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巻頭言



【2022.6.17】
破綻する〝異次元〟金融緩和政策
 ──金利上昇必至で、財政危機深まる

【2022.6.3】
ブルジョア政党へ脱皮した共産党
 ──政権に加われば「自衛隊合憲の立場とる」と

【2022.5.20】
沖縄から一切の基地の撤去を
 ──沖縄と本土の労働者による岸田政権一掃の闘いとともに

【2022.4.28】
さらに 自衛隊の戦力、より攻撃的に
 ──自民党、「反撃能力」保有を首相に提言


 過去のメッセージへ

破綻する〝異次元〟金融緩和政策
金利上昇必至で、財政危機深まる
2022年6月17日



 インフレを背景に米連邦準備理事(FRB)の利上げが加速するとの予想から米長期金利の上昇は勢いを強めている。欧州でも 2014 ~15 年にかけて導入されたマイナス金利政策は、インフレ抑制のために一斉に利上げに向かっている。ユーロ圏各国のほかスイスやデンマークの2年以上の長期金利はプラスとなった。

 早く利上げに踏み切った米国や英国では今後も利上げを継続するみこみであり、昨年末 1%以下だった2年債利回りはそれぞれ2.8 %、1.8 %まで上昇している。

 これに対して、利上げに向かう世界から 日本は取り残された形だ。 2 年債利回りはマイナス0. 007である。 日銀は金利操作で 10 年債利回りを人為的に0. 25 %以下に抑えている。〝異次元〟の金融緩和策で 投資を促す という政策を継続しているためだ。このため海外との金利は開く一方になっている。

 金利の低い国の通貨は、金利の高い国の通貨に比べて下落しやすい。金利の高い国の通貨を持っている方が有利なためだ。このため円 の為替相場は1ドル=135円余と1998年の リーマンショック以来の、24年ぶりの低い水準に低落した。

 かつて円安は競争力を強め輸出を伸ばし、経済を発展させると言われた。しかし、 現在 では、円安は国内総生産を押し下げる要因に様変わりした。製造業は低賃金と販売市場に直結した海外に移転し、輸出効果よりも、円安による原材料など輸入価格の上昇によるマイナスの影響が大きくなったためである。円安に加えて、新型コロナ、ウクライナ戦争の影響も加わり、物価上昇は深刻である。4月の輸入物価指数は円ベースで前年同月比 44.6%上昇した。円安による輸入物価の上昇は3割に達する。物価上昇は原材料、石油・ガスから食品はじめ生活物資全般に及んでいる。

 6月6日、日銀総裁黒田は、講演で「日本の家計の値上げ許容度も高まっている」と述べたが、あまりに現状からかけ離れたこの発言に批判が集中し、撤回に追い込まれ、 13 日には「大きな円安や急速な円安はマイナスになる」ことを認めざるを得なかった。世界的な利上げの中で、日本の超低金利政策の維持はますます困難になっている。

 「アベノミクス」のもとで2013年に日銀が異次元の金融政策に踏み切り、日本の国債は極めて低い金利が続いてきた。それを可能にしたのは日銀の国債買い取りである。法律で国債の日銀の直接買い取りは禁止されている が、銀行が買った国債を日銀が買い取るという形で、法の網をくぐりぬけてきたのである。

 新規発行された 国債のうちで日銀が購入する比率は、〝異次元〟の金融緩和が始まった 10%台から60%前後に上った。2016年に長短金利操作で金利を抑え始めた時には9割前後の国債を日銀が買い取った。こうして日本の普通国債残高は、21年度末に990.3兆円と過去最大に膨らみ、国内総生産に対する比率は177 %に達する。金利が上がれば新規国債及び借換債発行の金利が上昇する。金利の上昇で財政負担は雪だるま式に重くなるばかりであり、日銀の金融緩和策の矛盾は、ますます深まっている。 (T)
        

ブルジョア政党へ脱皮した共産党
政権に加われば「自衛隊合憲の立場とる」と
2022年6月3日



 さる5月27日、朝日新聞のインタビューに応えて、志位は共産党が参加する「民主的政権」では「自衛隊合憲の立場をとる」と次のように述べた。

 「自衛隊と共存しているので、政権としては理の必然として合憲の立場をとる。国民多数の合意なしに自衛隊を合憲から違憲に憲法解釈の変更はしない。党としては憲法9条と自衛隊の矛盾を、国民合意で一歩一歩解消するよう力を尽くす」(『朝日新聞』5月28日)。

 この志位の発言は4月の共産党会合で「急迫不正の主権侵害に際しては自衛隊を活用する」と発言したことを補強したものだが、「自衛隊と共存しているので」「合憲の立場をとる」とは一体何か。「自衛隊と共存している」というのは、自衛隊が災害時のみならず急迫不正の恐れから国民を守っていると言いたいのだろう。沖縄・那覇市議会の共産党議員団が沖縄復帰50年を記念して、自衛隊の「感謝決議」に賛成したが、志位も那覇市議団と同様に自衛隊を救世主の如くに描きだした。そうでなければ、こうした言葉は出てこない。

