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●1503号 2025年7月27日 【一面トップ】 衆院に続き、自公過半数割れに ――台頭するポピュリズム潮流 【一面サブ】 参政党が開いた憎悪の排外主義 ――地獄への道は日本人ファーストから 【コラム】 飛耳長目 【二面トップ】 25年版「防衛白書」軍事力を「平和の砦」と宣伝 ――それは軍事大国化と帝国主義を誤魔化す方便 【二面サブ】 自民の「働きたい改革」糾弾! ――時間外労働の上限規制見直し ※『海つばめ』PDF版見本 【1面トップ】衆院に続き、自公過半数割れに台頭するポピュリズム潮流20日投票の参議院選は、政権政党の自民、公明両党は大幅に後退し、昨年の衆院選に続き過半数割れとなった。しかし、それに代わって勢力を伸ばしたのは階級協調を唱える国民民主や民族主義・排外主義を唱える参政党、保守党である。自公政権に対する不信・不満は、労働者・働く者の団結と闘いの発展に向かうのではなく、ホピュリズム勢力を押しあげた。これこそ真剣に総括されなくてはならない課題である。 ◇大敗した自公石破は、自公合わせて与党で過半数(50議席以上)獲得を目標としていた。しかし結果は、自民は全体の勝敗のカギを握る1人区(32選挙区)で前回(22年)28勝の半数の14勝で、18敗と負け越した。13ある改選数2以上の選挙区でも苦戦し、大阪で1998年に公認候補が落選して以来27年ぶりに議席を落としたのを始め、大選挙区の東京では2人の候補者のうち1人が落選、13年以来自民が2議席独占してきた千葉も1人の当選にとどまるなど後退した。比例の獲得票は1281万と前回よりも545万票も少なく、比例議席数は12にとどまった。 自民の大敗は、「裏金づくり」に象徴される金権・腐敗政治、コメをはじめとする物価上昇、住宅高騰などによる生活困難、将来への不安など、鬱積している不信、不満の表れである。自民は、大衆の困窮をよそに企業やその団体から政治献金を受け取り、「裏金づくり」を繰り返してきた。それが露呈し、批判されても反省することなく、「献金の透明化」などといってごまかしてきた。 公明も自民との連立政党として、自民に協力してきたのであり、改選14議席から選挙区4、比例4計8議席へと大幅後退。 ◇無力をさらけ出す立憲、共産しかし、こうした自公政権に対する批判や怒りは、政府の予算案や補正予算案に賛成した維新や、「対決ではなく解決」を謳い文句に減税などをめぐって政府との協議を重視してきた国民民主とは異なり、政府に批判的姿勢を強調してきた立憲や共産を押し上げる方向には向かわなかった。 立憲は、改選22に対して獲得議席は選挙区15、比例7計22と改選前と同数にとどまる。そして共産は、得票率を2%も落とし、改選7に対して選挙区1、比例2計3議席と4つもの議席を失った。 立憲や共産は、物価高騰に対して「給付」を謳う政府に対して、「一度限りのバラ撒き策だ」と、消費減税を対置した。 立憲は、食料品に関わる消費税ゼロとし、赤字国債は発行せず、財政剰余金や使われず余分となった積立金を取り崩し、財源とすると主張。しかし、財政剰余金や余分な基金の取り崩しを財源とした消費減税と言っても、毎年それがあるわけではなく、1年間だけである。 これに対して共産は、緊急に消費税5%への減税、そして最終的には消費税を廃止すると謳った。財源としては儲かっている大企業と富裕層への応分の課税で賄うとした。 だがこれは物価高騰の解決策になるだろうか。 大企業や富裕層へ応分の負担といっても、そのもとは労働者の生み出した剰余価値である。消費税を減額(あるいは廃止)して、その分を大企業や富裕層に負担させると言っても、企業が労働者から搾取する剰余価値の分量は変わらない。 変わるものは、労働者が生みだした剰余価値を企業や富裕層が利潤あるいは配当、利子として自分のものとする量が消費税代替分課税されて減るだけである。資本が労働者から剰余労働を搾取し、利益として得るという資本と労働者の関係は変わらない。 しかし、大企業は自分の利益を確保するために原材料費の値上がりとか電気やガスなど燃料費の高騰など様々な理由をつけて商品価格を値上げするかもしれない。