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労働の解放をめざす労働者党機関紙『海つばめ』

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アベノミクス」を撃つ
カネをバラまくことで国も経済も救えない。


著者・林 紘義
全国社研社刊
定価=2000円(+税)
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「アベノミクス」を徹底批判

崩れゆく資本主義、「賃金奴隷制」の廃絶を
資本の無政府主義の横行闊歩そして蔓延する国家の無政府主義


著者・林 紘義
全国社研社刊
定価=3000円(+税)
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序 章=世界恐慌の勃発とその必然性 第一章=“株式”資本主義の横行とその「論理」 第二章=“株式”資本主義の“暴走”と堀江、村上“現象” 第三章=日本版“新”自由主義とその結末 第四章=“金融重視”政策のとどのつまり 第五章=銀行救済と「公的資金の投入」 第六章=歯止めなき財政膨張と近づく国家破産 第七章=“グローバリズム”と労働者階級 第八章=階級的闘いを貫徹し資本の支配の一掃を 

『「資本」の基礎としての「商品」とは何か』


著者・林 紘義
全国社研社刊
定価=1600円(+税)
●お申し込みは全国社研社または各支部・党員まで。

《全九回の報告及び講義のテーマ》
第一回 「資本」とは何か?
第二回 「冒頭の商品」の性格について
第三回 「労働価値説」の論証
第四回 「交換価値」の“質的”側面と貨幣の必然性
第五回 商品の「物神的性格」(“呪物的”性格)
第六回 貨幣の諸機能と“価格”(貨幣の「価値尺度」機能)
第七回 紙幣(もしくは“紙幣化”した――して行く――銀行券)とインフレーション
第八回 特殊な商品――労働力、資本、土地等
第九回 『資本論』(「商品」)と社会主義

林 紘義著作集 全六巻


著者・林 紘義
全国社研社刊
定価=各巻2000円(+税)
●お申し込みは全国社研社または各支部・党員まで。

第一巻=「労働価値説」擁護のために
第二巻=幻想の社会主義(国家資本主義の理論)
第三巻=腐りゆく資本主義
第四巻=観念的、宗教的迷妄との闘い
第五巻=女性解放と教育改革
第六巻=民族主義、国家主義に抗して


●1520号 2026年4月12日
【一面トップ】 恐怖と脅迫、爆撃でイラン破壊!
        ――トランプは日本に不満を表明
【一面サブ】  高市の姑息な燃料高対策
        ――価格抑制のための補助金支給は際限なし
【コラム】   飛耳長目
【二面トップ】 無責任な〝高市積極財政〟
        ――特例公債法改定で緩む財政規律
【二面サブ】  俗流経済学の末路
【二面サブ2】 故小林義昌同志を悼む
       ※『海つばめ』PDF版見本

【1面トップ】

恐怖と脅迫、爆撃でイラン破壊!

トランプは日本に不満を表明

 トランプは8日に予定していたイランへの全面的な破壊攻撃を延期した。米国とイランの協議が10日に行われる予定だが、予断を許さない状況である。

◇イランを口汚く罵るトランプ

 トランプは今月4日、イランがホルムズ海峡を開放しなければ攻撃を激化する、「時間切れが迫っている。あらゆる地獄が降り注ぐまであと48時間だ」と投稿(発言は二転三転している)。ネタニヤフもエネルギー施設への攻撃を準備し「我々はイラン政権を徹底的にたたき潰す」と、極悪人トランプとネタニヤフによる大規模なインフラ攻撃が行われようとしている。

 イランも「地域全体がお前たちにとって地獄となることを忘れるな」と対抗している。火薬庫の火はつけられた。トランプのイラン軍事攻撃の戦費は、米国議会への国防省の報告に基づく試算で開始から一カ月で2百億ドル。へグセス国防長官は「悪者を殺すには金がかかる」追加で2千億ドルを要求した(BBC)。

 苛烈な軍事攻撃にもかかわらず、イランの反撃は続いている。3日には今回の攻撃で初めて米軍のF15戦闘機が撃墜された。ホルムズ海峡の封鎖は続き、米軍基地に対する攻撃や基地を置く湾岸各国の製油施設などに対する攻撃が繰り返されている。トランプの願望はことごとくはずれ、ホルムズ海峡封鎖によって、原油、金融・債権市場の動揺は収まらず、トランプの終結宣言にもかかわらず米国がイランから撤収することが不可能な状況に追いやられている。