 さらに志位は「国民多数の合意なしに自衛隊を合憲から違憲に解釈変更しない」と言ったが、これは一体何だ? 共産党と市民連合は安倍政権が集団的自衛権を自衛の範囲だと憲法解釈を広げたことを批判したのではなかったか。今度は、「自衛隊と共存している」と、安倍や岸田が大喜びするような解釈を行い、「自衛隊は合憲」だと言い、次には、この「合憲解釈」を「違憲解釈」に変更しないと宣言したのである。

 共産党員や共産党支持者(批判的支持者も)は次々と繰り出す志位の発言を許すのか? 志位の発言は「民主的政権」を前提していると言っても意味はない。「朝日」の記者にさえ、共産党は「参院選に向けて現実路線をアピールする」と書かれる始末だ。

 政権に入るためなら、否、立憲と選挙共闘をするためなら、自身の党是であろうと、これまで「憲法違反」だと言ってきたことであろうと、全て投げ捨てるのである。原則など、もうどうでもいいと言うのである。

 共産党のブルジョア政党への脱皮は、もう完璧だ。共産党のブルジョア化は必然だと、我々は何十年も前から言ってきたが、その通りになった。SNSで、旧社会党が自衛隊は違憲だが合法的存在と現実路線を歩み始めた頃よりもっと堕落しているという批判が出て来ている。まったくそのとおりだ。

 共産党は未だに日本の帝国主義化を認めようとせず、対米従属論を掲げ、半永久的に日本の民族民主革命を追い求める小ブルジョア民族主義政党であった。ロシアのウクライナ侵攻や中国や北朝鮮の動きを目の当たりにして、日本国家の危機を感じて小ブルジョア民族主義はブルジョア民族主義に転化したのである。つまり、共産党にとって、労働者の国際主義などはどうでもよく、ブルジョア反動派との共闘を追い求め、日本の国家防衛戦争に寄って立つことを宣言したのである。  (W)
        

沖縄から一切の基地の撤去を
沖縄と本土の労働者による岸田政権一掃の闘いとともに
2022年5月20日



 15 日、アメリカ軍統治下にあった沖縄が日本に復帰してから 50 年の「沖縄復帰 50 周年記念式典」が行われた。沖縄の会場には岸田が出席し、「戦争によって失われた領土を外交交渉で回 復したことは史上まれで、日米両国の友好と信頼によって可能になったもの」と振り返った。岸田は沖縄復帰を日本の手柄のように言うが、まず沖縄がアメリカに占領される原因となったアメリカとの帝国主義戦争の反省から始めるべきだ。

 岸田は、「先の大戦で地上戦の舞台となった沖縄」というが、沖縄住民の4人に1人が亡くなった沖縄戦の惨状の言及はなかった。日本 の支配階級が十五年にもわたる「アジア・太平洋戦争」を開始せず、敗戦が明らかになったにもかかわらず戦争を継続させなければ、沖縄戦は避けられた。原爆投下にしても、主要都市への無差 別爆弾による空襲にしても、日本の支配階級の責任が問われなければならない。

 岸田が「50年たつ今もなお 大きな基地負担を担っていただいている 基地負担軽減に全力で取り組む」というが、全く口先だけの誤魔化しである。普天間基地の移設は、移設先の辺野古基地の工事が難航して、目途がたたない。橋本首相とモンデール駐日大使が「普天間の 5 7 年以内の全面返還」で合意したのは1996年、すでに 26 年が経っているが、海底の軟弱地盤を改良する政府の設計変更を沖縄県側が承認しない対立が続いている。

 4月27日には敵基地攻撃能力保有 や対国内総生産比 2 %を念頭に置いた5年以内の防衛費増額など、自民党安全保障調査会の党提言を受けて、岸田は議論を進めたいとしており、岸田は防衛のために軍備増強を図ろうとしている。

 先に岸田は、プーチンの核の使用も辞さないという発言や、それを利用した安倍一派や維新の「核共有」の議論の必要性の提言を受けて、「核兵器による威嚇も、ましてや使用も、万が一にも許されるものではない」、「非核三原則を堅持する」と平和勢力のように装い「核廃絶」まで口にしたが、岸田はアメリカの「核の傘」によって日本の安全保障が守られている、アメリカの核兵器は日本の安全保障に必要だとしている。

 岸田は歴代自民党政権と同様に、日本の防衛と軍備増強をアメリカに依存し、アメリカの力を借りて貫こうとし、基地の提供や思いやり予算等の措置をとってきた。日本の米軍基地は、基本的にはアメリカの世界戦略、世界的な覇権のためであるが、日本の支配層は日本の利益や防衛を前面に出して日本の防衛の要とし、日米は共同で米軍基地の固定化を図ってきた。

