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労働の解放をめざす労働者党機関紙『海つばめ』

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郵政民営化の中で何が起きているのか?
郵政労働者は告発する!

■民営化の嵐の中で最大の御用組合の登場――JPU臨時全国大会議案批判
■郵政民営化――今、職場では/郵政現場からの報告
■恐竜化か、リリパット化か――郵政民営化のジレンマ
■西川善文著『挑戦――日本郵政が目指すもの』/民営化に賭けるトップの本音


憲法改悪と
いかに闘うか?


■改憲に執念燃やす安倍――「国民の自主憲法」幻想を打ち破れ
■労働者は改憲策動といかに闘うか
■国民投票法をどう考えるか
■安倍の「美しい国」幻想――憲法改定にかける野望


本書は何よりも論戦の書であり、その刊行は日和見主義との闘いの一環である。
マルクスが『資本論』で書いていることの本当の意味と内容を知り、その理解を深めるうえでも、さらに『資本論』の解釈をめぐるいくつかの係争問題を解決するうえでも助けとなるだろう。


全国社研社刊、B6判271頁
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「不破哲三の“唯物史観”と『資本論』曲解』(林 紘義著)」紹介(『海つばめ』第1048号)


全国社研社刊、B6判384頁
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「天皇制を根底的に論じる『女帝もいらない 天皇制の廃絶を』(林 紘義著)」(『海つばめ』第989号)他

理論誌『プロメテウス』第54号
2010年10月(定価800円)

《特集》菅民主党のイデオロギーと“体質”
・神野直彦の思想と理論――菅直人のブレインは「曲学阿世の徒」
・原則なき寄せ集め政党――顕現するブルジョア的“体質”
反動的な「文化」の擁護に帰着――レヴィ=ストロースの「文化相対主義」批判


 
 
 教育のこれから
   「ゆとり」から「競争」
   そして「愛国教育」で
   いいのか
 林紘義 著 7月1日発売

  (全国社研社刊、定価2千円+税)
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まかり通る「偏向教育」、「つくる会」の策動、教育基本法改悪の動きの中で、“教育”とは何であり、いかに行われるべきかを、問いかける。  


 第一章  
教育基本法改悪案の出発点、
森の「教育改革策動」
 第二章  
破綻する「ゆとり」教育の幻想
 第三章  
“朝令暮改”の文科省、
「ゆとり」から「競争原理」へ
 第四章  
ペテンの検定制度と「つくる会」の教科書
 第五章  
歴史的評価なく詭弁とすりかえ
つくる会教科書(06年)の具体的検証
 第六章  
日の丸・君が代の強制と
石原都政の悪行の数々
 第七章  
憲法改悪の“露払い”、教基法改悪策動

●1361号 2019年9月22日
【一面トップ】消費増税の「転用」を許すな――さらに深まる安倍の半デマ政治
【コラム】飛耳長目
【二面〈主張〉】野党共闘と山本太郎――相性の悪い同床異夢にしか見えない
【二面トップ】ニコニコ生放送より転載の記事

※『海つばめ』PDF版見本

【1面トップ】

消費増税の「転用」を許すな
さらに深まる安倍の半デマ政治

安倍の本心はいずこ

 参院選に勝利して安倍は意気揚々と新体制を確立した。

 しかし今もって残された2年ほどの短い期間に、何をやりたいのかはっきりしない。オリンピック成功を退陣の花道におとなしく権力の座を去るのか、その間に自らの執念である憲法改定をやり遂げるのか、それとも憲法改定強行は2年内は無理と判断して、〝全世代型社会保障〟などの半デマ、ポピュリズム政治をさらに〝深掘り〟し、支持率を維持して時間を稼ぎ、もう一回4回目の自民総裁をやり、さらに憲法改定の実行を旗印に解散に撃って出て、第5期安倍政権に憲法改定の野望を託するのか。

 参院選後の安倍の言動を見ても、憲法改定を優先させるのか、全世代型社会保障の〝深掘り〟に励むつもりか判然としない。彼も本心をぼかしているかである。

 選挙後、安倍は「自民党立党以来の悲願」である憲法改定はあきらめない、「必ず成し遂げていく」と断言しつつ、「新しい社会保障制度の在り方を大胆に構築して行く」と大言壮語し、あたかも〝二刀流〟使いのように見せかけている。

