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労働の解放をめざす労働者党機関紙『海つばめ』

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アベノミクス」を撃つ
カネをバラまくことで国も経済も救えない。


著者・林 紘義
全国社研社刊
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「アベノミクス」を徹底批判

崩れゆく資本主義、「賃金奴隷制」の廃絶を
資本の無政府主義の横行闊歩そして蔓延する国家の無政府主義


著者・林 紘義
全国社研社刊
定価=3000円(+税)
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序 章=世界恐慌の勃発とその必然性 第一章=“株式”資本主義の横行とその「論理」 第二章=“株式”資本主義の“暴走”と堀江、村上“現象” 第三章=日本版“新”自由主義とその結末 第四章=“金融重視”政策のとどのつまり 第五章=銀行救済と「公的資金の投入」 第六章=歯止めなき財政膨張と近づく国家破産 第七章=“グローバリズム”と労働者階級 第八章=階級的闘いを貫徹し資本の支配の一掃を 

『「資本」の基礎としての「商品」とは何か』


著者・林 紘義
全国社研社刊
定価=1600円(+税)
●お申し込みは全国社研社または各支部・党員まで。

《全九回の報告及び講義のテーマ》
第一回 「資本」とは何か?
第二回 「冒頭の商品」の性格について
第三回 「労働価値説」の論証
第四回 「交換価値」の“質的”側面と貨幣の必然性
第五回 商品の「物神的性格」(“呪物的”性格)
第六回 貨幣の諸機能と“価格”(貨幣の「価値尺度」機能)
第七回 紙幣(もしくは“紙幣化”した――して行く――銀行券)とインフレーション
第八回 特殊な商品――労働力、資本、土地等
第九回 『資本論』(「商品」)と社会主義

林 紘義著作集 全六巻


著者・林 紘義
全国社研社刊
定価=各巻2000円(+税)
●お申し込みは全国社研社または各支部・党員まで。

第一巻=「労働価値説」擁護のために
第二巻=幻想の社会主義(国家資本主義の理論)
第三巻=腐りゆく資本主義
第四巻=観念的、宗教的迷妄との闘い
第五巻=女性解放と教育改革
第六巻=民族主義、国家主義に抗して


●1518号 2026年3月8日
【一面トップ】武器輸出を全面解禁へ
        ――帝国主義強国化糾弾!
【一面サブ】 反基地闘争の再構築を
        ――「オール沖縄」への幻想を一掃しよう
【コラム】   飛耳長目
【二面トップ】 トランプ今度はイラン攻撃開始!
        ―戦火を中東全域に拡大したトランプとネタニヤフ
【二面サブ】  「マムダニ誕生」で斎藤幸平は何を語るか?
       ※『海つばめ』PDF版見本

【1面トップ】

武器輸出を全面解禁へ

帝国主義強国化糾弾!

 衆院選で絶対多数を獲得した高市自民党は、その多数をたのみ一気に反動的政策に着手している。その一つが、これまでの「平和国家」の衣を脱ぎ捨てた殺傷兵器の輸出を認める、「武器装備移転3原則」運用指針の改定だ

◇殺傷能力ある武器輸出解禁へ

 高市首相は2月20日の施政方針演説で、自民党が総選挙で掲げた政権公約と維新との連立政権合意書の内容を実現していくとして、「力強い経済政策と力強い外交・安全保障政策を推し進めるべく、広範な政策を本格的に起動させる」と宣言。

 高市が「重要な政策転換」として掲げたのが、「責任ある積極財政」であり、「強い経済」を基礎として「強い外交・安全保障」の確立である。

 日本の軍国主義化、軍事力強化などの反動政策をもくろむ高市が、強く推進して行きたいのが「強い外交・安全保障」であり、武器輸出拡大などの安全保障政策の抜本的強化と、国家情報局創設、スパイ防止法制定などのインテリジェンス機能強化である。

