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労働の解放をめざす労働者党機関紙『海つばめ』

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郵政民営化の中で何が起きているのか?
郵政労働者は告発する!

■民営化の嵐の中で最大の御用組合の登場――JPU臨時全国大会議案批判
■郵政民営化――今、職場では/郵政現場からの報告
■恐竜化か、リリパット化か――郵政民営化のジレンマ
■西川善文著『挑戦――日本郵政が目指すもの』/民営化に賭けるトップの本音


憲法改悪と
いかに闘うか?


■改憲に執念燃やす安倍――「国民の自主憲法」幻想を打ち破れ
■労働者は改憲策動といかに闘うか
■国民投票法をどう考えるか
■安倍の「美しい国」幻想――憲法改定にかける野望


本書は何よりも論戦の書であり、その刊行は日和見主義との闘いの一環である。
マルクスが『資本論』で書いていることの本当の意味と内容を知り、その理解を深めるうえでも、さらに『資本論』の解釈をめぐるいくつかの係争問題を解決するうえでも助けとなるだろう。


全国社研社刊、B6判271頁
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「不破哲三の“唯物史観”と『資本論』曲解』(林 紘義著)」紹介(『海つばめ』第1048号)


全国社研社刊、B6判384頁
定価2千円+税・送料290円
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「天皇制を根底的に論じる『女帝もいらない 天皇制の廃絶を』(林 紘義著)」(『海つばめ』第989号)他

理論誌『プロメテウス』第54号
2010年10月(定価800円)

《特集》菅民主党のイデオロギーと“体質”
・神野直彦の思想と理論――菅直人のブレインは「曲学阿世の徒」
・原則なき寄せ集め政党――顕現するブルジョア的“体質”
反動的な「文化」の擁護に帰着――レヴィ=ストロースの「文化相対主義」批判


 
 
 教育のこれから
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   そして「愛国教育」で
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まかり通る「偏向教育」、「つくる会」の策動、教育基本法改悪の動きの中で、“教育”とは何であり、いかに行われるべきかを、問いかける。  


 第一章  
教育基本法改悪案の出発点、
森の「教育改革策動」
 第二章  
破綻する「ゆとり」教育の幻想
 第三章  
“朝令暮改”の文科省、
「ゆとり」から「競争原理」へ
 第四章  
ペテンの検定制度と「つくる会」の教科書
 第五章  
歴史的評価なく詭弁とすりかえ
つくる会教科書(06年)の具体的検証
 第六章  
日の丸・君が代の強制と
石原都政の悪行の数々
 第七章  
憲法改悪の“露払い”、教基法改悪策動

●1399号 2021年3月28日
【一面トップ】菅政権 対中で日米同盟強化――日米「2+2」 中国の膨張を批判
【1面サブ】責任逃れの緊急事態宣言解除
【コラム】飛耳長目
【二面トップ】 国軍の暴挙に断固抗議する!――ミャンマー労働者の決起を支持
【二面サブ】相も変わらず社民主義を鼓吹――『世界』(4月号)の福島・大椿論文(論評全文は党ブログに)

※『海つばめ』PDF版見本

【1面トップ】

菅政権 対中で日米同盟強化
日米「2+2」 中国の膨張を批判

 米バイデン政権下で初の日米外務・防衛担当閣僚協議(2+2)が開かれた。協議は東シナ海、南シナ海で海洋進出を強める中国に対して批判、日米両国は軍事協力を強化し、中国に対抗することで一致した。日米豪印4ヵ国首脳協議(QWAD=クワッド)に続く今回の会議は、アジア太平洋地域での日本の軍事的関与を深めようとする菅自民党政権の反動性を暴露している。

◇日米の軍事協力の強化謳う

 日米共同声明は、米国に比肩する世界的な大国に成長した中国に対して、「日米は、中国による国際秩序と合致しない行動が、日米同盟や国際社会に対する政治的、軍事的、技術的な課題を引き起こしている」と批判、「日米同盟はインド太平洋地域の平和や安全、繁栄の礎であり続けることを再確認した」と述べている。