 今月1日の大統領演説でトランプは「イランを石器時代に戻す」と発言し、帝国主義者の野蛮さを露わにした。

 イラン人民を侮蔑する発言は、米国に対するイラン人民の反発を反動的なイスラム体制のもとに統合し、反撃が激しくなる可能性がある。イランでは12歳以上の少年に対して革命防衛隊が「祖国防衛戦士」の志願兵募集を開始した(この報道は新聞の電子版などから削除された)。

 米軍との地上での戦闘を想定した後方支援兵力の増強は、イスラム体制を守るために〝聖戦(ジハード)〟の宗教的教義の下に、自爆攻撃要員として少年兵が使い捨てられるのは、反政府運動に参加した数万の人々を無慈悲に殺害したイランの「革命防衛隊」を見れば容易に想像がつく。

◇イラン攻撃は米国不信を決定づけた

 イランに対する軍事攻撃に対して英仏独伊などは、トランプからのホルムズ海峡封鎖解除支援に応じることを拒否した。英国のスターマー首相は「我々の戦争ではない」と主張し、フランスのマクロン大統領は、「自分たちだけで決めた作戦が支援を受けていないと、あとになって不満を言う」とトランプを批判した。

 ドイツのシュタインマイヤー大統領は、米国とイスラエルによる攻撃について「この戦争は国際法に反するもので、疑いの余地はほとんどない」、トランプとの良好な関係で欧州における〝盟友〟イタリアのメローニ首相は「私の考え自体は変わらない(米国と意見を異にして得られるものはほとんどない)」が、イラン攻撃については「我々は意見が違う」と述べた。

 NATO諸国からの批判に対してトランプは、これまでも繰り返してきたNATO脱退を〝真剣に検討している〟と今月1日に英テレグラムのインタビューで表明したが、それはウクライナ支援と引き換えのトランプ流ディールである。トランプは、NATOが「張り子の虎」でプーチンもそれを知っていると述べ、「ウクライナ優先支援リスト(PURL)」(武器供給)を停止すると、批判的なNATOを脅した。

 プーチンはイラン攻撃に乗じて米国に、ウクライナ東部ドンバスを2か月以内に制圧する、ウクライナ軍が撤退すれば、「戦争は終結する」とトランプに伝えた。イラン攻撃でウクライナ和平への関心を失っているトランプの足元を見たプーチンの揺さぶりだ。イラン攻撃で原油価格は高騰し、収入が増加し、ロシア経済制裁は骨抜きになり、イラン攻撃はトランプからプーチンへのサプライズなプレゼントとなった。

◇トランプの不満と日米の力関係

 日本や英独仏伊蘭など6か国は、3月19日にホルムズ海峡航行の「共同声明」(適切な取り組みに貢献する用意がある)を発出した(2日時点参加国は37か国)。それは、米国・イスラエルによるイランに対する軍事攻撃には全く触れず、イランによるホルムズ海峡封鎖とイランによる反撃の停止を要求する一方的なもので、トランプが野蛮な暴力で封鎖の解除と石油資源を奪い取ろうとするのに対して「共同声明」は、〝外交的立場〟を強調しているだけだ。

 トランプは6日の記者会見で、「NATOだけが私たちを助けてくれなかったわけではない」と述べて、「誰が助けてくれなかったか、日本だ」と言及し「私たちは北朝鮮から日本を守るために、日本に5万人を駐留させている」と、脅迫と不満を表明した。

 日本の国益を追求する民族主義者高市としては、米国を〝助けなかった〟のは、「共同声明」参加国に日本のホルムズ海峡「海上回廊」の立場を働きかけ、機雷除去等が必要になれば、日本主導での艦船派遣等が可能になると考えたのであろう。

 安く、安定的に供給される原油は日本資本主義の生命線である。日本は、仏独などと違いEUの様な共通市場はなく、軍事同盟は「日米安保」だけだ。中国との帝国主義的権益争いも、米軍との広範で深い軍事的連携なくしては成り立たない。トランプの非道なイラン攻撃に、「我々は違う」(メローニ)と、高市は日本の利害からも力関係からも言えないのである。

労働者党は呼びかける。

☆トランプ・ネタ二ヤフによる殺害と破壊を目的とした軍事攻撃を
 糾弾しよう!
☆高市はイランへの軍事攻撃の支援、協力をやめよ!
☆労働者党に結集し、国際主義的な闘いを開始しよう!
 (古)