 野心家で、自惚れ屋で、自尊心だけは高いが、しかも根底では愚か者の安倍が、プーチンや習近平やトランプらに負けてなるものかと、半恒久的な長期の〝専制〟政権(〝一強〟政権)を夢見るのも、十分にあり得ることである。

 彼は憲法改定については、参院選では「議論を行うべきは国民の声」ということがはっきりしたとか称し、組織体制として憲法改定を強行できる形を整えたかではあるが、「国会の中で」いかに議論を進めるとか、また国民投票をどんな形でやるかもはっきりしていないとか、何か熱の入らない感じで、組閣後には、新内閣が「挑戦する」課題として、社会保障の「全世代型社会保障」への転換などを上げたあと、「その先にあるのは憲法改定への挑戦だ」と語っている。

 こうした発言からすれば、安倍は差し当たり憲法改定ではなく「内外の諸課題」をこなして体制を整え、その後で憲法改定に「挑戦する」、つまりさらに長期の権力体制を固め、安倍一強の権力を維持し、急がずに野望を実現しようとしているかに見える。

 それを裏打ちするかに、安倍は社会保障の問題を重視し、さっそく安倍が先頭に立って「全世代型社会保障検討会議」を立ち上げると宣言し、〝団塊の世代〟が後期高齢者になり始める25年度から社会保障費が急増するのに備えて、これまで「引き延ばしてきた」?社会保障問題に取り組むと大げさに主張している。

 そして、年金と介護保険は年末にかけて議論した上で来年の通常国会で改革法案を提出し、医療の方は改革案は来年の夏にまとめ、秋から再来年の春までに法案を提出する予定であるというが、そうした課題が、騒がしく言いはやされている全世代型社会保障問題にどんな関係があり、いかに結びつくのか、つかないかは判然としない。

安倍と全世代型社会保障

 安倍政権は全世代型社会保障を呼号するが、しかし、12年の三党合意の時から「社会保障改革の本丸」とされてきたのは、医療や介護や年金ではなかったのか、一体それらは、安倍が消費増税の使い途を変えてまでしてやろうしている〝新しい〟社会保障、つまり安倍が美化し、推奨している「すべての世代が安心できる」社会保障、「子供から後継者まで後押しする社会保障」、すなわち言うところの〝全世代型社会保障〟と同じものなのか、別のものなのか。

 この二つのものが安倍によって都合よく使い分けられているが、同じものなら、別に「新しい」とか、古いとか言って区別され、ごちゃごちゃに論じられる必要はないし、別のものなら、なぜ消費増税を「転用」して全世代型社会保障に支出されるのか、「社会保障の改革の本丸」の部分にもなぜ「転用」されないのか(事実上、いくらでもすでに「転用」されているのではないのか)。

 安倍は今回の参院選でまだ2%の消費増税を行う前の17衆院選のとき、「消費増税の転用」を叫び始めたが、実際にすでにそれ以前からこっそり?「転用」を実行に移してきたのであって、消費税の10%引き上げが行われる以前に、すでに消費増税の5分の1ではなく、半分ほどが「転用」されてきているのである。

 安倍は17年の衆院選の時、大げさに「人づくり革命」とかを叫び、全世代型社会保障を謳い、〝乳幼児教育〟や〝高等教育〟の無償化を持ちだしたのであって、この時、安倍はすでに予定される消費増税から2兆円も〝当て込んで〟、財源としている。

 そして我々は、神奈川11区という289分の1の選挙区からではあったが、即時に、そして真っ先に、そんな安倍の〝新路線〟、新ポピュリズムに反撃し、それとの闘いを開始したのであった。

 そしてその闘いを、参院選という絶好の機会を迎え、断固として受け継ぎ、貫徹し、徹底的に深め、安倍政権を追い詰め、打撃を与え、圧倒するところにのみ、我々の躍進と勝利の展望があったことは確かである。それが貫徹できず〝敗北〟したことをこそ、我々の残念とも無念ともして、真剣に総括すべきであろう。