 自民党の安全保障調査会は2月25日、武器輸出の目的を、非戦闘行為である「救出・輸送・警戒・監視・掃海」に限定する「5類型」を撤廃し、殺傷能力のある武器の輸出を全面的に解禁する提言をとりまとめた。

 高市は「5類型」撤廃を、「我が国にとって望ましい安全保障環境を自ら創出していくための取り組み」とし、武器輸出を通じた安保関係の強化を目的にする。中国の南シナ海などへの帝国主義的な海洋進出に対して、中国周辺国の軍事力を高め、日本は帝国主義的軍事力の強化で対抗しようとするのである。

 しかし日本は敗戦後、経済成長を重視する「平和国家」として出発し、武器輸出に関しても独自の厳しい規制を課す政策を取ってきた。それを転換するというのだ。

 敗戦後、GHQにより軍需産業は解体されたが、1950年6月朝鮮戦争が勃発すると、主に兵站軍需物資生産が再開され、52年以降は兵器や砲弾などの生産を開始。67年の第3次防衛力整備計画で、航空機、艦艇の国内建造が本格化。一方同じ年に政府は、共産圏、国連決議で禁じられた国、国際紛争当事国またはその恐れのある国への禁輸方針「武器輸出三原則」を示し、76年には武器輸出を全面禁止。同時に「防衛費はGNP1%枠内」を決定、「平和国家」の体面をとりつくろった。しかしその下で、経済成長とともに軍事費は増大し、軍事強化は進んだ。

 この間、米国向けの武器技術供与などを例外的に認めることが進み、2011年には野田内閣は三原則を緩和、国際共同開発・生産での武器輸出を容認するに至った。

 14年安倍内閣は「武器輸出三原則」を「防衛装備移転三原則」に変え、紛争当事国等への移転禁止、平和貢献や安全保障に資する場合の厳格な審査、目的外使用・第三国移転の事前同意を規定、詳細は「運用指針」で定めるとし、国産装備品の輸出目的を非戦闘行為に限る「5類型」が定められた。その後の運用指針では、他国の許可を得て国内で製造する「ライセンス生産品」の完成品輸出が解禁され、英・伊と共同開発中の次期戦闘機の第三国への輸出が認められるなど、国際共同開発品や防衛力強化を目的とした輸出が緩和されていった。

 今回の自民の提言は、運用指針を改定し、「5類型」規定の撤廃や共同開発品の第三国輸出を全面解禁するものだ。

 提言は、殺傷能力のある武器輸出先を、日本と防衛装備協定を結ぶ国に限るとし、「現に戦闘が行なわれていると判断される国」への輸出は不可とするが、「我が国の安全保障上の必要性を考慮して特段の事情がある場合」と判断すれば、輸出できるなどとしている。

◇進む日本の軍拡と日中の覇権争い

 高市が武器輸出の拡大をめざすのは、武器輸出を通じた同志国との安全保障関係の強化のためだ。武器輸出では、防衛装備品のメンテナンスやソフトウェア改修などで輸出先の国と長期間にわたって緊密な関係を築くことができる。米国以外と同盟を結んでいない日本は、武器輸出で同志国と切り離せない関係を築こうとしている。フィリピンは海上自衛隊の中古の護衛艦、インドネシアも同様に潜水艦に関心を示す(朝日2月26日)。

 この自民提言に対し中国は、「戦後国際秩序と国内法の制約を突破し、再軍事化をたくらむ」ものだと反発した。武器輸出全面解禁は、軍事強大化を進める中国に対し、日本の帝国主義強国化をめざす高市が、同盟国・同志国とともに日本の軍事力強化を図り、対抗しようとするものである。

