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●1532号 2026年10月11日 【一面トップ】 「スパイ防止法」制定の策動 ――脅威強調し有識者会議発足 【一面サブ】 偽りに満ちた反動高市の国連演説 ――平和国家を装い「旧敵国条項」削除を要求 【コラム】 飛耳長目 【二面トップ】 日本資本主義と少子化問題 【二面サブ】 トランプが口火を切った「米中同盟」 ※『海つばめ』PDF版見本 【1面トップ】「スパイ防止法」制定の策動脅威強調し有識者会議発足9月28日、政府はインテリジェンス(情報収集・分析)機能の強化に向けて、有識者会議を立ち上げた。高市政権は年内にも「国家情報戦略」を策定し、「スパイ防止」法案を来年の通常国会に提出する計画である。 ◇「外国からの脅威」を口実に政府は、5月、インテリジェンス機能の抜本的強化として、「国家情報会議設置法」を成立させ、司令塔としての役割を担う「国家情報会議」と「国家情報局」を創設したが、これは単なる組織的な再編ではなく、「スパイ防止」制定を視野に入れたものであった。 有識者会議の初会合には、高市首相も出席、最近の動向として、ロシアと北朝鮮、中国の連携が進み、外国情報機関員が関与した先端技術の流失や官民の機密情報を狙ったサイバー攻撃、偽情報の拡散といった「脅威が高まっている」と強調、「国民の安全や国益を守り抜くには情報力の強化が不可欠だ」と訴えた。 その上で、外国による不当な干渉防止策の強化や対外情報活動に関する中長期的な指針を「国家情報戦略」としてまとめ公表する方針だと述べた。 外国勢力のスパイを取り締まることに関しては、自民党と維新の連立のための「合意書」には、「インテリジェンス・スパイ防止関連法制」として基本法、外国代理人登録法、ロビー活動公開法が挙げられている。このうちの「外国代理人登録法」では、外国政府や海外企業のために日本国内で政治的な活動をする人には登録を義務づけることが謳われている。 しかし、「スパイ防止法」が取り締まりの対象とするのは、外国勢力によるスパイに限らない。国家による監視、取り締まりの対象とされるのは日本国民も同じである。 8月には自民党インテリジェンス戦略本部は「我が国の『情報防衛力』の強化に向けて──開かれた社会を、隠れた工作から守る」と題した提言を行った。 ここでは、処罰の対象として、「外国情報機関の活動を支援し又は同機関から金銭等の便宜を受け取る行為、外国勢力の便宜を受け取る行為、外国勢力等のための欺罔(ぎもう=欺くことの意味)等の手段による政治・社会への干渉行為、遅漏すれば我が国の安全や利益を害する安全保障上重要な営業秘密を外国勢力等のために取得・遅漏する行為など」が挙げられている。 しかし、具体的に何をもってこうした行為に該当するのかは曖昧である。 スパイ防止法については、1985年、中曽根内閣の下で自民党は最高処罰を死刑とする「国家機密法案」を国会に提出。しかし、スパイの定義や処罰対象の行為が曖昧で、恣意的な運用は免れないとして、世論の猛反発を受け、結局廃案となった。 ◇「スパイ行為」かどうかは政府の判断次第法案の内容は今後の問題ではあるが、高市政権が成立を狙う「スパイ防止」法も「国家機密法」同様である。具体的にどのような行為をもって「スパイ行為」と見なすかは曖昧で、結局その判断は取り締まる国家権力の判断次第となる。
このことはすでに7月、国会で強行採択された「国旗棄損罪処罰法」で明らかである。国旗を汚したり、破いたり、燃やしたりすることが本当に「日本を侮辱する」ことに該当するのか、具体的にどのような場合に「不快感」をもたらすのか、それを判断するのは誰かなど曖昧なまま、判断は取り締まり当局次第という内容の反動的法律だ。