 もちろん我々は、指導的な立場にあった二人の代表委員が途中、重要な時に病で倒れ、また一人の候補者も病魔に襲われ、立候補を途中で辞退するとか、また中央も日和見主義的動揺にとらわれ、半ば解体し、指導的な任務が事実上果たせなくなるとか、財政担当が供託金が集まらないとパニックに襲われ、混乱と動揺をまきちらすとか、多くの、山のような困難が生じたことも大きな影響を及ぼしたが、もちろんそんなところに総括の中心をおくことは間違ってもできないし、すべきでない。

安倍の消費増税と、その許容しがたい転用

 マスコミ(朝日新聞)は参院選の中頃、首相に次のように注文を付け、文句を言っている。朝日の立場は消費税にも、その2%の増税にも賛成――社会保障の「充実」のため、それらは必要だし、支出増を謳うなら、収入増にも責任を持たなくては、社会も社会保障も成り立たない云々――だが、やり方が正しくないというのである。

 「与党は参院選で、増税で得られる収入の約半分を使う『安心への投資』を真っ先に訴える。幼児教育の無償化や所得の低い高齢者への給付金などだ。一方で、残り半分は国の借金を抑える目的で使うことにはほとんど触れていない。次世代へ先送りしている負担を減らす意義を、まずは有権者にきちんと伝える。そして理解を得る努力が必要だ」(7月10日、社説)。

 そこで、実態を検討してみると、2015年の政府資料によると、5%増税分14兆円の「内訳」は以下のようになっている。

Ⅰ、5%消費増税14兆円の使途

 ①後代の負担への付け回しの軽減―7・3兆円(14兆円の52%)

 ②基礎年金の2分の1の恒久化―-3・2兆円(同23%)

 ③社会保障の充実(社会保障4経費)―2・8兆円(同20%)

 注目すべきは、12年の合意では、財政再建に消費増税の5分の4つまり14兆円の80%(11・2兆円)が支出されるべきとされていたのに、すでに辛うじて52%(7・3兆円)しか支出されていないのであり、この割合は安倍がさらに全世代型社会保障の名目のもと、乳幼児教育無償化のために、さらに8000億円を「転用」することによって、50%を割り込むのは確実である。

 今後の「転用」を待たず、巨額のカネが事実上財政再建用から他の用途に転用されて、財政再建のための増税という趣旨は完全に空洞化しており、安倍政権はそうした傾向に拍車を掛けてきたのであり、さらにかけようとしているのである。財政再建は棚上げし、消費増税のすべてを安倍政権のための財政膨張に、バラまきに「転用」しかねない勢いであり、労働者・働く者の反撃がなければ必ずそうするであろう。

 ついでに③の部分の2・8兆円(安倍の新しい転用分も加えると、3・6兆円になるが)の詳細を示すと、以下のようである。

Ⅱ、消費増税における社会保障支出の内訳

 A医療・介護―1・5兆円

 B子育て―0・7兆円(乳幼児教育無償化への「転用」等で0・8兆円増加見込み)

 C年金―0・6兆円

 以上3項目(A、B、C)の合計をDとすると、2・8兆円であるが、従来の概念による社会保障はAとCの合計は2・1兆円である。

 安倍は消費増税から3・2兆円もくすね取って、基礎年金の国庫負担を3分の1から2分の1に引き上げたが、これは内容から言って、旧来の社会保障であって、〝新しい〟社会保障ではない、つまり安倍はすでに消費増税を旧来の社会保障にも「転用」しているのであり、この意味でも2012年の3党(自公民)合意による消費増税の趣旨を捻じ曲げ、政権の利益のために消費増税を私物化し、財政再建の課題と目的を無視し、放棄しているのである。 

 したがってまた、Bの部分に安倍の乳幼児教育無償化の約8000億円(0・8兆円)を加えれば、Dは3・6兆円(25%)に膨らむことになる。消費増税の5分の4、つまり11・2兆円が財政再建のために配分されるといわれながら、すでに2分の1ほどしか支出されていないのである。財政再建のための何兆円という消費増税のカネが、財政再建のためから、すでに安倍政権のバラまきのために「転用されて来た」し、今後もされようとしているということである。

