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●1495号 2025年3月23日 【一面トップ】 司法、東電・国の立場を擁護 ――福島原発事故の無罪判決糾弾 【一面サブ】 賃金は利潤からの〝お裾分け〟か? ――賃金闘争から遁走する連合幹部 【コラム】 飛耳長目 【二面トップ】 米国から〝自立〟するEU ――「再軍備宣言」でロシアと対峙 【二面サブ】 プーチンの〝遅延作戦〟 ――狙いはウクライナの屈服 【二面サブ2】 読者の声 ※『海つばめ』PDF版見本 【1面トップ】司法、東電・国の立場を擁護福島原発事故の無罪判決糾弾2011年の東日本大震災による巨大津波で、東京電力福島原発は事故を起こし、業務上過失致死傷罪で強制起訴された東電の旧経営陣2人について、最高裁第2小法廷は一、二審の無罪判決を支持する決定を行い、3月11日に無罪が確定した。司法は、事故の東電・国の責任を認めず、「原発回帰」を後押しする。 ◇東電福島原発事故無罪判決強制起訴の内容は、高さ10mにある同原発の敷地を越える津波が襲来して原発事故が起きると予見できたのに、建屋の浸水対策などを怠ったため、原発近くの双葉病院などから避難を強いられた入院患者ら44人を死亡させたとするものだ。 最高裁は、起訴内容は被告らが、原発に敷地高さ10mを越える津波の現実的な可能性の認識があったことを前提とするが、被告らはそうした現実的な可能性を認識していたとは認められないとし、一、二審の無罪判決は相当だと結論付けた。 東電は08年に、国が02年に公表した地震予測「長期評価」をもとに、「最大15・7m」の津波が来ると試算していたが、一審、二審とも「長期評価の信頼性は疑義があり、運転停止を義務づけるほど津波を予見できたとは言えない」とした。 政府の特別の機関である地震調査研究推進本部は、主要な活断層で発生する地震や海溝型地震を対象に、地震の規模や一定期間内に地震が発生する確率を予測した「地震発生可能性の長期評価」を公表している。02年には「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価について」、日本海溝沿いのどこでも,すなわち福島県沖でも10mを越える大津波をもたらす津波地震が発生するという予測を公表していた。 最高裁の判決は、その長期評価の「信頼性は疑義があり」と評価したのだが、一般に地学現象における「予測」は限界があるのは当然であり、「信頼性」は地震の発生確率で示されている。その地学現象の確率的な予測を「疑義」とは言えない。 ◇東電は原発事故に責任がないと言えるか地震津波の規模は、これまでも三陸海岸で繰り返されてきた津波によって、歴史的にも明らかである。また、津波の痕跡を示す津波堆積物の分布によって、869年の貞観地震の大津波では「当時の海岸で約7m」、約3km内陸部では「2・5m」の津波の高さだった(asahi.com 2011.4.13)ことが裏付けられている。これは、10mを超える津波の「現実的な可能性」を示すものだ。 こうした検討は、長期評価をもとに東電の社内で行なわれていた。それを東電経営陣が無視したのであり、「予見可能性」はあったのだ。重大な結果の発生を回避するための「結果回避義務」については、「予見可能性」と密接に結びつくもので大地震・大津波の危険性に対する認識を怠れば、「結果回避義務」も果たすことはできない。 判決は、事故を防ぐには「震災直前の11年3月初旬までに原発の運転を止めるしかなかった」との一審の認定を支持したが、東電は08年には「長期評価」をもとに「最大15・7m」の津波が来ると試算したシミュレーション結果を得ていた。全電源喪失、炉心溶融という最悪の事態を回避するために、少なくとも建屋地下の非常用発電機が水没しないようにすることが必要であるが、津波想定高さ以上の地盤に非常用発電機を設けておくなどの対策を取ることはできた。 東電を監督する立場にある国、そして安全委員会の責任は明らかだ。