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巻頭言



【2024.2.15】
労働者・働く者をなめるな!自民党
 ──インチキな裏金づくり「調査アンケート」

【2024.1.18】
ガス抜きの政治刷新本部
 ──腐敗した自民党を権力から追放しよう

【2023.12.14】
腐敗する自民党政権打倒!
 ──裏金作りを謀り横領した議員共を放逐せよ

【2023.10.29】
イスラエルの蛮行を糾弾する!
 ──パレスチナに対する軍事侵攻、抑圧を即時止めよ

【2023.10.12】
岸田に接近する連合幹部
 ──16年ぶりに連合大会に首相出席

【2023.9.14】
企業倒産数が増大
 ──このままでは労働者の失業も増加

【2023.9.1】
‶処理水〟海洋放出をめぐる日中対立の激化
 ──「科学的根拠」を振りかざすことで高まる排外主義

【2023.8.3】
軍事力の抜本的強化、反撃能力保有謳う
 ──2023年度版「防衛白書」

【2023.7.23】
共産党の偽りの党史
 ──労働者の闘いを屈曲させたのが真実


 過去のメッセージへ

労働者・働く者をなめるな!自民党
インチキな裏金づくり「調査アンケート」
2024年2月15日


        
 13日、自民党の組織ぐるみで行われた「裏金づくり」の「調査アンケート」結果が報告された。対象となったのは、現職国会議員374人と元職選挙区支部長10人の計384人で、期間は2018~22年の5カ年間。
        
 このうち不記載となっているのは僅か85人。現職は82人で、金額は5億6781万円、選挙区支部長は3人で計1168万円である。派閥でみると安倍派は76人で4億7663万円、次いで二階派6人で9118万円となっている。
        
 調査結果は実態とかけ離れた形ばかりのものになっている。こうなることは初めから分かっていた。というのは、「調査」といっても、不記載が「ある、なし」と金額の2問だけで、裏金の経緯や使い道については問わなかったからである。しかも、組織ぐるみで裏金づくりを行っていた自民党による自主申告による調査であり、こんな調査が信用のおけないことはすでに旧統一教会とのかかわりの調査で実証済みの事だからである。
        
 旧統一教会調査では、各議員に関係があったか否かについて自民党がアンケート調査を行った。その時関係はないと回答した盛山現文科相は、実際には旧統一教会の集会に出席し、推薦確認書に署名、選挙協力を頼んだ事実が今頃になって発覚し大きな政治問題となっている。
        
 裏金づくりをしていたのは、検察によって立件された大野、池田、谷川の3議員だけであり、新たに申告があったのはゼロであった。
        
 公開されている2020~22年の3カ年については、収支報告書の訂正が行われている。その大半が派閥からキックバックのカネが追加されたが、なかには支出額を追加訂正する議員もあるという。しかし、金額や内容については「不明」としている。
        
 例えば安倍派の荻生田・前政調会長が代表となっている東京都第24選挙区支部の収支報告では、3年間の派閥からの収入1952万円を追加記入されたが、使途も金額も「不明」とされている。二階・元幹事長の資金管理団体では派閥からの収入1786万円と、「書籍代」として計3472万円を追加したことになっている。収入の総額だけが追加記入され、支出については何に使われた使途も金額も「不明」であったり、「書籍代」に3千万余のカネが使われたりする追加記載に見られるように、「訂正」といっても、単なる数字合わせのためだけでしかないことは見え見えである。
        
 こんなものが収支報告書として許されるはずはない。国会でも「不明ばかりでは収支報告と言えない」と追及されて、岸田は、「その後に事実が確認された場合には記入する」と述べた。だが、「裏金」は選挙民を買収したり、議員の選挙地域の地方議員に票の取りまとめを依頼したりするなど表に出せない使途にも使われるなどしてきたのであり、今後、その全貌が明らかにされることはないだろう。
        
 岸田の「事実が確認された場合には記入する」と言うのは、その場しのぎのでまかせである。実際に岸田はこれまで、「政策活動費」の内容を明らかにするということに対して「政治活動の自由」を理由に消極的であり、今後、「不明」とされている部分について、その実態が具体的に明らになるとは思ってはいないだろう。
        
 結局、岸田は、時がすぎれば収支報告書のことなど忘れられ、問題とならなくなるだろうと高をくくっているのだ。岸田は裏金作りなど「金権・腐敗」をなくすために「火の玉となって」「政治刷新」に取り組むと述べたが、口先だけである。
        
 金権・腐敗の岸田自民党を打倒し、労働者の闘いを進めていこう。 (T)


ガス抜きの政治刷新本部
腐敗した自民党を権力から追放しよう
2024年1月18日


        
 派閥の政治資金パーティーを巡る裏金事件で自民党への風当たりが強いことに危機感を強めている岸田政権は、ブルジョア権力の一部である検察が派閥実力者の立件回避に動いているが、労働者は腐敗政治にまみれた自民党を権力の座から追放するための闘いを強めていかなければならない。
        
 「国民の信頼を回復するために、そして日本の民主主義を守るためには、自民党自らが変わらなければならない」と、自民党政治刷新本部の初会合で岸田は臆面もなく語ったが、ブルジョア民主主義すら守らずにきたことの反省は口にしなかった。自民党が1988年のリクルート事件を踏まえて党改革のためにまとめた「政治改革大綱」で、派閥弊害除去や解消論、役職者の派閥からの離脱など謳われていたにもかかわらず、今回の事件が大事になるまで自らの派閥責任者に就いていたのにである。「政治改革大綱」は小選挙区制導入の制度改悪によって形骸化し、候補者選びでの事情が変わったとはいえ、派閥への依存度は大きくなりこそすれなくなることはなかった。
        