 年々消費増税による14兆円の収入は、これまでもすでに先に確認されたように、安倍政権によって社会保障と財政再建のために確実に分けられるのではなく、また分けられては来なかった。すでに国民年金の国庫負担が2分の1に引き上げられた時から、そのカネは消費増税から負担されることが決められ、消費増税が行われる以前から国債の発行(つまり国家の借金)によって負担され、補填されてきている。子育て支援や乳幼児教育無償化等々の費用も、実際には、同様に税金によってではなく、国債の発行に依存してきた。消費増税のカネで実際にカバーされるのではなく、借金という形(現実にまだ消費増税は決まっておらず、徴収もされていなかったから、当然そうなるしかない)で、財政再建を軽視し、放棄する分割問題は、まるで〝みなし制度〟――計算だけの話、見掛けだけの収入、支出の話――のようなものであり、政治や政治家がいくらでも勝手に変更できるようなものであり、また容易に財政再建を犠牲にしてバラまきに「転用」できるような、不真面目で、いい加減な制度であったと結論するしかない。

 そして安倍政権が、国家が消費増税を徴収した時、彼らがそのカネで、すでに国債の発行で、借金で支出してしまったカネを現実に払うという保証もないのであり、むしろ彼らはそんなものを全体の借金の中に紛れ込ませ、あいまいにし、ごまかしてしまうのは100%確かであろう。残るのは全体としての国の債務の膨張であり、それだけであり、財政再建どころか、むしろその反対の国家破産の深化だけである。

 国家官僚や安倍政権といった連中は何というあさましい、腹黒い連中であろうか、財政再建の名のもとに堂々とバラまきに励むのであり、励むことができるとは。まさに、彼らはすでに、国民を嘘や詐術や虚偽や策略や権謀術数で手玉に取り、専制や無意味で、国民の全体を絶望と死と不幸と地獄のような専制と戦争に導いた、ファシストやかつての天皇制軍部のような連中と、同レベルの真実の悪党に堕していないのか。

 だからこそ、我々は消費増税そのものにも増して、その「転用」に反対し、それを告発し、粉砕するために闘わなくてはならないのである。これはまさに〝左右の〟ポピュリストに反対する我々の一貫した闘いの一部であり、今後ますます重要性を増す労働者・働く者の闘いの中心環をなすものであり、さらには、様々な形を取って登場するファシズム勢力を粉砕して労働者・働く者の解放にまでつながる、闘いの不可避の、必然的な道なのである。

 そして今では、社会保障の柱は3本ではなく、民主党政権から強調され、安倍政権もいくらか修正して受け継いだ「子育て支援」を加えて、全世代型社会保障で4番目の柱となったから4本であるといわれている。しかしそんなことは概念の混沌、混同であって、間違っている。労働者の観点からすれば、子育てや幼児教育の無償化等々は、それらの性格や内容からしてポピュリズム政権、半ファシズム政権によるバラまきであり、むしろ社会的に浪費や無駄遣いか、あるいはむしろ有害な種類の財政支出であり、そこに分類され、非難され、一掃されなくてはならないのであって、そんな観念に冒されていくなら、労働者・働く者の闘いはゆがめられ、無力となるか、崩壊して行くだけに留まらず、ポピュリズムの最高の形態であり、その究極的な表現、到達点、総決算でもあるファシズム運動に圧倒され、巻き込まれ、またまた敗北するしかなくなるであろう。

安倍政権打倒の旗印を高く掲げるべき時

 我々は一貫して、安倍の全世代型社会保障や、その現実的な内容である乳幼児教育無償化等々は、保育や学童や公的教育の充実等々とは、その本性上、全く別物であって、水と油が決して交わり、融合できないのと同様、〝似て非なるもの〟であると主張してきた。

 安倍は憲法改定策動をこそ、自らの真の〝政治決戦〟と、歴史の決定的な曲がり角と心得ているかである、つまり安倍の政治路線が勝利して行くか、労働者・働く者の闘いによって、それを粉砕して行くかは、日本の近い将来にとって重大な歴史的意味と意義を持つと本能的に自覚しているかである。安倍の自覚の如何にかかわらず、客観的に、それは正しいかもしれない、というのは世界の歴史にせよ、日本の歴史にせよ、そうした「時」は実際にいくらでもあるし、あったからである(そしてこうした「時」はしばしば、後になってより明確に確認され、自覚されるのだが)。