東電経営陣に対する最高裁の無罪判決は、東電経営陣と東電の原発事業を認めてきた国、安全委員会の責任を免罪するものだ。 ◇原発回帰のエネルギー基本計画東電福島原発事故無罪判決の1ヶ月前の2月18日、政府はエネルギーの基本的な方向性を示す「第7次エネルギー基本計画(エネ基)」と40年を見据えた新国家戦略「GX2040ビジョン」を閣議決定した。 福島原発事故後のエネルギー戦略は、「30年代の原発ゼロ」を目標とするから「可能な限り原発依存度を低減する」に変わり、原発再稼働を推進し、23年2月の「GX実現に向けた基本方針」で原発を「最大限利用する」に転換。原則40年の運転期間を60年超の運転まで認可する仕組みに変えた。 今回のエネ基では「可能な限り原発依存度を低減する」を削除し、再生エネルギーと同列に原発を「最大限利用する」に位置づけた。電力構成は23年の実績では再エネ23%、原発8%、火力など69%であったが、今回の7次計画(40年度目標)では再エネ4~5割程度、原発2割程度、火力など3~4割程度とした。「脱炭素」と言い、再エネを増大させ火力などを減少させているが、「原発回帰」した。 今回の無罪判決は、司法が利益優先の資本と一体となって、福島事故を教訓とせず、「原発回帰」を後押ししたのだ。 ◇原発についてどのような態度をとるべきか一審の判決文は、予測の根拠に信頼性がないなどを口実とし、何時発生してもおかしくない地震や津波に備える安全性をより高める安全措置の必要はないとするに等しい。しかし東電は会社の利益を優先させて安全対策を怠り過酷事故を招いた。 日本は地殻変動帯に位置し、大規模地震や津波、火山活動による原発事故の危険性が常にある。会社の利益を優先させる資本主義社会の下では、原発は如何に危険であるかが福島事故の教訓だ。「核のゴミ」の最終処分方法、除染土の処理、デブリを取り出す廃炉方法なども未解決のままだが、今回のエネ基は原発回帰に進む。 資本の下での原発の危険性は明らかだ。労働者は資本の支配を打倒し、科学技術を発展させ、安全性に対して十分配慮した、クリーンなエネルギーの開発の前進を勝ち取るだろう。 (佐) 【1面サブ】賃金は利潤からの〝お裾分け〟か?賃金闘争から遁走する連合幹部去る12日(3月)、労働組合の賃上げ要求に対して大手企業が集中回答した。賃上げ要求が5%台と昨年とほとんど変わらず、従って、企業の回答もまた作年とほぼ同じ結果になった。連合幹部はこの集中回答に不満さえ表明せず、幕引きを図ろうとしている。 ◇幕引き図る連合幹部連合の「初回集計」によると、正規労働者の賃上げ率(定昇込み)は平均5・46%で、昨年よりわずか0・18ポイント増えたにとどまる。 この内訳を見ると、300人未満の中小労組の場合には、賃上げ率は平均5・09%で昨年同期の4・42%より伸びたが、300人以上の労組では逆に下がっている。パートなどの非正規労働者の賃上げ率は時給で6・50%(75・39円)である等々。 昨年を上回る賃上げ回答があった例もあるが、平均すれば昨年と同程度の回答しか出ていない。これでは食料品・生活用品の値上げラッシュが続く現在、労働者の実質賃金は下がる一方である。 帝国データバンクによれば、「今年の食品の値上げは既に1万品目を超えた。年間では、24年の1万2千品目から2万品目前後に増える」という。円安が継続し世界経済が保護主義に傾くなら、さらに値上げ圧力が強まり、労働者の生活悪化は避けられない。 ところが、連合幹部は労働者の生活悪化予想に目を閉ざし、労働者を団結させて闘おうとしていない。 連合の芳野らは、賃金は資本(企業)が儲けた利潤から分配されているというブルジョア経済学を鵜呑みにし、企業が利潤増大を実現した結果、賃金を〝おねだり〟できると考える。 だから、芳野らは企業に協調することを優先し、労働者の団結で闘いを構築する必要性を感じず、労働者の不満をよそに、さっさと賃金闘争の幕引きを図るのである。 ◇資本と賃金と利潤芳野らは資本が作る利潤が元手となって賃金が配分されると観念する。これには理由がある。 