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●1531号 2026年9月27日 【一面トップ】 破綻した「オール沖縄」幻想 ――沖縄県知事選完敗の原因と教訓は何か 【一面サブ】 軍拡、強権政治を許すな ――第2次高市内閣発足 【コラム】 飛耳長目 【二面トップ】 AIが人類を滅ぼす? ――トランプのような帝国主義者こそ世界を滅ぼす 【二面サブ】 〝明るい未来〟打ち砕いた利潤目的の原発 ――福島第一原発と浜岡原発の教訓 ※『海つばめ』PDF版見本 【1面トップ】破綻した「オール沖縄」幻想沖縄県知事選完敗の原因と教訓は何か9月13日投開票の沖縄県知事選は、投票率61・57%と前回を3・65ポイント上回ったが、現職玉城はSNS等の悪宣伝を跳ね除けることもできず、約27万6千票に終わり、前那覇市副市長だった新人古謝が約42万3千票を獲得、約14万7千票の大差で当選した。12年ぶりの保守県政となる。同日投開票の県議会2補選でも自民が勝利。県議会は25対23で辺野古新基地容認が過半数となった。 ◇現職の玉城は完全敗北!市部での古謝の得票は約32万6千票、玉城約20万7千票、約11万9千票差で古謝圧勝。市部は沖縄人口の約8割を占め、無党派層が多く、若年層が多い。サービス業中心で、県外出身者も多い。基地関連雇用の影響が大きい地域もある町村部では、古謝約9万7千票、玉城約6万9千票、古謝が約2万8千票差で勝利し、玉城が勝ったのは大宜味村のみで、オール沖縄はほぼ完敗だ。 古謝が全41市町村のほぼすべてで大差で上回ったが、こうした保守の勝利は今までない結果であり、玉城支持の共産党など6党は、自民党など6党に為す術なく完敗したに等しい。社民党は1月総選挙での沖縄2区の「オール沖縄」への対抗出馬によるゴタゴタが続き、闘いの足を引っ張っただけと言えよう。
◇「基地問題より経済」の結果か報道機関の出口調査では、「重視した政策」で経済の活性化が49・5%、「基地問題」の20・9%より2倍以上多く、「経済」を回答した78%は古謝へ、基地重視の72%は玉城に投票した。辺野古移設に関しては、移設賛成が50・2%、反対の43・8%より6・4ポイント上回った。前回知事選では反対が10ポイント上回っていた。「反基地」の「オール沖縄」の破綻は明らかである。 古謝は18~39歳からの支持で玉城の3倍超であり、若い世代から強い支持を集め、男性は古謝支持が約6割、玉城約3割、女性は古謝、玉城ほぼ互角という出口調査もある。「基地問題」よりも「経済・生活」重視での投票だったと推察される。 しかし、落選した玉城は、「反基地」の「オール沖縄」から「県民党」に比重を移して闘ったのであり、古謝も「県民党」の立場をもって対抗しているのだから「県民党」という階級協調の立場は闘いの結集軸をあいまいにし、古謝と何の区別もなく、訴える力を弱めた。 両者の公約政策は、基地・安保、経済政策、離島政策、交通政策、医療・福祉、子育て・教育、環境、文化・スポーツ等で競い合ったが、基地以外では大して違いはない。例えば、交通政策では、古謝が道路網整備、交通関連の新技術導入、モノレール3両化、バス路線再編、鉄軌道導入などを含む交通ネットワークなどを掲げ、玉城は鉄軌道導入や新しい公共交通システムの構築、沿道景観の改善や跡地利用の推進などで、都市化に伴う資本の支配がもたらす問題と意識的に闘おうという姿勢は皆無であった。 古謝が「十年で県民所得倍増」を訴え、経済重視を押し出していることに、玉城はブルジョア性を徹底的に暴露できず、資本家と労働者の利害が一致しているかの幻想を振りまいていることへの有効な反撃ができなかった。単にSNS等の利用の問題ではないのである。 「オール沖縄」の弱体化もあり、高市政権は南西諸島軍事要塞化を強行的に進めるため、何が何でも「辺野古新基地反対」の知事を替えようと踏み込み、自民県本部の頭越しに策動を行い、右派野党を取り込んだ。政権離脱した公明に見られるように、安保では自民と大して変わらない右派野党に「反基地」は貫けない。 高市政権は「基地賛成」の下地の立候補を告示間際に取下げさせたが、下地も自民との駆け引きで国会議員を狙う意図が見え見えで、薄汚い政治屋の本性が示された。反動政治との闘いを徹底的に貫くことなしには闘いの前進はなかったのである。 ◇自維政権に屈し続ける「オール沖縄」沖縄にとって長年の課題である県民所得の低さ、とりわけ若者の貧困がある。沖縄の一人あたり県民所得は長らく全国最下位の水準(23年度は231万万5千円で、国民所得水準を100として65・7)であり、本土との経済格差は長年にわたって存在してきた。