 日米が念頭においているのは、経済的にも軍事的にも巨大化し、強力となった中国の覇権である。

中国は「一帯一路」政策に見られるように、豊富な資金をバックに発展途上国に対して電力、ダム、幹線道路、鉄道、港湾などの産業インフラ建設の「援助」をうたっているが、鉄道路線の沿線の独占的な開発権を要求するとか、スリランカのように過剰債務を抱え返済不能に陥った国に99年の港湾の「租借」を認めさせるなど、「経済援助」を梃子に発展途上国を自国の影響下に組み入れようとしてきた。また最先端技術のIT製品輸出でも米国と激しく競り合っている。

 その一方では、強力な軍事力を背景に南シナ海のほぼ全域を囲む「9段線」を独自に設定し、

西沙諸島、南沙諸島の領有を宣言、軍事基地化するなど海洋地域でも軍事的な膨張を続けてきた。

南シナ海への進出は次世代通信規格(5G)や人工知能(AI)における覇権争いや「一帯一路」を通じた欧州への企業進出と結びついている。 

 米国は1979年の中国との国交樹立以来、貿易、投資を活発化するなど経済的な結びつきを深めてきた。これは「関与政策」と呼ばれてきたが、経済的関与を深めれば、中国は「民主化」し、欧米や日本のような〝自由主義的国家〟になるだろうとの見通しに基づいていた。「関与政策」は中国を商品・資本輸出場として、また安価な労働力の利用を期待する大資本の要求を反映していた。

 しかし、共産党独裁の国家体制は崩壊し、米国主導の国際的秩序を支える国家に変わるだろうとの期待に反して、中国は今や発展途上国の盟主的存在として米国の世界覇権に挑戦する国家資本主義の帝国主義国家、「米国の最大の競争相手」「国際秩序を揺るがす」国家として登場しているのである。

◇後退する米国の世界覇権

 バイデン政権になって、米国が中国に対して、日本などとの軍事的、経済的同盟の結束・強化方針を打ち出したのは、米国の軍事的経済的後退を示している。

 米国公聴会で国防長官となったロイド・オースチィンは、中国について「21世紀の安全保障にとって最大の長期的な戦略的脅威だ」「すでに地域の覇権国で、その目標は支配力を持つ世界的な大国となることだ」と述べ、「中国に対抗するために同盟国と共に必要な能力を構築する」ことを訴えた。

 中国の国内総生産(GDP)は2010年には日本を抜き世界第2位に躍進、19年の規模は米国の21・4兆ドルに対して14・7兆ドルと米国に迫り、30年代までには米国を追い抜くと予測されている。

 軍事力でも、中国の増強は著しい。インド太平洋軍司令官デービッドソンの議会証言によれば、アジアに配置されている戦闘機は米国250機に対して中国は1250機、空母は米国の1隻に対して中国は10隻、主力潜水艦は米国10隻に対して中国56隻と中国が圧倒、5年後の25年にはこの差はさらに広がると予測されている。中距離ミサイルにいたっては、米国ゼロに対して中国は2000発を保有し、グアムや日本の基地を射程に入れている。米ソ核ミサイル削減協定によって米国が中距離ミサイル配備を抑制している間に、中国は着々とミサイルを開発・配備してきた。かくして「中国はすでに一部で米国を追い越し」、「中国は35年までにインド洋や太平洋の全域で米国に対抗できる能力を備えるに至った」(昨年9月国防総省年次報告)。

 バイデン政権がトランプによって傷つけられた日本や英、仏、独など同盟諸国との関係の「修復」を謳い、中国との対抗戦略を打ち出したのは、米国1国では中国に対抗できなくなったからである。

◇軍備増強、日米同盟の強化に反対する

 バイデンが大統領就任後、最初に外交・防衛担当閣僚を日本に派遣した(4月に菅もバイデンと会談する最初の外国首脳となる)件について、米国の「日本重視」の表れと菅政権や反動派は歓迎している。

 外務・防衛担当者協議が終わった後の記者会見で、茂木外相は「インド太平洋地域の戦略環境は以前とは全く異なる次元にあり、日米同盟の重要性はかつてなく高まっている。日米両国政府は同盟強化に向けてより具体的な作業にとりかかる」と述べ、岸防衛相も「海警法で日本を含む関係国の正当な権益を損なうことはあってはならない。東シナ海や南シナ海で緊張を高めることは断じて受け入れられない。米軍と自衛隊が高度な演習を実施する必要があるとの認識で一致した」と、日米の軍事同盟を一層強化し、共同で中国に対抗していくことを強調している。

