという(3・17「日経」)。
        
 ゼレンスキーも、英国首脳らとのビデオ会議で「NATO 加盟が出来ないということを聞いていた。これが事実であり認識されなければならない」と、NATO 加盟をあきらめることを明らかにした。
        
 プーチンの軍事侵攻で、ウクライナの主要都市は破壊され、何十万という人々が殺傷され、現在でも400万以上の人々(女性、子ども、高齢者)が着の身着のままで外国に脱出、国内では多くの人々が連日砲弾やミサイル爆弾にさらされている。ロシアの圧倒的な軍事力の前に、多くの住民は援助の補給路も絶たれ、食料、飲料、医薬品もなくなりじっと攻撃を耐え忍んでいる。
        
 あまりにも遅きに失したというべきだろう。ゼレンスキーが NATO と言いださなければ、プーチンのウクライナ介入は大規模な軍事侵略ということではなく、もっと違った形になったかもしれない。ウクライナの NATO 加盟はプーチンの危機意識を煽ったことは確かである。プーチンはロシアの隣国が欧米の軍事同盟に加盟し、核ミサイルを配置されることは、「ロシアの安全を脅かす」ものであり、看過することが出来ないとしてウクライナの軍事侵攻、無差別殺戮を正当化したのである。
        
 ゼレンスキーにとって、NATO 加盟、欧米の軍事同盟に依存することが、プーチンの介入からウクライナを守ることであった。しかし、それは、自由主義的帝国主義的国家(欧米)と国家資本主義ロシアとの覇権をめぐる軍事的対立の挟間にあって、一方の側に立つとでしかなかった。ゼレンスキーが欧米の側に与すること=NATO 加盟を言い出したことは、プーチンを挑発したのである。
        
 資本の搾取からの解放をめざす労働者は欧米の自由主義的帝国主義にも、ロシアの国家資本主義にも反対である。労働者はプーチンロシアの大国主義的な干渉に対して闘うが、それは資本の支配に反対する世界の労働者との団結、連帯して闘うのであって、欧米の帝国主義者に救いを求めることは間違っている。
        
 バイデンなど欧米諸国は自らの覇権主義を棚に上げて、プーチンを非難している。こうした中、ウクライナがロシアに侵略されている時にバイデンらを批判すべきでないという声も聞かれる。しかし、こうした立場は、バイデンら欧米帝国主義国家に救いを求めるゼレンスキーの立場とどれほど異なっていると言えるだろうか。米国ら自由主義的帝国主義を美化し、増長させるだけである。  (T)
        

核兵器に対する労働者の考え方
核廃絶のお題目ではなく、ブルジョア支配を廃絶する闘いの組織化を!
2022年3月11日


        
 ロシアがウクライナ侵攻を進め、プーチンが「抑止力を特別戦闘態勢にするように命じた」などと核兵器による脅しを強める中、NATOがとっているように日本でも、アメリカの核兵器を配備して、日米両方で管理・運営する「核共有」の議論が必要だと、安倍一派など自民の右派勢力と維新が言い始めている。
        
 労働者は、残虐な核兵器の使用などは、断固として反対するが、通常兵器でも十分残虐であることは、現にウクライナでロシアが行っている無差別爆弾の被害を見ても明らかである。かつてのオバマのように、自らは核を保有しながら核廃絶を訴え、他方で通常兵器を拡充する場合さえある。我々は、核兵器を特別視せずに、すべての兵器の残虐性を訴え、すべての兵器の廃絶をこそ掲げなければならないが、それはもちろん資本との闘いとともにである。
        
 そして岸田などが「唯一の戦争被爆国」などというとき、日本が被害者であったように装うのであり、日本が始めたアメリカなどとの帝国主義戦争の結果であることを不問にし、核廃絶にその問題を逸らせるのである。
        