高市政権が企んでいる「スパイ防止法」もまた、戦前の治安維持法と同じように、反政府運動や政府を批判・弾劾する言動、出版活動などを外国に通じた「破壊活動」、「スパイ活動」と恣意的に判断し、弾圧するようになることは必至である。
◇強まる国家の国民統制と監視そしてまた、国家の裁量による法の恣意的運用によって国民監視も強化されることになる。 スパイ防止法のない現在においてすら、国内の大学教授やNPO関係などについて組織的に調査・情報収集を行い報告書としてまとめていたことが明らかにされている。 自衛隊で、海外での現地の住民や協力者などから人的情報を集め、部隊に脅威を知らせることを目的に2007年に組織された「現地情報部隊」に所属する中央情報部隊が国内で活動していた。 「熊本日日新聞」の元自衛隊員の聞き取り調査に基づく報道(7・22)によると、報告書には対象者の顔写真や学歴、職歴、家庭環境などのほか、異性との関係、資産や負債などの金銭状況、日頃の金銭感覚、賞罰、犯罪歴を記載する項目があったほか、「対日感・対自衛隊感情」「思想・信条」(思想傾向・愛国心・公徳心・規律心得)、「渡航歴・頻度」といった情報や個人の嗜好まで記載されているという。 これらの情報収集活動は監視ばかりではなく、個人の弱点を突き脅迫したり、便宜を図ったりして、反政府運動の内部状況を聞き出したり、政府への協力者に仕立て上げるために行われていたのである。「スパイ防止法」が成立するならばこうしたことが「合法」的行為として、さらにおおっぴらに大胆に行われるようになるだろう。 「国家安全保障」を理由に国民に対する監視を強め、国家への批判的言論や運動を弾圧する高市政権のスパイ防止法制定の反動的策動は、強権政治を一層強めるものであり、断固粉砕されなくてはならない。 (T) 【1面サブ】偽りに満ちた反動高市の国連演説平和国家を装い「旧敵国条項」削除を要求9月17日、高市首相は第2次高市改造内閣を発足させ、軍拡・強権政治を進める体制を固め、10月22日には米ニューヨークで開催中の国連総会に出席、就任後初めての一般討論演説を行なった。高市はこの演説で、日本を平和国家だとして高市政権の反動性を覆い隠し、国連憲章の「旧敵国条項」の削減を要求した。 ◇トランプのICC制裁を黙認する卑怯な高市トランプ政権は今年8月18日、国際刑事裁判所(ICC)赤根所長への制裁を発表した。これはトランプがイスラエルのガザ住民虐殺を非難するICCを敵視し、イルラエルを擁護、さらに今年1月のベネズエラへの軍事攻撃や2月のイランへの先制攻撃を正当化しようとするものだ。トランプの軍事力による帝国主義的政治そのものだ。 赤根は「ICCの存続と世界の法の支配を守り抜いてほしい」(8月19日)と訴えたが、高市はこれに対し、「大変残念に思っている。これからも米国を含む関係国と意思疎通を継続しながら対応していく」と述べるだけで、米国のICC制裁への非難や制裁の撤回を求めることはなく、帝国主義者トランプ、ネタニヤフに追随するだけだ。 トランプは今回の国連演説で「法の支配を守る」ICCを「邪悪な集団」と呼び、すべての加盟国に対して直ちに脱退するように求めた。トランプは国連の場で、さらにICCに圧力をかけた。 その後、高市は自分の演説に先立ちトランプと会談した。2日後に控える米中首脳会談を前に経済安全保障など中国をめぐる課題について協議した。高市は「非常に安全保障環境がきびしいなか、世界に向けて日米同盟の強さを示すことになる」と述べ、対中国での日米の軍事同盟を強調した。 会談は8月にトランプ政権が、ICC赤根所長らを制裁対象として以来のトランプとの対面の機会だ。しかし高市はICCについて「率直にやり取りを行なった」と言うだけだった。ここでも高市がトランプに対して、ICC制裁の非難や制裁の撤回を求めるものでなかったことは、高市の国連演説からも明らかだ。 ◇欺瞞的な極悪高市の国連演説高市は国連演説で、日本がICCを含む「様々な国際裁判所を一貫して支持し、判事を輩出している」、「戦後の日本は平和国家として、いかなる紛争の解決においても法の支配を重視してきた」と述べ、「法の支配」を重視する立場を表明した。