 バイデン政権は、中国に対抗してインド太平洋地域に中距離ミサイルの配備をはじめ、空母の増派、日、豪、英、仏などとの軍事共同演習を決めている。今後、日本に対してはミサイルの配備、艦船の寄港、軍備増強などの要求がなされるだろうが、菅政権はそれに積極的に応えていくとしている。

 安倍政権以来日本は帝国主義国家としてより一層積極的に国際社会に臨もうとしてきた。世界中に工場を持ち資本を投下し、幾百万の労働者を搾取する日本大企業にとって、国家資本主義中国の対外膨張は座視しえないということでは米国と利害を共にしているのである。

 共同声明は、尖閣諸島が日米安保の適用範囲であることを確認し、「尖閣諸島の日本の施政を損なおうとするいかなる一方的な行動にも反対」と謳ったが、菅政権は民族主義、愛国主義を煽り、軍備増強、日米軍事同盟の一層の強化に突き進もうとしている。

 こうした中で、3月17日の「日経」社説は、「(大事なのは)『米国に頼っていれば大丈夫』という思考に戻らないことだ。米国にかつての国力はない。国際秩序を安定させるには、民主主義市場経済を基調とする国々による連帯は欠かせない。日本も応分の負担をしなくてはならない」と述べているが、日米軍事同盟強化を進める菅政府の政策に追随する反動的意見である。

 バイデン政権や菅政権は「世界平和」や「民主主義」を口にするが、それが欺瞞であるのは、米国や日本が軍備をさらに増強しようとしていること、米国が中東の覇権のためにパレスチナ人民を抑圧しているイスラエルやサウジアラビアの反動的な土侯政権を支援していること、日本もミャンマーの軍事政権を口先では批判がましいことをいうが、利権のために批判は控えているなどを見れば明らかである。

 米中の対立は、世界覇権やブルジョア国家の権益、大資本の利益をめぐる抗争である。バイデンは、米国の覇権維持のために中国と争っているし、菅は米国に加担することによって日本の国家・大資本の利益確保を図ろうとしているのである。

 労働者は中国の習政権は勿論、バイデンの米政権、日本菅政権にも反対である。私的利益を追求する資本主義の下では、利害を異にする国家の対立は必然であるし、戦争の危機はなくならないし、民族の抑圧、差別もなくならない。

 労働者の課題は、共通の敵である帝国主義を一掃するために国際的に連帯して闘うことである。日本の労働者は日米軍事同盟強化、軍備増強を進める菅政権政府に反対し、階級的闘いを切り開いていくことが求められている。  (T)

   

【1面サブ】

責任逃れの緊急事態宣言解除

 昨年5月に1回目の緊急事態宣言が解除された際に、我々は「安倍政権の七つの大罪」として、「安倍政権のコロナ対策は、この政府の度しがたい無能、無策、無責任を余すところなく暴露した」と告発した(『海つばめ』1380号20年6月14日)。嘘吐き安倍は記者会見で「わずか1ヵ月半で今回の流行をほぼ収束させることができました。まさに日本モデルの力を示したと思います」とでたらめを言ったが、我々は「コロナ対策の『総括と検証』をすることは、第二波、第三波に備える上で必須である。さもなければ、同じような誤り、失敗を繰り返すだろう」と指摘し具体的に検証して「PCR検査の拡充や陽性者の『隔離』・症状に応じた対応、疲弊する医療・介護現場への徹底した支援など政府が緊急にやるべきことは山ほどある」として、政府の責任逃れ、無責任極まりない主張を厳しく糾弾した。

 菅政権でもコロナ対策は後手後手で、GoToキャンペーン実施に見られたように〝経済優先〟でコロナ対策はおろそかで感染拡大をまねき、医療崩壊をもたらした。

 4都県知事らに催促されるような形で緊急事態宣言を発出し、新規感染者数が8割以上減少、病床使用率も低下したということで、4都県に出されていた2回目の緊急事態宣言は、2度の延長を経て、2カ月半で終了となった。しかし変異株による感染者増加傾向への対応はおそまつなままの緊急事態宣言解除であり、菅自身は他人事に言っているが、「リバウンドが懸念されている」状況だ。