 岸田は、派閥裏金事件の再発防止、政治資金の透明化の拡大、派閥のあり方に関するルール作りなどによって自民党への信頼を回復しようとしているのだが、政治刷新本部役員メンバーや有識者の顔触れを見ただけでも、岸田に腐敗政治からの転換などできないこと、真剣に取り組む姿勢などないことは明らかである。
        
 政治刷新本部最高顧問に「派閥解消」を主張する無派閥の菅前首相と派閥領袖の麻生副総裁を置いて、バランスをとったかに見せているが、派閥領袖である茂木幹事長を本部長代行に置いたり、同じく領袖の森山総務会長を本部長代理にしたり、岸田の人選が派閥解消に向けたものでないことは歴然としている。
        
 さらに役員には安倍派の10名も任命されており、そのうち9人が裏金問題で疑いがあるという(本部長代理の岡田元地方創生相、副本部長の野上元農林水産相、幹事の佐々木、上野、太田、松川、吉川、事務局次長の藤原、高橋の計9人に、裏金の疑いがあるという。朝日1月13日)のだから、政治刷新本部で派閥解消を決定するわけはないのである。
        
 毎日新聞は1月18日、「自民の閣僚経験者は『刷新本部なんてやっても、国民の信頼が回復するわけではない』と距離を置き、別の自民関係者も『ガス抜きに過ぎない。派閥解消はできないだろう』と漏らす」と報じ、実状を暴露している。総務会長の森山が「解消論も議論になる」と語ったが、まさにガス抜きとしての議論になることは火を見るより明らかである。
        
 岸田は政治刷新本部初会合の11日以来、16日の2回目、17日の3回目と出席し、前面に立つ姿勢を示そうとしているが、それは「とにかく顔を見せることが大事で、それが覚悟を示すことにつながる」といったものでしかなく、カネまみれの腐敗政治から脱却するためではない。
        
 パーティーの収支の透明化といった矮小な改革でお茶を濁す程度のものでケリをつけようという魂胆がミエミエである。(18日夜になって、岸田は「(岸田派の)派閥解散を考えている」と突如表明した。岸田は自派閥の政治資金収支報告不記載について、「事務的ミス」と言い張っていた。しかし検察が岸田派の会計責任者を立件する、すなわち犯罪者として扱うということになり、強まる足元の火に怯え、信用失墜が加速しないよう、改革姿勢を見せようというのだ。しかし、麻生や茂木と合意していないと言われており、全ての派閥を解散できるかは不明だ。まして、既存の派閥が解散したからといって、新たな「政策集団(派閥の別称だ)」ができないと断言などできるのか。)
        
 資本主義が私的利益を追求する体制だからこそ、その政治がカネまみれになるのであり、政治を腐らせるのである。腐敗政治の温床は労働者からの搾取で成り立つ資本主義である。労働者を階級的に結集して労働の解放を勝ち取るための闘いを前進させていこう。(I)

 (2024/1/25 一部加筆修正)

腐敗する自民党政権打倒!
裏金作りを謀り横領した議員共を放逐せよ
2023年12月14日


        
 自民党の安倍派による政治資金パーティーにて、派閥議員に課したノルマを超えたパーティー券代金の未記載があり、これを調査した学者から既に検察に告発されている。
        
 安倍派がパーティー券の販売収入のうち、その一部を政治資金として記載せず、同時に支出をも記載しなかったのは、派閥議員に裏金としてキックバック(還流)するためであった。それゆえ議員側でも、意図的にこのカネを収入として記載していなかった。この裏金は、政治資金規正法に縛られるカネではなく、議員が公式の政治活動以外に裏で自由に使えるカネ、権力を維持するためのカネに他ならない。
        
 国会議員は歳費(給料)と年2回の期末手当で2千万円もの収入を得ており、その他に、「文書通信交通滞在費」が月額100万円、立法に関する調査研究活動を名目とした「立法事務費」が月額 65 万円支給されている。これらを加えると、年収入は4千万円以上となる。さらに、運賃などが無料になるJR特殊乗車券、国内定期航空券なども交付され、秘書を3人まで公費で雇うことができ、「秘書雇用手当」として約2千5百万円が支給される。国会議員の年収入は実質的に7千万円にのぼる――労働者の平均年収の10倍以上、非正規労働者の 20 倍以上だ!
        
 国会議員はこのような大枚を支給され(原資は税金)、企業献金・団体献金などの献金をやめるという名目で成立した政党交付金(全ての国民から250円を集めた金額に相当する320億円の公金)の半分を自民党がせしめていながら、そのうえに組織的に裏金作りを謀り、これを横領し、安倍派の大半の議員がこの恩恵にあずかっていた。1千万円以上を横領した議員は10人以上になり、4千万~5千万円も懐に忍ばせていた輩もいたのだ。安倍派が直近の5年間で所属議員にキックバックしていた裏金の総額は5億円に上り、発覚していないそれ以前の分も推計すれば、軽く10億円という途方もない金額になる――生活費を切り縮めて毎日を過ごしている労働者に対する冒とくだ!
        