 また高市は、投資を促進する戦略分野の一つに「防衛産業」を掲げ、武器輸出拡大で軍需産業が発展し経済成長につながるとした。

 しかし、軍需産業は、生活に必要な消費財を生産するものではなく、その労働は不生産的労働であり、軍需産業による経済成長は偽りだ。資本主義的生産は行き詰まり、もはや生活を豊かにさせることができない。その資本の代弁者である高市は、労働者に敵対するこんな反動的な政策しか提起できないのだ。

◇労働者犠牲にする反動政策に反撃を

 高市は、22年に岸田内閣が定めた安保3文書の軍事費の「27年度にGDPの2%水準」を、「25年度に前倒し達成」を打ち出したが、軍事費は25年度でGDP比2%超えて11兆円に達している。さらに敵基地攻撃能力のある長射程ミサイルの配備などを進めている。

 高市は日本の軍事費増大が中国との「緊張を高めるとは考えていない」(24日)などと言うが、中国は高市の台湾発言をきっかけに日本への対抗措置を強めている。帝国主義的進出を強める中国は24日、「日本の再軍備と核保有の企てを阻止する」として、「日本の軍事力強化に関与している」20の企業・団体に対する軍民両用製品の輸出を禁止すると発表した。

 労働者大衆が、物価高の中で実質賃金が下がるなど生活苦に陥る中で、高市は財源もないまま国債を増大させ、それを当てに不生産的な軍事費を膨張させ、日中の帝国主義的緊張を高めている。日中の労働者は階級的連帯を強め、反動高市と独裁者習を打倒して、資本の支配からの解放を勝ち取るために、労働者の階級的国際主義的闘いを発展させていこう。 (佐)


【1面サブ】

反基地闘争の再構築を

「オール沖縄」への幻想を一掃しよう

 巧妙な戦術と小選挙区並立制の選挙制度の下で、今回の衆院選は全国的に高市自民圧勝という結果であったが、基地の島沖縄においては、ブルジョア政治と闘う基地反対の立場の議員を国会に送り出すことができなかった。基地の重圧に苦しむ沖縄だからこそ闘いは前進させなければならない。

◇衆院選沖縄全区で自民が勝利

 沖縄において現在の小選挙区比例代表並立制で衆院選が行われた1996年以降これまで自民が4区を独占したことはない。市民団体や政党、労働組合や経済界、個人に支えられた「オール沖縄」の推薦候補は2014年には衆院選に立候補した3地区で全勝したこともある。しかし、17年3勝1敗、21年、24年は2勝2敗と、辺野古新基地反対の「オール沖縄」は結集力を低下させてきた。

 それは基地問題を労働者の力強い階級的な闘いの課題として団結を広げてこれなかったからであり、支配階級からの強固な軍事強化策を打ち破ることができずに、階級協調的な観念的情緒的な平和主義の立場に陥ってしまったからである。

 選挙における争点は選挙によって違うとはいえ、基地の島沖縄においては基地の重圧を解消することが重要な課題であり、「オール沖縄」も辺野古新基地建設反対を掲げて闘っている。今回の選挙では高騰する物価対策も争点になったし、消費税や政治とカネについてなども争点ではあった。「オール沖縄」は基地問題の観点から候補者への支援体制を検討したのだろうが、中道候補への推薦ははたして基地問題解消に寄与できただろうか。闘いは前進できたのか。

 基地による経済損失という経済的な問題や騒音や犯罪などの問題にしろ、安全保障における軍事基地の役割にしろ、資本の支配と結びついている。そして米国や中国の帝国主義のみならず、日本の帝国主義化の矛盾が沖縄にのしかかったままだ(普天間基地がいまだに返還されないことを見よ)。

 労働者の生活困難は資本の支配によってもたらされているが、基地問題もその一部であり、具体的な要求を突きつけ、具体的な行動を提起して反撃していかなければならないし、議会闘争もそうした闘いと結びつけて闘われなければならないだろう。負担軽減の改良策にごまかされるのでなく、いい加減さやごまかしを暴露し、基地撤廃に向けた本土の労働者、世界の労働者と連帯した階級的な闘いこそ前進させよう。