 19参院選においても、安倍は憲法改定でも、軍拡主義でも、帝国主義の政策でもなく、自らが得意と思い込んでいる「経済政策」を掲げて勝利した。

 もちろん必ずしも、安倍の珍奇な、ごまかしの政策によって、安倍が勝利したということではないにしても、少なくとも多くの国民はそんな安っぽく、下品な品物――バラまき政策――に幻惑され、そこそこの魅力を見出し、野党の持ちだした、同様に安価な商品よりもましと考えて、そんなものを購買したのである、そんなつまらないものでも、十分に安倍の政治の腐敗や横着で、厚顔無恥で、有害なポピュリズム政治や、専横で、傲慢な腐敗・反動政治をごまかし、隠蔽する役割は十分に果たしたのである。

 労働者・働く者は今こそ、安倍の消費増税の「転用」というイカサマ政治の粉砕を目指し、さらには安倍政権打倒の闘いを徹底的に発展させていくべき時である。

   (林)
※中見出し<安倍の消費増税と、その許しがたい転用>の一部に原文では誤りがあったのを訂正しました。
①3段1行: 2017年→2015年
②同.3行: 「Ⅰ 2%の消費増税5.6兆円の使途」→「5%の消費税14兆円の使途」
③4段最終行: 「さらに50%を割り込む」→「50%を割り込む」

   

【飛耳長目】

★細川勝紀氏が7月6日に永眠された。最後まで入党されなかったが、若いころから一貫して我々の闘いに、無条件といえる支持と支援の姿勢を崩すことはなかった★長い付き合いで、党としても個人としても多くの後援や応援を頂き、健康についてもほとんど日常的に、医者の立場からの助言をもらっていた身として、衝撃と悲しみと寂寥感、喪失感に打ちひしがれている。80才を超えると、そんな人が何人も出てくる★亡くなる2ヵ月前に出版された氏のライフワーク「労働環境病の提唱―『生活習慣病』批判」の意義については、すでに海つばめ(1354号)に書かせてもらったので一読し、氏を偲んでください★著書では、氏は労働者の自殺について書いて、自殺なんてするな、そのエネルギーを体制への怒りに変え、「しぶとく生き抜こう。そして労働者政権を作ろう」と呼びかけたが、終生の連れ合いは、本人はまだ70才そこそこ、死ぬ年ではない、死ねないと思ってか、あらゆる手段を追求し、癌に「しぶとく」抵抗したが、かなわなかったと涙ながらに語ってくれた★氏の著作については、タバコは労働者や自分も、心身のストレスの一時的解消や忘却のために〝有効〟で、意義があると書いて、そこだけに私は異議を唱えたが、もし氏の喫煙病が病気に対する抵抗力をいくらかでも弱めたとしたら、何というべきか★尊い仲間の死に合掌。(鵬)

   

【主張】

野党共闘と山本太郎
相性の悪い同床異夢にしか見えない

 共産党の志位とれいわの山本の〝党首会談〟が、12日国会で行われ、二人の間で、野党共闘だけでなく、「野党共闘政権」を目指す、憲法改定反対や、消費増税反対から、さらに進んで消費税の廃止を勝ち取る等々で意思が一致したという。

 志位が野党共闘政権を謳っても、国・民はもちろん立・民さえ冷淡で、むしろ共産党抜きの野党共闘の動きを強める中、焦る志位にとっては今や山本の存在ほどありがたい存在はないとばかりへつらい、世辞を振りまいている。

 勇ましく次の衆院選で政権を取りに行く、100人の候補者を擁立する、いまそのメンバーを全国を回って集めていると気炎を上げたはいいが、山本は気炎やはったりだけで政権を取れるはずもなく、たちまち野党共闘に便乗して「政権を取る」つもりになり、一番与しやすい志位に接近している。性格や出生も全く違う、二人の無節操な政治屋の共演の始まりだ。