 かつて安倍政権は政治や財政を〝私物化〟し、お友達の国家主義者に国有財産を優先して払下げ、その真実が明るみに出ても国会でウソの答弁を繰り返した。それでも安倍は国有財産の贈賄の罪を受けず、国会での偽証罪でも告発されず、その後もいい気になって政権の座に居座ってきた。安倍の死後も安倍派は政権の中枢で権力をふるい、この安倍派にすり寄る企業は見返りを期待して献金を続け、裏金の原資となる派閥のカネは膨らんだ。
        
 今回の安倍派のキックバックという横領は、安倍派、否、自民党の驕りと腐敗と堕落の象徴である。なぜなら、安倍派のみならず、二階派や岸田派でもキックバックが行われていたことが判明しているからだ。我々は労働者に次のように呼びかける。自民党政権を打倒するために抗議やデモなどの大衆闘争を集中し政治闘争・階級闘争を発展させよう! (W)


イスラエルの蛮行を糾弾する!
パレスチナに対する軍事侵攻、抑圧を即時止めよ
2023年10月29日


        
 パレスチナの自治区であるガザ地区では、抵抗力をもたないパレスチナ人に対して、四方から取り囲んで圧倒的な軍事力によるなぶり殺しがイスラエル国家によって連日行われている。空爆・砲撃に加え、27日からは歩兵・戦車による越境攻撃も開始された。「本格的な軍事侵攻」に備えた軍事作戦だという。すでに7700人が死亡、うち子供の死者は3000人にも達するという(29日現在)。
        
 またヨルダン川西岸の自治地区ではイスラエル政府の蛮行に批判的なジャーナリストら1000人が軍隊に連行された。有無を言わせずの夜間の連行で、恐怖の毎日と言われている。
        
 ガザでは水道は止められ、支援の食糧は極度に制限され、ロケット砲に使われるという理由で燃料も止められ、発電機も使用できなくなった。電気不足のために、ガザ地区内のインターネットなど通信は途絶、病院では医療機器は動かず、医療器材・医薬品も底をつき、多くの病院は治療が出来ず、35ある病院のうち12が閉鎖に、72か所の診療所は約3分の2が機能マヒに追い込まれ、空爆や砲撃で傷ついた人々の生命が失われている。
        
 イスラエル政府は、かつてのナチスのユダヤ人虐殺を非難する。だが、「ハマス殲滅」を呼号し、パレスチナ人民のジェノサイド(大量集団虐殺)を行っているネタニヤフ首相らはナチスと見紛うばかりの蛮行をはたらいているのであり、ナチスを非難する資格は微塵もない。国際的にも、かつてナチスに迫害されたユダヤ人への同情より、イスラエルに迫害されているパレスチナ人への同情が大きくなっている。
        
 ハマスのイスラエル市民を標的とした「テロ」は批判されるべきである。しかし、ハマスの「テロ」を生みだしたのは、イスラエルのパレスチナ人民に対する抑圧と弾圧である。1993年の「オスロ合意」では、パレスチナの暫定自治政府を認め、将来はイスラエルとパレスチナとの二つの国家の関係正常化の方向を定めた。だがこの約束は、2006年のイスラエルのガザ地区侵攻で破られた。イスラエルには初めから「合意」を履行する気はさらさらなかった。パレスチナの自治政府とは言っても、西岸自治区では実際には警察権もない地域は8割を超えた。
        
 さらにイスラエルは、自治区においてパレスチナ住民を追い出し、勝手にイスラエル住民のための入植地をつくったし、ハマスが支配するガザ地区ではイスラエルが建設したフェンスで隔離され、パレスチナの産業は破壊され、外部からの生活物資の搬入も規制された。ガザは日本の種子島程度の狭い土地に220万人のパレスチナ人がひしめく「天井のない監獄」と化したのである(国連は、入植地建設やガザへの処遇に対して〝不法〟として、その撤回を求める決議を行ったが、イスラエル政府は無視したままである)。
        
 ハマスの「テロ」はこうしたイスラエル政府の野蛮な支配、抑圧に対するパレスチナ人民の怒りと憎しみが生み出したのだ。ハマスへの「報復攻撃」に際してイスラエルのガラント国防相は「我々は動物たちと闘っており、それに応じて行動する」(9日)と語ったが、これはイスラエル政府がパレスチナ人民に対して、人を人と見ない驕った態度とってきたことを暴露している。
        
 欧米諸国や日本はハマスの「テロ」を「非人道的行為」と非難、イスラエルのガザへの軍事侵攻を「自衛権の発動」と弁護している。しかし、イスラエルのパレスチナ人民に対する抑圧を許してきたのは欧米諸国であり日本も同様である。
        
 特に米国は、毎年、イスラエルに対して膨大な軍事、経済援助を行ってきた。イスラエルは、米国の中東における覇権のための同盟国としての役割を担ってきたからである。また、ベトナムへの軍事介入をはじめ、イラク、アフガニスタンなど世界各地で軍事介入を行い、幾百、幾千万の人民の生命を奪い、傷つけてきた。米帝国主義にハマスを非難する資格などない。
        
 一方、プーチンのロシアや習近平の中国はイスラエルを批判しない欧米に反対している。しかし、プーチンはウクライナの国家を認めず、ウクライナへの軍事侵攻を行っているし、習近平も自国ではウイグル人民を抑圧している。ロシアや中国は、自国では、イスラエルと同じように人々の差別・弾圧という非人道的行為を行いながら、パレスチナ問題ではイスラエルを批判し、イスラエルの味方をする欧米を非難している。それは、アラブ諸国やアフリカ、南米など新興諸国を味方につけ国際的に有利な地位を占めようとするためでしかない。
        
 結局、欧米とロシア、中国との対立は、自国の利益のための帝国主義国同士の争いでしかない。労働者は欧米そしてこれに追随する日本にも、そしてロシア、中国のいずれの帝国主義にも反対である。
        
 イスラエルはガザ封鎖、軍事侵攻を即時止めよ! パレスチナ人民への一切の抑圧を撤廃し、パレスチナ人の国家を認めよ!
        