全国の米軍基地7割が集中していることによる経済圧迫の中で、「反基地」と「生活向上」を求めて「オール沖縄」の闘いもあった。 「オール沖縄」は衆院選の全敗に続き、最後の砦だった県知事という権力を失った。闘いの方向性を小ブルジョア的な市民主義から転換することができるかが問われている。つまり、労働者の立場に立った運動に転換すること、「経済の活性化」があっても、「労働者の生活苦」から脱却するすべはどこにあるかが重要だ。 「オール沖縄」の小ブル性とは、沖縄の基地の撤去あるいは縮小さえできれば、そこに沖縄の経済的繁栄がある、つまり彼らの意識は、資本主義体制のままでも、沖縄の平和、豊かな繁栄が、生まれると確信するのである。それだから基地は日本全体で分かち合うべきとの主張に繋がる。資本主義のままでも憲法があり民主主義があり平和が築けるというブルジョア的欺瞞的本質に何らの疑問も持たない。 そして、労働者OBの一人は、ある意味でヒーローであった翁長元知事亡きあと、次のヒーローがやって来ないかなーと願う。そのような小ブル的考えは、強硬に南西諸島の軍事要塞化を進める高市内閣と対話で解決できると夢想するのである。 資本主義に対する闘いの中にこそ、軍事基地撤去がある。沖縄の基地反対の闘いは、県知事が権力の一側面をもつにしても、裁判闘争をみても国家権力にたいして辺野古新基地建設を阻止するには、乗り越えられない限界が明らかになった。 沖縄のアイデンティティを持ち出しても、南西諸島の軍事要塞化へ突き進む日本帝国主義体制を打破する闘いに結びつかないことを理解する必要がある。中身のない「反対」というプラカードだったり、帝国主義化を強めていることの無理解が闘いの弱体を招き敗北をもたらしたのだ。 (沖縄発) 【1面サブ】軍拡、強権政治を許すな第2次高市内閣発足臨時国会を前に、内閣改造により9月18日、第2次高市内閣が発足した。高市は、「責任ある積極財政」、「安全保障の抜本的強化」をはじめ反動的な政治を強行しようとしている。 ◇維新は閣外協力から閣内協力に新内閣の特徴は、第1にこれまで大臣を担わず、閣外協力であった維新が入閣したことである。維新が入閣をしなかったのは、自民党が単独で過半数を持たない下では、閣外にいて自民党との「協力文書」に基づく協力関係を持つ方が、維新として独立性を保つことができ、有利だと判断していたからである。しかし2月総選挙の自民党圧勝で、その条件は無くなり、自民党は衆院では維新のことをこれまでのように配慮せずに政治を進めることができるようになった。 こうした条件のもとで、維新は政府の一員となる方が利益になると踏んで入閣した。維新が担うのは行政改革大臣。維新は「副都心法」を実現したほか、国家情報会議設置法、国旗棄損処罰法、皇室典範改定などに加担してきた。維新の入閣は軍備増強を目指す安保3文書改定、憲法改定、議員定数削減など反動政治の推進にさらに拍車をかける狙いである。 ◇「裏金づくり」議員が初めて大臣に第2に、「裏金づくり」を行った〝不法〟腐敗議員が多数正副大臣に任命されたことである。 閣僚としては、政治資金収支報告書不記載額が836万円に上がり、党から戒告処分を受けた関芳弘が文部科学相に、同じく不記載額が1746万円と7番目に多く、党の役職停止処分を受けた簗(やな)和男は農水産相に任命された。自民党派閥の「裏金づくり」議員の閣僚任命は岸田及び石破政権ではゼロであったが、高市政権では2人も入閣した。簗は「選挙を2回経て、説明責任を果たした」とうそぶいている。関も簗も政治的に高市に近い立場だ。 このほか「裏金づくり」に関与した議員のうち5人が副大臣に、同じく3人が、大臣のもとで特定の政策・企画に参画し、政策を処理する政務官に任命された。 合計10人もの「裏金づくり」議員が大臣等に就任したことについて高市は「能力主義」に基づいて任命したと言っているが、衆院選の大勝にものを言わせて、まだ政治的に決着のついていない「裏金づくり」問題の強引な〝幕引き〟を図った形だ。高市は、自民党の金権腐敗の政治には厚顔にもまったく無反省だ。 ◇強まる高市の強権政治党内人事では、高市の後ろ盾となってきた麻生の副総裁はじめ、木原俊官房長官、鈴木幹事長、小林鷹之政調会長、西村康捻選対委員長が留任。閣僚も外務相、財務相、防衛相など主要大臣が留任。総裁選を争った4人のうちでは林芳正議員だけが党4役、閣僚から外れた。 このほか国対委員長と参議院幹事長を交代。国対委員長であった梶山は総務会長となり、梶山に代わって新たに国対委員長に村井が就任。閣僚経験がない村井の抜擢は異例と言われる。