 岸田は、プーチンの核の使用も辞さないという発言や、それを利用した安倍一派や維新の「核共有」の議論の必要性の提言を受けて、「核兵器による威嚇も、ましてや使用も、万が一にも許されるものではない」、「非核三原則を堅持する」と平和勢力のように装い「核廃絶」まで口にするが、岸田はアメリカの「核の傘」によって日本の安全保障が守られている、核兵器を日本の安全保障に必要だとしているのであるから、岸田の「非核」の主張は労働者・人民を欺くものである。
        
 岸田の「非核」に同調する共産党は「核兵器の脅威をなくす唯一の方法は、核兵器の廃絶にある」といい、「核兵器禁止条約」を世界が締結すれば、「平和」がもたらせるかのようにいう。しかし、資本主義社会の現実、帝国主義国家間の対立の現実をこそ、我々労働者は闘いの出発点としなければならないのである。今回のロシアのウクライナ侵攻もロシアとアメリカ・NATOとの帝国主義的対立に起因するのであり、この場合も「戦争とは政治の継続」は真実である。
        
 我々はロシアのウクライナ侵攻を、そしてプーチンの核使用発言を糾弾し、ロシアの侵略に断固として立ち向かうウクライナの労働者・人民を支持する。
        
 それとともに、その闘いがロシア労働者を鼓舞し、プーチン政権打倒の闘いに発展することを期しているが、核兵器使用も戦争の手段であり、戦争をなくすにはブルジョア国家間の対立をなくす闘いが必要であり、そのためにブルジョア支配を廃絶し、真の共同体社会を混ざす、労働者の階級的な闘いを組織していかなければならないことを強く訴えるのである。
        
 そして日本の労働者は、岸田政権打倒と安倍一派や維新の反動勢力への反撃の闘いを推し進めなければならないのである。  (佐)
        

ロシアのウクライナ軍事侵攻を糾弾する
軍事同盟を拡大し、ロシアと対抗する米国らにも責任
2022年2月25日


        
 ロシアのプーチンは、24日、ウクライナの首都キエフをはじめハリコフなど主要都市の空港など軍事施設に対してミサイル攻撃を行い、地上軍も侵入しキエフに迫った。ウクライナ東部の親ロ派支配地域ドネツク、ルガンスクなどのロシア人の「保護のため」だという。
        
 だがこれは全くの偽りである。ドネツク、ルガンスクのロシア系住民は、東部ウクライナのロシアとの統合を謳い、ロシアの援助のもとに軍事行動を起こし、ウクライナ政府と軍事衝突を繰り返してきた。2015年には、両地域を「特別自治」地域とするということで停戦するという「ミンスク合意」がなされたが、その後も軍事衝突は継続され、今年2月12日には、両地域は「共和国」として独立宣言を行い、ロシアとの安全保障条約を結んだ。
        
 ロシアのウクライナへの軍事攻撃は、両共和国の要請に基づくというが、これまで一貫してウクライナからの両地域の切り取りを画策してきたのはロシアのプーチンである。
        
 プーチンはウクライナがかつてロシア帝国、ソ連邦の一部であったことを理由に「ウクライナの主権はロシアの主権の中にある」と言って、ウクライナへの介入を正当化する。だが1991年、ソ連邦が崩壊し、ウクライナが独立して以降、ウクライナは独立国家である。ウクライナの主権を否定し、ウクライナへの介入を正当化するプーチンの主張は、大国主義、帝国主義である。
        
 「強いロシアを取り戻す」とは2008年、2012年の大統領選でのプーチンのスローガンであった。強大な軍事力を背景に、プーチンは世界の大国として欧米の大国に対抗しようとしてきた。2008年、民族紛争を理由にかつてソ連邦に属したグルジア(現ジョージア)に介入、同国の南オセチア自治州とアブハジア自治共和国の独立を承認した。さらに2014年には軍隊を派遣し、ウクライナのクリミア半島を奪い、ロシアに併合するなど大国主義、帝国主義政策を推し進めてきた。ウクライナへの軍事攻撃はその現れである。
        