◇日和見主義が自民勝利を助けた

 昨年の参院選で「オール沖縄」が支援した候補は26万5千票あまりで当選したが、自民の金権・腐敗政治、コメをはじめとする物価上昇などによる生活困難、将来への不安などの要因が大きく影響したからであり、対立候補の自民と参政の合計得票が35万8千票と9万票以上の差がついている。

 衆院選直前の1月25日投開票の辺野古がある名護市の市長選では、「オール沖縄」候補は対立する現職候補の獲得票の半分ほどの得票で、9千票の差で敗北していた。自民系現職候補を公明が支持し、基地問題を争点にしなかったとはいえ、それを突破できなかったのである。公明の反動的、ブルジョア的本質を明確に批判できなかったのだ。衆議院では立憲と辺野古新基地に反対でない宗教政党公明は合流し中道を結党。公明は沖縄の選挙で軍拡の自民を支援するという恥知らずの利敵行為をしたのだから徹底的に糾弾されるべきだった。

 立憲の安住幹事長(当時)は中道結成にあたり、「(新基地建設の)ストップは現実的ではない」との容認発言は批判を浴びた。悪しき「現実主義」で、新基地建設に反対する「オール沖縄」の闘いに冷や水を浴びせて、自民に勝てるのか。中道が権力を握ったら「辺野古新基地建設」を進めることになると有権者は判断し、かつての鳩山内閣の悪夢を蘇らせ、中道は負けるべくして負けたのである。

 本島北部の全域を含む第3区の立憲屋良は、辺野古新基地建設反対と言いながら、「(安住のように)はっきりと言わないでほしい」と中道本部に言うだけで、自分は「辺野古埋め立てに反対する信念は微動にしない」と支持者には説明し、中道の日和見主義を煙に巻き、矛盾した行動を行い、二枚舌を弄する言動を取り当然の結果、落選した。

 沖縄選挙区全体に影響を与えた第2区の選挙では、小選挙区に勝ったことのない自民宮崎が「オール沖縄」側の分裂選挙に助けられ、初めて勝利した。社民を離党し立憲から中道に移った新垣の対抗馬として、社民は瑞慶覧を立候補させ、「オール沖縄」支持の新垣との〝分裂選挙〟となり、高市反動政権との戦いを放棄したが如く、易々と両者は敗北。両者の合計得票は第2区勝者の自民宮崎の獲得票を上回った。

 沖縄4選挙区での全敗は、「オール沖縄」も高市政権との「辺野古新基地建設」反対運動の力不足、沖縄から基地がなくなるだけでいいとか、米国の戦争に巻き込まれなければいいとか、観念的な傾向の問題を曝け出した。帝国主義化が深まる中、反基地闘争に留まることなく、労働者階級に依拠して、資本の支配に対する闘いを押し進めて行こう。 (沖縄発)


    

【飛耳長目】

★茨城県の不法就労外国人の数が3年連続(22~24年)で全国最多となり、県は不法就労情報の提供で摘発につながれば、報奨金数万円を出す制度を創設するという★法務省によれば、24年に不法就労が認定された約1万4千人のうち茨城県での摘発は3452人で、ほぼ4分の1にもなる★『朝日』社説(2月28日)は、「密告」による報奨金制度は「外国人差別を招く悪手」だとする一方で、「茨城は全国3位の産出額の農業王国」で、「繁忙期には『不法就労』に頼らざるを得ない現実」があるとする★不法就労者の賃金は、「日額5千円超7千円以下」(法務省)で、過酷な農作業に見合う額ではない。「不法」の足元を見た低賃金は、農業経営者の暴利の源泉になっている★『朝日』は「必要なのは、不法就労を選択せずに済むような環境の整備」と漠然と言うだけで、「農業王国」が―茨城の農業に限らない日本の多くの製造業が―「不法就労」の温床であることを隠蔽し、彼らとの「協働」による作物を「新鮮でおいしい」と美化さえする★主要政党が「外国人対策」を声高に叫ぶ中、日本の労働者はこうした民族主義的、国家主義的風潮に反対し、労働者階級の国際的な団結と接近に向け、労働者としての権利や「定住」、国籍取得のために共同して闘おうではないか! (Y)


【2面トップ】

トランプ今度はイラン攻撃開始!