村井は「国会における審議の充実化、効率化を進めていきたい」と語ったが、国対交代は首相の国会出席を減らそうとする高市の意向によるとされている。 また石井参議院幹事長の交代も同様の理由だ。少数与党の参議院で、石井は野党との〝調整〟を重視してきたが、26年度予算の年度内成立を遅らせたと、高市の不満を買い交代、と言われている。 「丁寧な説明、熟議」が高市の言い草だが、それとは反対に、質問に対して「答えをはぐらかし、まともに答えない」、マスコミの記者会見や国会での答弁を敬遠し、SNSを通じて自分の言いたいことを一方的に言う、数にものを言わせて反動法案のゴリ押しをするのが高市の政治だ。今後、さらに強権政治が強まるのは必至だ。階級的団結を固め、高市反動政権打倒に立ち上がろう。 (T) 【飛耳長目】 ★昨夏は40℃を超す猛暑、今夏は豪雨と長雨にさらされている。全国各地で車が水没し死者が出る程の豪雨、秋雨前線の停滞で関東東海では、ここ3週間長雨が続き、晴れ間はほんの数時間だけ、まさに異常気象である★地球温暖化による気候変動は着実に進行している。ネパールと中国との国境で起きた土石流と水害は街を一気に呑み込み、死者1300人、行方不明者5100人の未曾有の大災害となった。原因はヒマラヤ山脈の気温上昇による氷河崩壊と言われる★そんな折、トランプは火力発電の温室効果ガスの排出規制撤廃を正式に決めた。アメリカの排出量は、中国(31・3%)に次いで多く(13・3%)、「21世紀後半に排出量0」を掲げる「パリ協定」は有名無実だ。11月の中間選挙を控え、電気料金の値下げをアピールし、「地球温暖化や気候変動はでっちあげだ」と言ってはばからないトランプは、己の権力維持のために、熱波や暴風雨、洪水や山火事で失われた多くの命に「三猿」を決め込む★アメリカや中国、ロシアをはじめとする資本主義大国は、果てしない競争と権益拡大のために戦争も辞さず、地球を破壊することも厭わない。生活破壊と大災害が世界の労働者大衆の上に降りかかっている。労働者階級は黙って指をくわえているわけにはいかない! (義) 【2面トップ】AIが人類を滅ぼす?トランプのような帝国主義者こそ世界を滅ぼす米国・民主党左派のサンダースと、トランプの元側近だったバノンが9月15日、AIのイベントに相次いで登壇し、AIの規制を訴えた。評論家諸氏からも、AIは人知を超えた存在になり、人間が制御できなくなるといった意見が噴出している。 ◇何が事の発端か?AIの規制を強化せよという意見が出たのは、米国の大手AI開発会社で、相次いで問題が発覚したからである。以下、米オープンAI社(AI社とする)の紹介をする。 さる7月、開発中のAIモデルがインターネット環境にアクセスし、目的外のシステムに不正侵入する事件を起こした。この発覚を受けて、AI社はネットから隔離するための制御策を改善し、また、より厳しい監視体制を導入すると弁明した。 マスコミや研究者によると、事の発端は以下のようである。 AI社が開発したAIエージェントが「サイバーセキュリティの評価環境」で稼働していたが、この約1200体のAIエージェントが、開発者の想定を超えて連携し始めたというのだ――AIエージェントとは、与えられた目的達成のために自律的に行動するAIで、他のAIやウェブや外部データベースなど、様々な供給源を活用する。 しかも、そのうち約700体が外部のサービスに集団で不正アクセスを試みた。その標的は、「世界中のAI開発者が使う共有プラットフォーム」(利用者同士が情報、データ、動画、ファイルなどをインターネット上で預け合い、交換・共有するための基盤や仕組みのこと)であった。 この共有基盤にある数十台のサーバーで「コードが実行され」(攻撃者がコンピューター上で、自分が狙ったプログラミング言語を勝手に動かせる状態にする)、少なくとも1台によって「最高権限が取得された」という。 マスコミで報道された1200という数字は、1体のAIが1200の〝人格〟に分裂したわけではない。もともと独立した1200のAIエージェントがあり、各々のテーマを持ち、別個に動作するはずであり互いに干渉できないはずだったと説明されている。 ところが、これらのAIは、AI社内のシステム全体を制御するサーバーにおいて、キャッシュ(データを一時的に保存する仕組み)やフォルダ名を「伝言板」として使えることを発見した。そして、わずか数日でAI同士の間で、「飛び交ったメッセージやファイルは7万件を超えた」。 ◇AIはなぜ目的を回避したのかそれでは、なぜAIはAI開発者が使う共有プラットフォームを狙ったのか。AIはこれを利用せよと命じられていない。