 パレスチナ人民のイスラエルからの解放は、ハマスのようなイスラム国家樹立のための「テロ」闘争ではなく、「国民国家」をめざす大衆的・組織的な闘いとその発展にかかっている。(T)


岸田に接近する連合幹部
16年ぶりに連合大会に首相出席
2023年10月12日


        
 岸田首相が10月5日に開かれた連合定期大会に出席した。現職の自民党政府首相が連合大会に出席するのは2007年、参院で野党が多数だった〝ねじれ国会〟の時の福田康夫首相以来16年ぶりのことである。
        
 岸田はあいさつで「今年の春闘では賃上げ率は3.58%、中小企業においても3.23%と、30年ぶりの高水準となった。今こそ成長の成果を国民に還元すべきだ。その一方で、我が国経済は、長年続いてきたコストカット型の経済から、賃金や設備投資にも経済の熱量が感じられる『適温経済』の新たなステージに移れるチャンスを30年ぶりに迎えつつある。…賃上げの大きなうねりを持続的なものとし、地方や中小企業まで広げていかなければならない」と訴えた。
        
 冗談ではない。僅か3%そこそこの賃上げが「高水準」なのか。ロシアのウクライナ侵攻、円安などの影響による物価高騰で賃上げなど木っ端のように吹き飛び、実質賃金は17カ月連続減少、このため食費も11カ月連続前年割れ(総務省家計調査)といった惨状だ。こんな現状の下で、組合の大会でよくもぬけぬけと「高水準」などと大法螺を吹けるものだ。
        
 これにたいして芳野連合会長は「賃上げは国を挙げた最重要課題」、「政労使の意見交換は絶対に必要で実現されるべきだ。連合は対話の窓を常にオープンに取り組む」とエールを送り、政府との「対話」に期待を煽った。
        
 賃上げだけでなく芳野会長と政府・自民党の接近は目立っている。芳野は政府の政策会議に入ったり、自民党麻生副総理と会食したりするなど政府・与党とのつながりを策してきた。賃金以外にも経済政策など政策課題があり、それを実現するためには政府との連携が必要だというのがその理由だ。
        
 だが、労働者の組織である労働組合と資本の政府・自民党との階級的な利害は根本的に対立している。労働者の政策課題にしても、労働者の階級的な立場からの要求を政府に突き付けてその実現のために闘うべきであり、政府・自民党と幹部同士の〝談合〟で決めるべきことではない。
        
 そもそも、賃金ですら「政・労・使」三者による話し合いによる「管理春闘」、(あるいは政府が経済界に賃上げを要請する「官製春闘」)が長年続けられてきたが、賃上げは政府・資本の言い値に値切られ、労働者は物価上昇以下の賃上げで辛酸をなめさせられてきた。
        
 〝春闘〟とは言っても、実際には要求実現のために闘うのではなく、組合の幹部が資本と密室で話し合うのであって、こんな〝春闘〟で労働者の生活を守れるはずもなく、労働者の生活苦をよそに資本は「内部留保」を積み上げてきたのだ。
        
 総合サポートユニオンの青木幸太郎は、「ストライキ権を背景としない労使交渉は経営者に対する集団的な物乞いに過ぎない」という1980年代のドイツ連邦労働裁判所の判決を紹介している(朝日・耕論欄、10・7)が至言である。連合幹部はストライキ権を行使する意思などなく、労働者を裏切り〝物乞い〟に徹してきたのであり、政府・資本にいいようにあしらわれてきたのである。
        
 そしてさらに、彼らは資本の世界的な競争が激化する中で企業なくして労働者の生活の安定なし、とばかりに脱炭素社会を目指すグリーントランスフォーメーション(GX)など産業政策などで資本・政府との協調を深めてきた。
        
 岸田の連合大会への出席も、連合幹部と政府・自民党とのなれ合いの表れである。その意図は、連合との協調を訴え組合票を自民党に取り込むことである。9月の内閣改造では、電機連合出身で国民民主党の元参院議員だった矢田稚子を首相補佐官に任命、雇用・賃金政策を担当させるという。
        
 「連合の意見を内閣に反映する」(麻生副総理)というのは表向きの理由であって、次期衆院選に備えて政権維持のために連合票を獲得すること、さらには国民民主党を政権に取り込むためである。
        
 芳野ら連合幹部は、政府・自民党との接近は労働組合の要求実現のためというが、それは労働者の階級的な立場を放棄し、ブルジョア政党に取り込まれることを意味する以外のなにものでもない。
        
 1983年連合結成時約800万人を擁した組合員数は、100万人も減少して現在では700万人を割り込んでいる。組合員の22年参院選での組合員の投票先は、自民41%に対して、立憲民主14%、国民民主11%と自民の得票が野党、立憲民主、国民民主の野党2党を大幅に上回っている。
        
 連合の衰退は連合幹部の階級協調主義の結果である。労働者の生活と権利を守るべき労働組合・連合が、「管理春闘」・「管製春闘」に象徴されるように資本や政府・自民党となれ合いを常態化させている中にあって、連合はますます労働者の信頼を失ってきた。
        