しかし、トランプのICC制裁には言及しなかった。黙認したのだ。 高市はまた「日本は、専守防衛の考え方の下、平和国家として国際社会の平和と繁栄に一貫して貢献してきた」、「この方針は今後も一切変わらない」と述べた。 しかし日本は、「戦争放棄」と憲法で謳いながら、自衛隊という軍事力を保持、敵基地攻撃能力まで有し、米国のみならず韓国、フィリピンなどとも軍事演習を行なっている。そして高市は先頭に立って、安保3文書や憲法を改定し軍拡を図ろうとしている。高市はこんな日本を〝平和国家〟と偽るのだ。 さらに高市は、国連憲章の「旧敵国条項」の削除に言及した。この条項は、第2次世界大戦で敗北した日独など「旧敵国」が再び侵略行為に出た場合、国連安全保障理事会の許可がなくても軍事行動を取れるとした規定だ。 「旧敵国条項」そのものは、帝国主義戦争である第二次世界大戦の勝者側が、自国の国家的利益を守るために設けたものである。すでに「死文化」したものを高市が持ち出したのは、去年、高市の「台湾有事」発言に触れ、中国が日本に対し「直接軍事行動を取る権利を有する」としたからだ。これは中国の帝国主義を示すものだが、日本の軍拡化・強権化を進める高市が、「旧敵国条項」削除を要求するのは筋違いだ。 かつて高市は国会で「私自身は当事者といえない世代ですから、(戦争を)反省なんかしておりませんし、反省を求めるいわれもない」と述べた。高市は「当事者でない」という屁理屈で、先の戦争が帝国主義戦争であり、日本が中国に侵略戦争を行なったことを認めない極悪政治家だ。高市は、労働者の犠牲など顧みず、行き詰まったブルジョア国家の利益を守ろうと、消費税減税や「強い経済」などで大衆をたぶらかし、スパイ防止法の制定を企み、帝国主義的な強権政治に邁進している。 労働者は労働の解放をめざし連帯を強め、反動的高市政権を打倒する階級的闘いを発展させていこう。共に闘おう! (佐) 【飛耳長目】 ★対話型AIを開発する米アンソロピックは9月28日、高度なAIが「人類に壊滅的な被害や存亡に関わるリスクをもたらす可能性」があると警告した。AI自身に「意思や感情」が芽生えて人類に反逆するSF映画「2001年宇宙の旅」や「ターミネーター」が想起される★現実の世界でも、AIの軍事利用が進んでいる。ウクライナやイラン、ガザで、米露とイスラエルは、衛星画像や通信傍受などの膨大なデータ解析、攻撃目標の特定や作戦策定に利用している★とりわけウクライナ戦争は、「AI兵器の実験場」となり、ドローンやミサイル、情報分析への利用が加速している★プーチンは、ウクライナ側を大きく引き離す戦力差から、数カ月での勝利を確信していた。トランプもイラン攻撃にあたって、彼我の戦力分析と海峡封鎖で、イランの早期敗北を確信していた★だが、クラウゼヴィッツの箴言は「戦争は政治の一手段」「政治の影響が目標からはずれれば、不利になるしかない」と。人命と生産力を破壊する戦争からは何ものも生まれない★AIの生産現場への導入が進んでいる。人間の頭脳労働(知識や思考力、判断力、創造力)を代替・拡張する労働手段として優れた生産力となっている。AIを正しく有効に利用できる社会的前提の獲得こそ必要なのだ。 (Y) 【2面トップ】日本資本主義と少子化問題2025年の日本の出生数は67万1263人であり、前年24年より約1万4937人減り、過去最少を更新した。人口千人当たりの出生数の割合は5・6(前年5・7)、出生率も1・14(前年1・15)だった。「出生動向基本調査(結婚と出産に関する全国調査)」(以下、『基本調査』)をもとに、日本資本主義と少子化問題について検討してみたい。 ◇少子化の大きな要因は婚姻数の減少政府はこの間、少子化対策の名のもとに既婚者に対する「子育て支援」を行なったが、少子化の改善はまったく見られなかった。