戦火を中東全域に拡大した
トランプとネタニヤフ

◇「脅威を排除し、米国民を守ることだ」と正当化

 トランプは先月28日、イランに対する大規模攻撃をイスラエルと合同で行い、「最高指導者ハメネイ師を殺害。軍事作戦は4週間継続する」と2日に発表した。

 攻撃理由をトランプは、SNSの投稿で「我々の目的はイラン政権という凶悪で非常に過激で恐ろしい人々の集団による差し迫った脅威を排除し、米国民を守ることだ」「イランは米国や米軍、多くの国々の罪なき人々を標的に大量殺戮を繰り返してきた」と発信。

 イランは1979年11月の「革命防衛隊」によるテヘラン米国大使館占拠や83年にベイルートで241人が殺害された米海兵隊宿舎爆破、23年10月にはハマスによるイスラエルへの軍事急襲などを実行・支援してきた。

 トランプはイランについて、「テロ支援国家」で「核兵器保有を許さない」「米軍はこの極めて邪悪で過激な独裁体制…に大規模で継続的な軍事作戦を実施する」と述べた。しかし、ガザで暴虐の限りを尽くし、〝斬首作戦〟で越境攻撃するイスラエルも厳然としたテロ国家である。存在しないイランの核兵器を問題にするより先に、90発のイスラエルの核兵器こそ破棄するべきだ。〝因縁をつけて金を脅し取る〟トランプの汚いやり口は許されない。

 トランプは、22年MAGA派に〝米議会への突入〟を煽り立てたように、イラン国民に政権転覆を煽り立てるメッセージを大統領演説として発した。「政府を掌握せよ」、「繁栄と栄光に満ちた未来を解き放つ時だ。今が行動の瞬間だ。逃してはならない」と。

 この扇動のメッセージは、形ではイラン国民に対する呼びかけである。実際にはイランに対する軍事攻撃の開始だ。目的は最高指導者ハメネイ師を殺害し政権転覆を行い、イランに対する米国の影響力を拡大することであり、米国と友好的な政権の樹立を狙っている。イランは埋蔵量世界4位の石油、天然ガスは2位の資源大国で、トランプはその権益が欲しいのだ。

◇パーレビのようなトランプとつるむ〝政治的山師〟の策動を許すな

 昨年末からイラン全土に波及した反政府デモは、食料品価格上昇に抗議する運動として始まった。インフレ率は12月に42・2%に高騰。イラン通貨リヤルの対ドルレートは1月6日には1ドル=150万リヤルの最安値を付け、輸入に多くを依存する食料品価格などの価格高騰をもたらした。

 このような物価上昇に対する抗議から、多くの学生が参加するイスラム体制の変革を要求する反政府運動に広がった。CNNの報道では、反政府デモの参加者から「これは最後の戦いだ。パーレビは戻ってくる」というスローガンが叫ばれていたという。パーレビ国王は1979年のイスラム革命で失脚し米国に家族と亡命した。

 イスラム革命によって誕生したイスラム共和制は、殺害されたハメネイ師を「最高指導者」とする宗教国家である。国民の民主主義的権利は制限され女性のヒジャブ着用の強制に象徴されるように女性差別がイスラム教の戒律によって制度化されている。「イスラム革命防衛隊」が反政府運動を弾圧するイスラム独裁国家である。