 志位は山本を取り込むことで強力な味方を得て、野党共闘勢力による政府獲得の前に洋々たる道が開らけたかの幻想にふけるのだが、山本は山本で、志位や野党共闘を利用して、政権へと駆け上る道を見つけようというのである。

 しかし山本が野党共闘派として公然と名乗りを上げたからと言って、これまで以上に野党共闘路線や、それによる連合政府の展望が開けたなどと思うのは完全な思い違いだろう。

 実際にはその反対であって、山本の参加は野党の大同団結にさらに困難で、面倒な要素をもたらしかねない。つまり野党共闘派は元民進党系の勢力と、観念的左派系――共産党を中心とする勢力――に分裂し、二分化しかねないことである。

 それに野党共闘派の政権で中心の役割を果たすのは立・民か国・民か、共産党かれいわか。首相は枝野か玉木か、志位か山本か。誰になっても、そんな政府がまとまりそうになく、成立した次の日にたちまち、もろくも崩壊しかねない。

 実際、衆院選に向けて野党共闘の話し合いは、共産党を無関係の第三者と無視し、立・民と国・民の2党の間だけで熱心に行われている。しかもこの2党の間ですら、お互いに自党第一で角を突き合わせるのだからギスギスするだけ、4党や5党も集まったらただ混乱だけである。

 「政権獲得の構想もしくは展望を打ち出」せば、労働者・働く者が野党の「本気度」を見て、関心を持ち、支持するというのは志位の〝一人読み〟でしかない。

 共産党は例えば、消費増税だけではなく、消費税の廃止や原発の一掃や、15年の〝戦争法〟(安保関連法)の撤廃も野党共闘政府の綱領に入れようとするが、そんな主張にこだわるなら、野党共闘自体が動揺し、たちまち空中分解するだろう。

 山本自身、野党共闘にれいわが参加する条件は、消費税5%への引き下げが最低条件だと言っていたのに、志位との会談では、「具体的に、まずは10%中止は当然という前提に立った上で、5%に下げるための具体的・合理的な話し合いをまず進める」と、歯切れも悪く、ごまかしの話にふけるだけである。

 志位は志位で、消費税の全廃では一致している、「5%への減税は一つの選択肢」だと、こちらも山本の顔を立てつつ、曖昧模糊とした、思い付きのおしゃべりで応じるだけである。

 無力な野党諸党は、おしゃべりや小田原評定に終始し、結局は衆院選までにてんでバラバラで右往左往する状態に留まり、またまた安倍をして名を成さしめるだけなのか。そうした現実は山本が加わることで解消され、力強く野党共闘派が台頭し、安倍政権を追い詰めると考えるなら幻想で、実際には野党共闘派の致命的な敗北と最終的な解体に行きつくだけである。


【2面トップ】

ニコニコ生放送より転載の記事
   

 7月21日(日)、参院選の投票が締め切られ、開票が始まった直後、林代表はニコニコ動画の畠山氏の電話によるインタビューを受けました。その記録を掲載します。結果が何も分からない段階での林代表の見解であり、我々の闘いの総括に当たっても参考になると思います。冒頭の部分はすでに海つばめ(1358号、8月11日)に掲載済みですが、今回はその続きです。(編集担当)

畠「以前何回か労働者党で国政選挙に出ましたね」

林「何回も何回も出ました。そのあとサークルでやってましたから、やっぱり、サークルでやってますと、意識が後退するんです」

畠「意識が後退してしまう?」

林「こういう社会ですから」

畠「立候補する意思もなくなっていってしまう、と?」

林「まあ立候補というか、もっと根本的に、運動を続けていこうという気持ちが後退していく。やっぱり環境の影響を受けますから、人間っていうのは」

畠「じゃあだんだん、何というんですかね、強い衝動がなくなって弱っていったということなんでしょうか?」

林「そうじゃない人もいます。しかし、先頭に立ってやるという人が少ないのは、意識や意思が後退したということだと思います」

畠「うーん、そうか。でも立候補するのって権利じゃないですか?」

林「権利って、どういう意味ですか?」

畠「被選挙権っていうのは」

林「いや、権利でやっているんじゃないんです」

畠「権利じゃない?」

林「権利じゃないです。積極的にやる意思がないんですからね。権利以前の、別の問題でしょ」

畠「やる意思がないと?」

林「やりたくないとかね」

畠「やりたくない?」

林「候補者でやるっていうのは、大変なんですよ」

畠「はい、はい、はい」

林「そういうふうに考える人が多いんです、意識が後退するとね。家族関係もあり、そういうことも重圧だと、みんな考えるんですね。そこを決心してやるというのは、やっぱり並大抵じゃない。そういうことで、説得するのも苦労しました」