それは少子化の大きな要因である「男女の未婚化による婚姻数の減少」の対策ではなかったからである。 この点について天野馨南子氏(こども家庭庁「若い世代視点からのライフデザインに関する検討会」25年度構成員)はおよそ次のように述べている。 「夫婦の完結出生児数」は1977年の2・19人から2021年の1・90人、25年1・86人と微減しただけであって、夫婦が持つ子どもの数が激減したという統計的な証拠はない。また1970年から2020年の50年間で15歳から49歳の女性(出生率計算対象人口数)は82%(2980万人から2430万人)にしか減っていない。これに対し、少子化で女性が減った以上のスピードで、男女の婚姻数の減少(未婚化)がこの間に48%にまで進んでいる。これが出生数激減(45%)の大きな原因なのだ。 最近、若い世代の価値観の変化から未婚を希望する人が増えている、などと言われているがデータを見ると必ずしもそうとは言えない。『21年基本調査』によると、18~19歳では「一生結婚するつもりはない」と回答した割合の平均値は、男性13・6%、女性11・2%とまだ1割強である。働いて間もない、あるいは未だ働いていないこの世代では、実は9割近い人がいつかは結婚したいと考えているのである。 ◇社会経済的要因(年収・雇用形態など)による婚姻割合の格差1970年の婚姻率(人口千人当たりの婚姻数の割合)は10・0だったが、24年には3・9まで低下した。つまり婚姻数そのものが半分以下になった。この婚姻率の急激な低下は単なる自然減からは説明できない。 21年の厚生労働省資料だが、30代前半の男女の所得額が、結婚割合にどのように影響しているかを見てみよう。 男性では年間所得が5百万円以上だとその後40%以上が結婚しているが、百万円未満だと5%にも満たない。女性では、年間所得が5百万円以上だと50%近くが結婚しているが、2百万円未満だと30%に届いていない。年収差による未婚男女の結婚意欲の違いは明確だ。
さらに、連合による22年のアンケートでは、女性が最初に就職するときに正規か非正規かで、その後の結婚・出産の状況が大きく変わってきている。「配偶者あり」は、初職が正規の場合の63・6%に対して非正規では34・1%、また「子あり」は、初職が正規の場合は57・7%、非正規では33・2%だったという。結婚したくても結婚できるかどうか、子どもをもちたくてももてるかどうかは、年収、雇用形態などによる格差が影響している。 『基本調査』によれば、「いずれ結婚するつもり」の多くの人が2人程度の子どもを望んでいる。しかしそこから見えるのは、結婚したとしてもギリギリの生活水準だと「子どもを持つと生活が苦しくなる」、「子どもには苦しい生活をさせたくない」と子供を持つことをためらう若者の姿だ。 ◇婚姻数急減の根底にある非正規労働の拡大急速な「少子化」の原因である婚姻数の激減は、「いつから、どうして」起こってくるようになったのであろうか。 1986年に施行された労働者派遣法、そして04年の小泉内閣による製造業における労働者派遣事業の解禁がそのきっかけであったことは明らかであろう。25年度の財務省「法人企業統計調査」の「労働分配率」が09年の54・5%から22年には39・9%となったことにみられるように、この時代に非正規労働者の多くがまさに「結婚どころではない」という状況に追いやられていったのである。 未婚率は1990年から2010年の間に、男性5・57%から20・14%、女性4・33%から10・61%と、わずか20年間で2・5倍から3・6倍にもなっている。 非正規雇用の拡大はこれほどまで、結婚適齢期にある男女の「いずれ結婚して子どもを持ちたい」といった夢と希望を奪ってきたのである。非正規雇用の男性の婚姻率は正規雇用の約3分の1にとどまるというデータもあり、雇用の不安定さが結婚の障壁になっていることは明らかである。 