 さらに米軍との共同使用を進め、自衛隊の基地を増強している。岸田は今また、アメリカと同調して、中国やロシアの脅威を煽り立て、アメリカの核や軍備が日本のために必要であるとし、日本はそのアメリカの恩恵を受けているとする。そんな岸田には歴代自民党政権と同様に、アメリカに毅然と基地の国外撤去を要求する見識も信念も外交力もない。

 沖縄の米軍基地の国外退去を進めず、自衛隊基地の軍備増強の帝国主義的政策を強める岸田政権は、沖縄と本土の労働者による闘いで一掃しなければならない。 (佐)
        

さらに 自衛隊の戦力、より攻撃的に
自民党、「反撃能力」保有を首相に提言
2022年4月28日


        
 政府の新たな「国家安全保障戦略」、外交・安全保障長期指針などの策定に向けて、自民党は、相手国のミサイル発射拠点をたたく「敵基地攻撃能力」について、名前を「反撃能力」と変え保有する提言を岸田首相に提出した。
        
 これまで政府は「専守防衛」の下、政府は相手領域内への攻撃は問題にしてこなかったが、「攻撃的能力」を持つ理由について、提言は、中国、ロシア、北朝鮮を挙げて「我が国を取りまく安全保障環境は加速的に厳しさを増している」とし、特に中国について次のように言う。「地上発射型中距離ミサイル約900発を保有」し、極超音速滑空兵器など新型ミサイルを開発している「重大な脅威」と指摘、「迎撃のみではわが国を防衛しきれない恐れがある」ため、「弾道ミサイル攻撃を含むわが国への武力攻撃に対する反撃能力を保有」する。
        
 「敵基地攻撃能力」論の議論は古い。すでに東西〝冷戦〟の時代、1956 年には、相手が日本を攻撃するためにミサイル発射することが明らかなのに、専守防衛の原則にしがみつき、手をこまねいていても良いのかとの意見が出されたのに対して、当時の鳩山一郎首相は、衆院内閣委員会で「わが国に対して急迫不正の侵害が行われ、その侵害の手段としてわが国土に対し、誘導弾等による攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とするところだというふうには、どうしても考えられないと思う。そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、たとえば誘導弾等による攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であるというべきだ」と述べた。しかし、その後も、政府は「敵基地攻撃能力を保有することは法理的には可能だが、その能力を持たない」という曖昧な立場を維持してきた。
        
 それから約50年、安倍首相は「敵地攻撃能力」保有を言い出したが、2018年の国会の答弁では専守防衛について「防衛戦略として大変厳しい。ミサイル攻撃の第1弾は甘受しなければならないが、この考え方は憲法の精神にのっとったものだ」と述べている。
        
 今回の「反撃能力」は、「第1弾の甘受」など想定していない。提言を作成した自民党安全保障調査会会長小野寺は記者団に「相手側の攻撃が、明確に意図があって、既に着手している状況にあれば、 攻撃の判断を政府が行う」と述べている。相手が攻撃に着手したと政府が判断すれば、 相手の基地を攻撃することが可能というのだ。
        
 反撃の対象はミサイルを発射した相手国の基地ばかりではない。「指揮統制等含む」と小野寺は言う。「指揮統制機能等」とは攻撃を計画した軍司令部、政府も含まれる。これまでは、ミサイルの発射等攻撃を行う「基地」への「攻撃能力」の保有を問題にしていたが、たんに攻撃は 「基地」だけではなく、攻撃を指揮する軍司令部、さらには政府も「反撃」の対象となるというのである。しかも実際の攻撃がなくても、「攻撃に着手した」と政府が判断するならば、その企てをくじくために攻撃ができるという。
        
 「敵基地攻撃能力」保有から「反撃能力」保有への「名称」の変更は、敵の攻撃から防衛するという「専守防衛」の立場を逸脱して「攻撃的な」印象を与えるからよくないとして「名称」を変えたという問題ではない。政府が日本に対して「攻撃」を与える〝脅威〟となっている国に対して、「反撃能力」を保有するという立場への転換である。
        
 これまで、「相手国領域内への打撃について、米国に依存してきた」が、「迎撃のみではわが国を防衛しきれない恐れがある」として、日本も「反撃能力」を保有するということである。「専守防衛」から攻撃的な姿勢へ の転換である。
        
 提言は同時に「NATO諸国の国防費予算の対GDP比(2%以上)も念頭に…5年以内に防衛力を抜本的に強化するために必要な予算水準の達成を目指す」としている。
        
 提言は、「深刻化する国際情勢下での防衛力の抜本的強化」を謳っている。ロシアのウクライナ軍事侵攻を契機に、世界的な 軍備拡張の波に便乗して、危機意識を煽り、帝国主義国家として一層軍備を増強し、自衛隊を攻撃的な軍隊にしていこうとする自民党・反動勢力の意図を示している。