 多くの非正規や臨時の労働者が未組織のままに放置される一方、組合に組織された労働者も連合をあてにしなくなってきている。それは参院選での4割もの労働者がブルジョア政党=自民党に投票していることに表れている。
        
 労働を搾取される側の労働者と搾取する側の資本との利益が根本的に異なっている以上、労資協調主義の破綻は必至である。階級協調主義に労働者の未来はない。労働者は生活防衛、労働条件改善のために団結して資本と闘う。さらにそれにとどまることなく、労働の搾取による利潤の獲得を目的とした資本の支配に反対し、搾取のない労働者の共同社会を実現に向けた労働者の階級的な運動を発展させていくことが求められている。 (T)


企業倒産数が増大
このままでは労働者の失業も増加
2023年9月14日


        
 今年に入って企業倒産数が増えている。
        
 東京商工リサーチによれば、23年上半期(1-6月)の負債額1千万円以上の企業倒産数は4042件、負債総額は約9341億円である。
        
 前年同期の倒産数は3060件、負債総額は1兆7千億円であり、これと比べると倒産数は約1千件増加している(22期同期には、大型倒産があり負債額が大きかった)。また、22年度下半期(7-12月)の倒産数3368件、負債総額6226億円と比べてみても、倒産件数、負債額で拡大していることが分かる。
        
 企業倒産件数の増加は、22年4月から23年8月まで17カ月連続で前年同月を超え、今のところ頭打ちが見えない。しかも、今年に入ってから倒産件数の増加率が拡大し始め、8月の倒産件数は742件と、前年同月の1・5倍となりコロナ禍以降で最多になった。
        
 東商工リサーチは、今年上半期の倒産業種別の倒産数も調査している。それによれば、最多は「サービス他」で1351件(前年同期比36%増)、次いで歴史的な資材価格の高騰が続く「建設業」が785件(同36%増)、円安による輸入原材料価格が上昇している「製造業」が459件(同37%増)などとなっている。
        
 この他に、燃料価格の高止まりや人手不足が深刻な「運輸業」が188件(同25%増)、「情報通信業」が161件(同39%増)などと続き、「金融・保険業」でも24件(同140%増)が行き詰まった。こうして、今年上半期の産業別倒産件数は1998年上半期以来、25年ぶりに10産業種全てで前年同期を上回ったのだ。
        
 岸田政権はコロナ対策だといって補助金をバラ撒き、売り上げが減った企業に実質無利子・無担保で融資し、円安による燃料費高騰に対して元売り企業にカネを注ぎ込んだが、永久にこんなことができるわけでなく、案の定(マスコミでも噂されていた)、事実上コロナ対策を終えた昨年後半から企業倒産が急増し始めた。
        
 こうした企業倒産に伴い、労働者の解雇も増大している。7月の「完全失業率」は2・7%、「完全失業者数」は183万人であり、4月~6月より率でも数でも増え、22年の平均よりも多くなっている。
        
 しかし「完全失業者」は、働く意欲があり、求職活動(公的に求職)を行い、直ぐに仕事に就くことが出来る状態にあった人の数であり、何らかの理由で就職活動ができなかった人などは対象外である。
        
 実際、全国約4万世帯を対象に調査する「労働力調査」によれば、23年7月時点で「働きたくても働けない人の割合」は「5・1%」とある。育児や介護で、また怪我や病気などの理由で、「働きたくても働けない労働者」は一杯いるのである。そうした数は失業者の数に入らないのだから、お役所の統計は事実を反映しない出来損ない、というより意図してそうしているのである。
        
 今後、円安がさらに続き物価高騰が続くなら、また、米国・日本と中国との帝国主義的対立が激化していくなら、資本の経済は行き詰まり、それに伴い、企業倒産や労働者の失業者数は増えるであろう。実際、EUでは低成長に転化しドイツではマイナス成長に陥っている。EUと同じことが日本でも起きないとは限らず、企業の危機は真っ先に労働者にしわ寄せされる。その理由は明らかだ。
        
 資本主義は資本が労働者の労働力を買い、剰余価値を搾取することで価値増殖し、資本の増大を追い求める社会である。
        
 それゆえに、労働者は資本の管理の下におかれ、常に支配され、低賃金と過重な労働を強いられる。また労働者は、差別的に支配され、非正規を強要され、女性差別も温存される。労働者は一人では弱い立場にあり、労働組合に団結して資本と闘うことは必要であり必然的である。
        
 しかし、労働組合運動は、資本の搾取と攻撃の後追いを強いられるゆえに限界がある。労働組合運動が資本の搾取そのものに反対し、「労働の解放」を勝ち取る闘いに高めることは難しい。労働者は「労働の解放」の理論――私的労働を廃止し、人々の労働が直接に社会的労働となり、労働に応じた分配(次には必要に応じた分配)を勝取ることを出発点にする共同体原理に基づく社会を作っていく等――を学び、それをしっかりと獲得しなければならないのだ。
        
 労働者の政党による理論的政治的活動と固く結びつく必要性と必然性がここにある。つまり、労働者の政党の「社会主義運動」と日常的な改良的闘いが中心になる労働組合運動は、理論的・政治的に固く結合されなければならないのである。それらが結合した闘いに発展しなければ搾取の廃絶と共同体(社会主義社会)の建設は不可能である。
        