【1面サブ】

高市の姑息な燃料高対策

価格抑制のための補助金支給は際限なし

 米国とイスラエルによるイランへの攻撃でホルムズ海峡が封鎖され、ガソリン、軽油などの価格が軒並み高騰している。これに対して高市政権は、「生活や経済活動を助ける」ためと称して、「価格上昇抑制」のために補助金支給を始めた。しかし、本当に助けとなるのかそれが問題だ。

◇支給の期限も制限もなし

 ガソリン補助金は3月19日から始められた。それはレギュラーガソリンの全国平均価格1リットル=170円程度になるように、それを超える部分について全額元売り企業に補助金を支給するものだ。170円という価格は、暫定税率(1リットル当たり25円)廃止によって1~2月のガソリン価格が150円台~160円台前半で推移していた価格を基準としている。しかし、3月19~25日の補助金の額は1リットル当たり30・2円であったが、その後の価格上昇によって4月1日には49・8円となった。

 ガソリン補助金制度は、政府から元売り各社に直接補助金を支給し、元売り各社は補助金を差し引いた金額でガソリンを小売業者に販売し、小売り業者の販売価格に政府の補助金が反映されるという方式である。

 支給される補助金の額はいくらまでという上限は定められておらず、またいつまでという期限も決められていない。だが、ホルムズ海峡の封鎖がいつまで続くのか、さらに封鎖が解かれたとしても、戦争で破壊された石油採掘・貯蔵施設が回復され、原油の輸入がいつまでに元通りになるのかは現在のところ全く不明であり、回復が遅れれば遅れるほど補助金の合計額は増えていく。補助金支給の対象となるのはガソリン以外にも軽油、重油、灯油、航空機燃料もある。

 政府のガソリン補助金はロシアのウクライナ軍事進攻などによる原油価格高騰のあった22年から断続的に続けられ、累計8・1兆円が投じられた。政府は今回の補助金の財源としては基金残高の2800億円に加えて予備費8600億円を充てる計画だ。しかし、補助金は7月には財源が枯渇するという計算もある(第一ライフ資産運用経済研究所・新家良貴、日経新聞4・2)。

◇高市は米・イスラエルのイラン攻撃に反対せよ

 高市はガソリン補助金支給政策について「国民の生活と経済活動を守るための措置」と力説している。そうであるなら、原油価格の高騰の抑制よりも、まず原油が輸入できるようにするために、米国・イスラエルとイランの戦争の解決が追求されなくてはならない。

 戦争の原因は、トランプの米国が一方的にイランを攻撃したことにある。トランプはイランが核開発を行っていると非難して、イランに対してイスラエルと共同して爆撃を行っているが、それはまったくでたらめである。昨年6月、イランとの核交渉では、イランが核開発を行わないということでまとまりかけた会議から米国は一方的に離脱し、イランへの爆撃攻撃を行ったのである。

 続いて今年、米国はイラン最高指導者などを次々に殺害し、「イランの体制変更」を迫り、それが失敗すると、封鎖された「ホルムズ海峡の解放」、「全濃縮ウランの国際原子力機関への引き渡し」、「ミサイル保有や射程の制限」などの要求を突きつけ、これを拒否すれば「イランを石器時代に引き戻す」とか「地獄で暮らすことになる」など恫喝を繰り返している。

 イランに一方的に野蛮な攻撃を繰り返したり、日本になんの断りもなく、日本の基地からイラン攻撃のための艦船や兵隊を送り込んでいるトランプに対して、一言も抗議の声を上げるでもなく、米国のイラン攻撃は「いいか悪いかの判断は困難」などと言って傍観しているのが高市政権である。

 原油価格の高騰から「国民生活や経済活動を守る」と言うならば、まずその原因となったトランプ政権のイランへの帝国主義的野蛮な戦争こそ止めさせるべきである。こうした行動を抜きに、燃料価格高騰抑制のための補助金の支給は一時的な取り繕い策だ。 (T)


    