 プーチンの蛮行に対して、バイデンは「破滅的な人命の犠牲と苦しみをもたらす計画的な戦争の道を選んだ。この攻撃がもたらす死と破壊の責任はロシアだけにある」と非難、米、英、EU(仏、独)、そして日本は、一斉に非難し、銀行取引、国債発行の停止、ハイテク製品の輸出禁止など「最大現限の制裁」を行うと声明している。
        
 しかし、責任があるのはロシアだけではない。米、英、仏、独などNATOは、対ロシアへの対抗策として、親欧米のウクライナをNATOに加盟させ、ミサイル兵器=イージス・アショアを配備しようとした。それはロシアを対象としているとしてプーチンは猛反発したが、米国などは受け付つけようとせず、結局はロシアのウクライナ介入のエスカレートをもたらしたのである。
        
 プーチンはNATOに加盟計画がなくても、ウクライナに軍事侵攻したかも知らないが、米国などがウクライナ政府と組んでロシアへの軍事包囲網としてNATOを拡大しようとしたことは、プーチンに軍事侵攻の口実を与えたことは確実である。
        
 米国らは自由主義的帝国主義国家として自国の国家的利権、大資本の利益のために国家資本主義の軍事大国ロシアと対抗しているのである。
        
 ウクライナをめぐる軍事的危機をもたらしたのは、ロシアだけではなく、米国、英、仏、独も同罪である。
        
 岸田政権は、ロシアを非難し、米国はじめ英、仏、独らを民主主義と国際平和の味方であるかに言って、歩調を合わせてロシア制裁を叫んでいる。岸田も米国らと同じ穴の貉(むじな)と言わねばならない。
        
 共産党も、民族の主権と独立、領土保全を謳った国連憲章、国際法を踏みにじった「許せぬロシアの暴挙」として非難、国際法に沿った話し合いの解決を訴えているのみで、ロシアと米国らの帝国主義的な国家対立から目をそらせ、岸田を助けている。
        
 労働者はプーチンロシアの大国主義、覇権主義を糾弾するとともに、軍事同盟NATOを拡大し、軍事緊張を高めた米国らも批判する。帝国主義国家、反動勢力の支配がなくならない限り、民族差別や抑圧、戦争はなくすことは出来ない。労働者の目指すのは、差別や抑圧のないすべての民族が平等で共同する社会である。そのためには帝国主義、反動勢力は一掃されなくてはならない。  (T)
        

膨張する関西万博、IR の整備費用
やがて大阪府や市の借金となり税金増となり、しわ寄せは労働者・働く者へ
2022年2月19日


        
 大阪府と市は昨年12月に関西万博とIRの整備計画案を発表した際に、大阪市所有地の液状化防止の地盤改良や土壌汚染対策、地中障害物撤去対策などに、約790億円掛かると発表した。
        
 松井市長は、「試算が甘かった」「市の品質管理が非常にずさんだった」と弁解したが、この膨らんだカネについては、大阪市が支出するという。当面は、大阪港の埋め立て事業の収益などによる特別会計「港営事業会計」から借金すると言っているが、確実な財源になるかどうかが怪しい「事業会計」を当てにするというから驚きだ。
        
 そして、この借金返済については、IR事業者からの土地賃貸収入(年25憶円)やインフラ整備負担金(203億円)などが入ってくるならば、という仮定の話でしかない。もし、IR事業の収入が計画どおりに行かないならば、事業者からの市収入は減り、借金返済もうまくいかない恐れがあり、そうなれば、借金のツケは市民(労働者・働く者)への負担になる。
        
 それだけではない。市が所有する土地整備費用の追加以外にも、国や府がからむ建設工事でも軒並みに経費が増大している。例えば、万博へ繋がる阪神高速淀川左岸線工事費も、土地汚染対策などに756億円が余計にかかり、当初予定の1162億円の1・6倍以上になり、国が55%、大阪市が45%負担することになった。
        