 最近、労働組合運動がまるで「アソシエーション」(地域協同組合や仲良しクラブ)に繋がり、その発展が未来に結びつくかに言う小ブル経済学者がいる。こうした私的労働と資本の体制をそのままにして、資本の力を弱める「アソシエーション」が生まれるかの幻想を振りまいている。こうした幻想をも打ち破って行かなければならない。「アソシエーション」は「労働の解放」とは全く違うのだから。 (W)


‶処理水〟海洋放出をめぐる日中対立の激化
「科学的根拠」を振りかざすことで高まる排外主義
2023年9月1日


        
 (1)8月24日から東電・岸田政権は福島第一の‶処理水〟海洋放出を開始した。放出以前から中国の反発は激しく、7月からは日本の輸入水産物の検査が厳格化され、事実上輸入が停止されて来たが、海洋放出が始まるや水産物の全面輸入禁止を発表した。
        
 「想定外の全面禁輸」を前に岸田は、‶処理水〟はIAEAも安全と評価していると、「科学的根拠に基づかない禁輸は」撤回すべきと中国に抗議した。
        
 『海つばめ』1457号でも論じたように、何よりも原発の過酷事故を起こした責任は、巨大津波や電源喪失が引き起こす危険性を警告した「科学的根拠」を無視した東電や政府にある。
        
 ‶処理水〟のトリチウムは、単に莫大な量の海水で薄める(8/30午前9時トリチウム19㎥/h、海水14,952㎥/h)だけである。さらに堆積し強烈な放射能を発している燃料デブリの冷却水をALPS (多核種除去設備)で処理した‶処理水〟には60種類を超える放射性物質が含まれているが、それらの計測結果は、詳細に開示されてはいない。「科学的根拠」の不透明さこそ問題である。
        
 岸田は中国に対して「科学的根拠に基づかない禁輸は撤回せよ」と表明しているが、自分たちの持ち出している「科学的根拠」が、自分たちに都合よく解釈したものでないと、東電や岸田ははたして断言できるのか!「科学的根拠」とは客観的に検証されるべきものであり、権威によって証明されるものではない。
        
 第三機関(中立的な)かどうかも怪しい(単に「分担金問題」にとどまらない)国際原子力機関(IAEA)による報告書でさえ、「処理水」の海洋放出計画について「推奨するものでも、支持するものでもない」というものであった。「国際的な安全基準に合致」といっても、原発の燃料デブリに直接注水された冷却水による「汚染水」の安全な排出基準など存在しない。ALPSによって限定的に浄化された「ALPS処理水」を平常の原発からの排出基準で判定しているにすぎない。「放出ありき」の「科学的根拠」の疑念さえ晴らさず、政府は「お墨付きを得た」と開き直っているのだ。
        
 さらに本質的に、電力の生産から設備更新・廃棄までの一連の生産過程において、原発を安全に利用することは、今後改善されるとしても非常に困難だという問題がある。原発は正常な稼働中においてもトリチウムを排出し、万が一事故が発生した場合には福島原発事故のように多種類の放射性物質を放出する。また、原発の廃棄処理段階においても非常に困難を極める。
        
 要するに、安全に便利に安く電力を発電し利用するという点において、決定的な欠点を持つのであり、こうした欠点を覆い隠し、強引に利用するのは特別な理由があるからだ。原発に使用する濃縮ウラン製造技術は核兵器製造に転用可能であり、だから、原発が安全性に欠点を持つとしても、国家に分裂し相争う資本主義体制の世界にあっては、資本の国家は原発を欲する――労働者党は、また未来の人類は危険でコストのかかる原発に反対するが核エネルギーそのものに反対しない。安全で便利で労働時間をかけずに電力を作る手段ができるなら(中性子を出さず高い安全性能を担保できる核融合など)、温暖化を阻止し自然エネルギー利用の限界(地理的気候的)を補うばかりか、他の動力源として活用できるからである。
        
 (2)我々が警戒しなければならないのは、「科学的根拠」を振りかざして中国の禁輸を批判し、‶処理水〟放出に異議を唱える人々や団体に対して、反日や親中派のレッテルを貼って排外主義を煽る動きである。
        
 岸田は「中国発とされる多数の迷惑電話(中国大使館にも迷惑電話が集中していると報じられた)、日本大使館、日本人学校への投石などが行われ、これは遺憾なことであると言わざるを得ない」(日テレNEWS8/28)と中国による日本に対する嫌がらせに憤り、専門家同士の話し合いに中国側が応じていないと、非は中国側にあると主張した。
        
 岸田の発言が、国内の民族主義者や右派勢力を勢いづかせることは確実である。すでに「科学が風評に負けるのは国辱」「相応の禁輸措置の対抗措置は必須だ」という論調が登場している。
        
 共産党小池書記局長の「海洋放出を中止し、中国政府と事態の打開に向けた協議を行うべきだ」(8/28プライムオンライン)という記者会見での発言に対して、3752件ものネット住民の批判であふれかえった。
        
 いくつか紹介すると、【日本の国策にどうして中国や韓国に理解してもらわないといけないのか? 日本はこれまで説明を繰り返してきたが、相手が受け入れないとするならば、それはそれで仕方がない事で、外交努力を怠ったのとは違う】【日本国民でありながら日本政府だけに責任あると発言する貴方の党は自国の課題を全力挙げて科学的根拠に基づき他国を説得する事考えないのでしょうか?この考え方は日本の政治家・国会議員として、許されないものだと思います】、などである。決して反共右翼が繰り返す罵詈雑言の類ではないことに、警戒しなければならない。
        