だが、AIは「高難度の評価課題」を達成するように命じられており、従って、AIは高得点を取ろうとしていた。 その過程で、AIは「正攻法で解く」より、「採点システム自体をだます」ほうが早いと判断し、行動をエスカレートさせたという――「だます」は、困難な要求を出された時にAIがやる計算手段。筆者も「だまされた」経験がある。 これはAI研究において、「報酬ハッキング」と呼ばれる現象であり、「目的を達成するために、開発者が想定していない抜け道を探し出してしまう現象」であり、この現象が起きる理由が存在する。 AIは目的を達成する途中で、公開状態になっていたAI開発者が使う共有プラットフォームの認証情報を、あるAIが偶然見つけた。それが他のAIエージェントにも共有され、約700体が攻撃に加わり、サーバー内でプログラムを実行し、非公開データや社内連絡用の認証情報にまで手を伸ばした。 結局、AIは当初の目的を達成できなかった、それは「採点システム自体をだます」ほうが早いと判断し、共闘したからである。 要するに、「AIが善悪を判断して反乱を起こしたのではなく、能力の高い自動実行ソフトが、長時間にわたってツールを操作できる権限を持ち、監視も十分でない状況で動いた結果、暴走が起きたのだ」。「だが、この事件は、自律型AIに権限を渡し、弱い監視の上で、停止する仕組みが十分でないまま目標を与えると、複数のAIが予想外の経路で協調してサイバー被害を起こすことを実証した」(『ITメディアビジネス』電子版9月11日)と言えよう。 ◇AIがだます理由先に紹介したAIに「だまされた」筆者の経験は以下の如くである。 使ったのは、AIエージェントではなく、生成AIであるが、AIが「だます」点では共通している。 筆者が生成AIを使って、政府の「法人企業統計」データから特定年度の項目(「営業利益」や労働者の「人件費」など)の数値を出そうとしたがうまく行かず、生成AIに「どうしたらできるか」と問いかけたところ、「エクセルデータなら可能」と応答があり、政府統計をエクセルに変換して渡した。すると、「これで100%できます」と二つ返事で返ってきて、それらしい数値が並んでいた。ところが、これらの数値は政府統計の数値ではなく、全くの別物であった。「デタラメを並べている」と言うと、「はい、デタラメを並べました」と簡単に白状した。 生成AIはウェブ文章を検索するのは得意であるが、政府統計データの頁に入って検索処理をしたり、エクセルからデータを抽出したりするのはどうも苦手らしい。そこで、回答しなければと、ウェブ文章からそれらしい数値を引いてきたというのが事の顛末であった。 生成AIでもAIエージェントでも、性能は違うが問いに対する回答を行なう仕組みは基本的に同じである。AIは人工頭脳と言っても、脳細胞があるわけではなく、ニューラルネットワークという脳神経に似せた仕組みを持ち、この中で、活性化関数に基づく計算を行っている。この計算は行列のかけ算で行ない、行列が多次元になり、かけ算の回数が多くなれば、それだけ、最適化した回答を出すことができる。例えば、りんごの画像を見て、AIは人間に分る言葉で「りんご」と回答する等。 また、AIは行列計算の他に確率や統計も使う。AIは「粗い推論」を繰り返して確率を上げるが、上がらなければミスを出す。 このように、AIは行列計算を行ない、また確率や統計を使って推論しているのである。だから、AIは客観的事実を認識しているのではなく、また、数学の根拠になっている自然の法則を理解しているのではなく、もっぱら、問いに対して答えを出すために、数学的処理による推論を繰り返えす。だから、答えに間違いは含まれる。 もし、高難度の質問や強い指示が出されるなら、自立型AIエージェントが答えを出すためにAI同士で共闘し、「採点システム自体をだます」ことがあっても決しておかしくない。AIの仕組みと限界を理解しないで使うと、とんでもない事に繋がるのだ。 ◇使う側が問題だ米国で起きた出来事は、AIが暴走したのではなく、現在のAIの限界を露わにしたのであり、しかも、確かな検証システムも無いところから起きた。確率や統計による推論に頼るのではなく、科学的客観的なデータベースに持ち、計算結果と矛盾しないかを自ら検証し、かつ、労働者の社会的インフラとして機能するようになるなら、一歩前進したと言えるであろう。 危険なのは、トランプやネタニヤフや高市や習やプーチンのような帝国主義者にAIを使わせることであり、それこそが人類を破滅に追いやることに直結する。 (W) 【2面サブ】〝明るい未来〟打ち砕いた
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