 また、万博会場の大屋根建設などでは600億円が追加され、大阪メトロ延伸部の軟弱地盤改良や地中障害物撤去作業などに96億円、夢洲駅補強や周辺道路の拡幅工事に33憶円、夢洲駅の改札前広場や階段の整備などに30億円(整備事業者を応募したがゼロで、結局大阪市が全額負担するハメになった)が追加される。
        
 これらの追加費用の合計は、何と2300億円にもなる。もっと増えるとも言われているが、これでは、安倍政権の二の舞ではないのか。安倍は観光立国の象徴として、また国威発揚の手段と考えて東京オリンピックを誘致し、結局、総費用を当初予算から数倍に膨張させ、国民や都民(大半は労働者だ)に皺寄せしたのである。
        
 維新もまた、大阪万博とIR誘致によって、大阪に多くの観光客を呼び寄せて成功させ、維新の名声を揚げ、また箔をつけ、自民党に次ぐ第二自民の地位を得ようとする魂胆なのである。要するに、吉村と松井が自慢している維新による「見える化」の実行であり、遅れた有権者への浸透なのである。
        
 今からでも遅くはない。労働者にとってちっともプラスにならず、弊害ばかりが多い万博・IRの策動を許すな。 (W)
        

安倍ら反動派に追随する岸田
佐渡金山の世界遺産登録推薦を決定
2022年2月11日


        
 岸田首相は、佐渡金山遺跡の世界文化遺産登録を目指し、ユネスコに推薦することを閣議決定した。当初は韓国の強い反対があることを考慮して見送りを検討していたが、自民党内の安倍ら反動派の反発があり、方針転換したのである。
        
 日本が佐渡金山遺跡を世界文化遺産としてふさわしいとしているのは、伝統的な手工業による金生産が長期間にわたって続けられたこと、手堀から製造までの工程を精緻化し、高質な金を生産し、17世紀、日本は世界有数の金生産国になったこと、つまり欧州が機械を導入していく中で「欧州とは異なるシステムで発展した稀有な産業遺産」だとの理由からである。
        
 機械が導入された欧米に比べて、手掘りなど手工業で大量かつ高品質の金を生産したこと、機械導入が行われず、依然として手掘りに依存していた生産技術の立ち遅れが果たして世界の文化遺産に相応しいといえるだろうか。そこには手仕事でも大量かつ高品質の金を生産したという日本人の〝優秀さ〟を世界にアピールしようという下心や世界文化遺産指定で観光客を呼び寄せようという観光業、交通業らの商業主義が見える。
        
 それはさておいて、戦時中に佐渡金山では朝鮮から強制的に連行された労働者が過酷な労働を強いられていたということは触れられていない。
        
 韓国は佐渡金山が「強制労働の現場」だとして世界文化遺産登録に反対してきた。
        
 2015年には、長崎県軍艦島炭鉱を含む23の「明治日本の産業遺産」が世界文化遺産に登録の際にも、朝鮮人の「強制労働」が問題となり、「旧朝鮮半島出身労働者の歴史全体を理解できるような工夫を加えることを日本政府に求める」との条件付きで登録が決定した。しかし、日本政府は犠牲者を記憶にとどめるための措置をとることを約束したにもかかわらず、登録後はこの約束を履行せず今日に至っている。
        
 韓国が佐渡金山遺跡の世界文化遺産登録に猛反発しているのは、日本の朝鮮人の強制労働があったことを隠蔽しようとする恥知らずな態度をとっているからである。
        
 これに対して自民党の高市政調会長は「鎖国下の江戸時代の手堀の伝統手工業技術遺産に対するものであり、批判するに当たらない」と反対した。だが、これは朝鮮人の強制労働という軍国主義下の日本の犯罪を不問にしようとする詭弁である。
        