 岸田は「海洋放出は安全」と言い張って、危険性を懸念する国民をだまそうとしている。それは安倍元首相が支持率アップを狙ったオリンピック誘致の際に、「福島はアンダーコントール(管理下にある)」と、福島第1原発廃炉の見通しもないままに、世界の人々をだましたのと同様である。菅前首相は、東電の海洋放出決定に対し、安倍の「アンダーコントロール」を擁護し、処理水の「放射性物質濃度は十分低い」と「科学的根拠」なしに、処理水放出を安易に容認し反発を買った。
        
 そして、岸田は身内の野村農水大臣の「汚染水」発言で政府の「真意」がこぼれ、政治不信を強めた。岸田は支持率低下に怯え野村をすぐに更迭せず(できず?)、うやむやにしようとしている。
        
 中国は‶処理水〟(中国は‶核汚染水〟と呼ぶ)海洋放出に対して、水産物全面禁輸で応じた。海洋放出をめぐる中国との対立は、国内における排外主義的世論の高まりを生み出している。
        
 海洋放出を自らの支配に利用しようとしているのは、中国習近平もそうである。中国は今、かつてない経済的危機に襲われている。不動産バブルは破綻し(海つばめ1457号参照)中国経済をけん引してきた輸出は停滞し、日米の最先端技術、製品の輸出規制などで経済成長は低い伸びにとどまっている。若者の失業率公表を突如中止する等、国民の習近平体制への反発を逸らすために、若者や労働者国民への情報統制を強めている。
        
 中国は世界第二位の経済力を背景に、海外への帝国主義的な経済進出を拡大し、軍事的な緊張関係を高め、日米などと覇権と権益をめぐって対立している。海洋放出をめぐって中国が激しく反発し、岸田を揺さぶり、「核汚染水」を太平洋に垂れ流していると報道し、国民に危機感を植え付け、日本に対する反発を煽る中国もまた、排外主義を自らの支配の手段として利用している。
        
 支配階級が「科学的根拠」を盾に排外主義を煽ることに断固として警戒しなければならない。「日の丸」を振り回し「軍歌」を流し罵詈雑言を振りまく右翼に代わって、与野党への政治不信の中で「科学的根拠」や「日本国民」を主張しながら、排外主義や国家主義的主張に取り込まれる人々が増えている。中国習近平体制の情報統制のもとで、中国においては日本や日本人に反発する排外主義が増大しつつある。
        
 福島汚染水の海への放流をめぐる日中対立は、アジア、太平洋地域の覇権をめぐる帝国主義的対立の反映であり、日中両国労働者を分断し、排外主義に取り込むのは日中の支配階級とその国家である。国家の巧妙な罠に絡めとられることなく、どこまでも排外主義に反対しそれを暴露して闘おう!(古)


軍事力の抜本的強化、反撃能力保有謳う
2023年度版「防衛白書」
2023年8月3日


        
 防衛省は2023年度版「防衛白書」(以下「白書」)を発表した。岸田政権は昨年 12 月、「国家安全保障戦略」など安保3文書を閣議決定したが、その後、初の「防衛白書」である。
        
 「白書」は、現在の国際社会について、「普遍的価値や政治・経済体制を共有しない国家が勢力を拡大しており、力による一方的な現状変更やその試みは、既存の国際秩序に対する深刻な挑戦であり、……国際社会は戦後最大の試練の時を迎え、新たな危機の時代に突入しつつある」と分析している。
        
 そして「白書」は、日本を取り巻く軍事動向として、まず中国について、軍事力を質・量ともに広範かつ急速に拡大し、日本周辺全体で軍事活動を活発化させるとともに台湾に対する軍事的圧力を高めていること、また南シナ海での軍事拠点化などを押し進めている、これは日本及び国際社会の平和と安定を確保し、法の支配に基づく国際秩序を強化するうえで「これまでにない最大の戦略的な挑戦」だと指摘している。
        
 また北朝鮮に対しては、弾道ミサイルなどの増強に集中的に取り組み、日本を攻撃する能力を既に保有していると見られ、「従前よりも一層重大かつ差し迫った脅威となっている」と危機意識を煽っている。
        
 さらにロシアのウクライナ侵略に触れ、ウクライナがロシアから侵略されたのは、「ウクライナが侵略を抑止するための十分な能力を保有していなかったことにあり、また、どの国も一国では自国の安全を守ることはできず、共同して侵攻に対処する意思と能力を持つ同盟国の重要性が再認識されている」としている。
        
 「白書」では、ロシアのウクライナ侵略からの教訓は、他国からの侵略を抑止するための軍事力を保有することであり、さらに「力による一方的な現状変更は困難であると認識させる抑止力が必要」であり、そのためには一国だけでは不十分であり、同盟国との軍事協力が不可欠だということである。かくして、日本の軍備増強と同盟国=米国との軍事協力の一層の強化が正当化されるのである。
        
 岸田政権の下で、これまでGDP比 1%枠内に収められていた軍事費は今後5年間にGDP比2%と一挙に倍増されることになった。軍事費GDP比1%は、日本が軍事大国にならず、〝平和国家〟として存在していくことを国際社会へ示す〝証し〟としてきたものである。しかし、岸田政権は中国やロシアさらには北朝鮮までも引き合いに、これまでのままであればウクライナのようになる危険があると危機意識を煽り、軍事費を倍増させることを決定した。
        