そうなれば消費税を減額(あるいは廃止)しても、物価は下落しないだろう。 共産は「応分の負担」というが資本との闘いを避けるこうした日和見主義では労働者の生活を防衛することもできないし、労働者はこんな政策に期待することは出来ない。 また、朝日新聞・大阪大学のネット意識調査によると、参政党に投票した人の1・1%が、4~5月段階では共産党に投票するつもりだったという(朝日、7・22)。共産は、選挙で自民党政治の「米国追随の歪みを正す」などと訴えていたが、こうした共産の民族主義的主張は、参政党の支持を広げたと言えよう。 ◇資本の支配克服を目指す労働者党の発展を野党のこうした無力さが、ポピュリスト勢力=国民民主や「日本人ファースト」を掲げ排外主義、国粋主義を煽る参政党や保守党の反動的な政治勢力の台頭をもたらした。 国民民主は「手取りを増やす」ことを目的に178万円までの非課税最低限の引上げを訴え、議席は4から17へと一気に4倍超に増加、非改選を含めて22議席と、単独で予算を伴う法案提出資格の政党に躍進。彼らは、「手取り増加」政策が年7~8兆円もの財源を必要とし、新たな負担を伴うことに全く無頓着であり、目先の利益を訴え勢力を拡大したのだ。 玉木代表は、「手取り増加」策に石破は協力しなかった、石破自民との連立はないが、石破が首相を辞めれば自民との協力もありうると言う。国民民主が自民と手を組む可能性は大きい。 一方、参政党の得票は743万、得票率12・6%で、選挙区7比例7の計14議席に躍進。参議院で予算を伴わない法案の単独提出権が可能となる11議席以上を獲得した。 彼らは、外国人について、あたかも生活の不安や困難などの原因であるかに言い募る。彼らは労働者の生活困難や将来への不安の本当の原因である利潤目的の無政府的生産を行う資本の支配の矛盾から目を逸らせ、外国人に責任を押し付け、働く外国人労働者と日本の労働者との分断と差別を煽っている。 「日本人ファースト」は、実際には「国家ファースト」であり、参政党や保守党のような反動的潮流が拡大すれば、国家による労働者への圧迫は強まり、生活はさらに悪化するのは必至である。 しかし、反動的ポピュリズム勢力との闘いを共産や立憲に期待することは出来ない。自民とバラ撒きを競ったり、民族主義を振りまいたりし、労働者の階級意識を解体しているからである。 労働者の一切の災厄の原因となっている資本の支配を克服し、搾取から解放された社会を目指して闘う労働者の政党の建設と発展のための闘いが求められている。 (T) 【1面サブ】参政党が開いた憎悪の排外主義地獄への道は日本人ファーストから参院選で参政党は、14議席(選挙区7比例区7)獲得し、公示前2議席から15議席に議席を増やした。選挙区7は立憲、国民と同じである。政党に対する全国的な支持を表す比例区の得票数は約743万票(率は12・6%)で立憲を上回り国民約760万票(12・9%)に次ぐ3位を占めた。 ◇政治の中心に登場した背景は何か参政党は、維新を離党した参議院議員梅村が合流したことで政党要件(5議席以上か直近の参院選で2%以上の得票)を充たし、NHKなどテレビ出演の機会が増大。一気に注目を拡げた。参政党が繰り返す〝日本が日本人ファーストで何が悪い〟〝行き過ぎた外国人の受け入れで、日本人の賃金が上がらない〟〝日本中の土地が外国人に買い漁られている〟〝外国人の力や外国資本の手を借りずに日本人で日本を良くしよう〟等々。 神谷は、グローバリズムに異議を唱える。グローバリズムの結果「貧富の差が広がった。中間層はどんどん貧しくなった」と主張し、排外主義者という批判に対して、〝国益と国民の安全の為の外国人管理〟は差別とは違う、叩かれるほど参政党は伸びる、とうそぶいた。 神谷の理屈は、売り上げを伸ばすには消費を増やさなければならない、それには賃上げが必要。しかし自公政権はグローバリズムで外国人労働者を受け入れ、外国資本に日本市場を開放した。その結果、日本人の賃金は下がり貧富の差は拡大、中間層の貧困化をもたらした。大企業は600兆円もの内部留保をため込み、年間9兆円の消費税還付を受けている。大企業は賃上げ出来るが、中小企業はそんなことしたら倒産する、と叫び、グローバル化を推進する自民党に反対する。 