 亡命した長男のパーレビ元皇太子が1月に「目標は都市中心部を掌握し、それを維持する準備を整えることだ」(1月10日CNN)と表明。28日には軍や治安部隊に対して「諸君が守るべきはイランそのものであって、イスラム共和国やその指導者ではない」と体制転覆に向けて協力を呼びかけたが、元皇太子の動向は注意しなければならない。

 パレスチナ人を虫けらのように殺害するイスラエルや、軍事力をもてあそぶトランプに利用されるパーレビなどを信用してはならない。ハメネイ殺害の軍事作戦とパーレビの動きは一体のものであり、イラン人民のためのものではなく、私利私欲のため、〝王政復興〟で親米の支配階級になるためのものでしかない。

 イスラム体制の下で抑圧される、労働者・学生・女性らが弾圧にひるむことなく、政治的自由などの民主主義的権利を要求する闘いを我々は支持する。ハメネイは取り除かれたがイスラム体制を暴力的に統治する「イスラム革命防衛隊」は存在しイラン国家は専制主義の国家として存在している。

◇イラン・中東や世界に混乱と分断をもたらすだけのトランプの暴挙

 イスラム政治体制の打倒と新たな政治体制の選択は、イランの労働者人民が各国労働者人民との連帯支援の中で達成されるものである。暴君トランプの私兵と化した米軍とイスラエルの軍事力は、ハメネイや政権・軍幹部を殺害し、イラン国内の軍事施設などを破壊することはできる。しかしそれは、イラン・中東や世界に混乱と分断をもたらすだけである。

 ハメネイ殺害がトランプの思惑通りにイランのイスラム体制打倒につながる保証はない。むしろ、イラン国内の反米意識を高揚させ――28日には女学校を爆撃し85名の生徒が殺された。赤新月社は3日にこれまでに787人が死亡したと発表――ハメネイ亡き後に登場する新たなイスラム体制のもとで、結束が強化される可能性すら考えられる。

◇トランプをかばう高市首相も同罪

 イランは28日、ホルムズ海峡の封鎖を発表。封鎖後に4隻の船舶が攻撃され、船舶の航行はストップし海峡は実質的に閉鎖状態に陥っている。

 トランプは、11月の中間選挙で敗北してレームダック化することを恐れ、邪心を持って矢継ぎ早に軍事行動を仕掛け、他国民の犠牲やルールなど関係なく、「最高指揮官」の大統領に陶酔している。

 1日にロイターが発表した米国世論調査では、「攻撃を支持しない」が43%、「支持する」が27%。また56%はトランプによる米国の利益追求の軍事力行使が「行き過ぎ」と答えた。これは米兵の死亡(2日で6名)が発表される前の調査である。

 自己満足のために「最高指揮官」の権限を乱用し他国を攻撃するトランプの存在は、もはや地球的規模の大災害である。米国において、トランプを弾劾し罷免を要求する大衆的闘いが発展するのは必至である。その先頭で闘う米国の組織された労働者の階級的闘いに、世界中の労働者階級は支援し連帯して闘う。

 中国・ロシアの〝力による現状変更〟を批判しながら、自己保身からトランプの蛮行を批判せず、軍拡に励み、戦争する国家に突き進む高市政権を打倒する闘いによって、労働者の国際主義的連帯を実践しよう! 労働者党と共に闘おう。 (古)


【2面サブ】

「マムダニ誕生」で斎藤幸平は何を語るか?