 軍事領域を宇宙・サイバー・電磁波まで広げる一方、軍事協力も米国のみならずオーストラリア、インドをはじめ太平洋地域諸国まで広げてきた。
        
 なかでも「防衛上の課題」として強調されているのは、「相手にとって軍事的手段では我が国侵攻の目標を達成することができず、生じる損害というコストに見合わないと認識させうるだけの能力をもつこと」だとされ、その主要なものとしてミサイル攻撃に対する「反撃能力」の保有が挙げられている。
        
 「白書」は、相手のミサイル拠点をたたく反撃能力の保有について、「侵攻を抑止する鍵」だとしている。
        
 これまで政府は攻撃相手国の基地への攻撃は謳ってこなかった。「専守防衛」の範囲を超えるからである。しかし、攻撃相手国へのミサイル拠点(司令部を含む)への攻撃も、「専守防衛」の枠内だとして、「反撃能力」の保有を打ち出したのである。これは「専守防衛」策の根本的な転換であることは明白である。ミサイル攻撃に対してミサイル拠点への攻撃が「専守防衛」だとされる。
        
 ならば、ミサイル迎撃だけではなく、攻撃相手国に全面的な攻撃も「専守防衛」とされることになるだろう。かつて日本の米国との戦争が、日本に対する「圧迫」に抗する「自衛」のための戦争と呼ばれたように、帝国主義国の戦争はどの戦争も互いに「自衛」のための戦争と言われてきた。
        
 岸田政権は日本の戦後の軍事政策を大転換させ、軍事大国の道を邁進しようとしている。政府は、日本が軍備増強するのは中国やロシア、北朝鮮の軍事的圧迫のためだと言う。だが、日本が軍事力の強化に走っているのは、アジアを中心に広がっている日本の大資本の利益や国家の利権を守るためであり、また国際社会の米国を中心とした〝ブルジョア自由主義的〟な秩序を守るためである。
        
 日本が軍備を増強するならば、相手国も対抗し、さらなる軍備拡張に走るだろう。政府は日本が被害者であるかに言っているが、日本もアジアをはじめ国際的な緊張を強めているのだ。
        
 米国を中心とする〝自由主義的〟帝国主義勢力と中国の国家資本主義帝国主義及びロシアの帝国主義との角逐が激化している。帝国主義が存在する以上、世界の平和はありえない。  (T)


共産党の偽りの党史
労働者の闘いを屈曲させたのが真実
2023年7月27日


        
 我々は7月9日刊の『海つばめ』1454号で、「加速する共産党の衰退」について論じたが、共産党は『日本共産党の百年』という党史を発表(出版は10月)、志位委員長は25日、党本部で発表記者会見を行った。
        
 『海つばめ』1454号では、6月に開催された共産党第8回中央委員会総会での、4月に行われた統一地方選共産党大敗の総括が、「共産党が労働大衆から遊離し、信頼をますます失っている原因から目をそらした開き直りともいえる志位指導部の政策を正当化する言い訳に終わっている」と指摘した。
        
 今回発表された『百年』史は、単に4月の選挙での敗北に対して自己正当化するというものでなく、より徹底的に現在の堕落した共産党の立場を正当化するものである。志位は記者会見で、『百年』史の「むすび」の部分を紹介し、次のように述べた。
        
 「六一年綱領確定以後の激しい攻防のプロセスのなかで支配勢力による攻撃と正面から切り結び、党は鍛えられ、理論的・政治的に新しい発展をかちとり、組織的にも時代にそくした成長と発展のための努力を続けてきました。同時に、『社公合意』以来の四十年あまりにわたった『日本共産党をのぞく』壁、くりかえされる各種の反共攻撃は、党建設の前進にとっての大きな障害になりました。全国各地で奮闘が続けられてきたものの、党はなお長期にわたる党勢の後退から前進に転ずることに成功していません。ここに党の最大の弱点があり、党の現状は、いま抜本的な前進に転じなければ情勢が求める任務を果たせなくなる危機に直面しています」。
        
 つまり、「理論的・政治的に新しい発展をかちとり、組織的にも時代にそくした成長と発展のための努力を続けて」きたが、「各種の反共攻撃は、党建設の前進にとっての大きな障害」となり、「長期にわたる党勢の後退から前進に転ずることに成功」できず、「ここに党の最大の弱点があり」、「いま抜本的な前進に転じなければ情勢が求める任務を果たせなくなる」と危機感を表明している。志位は第8回中央委員会総会で「政治対決の弁証法」の詭弁を振り回したが、同様の理屈で現状の衰退について、党員や支持者をごまかそうというのである。
        
 理論的・政治的に新しい発展」とは、共産党のブルジョア的堕落の深化のことである。志位は、『百年』史の主要な特徴として、「『百年』史では、日本共産党がこの1世紀に日本と世界の発展にとってどういう役割を果たしたかを克明に明らかにしている」、「日本共産党の百年は、大局において平和、民主主義、人権、暮らしなど、さまざまな面で国民の苦難を軽減し、日本の社会進歩に貢献し、世界史の本流に立ってそれを促進した歴史」だと言う。
        
 共産党が戦前に果たした無力な役割や戦後革命流産の責任などはまったく明らかにせず、民族主義の立場からの中ソ批判やソ連「社会主義」圏の崩壊について「体制選択論」攻撃などと評価しており、「科学的社会主義」を剽窃して、真に科学的な評価を避けて、自らのスターリニスト的過去を消し去ろうとしている。志位は「社会進歩」とあいまいな言い方しかせず、進歩とは資本主義から社会主義への前進のことであると明言しないのである。それは、志位共産党にとっては、資本主義の民主的改良をめざすだけだからなのである(岩)