 さらに安倍は、岸田の佐渡金山文化遺産登録申請見送り方針に対して、「(韓国に)歴史戦を挑まれている以上、避けることは出来ない」、「日本の名誉と誇りを守るために歴史戦を闘え」として断固登録申請するように政府を突き上げた。
        
 安倍は、韓国の朝鮮人の強制労働が行われたというのは事実無根のことであり、文化遺産登録申請を見送ることは、韓国のありもしない言いがかりに屈することであり、日本の「名誉と誇り」を守るために断固登録申請を行うべきだというのだ。
        
 佐渡金山の世界文化遺産登録問題は、連行朝鮮人の強制労働が存在したか否かの歴史認識の問題になったのである。
        
 安倍ら反動派は、日本の中国をはじめとするアジア侵略や太平洋戦争を、アジアの解放とか欧米の圧迫に対する自衛の戦争とし、また従軍慰安婦や南京虐殺問題でもその事実を否定してするなど日本の軍国主義者が行った戦争を正当化する「歴史修正主義」の立場をとってきたが、「歴史戦」とは、「歴史修正主義」の立場に立って佐渡金山の文化遺産登録に反対する韓国に対抗しようとすることである。
        
 佐渡金山で朝鮮人の強制労働が行われていたことは否定しえない事実である。例えば新潟県史では「昭和14年に始まった労務動員計画は、名称こそ『募集』『官斡旋』『徴用』と変化するものの、朝鮮人を強制的に連行した事実においては同質であった」と記載されている。
        
 にもかかわらず、安倍ら反動派の突き上げに屈し、岸田は内閣官房、外務省、文科省からなる作業部会をつくり、「正しい歴史認識」の形成や「言われなき中傷」に対応していくとしている。岸田は政権維持のために、事実を捻じ曲げ、日本の軍国主義を正当化する安倍らの「歴史修正主義」に迎合したのである。  (T)
        

資本主義の延命を画策する岸田の施政方針
その延命策を授ける不甲斐ない共産党 などの野党
2022年1月28日


        
 17日に第208回通常国会が召集され、岸田首相は衆参の本会議で施政方針を示した。岸田は、看板政策の「新しい資本主義」の実現を経済再生の要としているが、労働者・働く者の生活苦困難を解決する内容はなく、「全ての人が生きがいを感じられる社会へ」などと、ただ労働者・働く者に期待感を持たせ幻想を煽る性質のものである。
        
 岸田は、「市場に依存し過ぎたことで、公平な分配が行われず生じた、格差や貧困の拡大 」と言うが、この社会は私有財産制のもとにあり、社会の基礎である生産は、資本を所有する資本家が資本を投下し利潤を得ることを動機とする資本主義的生産として行われている。資本のもとで働く労働者が生み出す剰余価値を資本が取得し、労働者は資本により搾取を受け、ぎりぎりの生活を送る賃金しか得ることができないのである。私有財産制のもとでの資本主義的生産そのものが、格差や労働者の貧困を生み出しているのである。
        
 岸田は「様々な弊害を是正する仕組みを、『成長戦略』と『分配戦略』の両面から、資本主義の中に埋め込み、資本主義がもたらす便益を最大化」していくという。岸田の賃上げは「資本主義がもたらす便益を最大化」した「成長の果実を、従業員に分配する」もので、資本による利益の獲得が前提であり、労働者が資本の支配のもとで搾取される資本主義生産体制の延命を、岸田は画策しているのである。
        
 今この資本のもとでの生産が過剰生産で行き詰まって、資本は資本としての生産を発展させ成長させることできなくなり、非正規労働などの差別労働や長時間労働などの搾取労働を強め、労働者に一切の犠牲を転化している。労働者の団結した力で資本と闘わなければ「是正」さえも得られないのであり、労働者はさらに闘いを強め、岸田が延命を図ろうとしている資本の支配そのものを廃絶する闘いを発展させなければならないのである。
        