工場の労働過程で製造された商品が市場で売られ、市場の中で利潤(=剰余価値)が形成されるかに見えるからである。学者たちも、利潤の発生は市場での需給関係から生じるとか、独占による超過利潤によるとか、はたまた資本そのものが生み出すなどと解説している。例えば、ケインズは生産と流通の質的違いを区別できず、投資(供給)と消費(需要)の差額が、つまり資本による商品の売買差額が所得(利潤)になると見なす。また、斎藤幸平は独占による商品の「希少性」によると解説する。 果たして学者たちの言い分は正しいか? まず、資本は利潤を生み出すために貨幣資本を投下する。この貨幣資本は直ぐに生産資本に替わる。貨幣を前貸しした(借り入れや貯金を下ろす)だけでは何ら利潤は生まれないからである。資本は、労働過程で利潤が発生することを経験上知っている。 そこで資本は、機械や原材料などの生産手段を買う。この売買の過程では、手練手管を含む需給変動があっても、全体では「等価交換」が貫かれる(産業利潤の一部が商業利潤に転化することは捨象して考える)。 もし、売り手が価値より高く売って儲けるなら買い手は損をし、社会的には利潤は発生しない。価値より安く売買する場合でも利潤は発生しない。労働過程から出た商品の売買も同じことだ。 独占的支配による「希少性」によって、価値より高く売るという斎藤幸平の理屈も、需給の場合と同様に社会的利潤は生まれ得ない。 このように、個別的一時的ではなく社会的平均的に見れば、流通過程で利潤が発生することはない。まして、資本自体が利潤を発生することもない。流通過程の中で利潤が形成されるかに、また資本自体が「自己増殖」して利潤を生むかに見えるのは、資本の循環にのみ、または資本の運動の外観にのみに目を奪われているからである。 利潤は、つまり剰余価値は資本の労働過程で発生する以外にない。では、どうやってか? 言うまでもなく、資本は生産手段と共に労働者の労働力(労働能力)を商品として買い、労働力の価値(生活手段の価値である賃金に相当)で表される労働時間より多く働かせて、つまり労働を搾取して利潤を生み出すのだ。非正規労働者はさらに徹底的に搾取される。要するに、資本が利潤を作り、この利潤から賃金として〝お裾分け〟されるのではない。 もう一つ、重要なことがある。それは、賃金が上がれば利潤は下がるということだ。これが、大幅な賃上げを決して認めようとしない最大の理由だ。資本と労働者は敵対的な関係にあることが明らかになる、労働者は闘わなくては生活を守れないということも。 生産手段から切り離された労働者=生産者は、資本主義が続く限り搾取され続け、現在と将来の生活を資本に従属させられる。この真実を確認し、資本と芳野らを追及し断固として闘わなければならない! (W) 【飛耳長目】 ★岩手県大船渡市の山林火災は2900ha(東京ドーム617個分)を焼き尽くし、11日後に漸く鎮火した。市は「鎮圧した」と宣言したが、それは降雨によるものであり、むしろ「幸いにも自然鎮火した」と言うべきで、被害はさらに拡大していたであろう★山林火災に、現行の消火体制が無力なのを露呈するとともに、日本の林業政策がいかにいい加減なものかを暴露した。国土の3分の2が森林である我が国では、例えば私有林は人工林の6割弱(約660万ha)を占め、そのうちの3分の2ほどが管理不明や管理不十分、所謂ほったらかしである★乾燥と強風が被害を拡大させたとは言え、長年間伐されずに野生化した樹木は密集し、下草や落ち葉は積もり放題、燃えてくれといわんばかりである★2500万haもの森林(国土の内、森林面積の割合は先進国中3位)をもちながら、国産木材利用率は2割にも満たない。日本の木材は過度の労働力不足と生産や流通コストが高いとして資本は見向きもせず、結果、放置される★「日本国土を守る」という口実で湯水のごとく軍事費を増大させながら、こうした災害対策費や資源活用の抜本的対策は手不付のままだ。全焼した79棟への国家補償は1棟当たり100万円というみみっちい額であることを付け加えておこう。 (義) 【2面トップ】米国から〝自立〟するEU「再軍備宣言」でロシアと対峙◇EUとの分断を明示した国連総会2月24日の国連総会で、ロシアのウクライナ侵攻が3年経過したことを受けて、緊急特別会合が開催され、ウクライナとEUが提出した決議案が、賛成93ヶ国、反対18ヶ国、棄権65ヶ国で採択された。この決議案採決は、EUと米国との分断を国連加盟193ヶ国の前で明確にしたという事である。日英仏などは賛成し、反対した国は、ロシア、ベラルーシや北朝鮮などと米国であり、中国やインドなどは棄権した。米国がロシアと共に反対したのは、決議案に「ウクライナの主権や領土保全を支持する」(2・25朝日)と言う内容が含まれていたからであった。 米国は、EU・ウクライナの決議案への反対票を集めるために、「アメリカの当局者が、従わない国への援助を打ち切ると脅していたと報じられている」(同上)。米国は、国連加盟の多くを占める小国に対して、大国主義的態度で脅迫したが、僅か18ヶ国しか反対票は入らなかった。米国は、ロシアや北朝鮮と共にEUの決議案に反対するほど、EUとの分断を深めているのである。 ◇独裁で民主主義を否定するトランプトランプは、自分が「民主主義的な大統領選」によって米国民の意志と合意のもとに選出された大統領であると、自分の独裁主義と米国第一主義に基づく排外主義を正当化する。独のAfDやEUのポピュリズム政党との連携はその排外主義の表れであり、米国とEUとの政治的亀裂は一層深まる。トランプのEUに対する不満は、2月26日に発表したEUに対する追加関税25%に表れている。24年の米国とEUの貿易収支は、米国が2356億ドルの赤字と中国に次いで2番目に大きい。 こうした状況の中で、EUと米国との対立・亀裂を決定づけたのが、ウクライナの〝殺生与奪権〟を弄ぶトランプのウクライナ停戦交渉である。 ◇トランプに翻弄されるウクライナ4年目に突入したウクライナ戦争は、最前線では塹壕戦の膠着状態が続き消耗戦の様相を呈している。ロシアはウクライナ東部4州をほぼ制圧した。プーチンは、ロシア軍のミサイルや戦車、爆撃機などの兵器が不足する中、北朝鮮の支援を受けながら量的に勝る歩兵などを大量に投入し攻撃している。ロシアの停戦条件を受け入れるまで消耗戦を継続しようとしているのだ。 トランプは、ウクライナやEUの頭越しにプーチンとの停戦交渉を進め、ゼレンスキーに対してウクライナの地下に眠る鉱物資源を米国に引き渡し〝無条件降伏〟を迫った。 交渉決裂後、トランプはウクライナへの武器供与の中止、米軍の情報網からの切断を発表した。その後、米国の30日間停戦案に対してゼレンスキーは合意しEUも賛同。一方の当事者であるプーチンが受け入れるか否かは不明である。仮に受け入れたにしても、それがどのような停戦、終戦になるかは全く明確ではない。明らかなことは、ウクライナはトランプとプーチンの〝パワーゲーム〟に翻弄される駒でしかないという事である。 ◇大軍拡でロシアと対峙するEUトランプ1・0でもEUに対して国防費の増額(GDP2%)を迫り、NATOからの脱退をほのめかしていた。トランプ政権末期の20年7月に、ドイツなどの国防費が目標の2%を達成していないことを理由に独駐留米軍1万2千人の削減をおこなったのである。それは、取引に応じなかったドイツ・EUに対する報復に他ならなかった。 EUは、その後発足した米国バイデン政権と、大西洋を挟んだ〝民主主義陣営〟の結束を信じ米国の安全保障に依存してきた。 復活したトランプ政権は、「EUはアメリカを利用するために設立された」と、EUに対する敵意をむき出しに批判を繰り返している。EUも米国への25%の報復追加関税を3月12日に発表。米国はアルミ鉄鋼に対する25%の報復追加関税を発表した。EU、米国共に対抗報復関税をかけると表明し〝貿易戦争〟の様相を呈している。 EUは、頭越しにプーチンと交渉を進めるトランプへの不信が底流にある。トランプは、ウクライナ停戦後の米軍関与を否定し、独駐留米軍(3万5千人)を、トランプを支持するハンガリーへの再配置を検討している。 