畠「なるほど。それでも今回10人で選挙を闘われて、一番やはり闘ってよかったなあって思われた瞬間というのは、どんな時だったんでしょう?」

林「やっぱり候補者カーなんかで行って、街頭の方から支持するっていうサインを送ってくれる方とかね、反応がある時は、そりゃあ一番うれしいですね」

畠「その時が出てよかったと思われる?」

林「出てよかったと思えるのは、最終的には、勝ったら思いますけどね。勝つというのは、私たちの場合、一人議席を比例区で占めたらとか、100万票取れたらですね。大変なカネも使ったりしていますから」

畠「はい、はい、はい、なるほど。今回は特定枠をお使いになってらっしゃいますよね。この特定枠を使われた意図は、どんなところにあったんでしょう?」

林「色々な人を考えたりしたんですが、最後は伊藤恵子さん、しっかりした女性ですから。そういう女性がやっていただければ、アピール力があると思いました。女性は非正規労働者が多いとか、貧しいとか、差別待遇を受けているのは女性労働者ですから。」

畠「なるほど、それで伊藤さんを特定枠に指定されたということですよね。これはれいわ新選組の山本太郎さんとすごく戦略的に似ているんじゃない」

林「全然違います」

畠「全然違いますか」

林「私は、ご承知かどうか知りませんけれど、私は高齢なんです。6年ありますよね、任期いっぱいだと。そのころは死んでるかもしれません」

畠「死なないです」

林「そりゃあ分かりません。70代の時、大腸がんと肺がんを切ったりして、今はもう5年たって、再発も転移もないっていうことにはなっていますが、いつ死んでもいい年です」

畠「じゃあ、寛解状態にあるっていうことですね?」

林「そういうこともあったり、他にも健康不安はありますから。私は伊藤さんを押し上げる役割です」

畠「なるほど、そういうことがあったんですね。わかりました」

林「山本さんは自分を3番目にもっていって、300万票取って自分も当選するつもりかどうか知りませんが、私はそんなふうに思っていません」

畠「なるほど、とにかく、伊藤さんを押し上げるために闘ったと」

林「今のところ、我々は山本さんみたいに300万票取れるなんて、そんな党だとはまだ思っていません。100万票取れたらいい方で、実際にはその半分ぐらいじゃないですか、分からんけど。私の見通しは、よくてそんなものです」

畠「なるほど」

林「だから、闘争がもうちょっと自分でも納得いけば、もう少し勢いが出たかと思ってます。うまくいかなかったら私の責任だと思って落ち込んでます」

畠「落ち込んでるんですか。政見放送がもっとうまく行っていれば、ということですね」

林「私の最後のころの街頭演説を聞いてくださった方は、勢いとか、安倍政権の消費増税の『転用』とか、目玉政策の『全世代型社会保障』もインチキ社会保障で、そんな邪道なポピュリズム悪政と闘い得ない野党を批判して、これじゃ野党勝てないと、そういうことを分かり易く演説していましたから。一貫して、そういう闘いをやれたら良かったとか、やるべきだったとか。あとの祭りですがね」

畠「分かりました」

林「いろいろ『判断ミス』があったり、スケジュールで追い詰められたとか、色々言い訳を言えばあるんですが、結果が出せなく、党の皆さんにも、応援してくれた皆さんにも本当に申し訳ないと思っています」

畠「なるほど」

林「いや、結果はまだ分かりませんが、今夜は落ち込んでおり、そんな心境です。

なんか実況みたいなこととか、言っておりましたよね」

畠「ではまた宜しく。ありがとうございました」