【飛耳長目】

★環境省は3月27日、一般廃棄物処理事業経費が年間2兆4489億円に達し、前年度より約1577億円、6・9%増えたと発表した。日本のGDP(国内総生産)が停滞傾向にあるのに、ゴミだけは増えている★国土の狭い日本では、ゴミの埋め立て処分には制限・制約が多く、約8割が焼却処分されている。その一方で全国の焼却炉は老朽化による閉鎖や広域化が進み、2000年の1715基が23年には991基にまで減った。それでも、世界の焼却炉の半分が日本に集中している★ゴミを燃やして減量化・無害化し、焼却熱を利用した発電設備を持つ施設は約4割あるが、発電効率は低い。それよりも焼却熱を蒸気として供給すれば、焼却発電より倍以上効率が高くなるので、高温の蒸気を必要とする工場との連携は、カーボンニュートラルに向けた産業構造の転換の一つとして注目されている★廃棄物が自然の物質代謝の中におさまり吸収・分解されるなら何の問題もない。このサイクルに入り込まないものでも、適正な管理のもとに処分(埋め立て等)することは可能だ。だが、技術的に可能ということと、それを実際に行うことの間には大きなへだたりがある。資本は常にそれをコストとしてとらえ、サボタージュする。ここでも資本との闘いが欠かせないのだ。 (Y)


【2面トップ】

無責任な〝高市積極財政

特例公債法改定で緩む財政規律

 高市政権は、2026年度予算年度内成立を断念し、野党が求める暫定予算を成立させた。野党は税制改正関連法や特例公債法改定の審議に応じ法案は成立した。しかし特例公債法改定は、政府の更なる赤字国債の発行を認めるものだ。高市はますます無責任な「積極財政」に突き進む。

◇成立した特例公債法改定

 年度末3月31日、特例公債法改定、財政改革関連法、高校授業料無償化改定法など、政府・与党が年度内成立を不可欠と位置づける「日切れ法」が成立した。特例公債法改定は、新年度から5年間にわたって赤字国債を発行できるようにするものだ。

 日本は、軍事費調達のために巨額の公債を発行し戦争を進めた戦前の反省にたち、戦後の財政法で「国の歳出は、公債又は借入金以外の歳入を以て、その財源としなければならない」と定められ、公債は公共事業費などのための「建設公債」に限って公債発行を認めた。

 しかしオイルショック後の不況により税収が落ち込んだ1975年、単年度立法として特例公債法が定められ、税収不足を補填するための公債を発行する特例措置が認められた。

 その単年度を5年にわたり発行を可能にしたのが、野田政権の下での2012年11月に成立した特例公債法改定だ。その時「特例公債発行額の抑制に取り組むこと」が、民主、自民、公明の3党確認書に明記されたが、その後も赤字国債は増え続け、16年と21年にも特例法を改定し、公債発行権限を5年間ずつ伸ばした。そして今年26年にも特例法を改定したのだ。

 25年末で赤字国債などの「国の借金」は1342兆円にもなる。今回の特例公債法改定は、国債発行をさらに進めようとするものだ。

◇財政悪化で労働者の生活破綻へ

 財政改革関連法では、所得税額に1%を課す防衛特別所得税を導入し、軍事費のための増税を図っている。そして所得税がかかり始める年収の水準「課税最低限」の「年収の壁」の160万円から178万円に引き上げる減税措置、軽油の暫定税率の廃止などの減税措置が決まった。

 また、高校授業料無償化改正法では、所得制限が撤廃され、私立高校の支給上限額が引き上げられ実質無償化が実現する。

 減税や授業料無償化の恩恵は、低所得世帯だけではなく、高額所得者にも渡るものであり、政権の人気取りの「バラマキ」政策に他ならないが、その財源は示し得ない。

 高市は軍事予算を増大化させ軍事力強大化を図り、外国人政策の厳格化、スパイ防止法制定、国家情報局設置など、労働者に敵対する排外主義的強権的政策を進め、一方で減税措置、教育無償化などの労働者大衆への人気取り政策を進めるのだ。

 みらい以外の与野党は、物価高対策として消費税減税を掲げているが、減税に代わる財源は借金頼みだ。軍事費削減や高所得者への増税などを勝ち取る、労働者の断固たる闘いがなければ、政府は安易な方法で赤字国債の発行を続けるであろう。

 高市の財源のない「積極財政」は、国家の財政難、財政破綻をさらに悪化させる。26年度予算案では、金利上昇も重なり、国債の返済や利払いにかかる国債費は過去最大の31兆円に達している。金利高や円安が進み物価高をもたらし、労働者大衆の生活困難を引き起こしている。