 菅は5本の柱の「総合的な対策」をすると言うのだが、緊急事態宣言中の無策ぶりが示すように(給付金でごまかしただけ)、相変わらず口先だけの、実効性に乏しい、実現困難な〝努力目標〟を並べているだけではないのか。目標数値そのものも不十分なものではないのか。政府の責任逃れのいいかげんな対策を許してはならない。 (岩)


       

【飛耳長目】

★『嘘を言うてはなりませぬ。卑怯なふるまいをしてはなりませぬ。ならぬことはならぬものです』。これはかって江戸期の会津で、六歳に達した藩士の子弟が唱えた言葉『什(じゅう)の誓い』の一節である★総務省とNTTをめぐる一連の接待疑惑をめぐって、とうとう大臣の武田にまでその類が広がった。「国民の疑惑を招くような会食に応じることはない」などとすまし顔で言い、官僚たちの処罰も行ってきた武田だが、野田や高市ら元大臣が接待を受けていたのに、彼だけが潔白であろうはずもなく、とうとう嘘がばれた★そもそも資本家やブルジョア文化人との会食は総務大臣だった菅が始めたことで、毎夜高級レストランや料亭に繰り出して接待したりされたりして、ひと月で30~50回も飲み食いしていたのである。彼らはただその癒着の伝統を引き継いだに過ぎない★資本との癒着は利権政党である自民党の政治そのものなのだ。嘘の蔓延は安倍の頃より顕著となり、大臣以下官僚に至るまで、嘘と方便で野党や国民を欺かせると〝自信〟をもった。しかし、労働者階級はそんな嘘には騙されない★今や六歳の子供にも分かる嘘や卑怯な振る舞いは自民党政治の〝お家芸〟となったが、それこそブルジョア政治の腐敗の最たるものだ。   (是)

   

【2面トップ】

国軍の暴挙に断固抗議する!
   ミャンマー労働者の決起を支持

 2月1日、不穏な動きを見せていたミャンマー国軍がクーデターを企てた。国軍出身の副大統領が「非常事態宣言」を発令し、国軍が全権を掌握した。「思いがけない」事件発生というマスコミ報道が躍り、国軍の激しい弾圧が行われる中、労働者たちは国軍に対して直ちに全国的な抗議行動を起こしている。国軍がクーデターを引き起こした背景を探りつつ、ミャンマー労働者たちの闘いを紹介し、彼らの決起を評価し支持する場とする。

◇不正選挙を口実にクーデター

 NLD(国民民主連盟)による不正選挙を口実にした国軍のクーデターは、昨年11月に行われた総選挙――2院制の連邦議会と14の地方議会の選挙が小選挙区制で争われ、NLDは連邦議会選挙にて、前回の6割を上回る得票を得て8割超の議席を獲得した――で、スーチー氏率いるNLDが「予想に反して」圧勝し、国軍側が「追いつめられた」からだと言われている。ではなぜ「追いつめられた」のか。

 一つは、昨年(20年)3月、NLDによって提出された憲法改定問題がある。NLDは、連邦議会の上院・下院や管区・州議会における議員定数の25%が軍人議員という特定枠など、国軍の特権縮小を求める憲法改定案を提出した。国軍の連邦団結発展党(USDP)は、この改定案に反対し議会で否決したが、彼らは強い危機意識を抱いたようである。

 二つには、国軍は鉱業、製造、商業、銀行など重要な企業の経営権を握り、〝軍人資本〟を体現しているが、憲法改定と合わせてこの特権にメスが入るならば、大きな痛手を被るからである。

 さらには、国軍内の現最高司令官ら保守・主流派が、対抗する穏健派(シュエマン元下院議長らが国軍派の比例代表制選挙の提案を却下した)を座視できないことも、国軍側が危機意識を増幅させていたようだ。

 今後、国軍はあたかも自分達の行動が「合法的」であるかに装い、非常事態宣言の解除後に〝不正選挙〟のやり直しを行い、議会での勢力挽回を策動するのであろうが、国軍の特権や〝軍人資本〟は、ミャンマーの経済的発展や民主主義の進展や労働者の政治的・経済的活動を妨害する極めて反動的な障害物である。

◇不満がスーチーには向かわず

 ここで第一次スーチー政権の5年間を簡単に振り返ることにする。労働者や農民はスーチー新政権に対して、国軍出身大統領による「民政移管」政権以上の期待をしたが、生活の面でも民主化の面でも大して進展せず、かなりの不満が充満していたと言われている。