実質賃金の推移も深刻で、日本の実質賃金は1997年をピークに低下傾向が続き、2024年時点ではピーク時比で約10%のマイナスとなっている。物価は上昇し続ける中で賃金が伸びないため、「結婚して家庭をもつ経済的余裕がない」と感じる若者が増えているのである。 金融保険業をのぞく全産業の経常利益は前年度より8・8%増え、過去最高を更新した一方で、労働分配率はこの間一貫して下がり続け、1973年頃におよそ78%前後であったものが、25年7~9月期は35・5%となっている(前出「調査」)。ある計算によると、これは搾取率(剰余価値率)250%であり、1日8時間労働だとすると、賃金に相当する労働力の価値は2・3時間、資本家が無償で手にする剰余労働は5・7時間にもなるという。 資本がますます肥え太っていく一方で、一部の恵まれた層の労働貴族化――この夏の上場企業のボーナスの平均は100万円を超えたという――と非正規労働者たちとの階層化と分断が進んだ。その結果として多くの非正規雇用労働者の貧困化・未婚化が進み、日本の「人口減少・少子高齢化」をもたらすようになったのである。 ◇少子化問題の解決は「(労働が解放された)共同労働社会」の実現によってさてこの間の日本社会の急速な「少子化」にたいして、〝学者先生〟のすべてはその解決策として、「経済成長政策」による「国際的な低賃金水準の改善」と「非正規の正規雇用による正社員化」を掲げる。そうしないと若い男女が結婚・出産できる状況にはならないのだ、と。 しかし「経済成長」しさえすれば、本当に若者が結婚し、出産できるようになるであろうか。我々は日々見ないであろうか。この資本主義の下では資本家が私有している機械などの生産手段と結びつかなければ(つまり、企業に雇われなければ)、正規雇用であろうと非正規雇用であろうと労働者は日々の糧(賃金)を得ることができず、路頭に迷うようになるということを。 あるいはまた自分の労働力が生産手段と結びつくようになった(企業に雇われた)としても、そこでは自分の1日当たりの賃金に見合う労働量以上の量を資本家に無償で与えざるを得ないということを。どんなに経済が「成長」しようと、それが資本による「労働の搾取」の増大を意味するかぎり労働者の「賃金奴隷制」という現実が変わるわけでは決してない。〝学者先生〟たちは、正規雇用を減らしてより低賃金の非正規労働者に置き換えることを「成長」と呼んで恥ずかしくないのだろうか。この資本主義社会は、搾取する資本家階級と搾取される労働者階級とが対立する階級社会なのである。 日本のみならず〝先進〟資本主義国すべてがこうした「少子化」という事態を招いており、労働者の貧困化と将来への不安がますます広がっている。高度の福祉国家と呼ばれるフィンランドも含めて、OECD諸国の出生率の平均は22年で1・5となっている、ということを付け加えておきたい。「少子化問題」は、「労働の搾取」によってしか成り立たないいびつな現在の資本主義生産制度そのものに根ざしているのである。 資本家階級が労働を搾取できるのは、機械などの生産設備(生産手段)が直接的生産者である労働者から奪い取られている限りであり、それらを労働者に対立させて労働を搾取し利潤を獲得する手段として用いるからに他ならない。 低賃金の非正規労働者への置き換えやそれに伴う少子化は搾取材料の縮小を意味するのだが、利潤獲得を唯一の動機とも目的ともする資本には、その縮小を補填する方途としてより一層の搾取強化や帝国主義的膨張へ進むほかには道がない。 「少子化」とその結果である「人口減少」と「高齢化」を止めるためには、我々労働者は、奴隷労働へのささやかな報酬(賃金)を上げることを最終目的とすることはできない。生産諸手段を我われ働く者の手に取り戻し、何らかの事情で働けない人を除く構成員全員が自分自身の生存と自らが暮らす社会の存立を維持発展させるために働く、「共同労働社会(賃労働という搾取労働が廃絶され労働の解放された社会)」を目指して闘わねばならない。