 岸田の政策のもう一つの軸が「新時代リアリズム外交」である。奇を衒ってリアリズムなどと言うが、意味するところは理念よりも帝国主義間の抗争の現実に対応していくというものである。
        
 「自由、民主主義、法の支配といった普遍的価値や原則を重視」するという建前的な事を掲げるが、「『自由で開かれたインド太平洋』の推進」と言うように、日本がバイデン大統領と歩調を合わせて、中国・ロシアなどと帝国主義的覇権を争うのである。世界は経済的に結びつきを強めているのであるが、帝国主義国家間の利益追求による覇権争いは、その経済的結びつきを壊す軋轢を生む矛盾に陥っている。岸田は「国民の命と暮らしを守る取り組み」といって、むしろ、帝国主義間の抗争の中で日本が軍事力を強める軍拡競争をし、憲法改正をして日本の帝国主義化・軍国主義化を進めようとするのである。
        
 しかし、それは「命と暮らし」を破壊する危険性を世界的に高めるものである。岸田は、日本のみならず近隣諸国の何百万人という労働者人民を死にやった戦争の経験を簡単に忘れるのである。岸田が掲げる「核兵器のない世界」、「気候変動問題への対応」は、自らの帝国主義的本性を隠すためのものである。
        
 岸田に挑む共産党は、国会で自民党政治の本質に正面から切り込むというが、岸田政権は「異常なアメリカのいいなり」などと 岸田政権の帝国主義本質を曖昧にし、「財界中心」が悪いといって「ルールある資本主義」「やさしく強い経済社会」を求め、資本の支配が根底にある現代社会の本質をから目を逸らすのである。共産党は、労働者の闘いを資本主義の生み出す弊害の改良にとどめ、資本を廃絶して社会主義をめざす労働者の階級的闘いを曖昧にし、資本主義の延命に手を貸す役割を果たすのである。
        
 我々労働者・労働者党は、共産党などの既成政党に頼ることなく、資本に対する闘いを推し進めなければならない。時代はそのような労働者独自の階級的闘いを我々に要請している。 (佐)
        

「ルールある経済社会」から「やさしい強い経済」へ
志位・共産党のブルジョア的堕落の深化
2022年1月7日


        
 共産党の志位委員長は、1月1日の「赤旗」新年号の東大教授・本田由紀氏との「この国の政治を変える」とのタイトルでの「新春対談」で、「新自由主義から転換してどんな社会をつくるか」ということについて「やさしく強い経済をつくろう」というスローガンを掲げていくことにしたいと述べている。なぜ「強い経済」なのか。
        
 この7年間(13~20年)でGDPの伸び率は米国の27%、EUの14%に対して 日本は 6%と「成長できない国」になってしまったこと、新型コロナなど「危機に弱い国」になっていること、さらに現在では自動車をはじめ様々な分野での生産に不可欠となっている半導体生産の衰退に見られるように「競争力の弱い国」になってしまっているからだ、というのがその理由である。
        
 国際的な競争力を高め、経済成長率を伸ばすような「強い経済」を目指すことが、失業や貧困を解決し、豊かな生活を安定した社会を築いていく道だというのだろうか。だが、こんなことはこれまで自民党や資本がさんざん言いふらしてきたことである。
        
 「危機に強い国」にしても、たんに新型コロナに限らず、エネルギー資源、工業原材料や肉、大豆などの食糧資源の多くを海外に依存している日本にとって、資源確保のために資本は海外に工場を建設や資本投下をしたりし、そして国家はそれを財政的・政治的に援助してきた。さらには、商品や原料・エネルギーなど輸送ルートの安全を図る(例えば中東からの石油輸送の安全確保)も〝経済的安全保障〟として問題とされてきたのである。
        
 共産党はこれまでは、英、独、仏など西欧諸国に比べて、日本は労働者の権利保護や社会保障が遅れているとして「ルールある経済社会」(「ルールある資本主義」)をスローガンとしてきた。大企業や大資本の規制によって、労働者の権利や生活を守ることや社会保障の充実ということ、つまり「やさしい経済」(「やさしい資本主義」)が謳われてきた。
        