 「2016年にNLD政権が発足した際、国内武装勢力との和平、より民主的な体制とするための憲法改正、国民の生活水準の向上、が主たる公約として掲げられた」(JETROアジア経済研究所、20年11月)。だが、新政権は外資を導入して産業や商業を興すことに注力し、外資系企業と町工場に働く労働者の格差拡大を黙認し続け、農村部においても、家庭の電化比率は高まったが、農民の所得は依然として低いままであった。

 また、選挙公約であった軍事政権時代に国軍の部隊や政商に奪われた農地の返還も実現せず、国軍系企業の軍人排除などは全く進展せず、さらには、未だ内戦状態と言える少数民族との和解も何ら進んでいないのである。

 このように、NLD政権に期待した労働者や農民にとっては不甲斐ない思いを募らせていたと言われる。それでもNLDが勝利したのは、妥協的ではあるが反軍政治を掲げ、ミャンマー大民族主義による国民統合の推進(スーチーがその象徴)が功を奏した形になっている。その結果、NLDから分裂した新興政党や地方の民族政党に票が流れず、反国軍票がNLDに集中したと言えよう。

◇労働者の決起と大国の思惑

 国軍のクーデターからもうすぐ2カ月になろうとしている。この間、国軍は地方の民族政党(例えば、ヤカイン州の「ヤカイン民族党」)の幹部を国家行政の重要なポストに任命し、また政治犯に恩赦を与えて解放するなど、クーデター体制を固めようと策動している。

 だが、地方州でもクーデターに対する抗議が起こり、全国各地で抗議行動が高まっている。「当初は自宅などで鍋を打ち鳴らしての抑圧された意思表示であったものが、最初の週末を迎えるころから街頭で大規模抗議デモが展開されるようになった。また、医療従事者からはじまった『市民的不服従運動』による公務ボイコットは大きな広がりをみせている」(同上、21年2月)。

 さらに「ミャンマー国内の18労働団体が、国軍のクーデターに抗議する全面ストライキを呼び掛ける声明を連名で発表した」(共同通信、3月9日)。

 これに対して国軍は、夜間外出禁止や不服従運動者の逮捕、デモ隊に対するゴム弾や実弾発射による凶悪な弾圧を強めている。しかし、国軍の弾圧にひるまず闘う労働者や若者の姿がTVでも報道されている。これほどの抵抗はないと国軍は思っていたと言われるが、労働者たちにとって、また軍政に戻るのは御免被りたいとの思いが強い。

 さらに国軍は3月14日夜から15日にかけて、最大都市ヤンゴンの一部に戒厳令を出した。「きっかけは、14日にヤンゴンで起きた中国資本の二つの工場の火災との見方が出ている。出火原因は不明だが、従業員らが負傷。現地の中国大使館は同日、『中国企業と職員の安全を確保するため、さらに効果的な措置を講じるよう要請する』との声明を出した。国軍はこれを、戒厳令を出す絶好の機会と捉えた模様だ」(朝日、3月16日)。

 このように、国軍は工場出火を口実に戒厳令を出したが、それほどに中国とは深い関係にあることを自ら暴露している。要するに国軍にとって、旧軍事政権時代には突出した援助を受けていた大の友好国であったし、現在もまた、中国は最大の援助国、貿易相手国なのである。そればかりか、北部海域の天然ガス生産が13年に開始され、ここから中国雲南省の精製所に直結するパイプラインで輸出し、ラインの管理料や地代をも得てきた大得意先でもあるのだ。

 同時に中国にとっても、ミャンマーはマラッカ海峡や南シナ海を経由しないエネルギー回廊になり、また中国からインド洋にかけての高速交通網施設によって重要な要衝に変わろうとしている。日本政府もまた国軍のクーデターに対して口先では遺憾の意を表明しているが、ミャンマーの安い労働力を利用しようと多くの企業が進出し、国軍系企業との合弁事業(キリンなど)さえ行っている。

 日本の労働者は、このような国家と企業の権益を優先させる中国や日本の政府などに抗議すると共に、ミャンマー労働者たちのゼネストを含む勇敢な闘いを歴史的闘いとして断固として支持するものである。 (W)