「失われた30年」で、「没落した中間層」(管理的業務に就くホワイトカラーか)や、資本のリストラ・合理化で新規採用中止になり、〝不本意な人生〟を強いられ、絶望と焦燥感に喘ぐ就職氷河期世代(93年~04年、非正規雇用で低賃金、年金加入期間が短いケースも多く年金も少ない)など40~50代が、共同通信の出口調査投票先では参政党は、40代の18%で全政党トップ、50代は15%(2番目)と発表された。その世代が参政党のいわば岩盤支持層である。 「ポピュリズムに関するグローバル調査2024」(イプソス)では、「既存の政党や政治家は、自分のような人間を気にかけてない」に同意するという回答は6年間(16年39%が22年62%に)で1・6倍に拡大している。こども家庭庁の「23年こども若者の意識調査」で「自分の人生には方向性や意味があると感じた(1週間のうちで)」の問いに、日本の若者は「週に一度もないが26・4%」と他国(独は5・9%)と比較し非常に高い。これらは、日本の政治・社会の〝閉塞感〟に対する憤りであり、参政党の日本人ファーストのポピュリズム政治に対する共感と支持を生み出す背景である。 ◇トランプを真似る格差の根本的原因は、資本と賃労働の敵対的な関係に基礎を置く資本主義的生産にある。グローバル化は、貿易や資本投資を通じて各国が経済的な緊密化を深め、一体化を進めることであり、資本が支配する世界においては不可避である。グローバル化が没落や貧富の差を生み出したのではなく、利潤を目的とする資本主義的生産が資本家や富裕層に富を集中させ、持たざる者との間に恐るべき格差を日々再生産しているのである。参政党はグローバリズムを〝多国籍企業が連携し国家以上の力〟をもって日本から富を奪い取ることであり、それを許さないナショナリズムが必要と日本人ファーストを前面に押し出す。 日本においてこれまで、遠慮がちに叫ばれて来た排外主義的な主張が、堰を切ったようにあふれ出してきた。彼らが開いたパンドラの箱に反応した自民党は〝違法外国人ゼロ〟のために司令塔体制の整備を謳った。公明、国民も外国人に対する管理強化では一致している。 ◇ファシストと闘う労働者の隊列を!ナショナリズムと排外主義は表裏の関係にある。在留外国人は24年末で376万人、総人口の3%。外国人に向けられる排外主義に断固反対し粉砕しなければなければ、日本人ファーストに反対する人々や組織を〝反日主義〟と抑圧し弾圧する体制に道を拓くことになる。 参院選は排外主義と国家主義の台頭を露わにした。我々は、参政党など排外主義政党の主張を暴露し、排外主義を生み出す分断と格差の根源である資本の支配を打倒する闘いに、世界の労働者と連帯し、共に立ち上がることを呼び掛ける。 (古) 【飛耳長目】 ★「50年も真面目に働いてきたのに年金はもらえなかった(男性74)。こうした65歳以上の無年金者は全国で50万人を超える。この男性が30年以上働いた塗装関係の小規模事業所は社会保険の対象外であり、その後未加入に気付いて、転職先で厚生年金保険料を定年まで7年間払ったものの、要件を満たせず、結局年金はゼロ★何億円もの不労所得でリッチな生活をする高齢者がいる一方で、彼のように働けないので社会保障が必要なのに、それすらなく、無理をしてでも働かざるを得ない。2万円の給付金も、消費税減税も砂地の水一滴にすぎぬ。むしろ、それで「所得が増える」かの幻想こそ労働者騙しだ★根本的な解決は、この資本主義の賃金奴隷制の廃止にこそあるが、どの党もそんな事には指一本触れず、何れもこの矛盾だらけの資本主義の枠内で、たわいもない矮小微細な改善策をがなり立てている★資本の支配を脱した社会主義社会では、生産手段の私的所有や賃労働は廃止され、不労所得も一掃される。労働者は労働時間が記載された証書で各自が自由に生活手段を手に入れ、働けない高齢者や病人などには、社会的に生産された生活手段が配布される。社会主義では女性も外国人労働者も障害者も全く同等だ。我々はそういう社会の実現のために奮闘する。 (義) 【2面トップ】25年版「防衛白書」
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