『朝日』の「交論」(1月31日)で「マムダニ市長誕生の意味」で斎藤幸平のインタビューが載っていたので読んでみた。

 斎藤は、今度のマムダニの勝利は、「ごく普通の一般庶民が家賃や学費、医療費を払えない」状況、「極限まで広がった格差に対する不満」が、マムダニを押し上げたというのである。ではどうするか? 斎藤は次のように答える。

 「再分配を重視すれば、(米国民主党のように)多様性を尊重する政治でも勝てることをマムダニ氏は証明しました」「再分配と(多様性の)承認をどちらも重視する道こそトランプ氏に勝つための唯一の道ではないかと考えます」。日本についても次のように答えている、「みんなが安心して普通の暮らしができるような社会を作る政治を目指せば選挙でも支持が得られる、ということを今回のマムダニ氏の勝利は示しています。そのことを日本の政治家は気づくべきです」。

 これがマルクス研究者の主張である。斎藤は、マムダニが社会主義者(を自称しているが)でも何でもなく、トランプと握手するような俗物で、サンダースなどと同じ民主党(大ブルジョア政党)の中の左翼に過ぎないことを暴露しようともしない! 斎藤の言っていることと、ブルジョア、小ブルジョア政治家の言っていることと、一体どこが違うのか? 「再分配」、「格差の是正」、「安心して暮らせる社会」などは今度の総選挙を見ても、どの政治家も口先では主張していることだ。斎藤の言っていることは、単なる改良主義者の主張でしかない。

 一体、「再分配」や「格差是正」のための源資はどこに求めるのか? ブルジョアたちにその富を吐き出させようというのか、国家の富、財源で格差をなくすというのか? しかしブルジョアの富も国家の財源も、元はといえば、すべて労働者の労働が作り出したものではないか。

 そもそも資本主義社会は格差社会であり、労働に不可欠の生産手段の独占者である資本家と、自分のものといえば自分の労働力しか持っていない(従って資本家に雇われなければ生きていけない)労働者から成っている。富を持っているものと持たない者との階級的な格差を前提にして資本主義社会は成り立っており(小ブルジョアについては言わない)、この格差の拡大、つまり労働者に対する搾取のさらなる強化、蓄積の拡大こそ、資本主義社会の発展の原動力なのである。

 その結果、斎藤も認めるように、巨額の利益を世界中から収奪しているGAFAMのような巨大な化けもの企業が誕生しているのだ。格差をなくそうと思えば、資本主義を無くすしかない。

 さらに斎藤は、「彼(マムダニ)を支持したのは、マルクスの頃のような貧民労働者階級というわけではありません」と述べて、あたかもマルクスが労働者の貧困だけを問題にしたかのように述べている。これはとんでもない歪曲である。

 マルクスは単に貧困な労働者ばかりでなく労働者階級そのものが、資本に搾取され労働から疎外されていることを指摘し、労働者階級自身の力によって資本主義を打倒し、労働の解放を実現しなければならないことを明らかにしたのである。

 マルクス主義は、単に貧困な労働者の救済だけではなく労働者階級全体ひいては全人民の解放を目指すのである。斎藤は再分配によって格差をなくすというが、資本主義社会において、労働者の賃金は労働力の価格でしかない。

 資本家は労働者に労働力の価格以上の賃金を払う義務も責任もない。そのうえ資本家は常に労働者の賃金を値切ろうとする。だから再分配によって労働者の生活が、真に豊かになることなどあり得ない。再分配による多少の上下(労働力の需給関係などによって)はあったとしても労働者の生活は労働力の価格の生活でしかない。

 斎藤は分配だけを問題にし、分配されるべきパイ(富)の生産(関係)を問題にしない。しかし分配の在り方は生産のあり方によって決まるのである。資本主義的生産には資本主義的分配が対応し、労働者への分配は労働力の価格によって決まるのである。

 斎藤が資本主義の生産関係に言及しないのも、生産関係で再分配を問題にすれば必然的に労働力(賃金)や剰余価値の本質が明らかになり、資本主義的搾取そのものを問題にせざるを得なくなるからである。こざかしい小ブルインテリの斎藤がそれを意識的に避けたのかどうかは知らないが、彼の再分配の主張は、ありきたりの改良主義にすぎないのだ。 (神奈川K)


《前号の訂正》

1517号1面トップ1段1パラ後ろから2行目(同113)」は、(同217)の間違いです。訂正願います。

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