そうした社会の実現を目指して「労働者党」と共に闘おう! (宮本) 【2面サブ】トランプが口火を切った「米中同盟」9月23、24日、習近平が国賓として米国を訪問し5月に次いで2回目の米中会談を行った。今回の会談で米中同盟国が言及された。では何が論じられたのか。 ◇トランプから出た米中〝同盟国〟今回の米中会談で最も注目された発言は、トランプが歓迎式典のあいさつで、「第二次大戦で同盟国となることさえもたらした」と、第二次世界大戦での〝米中同盟国発言〟を行い、さらに、今後も「あの戦争に勝つために力を合わせたように、習主席と私は、両国のよりよい未来を築くために引き続き力を合わせる」と呼びかけたことだ。習も「第二次世界大戦中、中米両国は肩を並べてファシズムの侵略に立ち向かった」と発言し、公式晩さん会において、さらに一歩踏み込んで、「80年以上前、中国と米国の人々は日本軍国主義の侵略者との戦闘で肩を並べて戦った」と、日本を名指しして発言した。会談後発表された米中政府の「ファクトシート」(米中政府が発表する首脳会談の公式説明文書)の3項目目に「両首脳は、第二次世界大戦において米国と中国が同盟国であり、勝利のために肩を並べて戦ったことを振り返った」と、記述された。 トランプは、習と示し合わせたように「米中同盟国」発言を行い「未来のために力を合わせる」と述べたが、それは米中(G2)による世界秩序確立への思いを吐露したことに他ならない。習も米国との「建設的戦略的安定関係」による〝中米協調〟で、世界秩序の安定維持を目論むのはトランプのG2と同じであるが、米中とも協調を装い自国による覇権の確立が目的である。習は〝中華民族の偉大な復興〟の実現と〝米国を再び偉大に(MAGA)〟とは「矛盾しない」と述べた、習はトランプにお墨付きを与え、偉大な国家を作り上げる課題は共通であると、トランプを称賛しているのだ。 ◇AIを米中で支配今回の米中会談に習は企業経営者を同行させず、トランプが期待したディールでも石炭1千万トンを中国が27・28年に輸入する以外、農産物・エネルギー・航空機で発表できるような数字の合意はなかった。5月の米中会談で合意された年間170億ドルの農産物輸入もまだ具体化されていない。中間選挙向けに成果を誇りたかったトランプに習は期待に応えるような対応はしなかった。 AI分野では米中が世界で圧倒的な優位を持っている。そのような中、AI分野で委員会を設置し対話を継続すると共に、AI事故などが発生した場合の連絡ルートを開設することで合意した。トランプがAI規制に反対するのは、米国が中国を依然としてリードしているためであるが、中国は急速に追い上げている。こうした状況の中で、米中が世界のAI分野を共同で管理し、一定の枠組みを構築することが双方の利益になると判断した。 米中は決定的に対立することはお互いにとって利益にならないと考え、相互に依存しながら競合関係を維持し覇権を競い合っている。 ◇米中同盟に焦る高市やマスコミ高市は、米中会談の直前にNYで日米会談を行った。トランプの「同盟国」発言を受けて焦りと焦燥感に駆られて、トランプに電話し米中会談の説明を受けた。高市は「日本と米国は今や最も信頼し合える同盟国」と語り「1週間の間に二度の首脳会談を実施したことを日米の絆の強さ」と誇った。しかし労働者は、はしごを外されるのが怖くて電話した小心者と軽蔑している。ブルジョアマスコミは、「米中は同盟国」というのは習が仕掛けた罠、嘘と繰り返している。高市や日本のブルジョアマスコミが「米中同盟」を否定するのは、中国革命によって誕生した中華人民共和国は「暴力革命で政権を奪取」した、「台湾は民主主義の正統な政府」と考える右翼的政治的立場だからで、現実を科学的に評価できないからである。 (古) | |||||||||||