 「国の借金」は増税や社会保障費削減で返済するか、戦後の例のようにインフレとなり、いずれ労働者大衆にのしかかる。  こうした困難は、資本の支配がもたらし、それを支えているのが高市政権だ。労働者は資本の支配に対する階級的闘いを強め、高市政権を倒し労働の解放を勝ち取る政治闘争を発展させよう。 (佐)


【2面サブ】

俗流経済学の末路

 黒田・日銀前総裁が『朝日』のインタビューに応じた(26・3・28付)。黒田は不況を克服するために「異次元の金融緩和」が必要だった、ゼロ金利政策による国債の大量購入によって円安を促進し、経済も成長していったと語ったが、非科学的な態度に終始した。

◇金融緩和で物価上昇と円安?

 就任後の「物価の推移」を問われた黒田は、「アベノミクスで大胆な金融緩和と財政の拡張、成長路線を始めると、直ぐにデフレではなくなった」と応えた。また、黒田の緩和策で「円安になり経済成長していった」と自己弁護した。

 13年に黒田が始めた「異次元の金融緩和」は、それまでの緩和策をさらに強めるものであった。

 黒田は10年物国債金利をゼロ近辺に引き下げることで、「デフレ」(物価の停滞もしくは下落)から脱却し、「年2%の物価上昇」を実現できると思い込んだ。この理屈は「リフレ派」学者による「希少性理論」に基づいていたが、とうの昔に破綻した理屈であった――『海つばめ』1510号2面参照。

 黒田は大胆な金融緩和を始めると、「直ぐにデフレではなくなった」、つまり物価が上昇しだしたと述べたが、物価が一時上昇したのは金融緩和によってではなかった。では何によって物価が上昇したのか?

 確かに、黒田が就任後、13年後半から15年半ばにかけて物価がかなり上昇した。それを見てみよう。

 11年の東北大震災の影響で産業が混乱し、国内物価が上がり始めた。その上に、それまで続いていた貿易収支の大幅黒字は一転して大赤字になった(12年~14年)。経常収支も10年の20兆円の黒字から4~5兆円に急減している(同期間)。この収支悪化によって、海外からの為替手形が減り、為替相場が円安になり輸入物価が上昇した。

 この為替相場を円安と見るためには、それ以前の時期が円高であったことを前提する。

 08年にリーマンショックが発生し、11年にはギリシャ発の欧州債務危機が勃発した。これに慌てた投資家らブルジョアは当時の安定通貨と見なされた「円買い」に走り、その結果、為替相場は1ドル=75円にまで高進し政府の為替介入を招いた。つまり、黒田の就任前には、このような円高が起きていたのだ。

 ところが、黒田は就任前の円高と比較して、就任後に発生した国際収支の悪化による円安をあたかも金融緩和による成果だと言うのだ。開いた口が塞がらない!

 その後、経常収支の黒字化が戻るにつれて物価上昇も落ち着き、従って消費者物価指数が16年半ばから21年末まで0~1%台を推移したのは誰もが知るところである。

 黒田は「年2%の物価上昇」を狙ったのに実現できなかったのであり、また彼らの経済指標であるGDPも動かず、一体どこに「デフレ脱却」があったのか。

◇俗流経済を超えて

 黒田や安倍らは、また高市も「アベノミクス」の破綻が明らかになったにも拘わらず、金融緩和に固執し続け、膨大な国債=借金を積み上げた。そして、借金の年々の利子払いが膨らみ政府予算をひどく圧迫している。さらに、通貨(日銀券)の信用を傷つけ、一層の紙幣化を進めている。

 これらのツケは大増税かインフレの爆発――インフレについては『変容し解体する資本主義』全国社研社刊などを参照――を招き、若者や未来の労働者の肩にのしかかかる! 資本主義の経済・財政・金融は行き詰まり桎梏になっている。今こそ、マルクス主義の基礎を学び、社会の変革の武器にしよう! (W)


【2面サブ2】

【故小林義昌同志を悼む】

実直、剛毅の人 没年82歳

◇学生時代の思い出

 古くからの同志、小林さんの訃報を聞き、愕然としている。

 小林さんとの出会いは、信州大学(松本市)においてであった。今から60年も前の話である。私とは学年が違い(彼は一学年下)、学科も違った(彼は理科系、私は文科系)ので、授業で一緒になることはなかった。

