帝国主義強国化に乗り出す岸田政権
岸田バイデン会談の意味するもの
2023年1月19日
岸田は1月13日、バイデンと会談し、12月に閣議決定した「安保3文書」に示された「反撃能力を含む防衛力の抜本的な強化」と23年度以降の5年間でこれまでの1.5倍となる防衛費の増額を決めたことを説明し、バイデンは全面的に支持した。
すでに11日に日米の外務・防衛担当閣僚による「日米安全保障協議委員会(2プラス2)」で、「日本は防衛予算の相当な増額を通じて、反撃能力を含めた防衛力を抜本的に強化する」等の日本の防衛政策の転換が表明されており、日米首脳はそれを確認した。
この会談に先立って岸田は、9日~12日にG7のフランス、イタリア、イギリス、カナダの各首脳と会談し、日本は次期戦闘機の共同開発(英、伊)、共同軍事訓練(英)、東シナ海や南シナ海で海洋進出を強める中国に対する連携(仏、英、加)などの軍事的な連携を強めるとした。
日米豪印4カ国の「クアッド」、米英豪の安全保障協力「AUKUS」の連携があり、それらとの協力が岸田政権の視野に入っている。いずれも、G7、そして豪がアメリカと協力して、経済的・軍事的に進出著しい中国と対抗しようとする、帝国主義国家間の枠組みである。
日米共同声明では、ロシアのウクライナ侵攻とともに、危惧される中国の台湾への軍事進攻を念頭に、「力または威圧による一方的な現状変更の試みに強く反対する」とし、アメリカを中心に″民主主主義陣営″の結束を図り、ロシア・中国の強権的専制主義的政治に対決しようとしている。それを強く押し出したのが、中国の経済的進出を輸入品への関税強化や先端技術の保護で抑制しようとしたトランプであったが、バイデンはその路線を引き継いで中国包囲網を築こうとしている。
岸田は、これまでの防衛政策を「転換」させ、日本が攻撃力を積極的に担うことで、日米同盟をより強固なものにし、武力行使につながる軍事力を備える、帝国主義強国化・軍国主義路線に乗り出した。
しかし岸田の軍事増強は、財政基盤がなく国会審議を経たものではないのだから、子供だましのようなものである。岸田はこれで米軍の肩代わりの一部をするというが、借金にしろ、増税にしろ、その負担は労働者働く者の肩に掛かってくるのは必定であり、しかも中国との戦争の危険性は増すのである。
岸田の「反撃能力」は、特に台湾有事における中国に対する攻撃が想定されている極めて敵対的なものである。9日、米戦略国際問題研究所(CSIS)が中国の台湾進攻を想定したシミュレーション報告書を公開した。ここで日本の米軍基地からの米軍の出撃が要とされ、台湾有事の際のアメリカの関与に日本の役割が期待されている。
このように中国との軍事的対立が特に問題とされているが、日、米、欧州にしても、これらの国家間の繋がりとともに中国との経済的結びつきは、ますます強まっている。ロシア一国でも、ウクライナ侵攻に伴う経済制裁等の影響は、燃料の供給にとどまらず色々な形で世界経済に影響を与えているが、中国との軍事的対立が戦争によって経済的対立に転化すれば、その世界経済に及ぼす影響の大きさは予想できるであろう。
「アメリカいいなり」という岸田政権への非難は、岸田政権が進めようとする、帝国主義的本質を見失い、闘いを間違った方向に導く。「平和を守る」闘いだけでは、現在の生産を支配する資本の労働者の搾取から目を逸らすことになる。分業と私的所有が生み出す商品生産を根底とする資本主義こそが、企業の利益、ひいては国家の利益を追及し、戦争も排除しないのである。
労働者の団結した階級的闘いで、資本主義が克服されなければならないが、まず我々は岸田政権打倒を掲げて闘いを広げていかなければならない。(佐)
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