EUは、米国の関与が後退し米軍の軍事力に依存する安全保障に、かつてない危機感を抱いている。核大国ロシアの軍事的脅威を真正面から受けることに対して、3月6日に「欧州再軍備計画」を合意し、8千億ユーロ(約125兆円)の軍事費増額が、ハンガリーを除く加盟国26か国の賛成で採択され、EUは米国からの自立に踏み出した。 「私たちは今、最も深刻かつ危険な時代に生きている。再軍備の時代に生きている」(3月6日フォンデアライエン欧州委員長)。厳しい財政規律を加盟国に課すEUでも、軍事費増による赤字を容認する大軍拡時代へ突入した。 EU・米・ロの対立は帝国主義国家同士の対立であり、労働者はいずれにも与せず、各国労働者と連帯して自国政府打倒の闘いを進めなければならない。 (古) 【2面サブ】プーチンの〝遅延作戦〟狙いはウクライナの屈服2月末の米国とウクライナの首脳会談は決烈したが、ウクライナ側の大幅な譲歩によって、3月11日にトランプの唱える30日間の停戦に合意した。 自国の主権、安全の保証について不明確なトランプ停戦構想にウクライナが合意したのは、苦渋の選択であった。 英国やEUは軍事支援の継続、平和維持軍の派遣などウクライナに対して支援を謳ったが、米国の支援抜きにロシアに抵抗を続けることが出来ないからである。 ウクラナの合意によって、停戦が実現するか否かはロシアの態度如何に委ねられた形となった。3月13日、プーチンはトランプの停戦案について「アイデアは正しい。私たちはこれを支持する。だが、議論が必要な疑問がある」と述べた。 プーチンが挙げた疑問とは、停戦は「持続的な平和をもたらし、この危機の根本的原因を取り除くものでなければならない」と言うのである。 ブーチンの言う「危機の根本的原因」とは、ロシアと一体であるべきウクライナが独立したことであり、現在の両国の戦争もファシスト・ゼレンスキー政権によって引き起こされたものだということである。 これは、これまでのロシアのウクライナ侵攻を正当化するプーチンの主張の繰り返しである。プーチンの、停戦は「危機の根本原因を取り除くものでなければならない」との主張は、ゼレンスキー政権の排除、占領地域のロシア領への編入、ウクライナ軍の縮小、ウクライナのNATO加盟禁止・中立化などこれまで言ってきた停戦条件から一歩もでるものではない。プーチンのウクライナ侵攻の目的は、ウクライナ政権をロシアの傀儡政権にかえ、属国化することである。 プーチンは、記者会見で、停戦がどう機能するかについて、「その30日はどう使われるのか。ウクライナの動員のためか。再武装のためか。軍の訓練のためか。そうしたことは一切ないのか。そしてそれがどうコントロールされるのか」と疑問点を挙げた。 そしてさらに、「誰が戦闘を終わらせる命令を出すのか。どれだけの代償を出すのか。停戦になったとして2000キロの距離にわたる地帯で停戦が破られたかどうかを誰が判断するのか。こうした疑問はすべて双方による綿密な作業が必要だ。それを取り仕切るのか」と述べた。 これに対してゼレンスキーが、「プーチンは直接的にはノーとは言わない」が、「実際的には拒否の準備をしている」と批判したのは当然である。 ウクライナにとって停戦は、その後の〝平和〟へのためであるのに対して、プーチンにとっては「危機の根本的解決」に向けての一過程である。 ウクライナによって占領されたクルスク州の大半を取り戻し、ウクライナ領内での戦争についてもウクライナ軍を圧倒し、占領地域を拡大しつあるプーチンにとって、今すぐに停戦に応じる、積極的になる理由は見当たらない。プーチンはトランプの停戦案に賛成すると言いつつ、様々な「疑問点」を並び立て、停戦実現に消極的な態度をとっている。 現在、停戦がいつ行われるかは不明確である。しかし、トランプによる停戦案が実現したとしても、ウクライナの「主権、独立」を「保証する」ものとはなりえないことは確実である。 (T)
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