 直接意見を交わす場となったのは、信大文理のサークル、社理研(社会科学理論研究会)であった。私は全く知らなかったが、文理学部は60年安保闘争を牽引したブント(共産主義同盟)の解体後、新しい労働者党の建設を目指して組織された全国社研の重要拠点の一つ。新聞会には60年安保闘争参加の猛者たちがたむろしていたものだ。

 社理研は、彼らが指導していたマルクス主義の学習会であった。我々は役割分担で新聞会や学生自治会の活動を担いながら、毎週の学習会に参加し、マルクス主義の文献をひたすら学んだ。夏休みには松本市郊外のお寺を借りて夏季合宿を開き、一週間ほど朝から晩まで学習と討論に明け暮れた。

 小林さんは、口数は多くなく、どちらかと言えばぶっきらぼうだったが、性格は素朴で明るい人柄であったと記憶する。議論の末、納得すれば、大きな声で「そうか」と笑顔になり、後は四の五の言わずひたすら実行する――そんな潔さがあった。

◇大阪での活躍

 そうした小林さんの本領が発揮されるのは、信大卒業後、郷里の大阪に戻ってからである。

 彼は、石油大手のゼネラル石油(後の東燃ゼネラル石油)に就職する一方、全国社研を発展的に解消した新組織「マルクス主義労働者同盟」(略称・マル労同)大阪府委員会の指導的メンバーとして精力的に活動した。

 マル労同は、より広範な労働者・勤労者に浸透し支持を獲得するため国政選挙に参加してきた。74年の参院選初挑戦を皮切りに、76年衆院選では神奈川、愛知、大阪の計3選挙区で立候補した。さらに、77年7月の参院選には東京、神奈川、愛知、大阪の4地方区に候補者を立て、「自民党政権打倒、中道幻想を打ち破れ」(今でも通用するではないか)をスローガンとして闘い抜いた。

 この時、大阪選挙区から立候補したのが小林さんである。得票数は7364票(得票率0・2%)にとどまったが、地元出身者の立候補には大きな意義があった。私も東京から応援に駆けつけたが、小林さんが水を得た魚のように意気軒昂として街頭で力強く訴え続けたのが印象に残っている。

 その後、小林さんは80年(1万4873票、0・4%)、86年(8282票、0・2%)、89年(2万104票、0・52%)と三回も参院選に出馬し、果敢に闘い抜いた。大阪に候補者を立てると決まれば、小林さんはいつも潔く立候補要請に応じたのである。

 最初の立候補に際し、ゼネラル石油を退職した小林さんは、以後、塾教師や家庭教師のアルバイトを続けながら党活動に邁進した。もちろん、それが可能だったのは家族の理解と協力があったからである。

 小林さんと活動を共にしてきた大阪の同志は、小林さんは子供をキャンプに連れていくなど家族思いだったこと、「党活動の中では、いい加減なことは許さない厳しい面があったが、心優しい人で、身体の不自由な党員には、いつも親身に寄り添っていた」と追想している。

◇最後まで党活動を全う

 小林さんの活動の意欲は衰えることはなかった。大阪市の工場地帯で定期的に行ってきた宣伝活動では、小林さんはいつも先頭に立って演説、ビラ配布を続けた。動員者が来れなかったときでも一人で宣伝カーに乗り、幟を立て、演説の準備をしている姿を見て感動したという声もあったそうだ。

 後年、体調がきつい中で、17年の神奈川選挙では応援に駆け付け、19年参院選では街頭宣伝を担った。「(19年)7月20日京阪樟葉駅で街宣。駅前では、小林さんの演説を聴いていた夫婦が拍手。代わった佐々木の演説も聴いていた。小林さんがすかさず夫婦にパンフを手渡した。いい反応だった」。「小林さんは持病の糖尿病と心臓病の治療に数日間家に戻った以外はずっと事務所の三階に泊まり、宣伝カーの運転や演説を担当した」(労働者党の19年参院選闘争記録『種は蒔かれた』98頁)。

 小林さんは、大阪の地にどっしりと根を張った大きな樫の木のような存在だった。同志たちはその姿を見て安心し、エネルギーをもらった。その志はしっかりと受けつがれていくだろう。 (鈴木)


《前号の訂正》

 1519号2面トップ記事3段目3パラの( )内にある「国民」は「国内」の校正漏れです。

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