 共産党は、大企業や大資本に対する規制は、貸し渋りや下請けいじめなど資本蓄積第一で、国民そっちのけの社会を、国民の生活重視に改めていくことで、大企業や大資本をつぶすことではない、大企業も「ルールにのっとって」応分の社会的な責任を果たしてもらうことだと言ってきた。
        
 「ルールある資本主義」(岸田の「新しい資本主義」の言いぐさと似ている)という主張でさえも、〝国民生活重視〟の資本主義があり得るかのような幻想を振りまき、労働者の階級的意識を曇らせ、闘いを解体する主張であった。
        
 新しく提唱される「強い経済社会」のスローガンは、さらに露骨にブルジョア的な立場に接近している。志位・共産党のブルジョア的頽廃は、「ルールある経済社会(ルールある資本主義)」の破綻の必然的な結果である。
        
 志位・共産党にとって生活向上のための前提であった資本主義が衰退し・低迷している中にあっては、共産党のいう安定した豊かな社会の展望も消し飛んでしまったからである。
        
 こうして、国民生活を改善・向上させるために「強い経済」が新たなスローガンとして登場することになったのである。しかし、これは資本の立場、共産党が批判してきた連合幹部 や国民民主党など階級協調主義者の立場と一体どこが違うというのか。
        
 志位は、世界の経済大国にのし上がった日本が経済的に低迷してきたこと、労働者の不安定で将来に展望も持てないような酷い生活の原因が、腐朽し、寄生化を深めている日本資本主義にあることから目そらし、経済の弱体化という問題にすり替え、「強い経済」建設を構築していくというのだ。
        
 共産党の「ルールある資本主義」路線は破綻し、露骨な階級協調の「強い経済」というスローガンにいきついたのだ。資本主義からの解放をめざすという労働者の革命的立場を投げ捨てた共産党はますますブルジョア的退廃を深めている。 (T)
        

岸田政治象徴する安倍犯罪の隠ぺい
「桜を見る会」不正を起訴せず
2021年12月29日


        
 東京地検特捜部は 28 日、安倍の「桜を見る会」がらみの公選法違反と政治資金規正法違反について、不起訴処分を決定した。検察審査会が「不起訴不当」としたことを受けての2回目の捜査ということであったが、1回目の審査では一番厳しい「起訴相当」でなかったということで、2回目は審査すらせずに捜査を終結させた。
        
 岸田首相の「(事件について)説明はするが捜査はつくされている」という方針に沿って、岸田の「安倍による政治私物化のもみ消し姿勢」を検察が〝忖度〟して、不起訴処分にしたのである。権力犯罪は横行することになり、怒りと危機感を強くした人 が多いであろう。
        
 「桜を見る会」事件は、安倍の政治私物化が露骨に表れ、大きな問題になったのであったが、安倍は「やましいことはない」と開き直り、国会答弁をウソ八百で乗り切り、告訴は不起訴となったが、世論の不正追及の声に押されて検察審議会が開かれざるをえなかったのだ。
        
 しかし、1回目の審議会の議決で「不起訴不当」になり、自公政権に安倍政治による腐敗を正す姿勢が希薄なことは明らかであった。そして総選挙での野党の敗北で政権を維持した岸田は、安倍政治を継承しつつ、その「負の遺産」を清算する一環として、森友問題での賠償 金支払いでの幕引きに続いて、「桜を見る会」不正事件も蓋をしようというのである。
        
 岸田は支援金のバラまきやオミクロン拡大に水際対策強化などで点数を稼いでいるが、改憲策動や軍拡路線の反動的な政治も推進しようとしており、「新しい資本主義」のスローガンでの財政膨張継続のように、資本の支配の矛盾を深めるしかないのである。   (岩)