【2面サブ】

相も変わらず社民主義を鼓吹
『世界』(4月号)の福島・大椿論文

 社民党は昨年11月の臨時党大会で立・民への合流組と残留組に事実上分裂し、国会議員の二人(吉田忠智、吉川元)が立・民に合流、社民党の現職国会議員は福島瑞穂と照屋寛徳の二名のみとなった。ますます先細りし党消滅の危機にあることに変わりはない。

 2月21日にはオンラインの全国代表者会議が開かれ、新役員と当面の方針(次期衆院選では比例代表の得票率2%、4議席の獲得を目指す、等)を決めた。先ごろ、『世界』(4月号)に党首の福島と副党首の大椿の「私たちは社会民主主義を選ぶ」という論文が掲載され、社民党が先細りしてきた原因や自分たちが立・民に行かなかった理由、今後の運動の方向などについて書かれている。これを中心にこの党の現状を考察してみたい。

◇社民党衰退の原因

 『世界』論文では、「きっかけは、村山富市首相時代の自衛隊合憲・日米安保条約堅持への方針転換と、衆議院選挙での小選挙区制導入であった」として、幻滅した有権者の離反と選挙での小政党の不利が重なったことを挙げている。かつて社会党時代には綱領(「日本における社会主義への道」、1964年)で政権への参画やましてや首班を務めることについてその条件を事細かに決めていたにもかかわらず、そんなことはつゆほども考慮せず偶然の幸運にホイホイと乗り、こともあろうに保守の自民党と連立し、今まで否定してきた安保や自衛隊まで容認したのだから多くの人が反発したのは当然であろう。もっとも、70年代後半からは協会派を中心とする党内左派への抑圧を強め、86年には綱領を改正して(「日本社会党の新宣言」)、文字通り社民主義の政党に変わっていたのであるからこれもまた彼らの〝本質的体質〟であるというべきか。また、小選挙区制の導入も、93年成立の細川内閣に社会党が第一党として参画し政党助成法などとともに自ら関与して決めたものなのだから、他人事のように言っている場合ではない。

 福島らは「私たちの側の原因」として、自分たちは基本的に「労働者の政党」であることを自覚してきたが、特に小泉構造改革以後の新自由主義的改編により「非正規」労働者が増大し、労働組合の基盤が掘り崩されるとともに労組の社民離れが進んだことを挙げている。大企業や公共部門の労働組合に依存しすぎていた、今後は非正規労働者も含めた「数千万の働く市民による政党として再生を果たしたい」というのだ。また、「男性役員が圧倒的多数を占める大労組に依存した政党運営」が行われ、社民党そのものも「男社会」であり「リベラルなことを言っていても、組織は保守的である」というありかたは多くの市民に失望を与えたとも言っている。

 「労働者の政党」であることを自覚してきたといえば聞こえはいいが、社会党全盛時代の60年代から70年代前半の時期においてさえも、実際は労働組合の組合主義的要求にそのまま乗っかり改良主義的な政治にうつつを抜かしてきただけであり、体制変革のための闘いや労働者の階級的団結の強化はおざなりにしてきたのではなかったのか。だからこそ、70年代の後半以後の資本主義の危機の進化とともに社会党・社民党の党勢も衰退してきたのである。そして今度は、非正規を含めた「数千万の働く市民による政党」などと言うのであるが、労働者を「市民」に解体しておいてそれを代表するなどというのは初めから敗北が約束されているといってもいいだろう。非正規も含めて労働者をいかに組織し階級的団結を強化していくのか、そのことが問われているのだ。社民党が「男社会」かどうかは本質的な問題ではない。社民党の政治の質が問われているのだ。

◇社民主義を選ぶ?

 論文では、「私たちには私たちの理念があり、政策がある」、私たちは社会民主主義を「社会のあらゆる領域において民主主義を拡大し、『平和・自由・平等・共生』という理念を具体化する不断の改革運動」として捉えている。そして、現代において、この社会民主主義に求められるのは、なによりも新自由主義との徹底した対決姿勢である」などと、立・民に合流しない理由を述べている。

 『平和・自由・平等・共生』とは、なるほど立派な理念ではある。しかし、これは西欧社民にも共通するが、彼らに欠けているものはその理念を実現できる社会的条件というものを全く考慮していないという点である(そもそも、こうしたアプローチそのものが純然たる観念論だ)。彼らのスローガンは「理念を具体化する不断の改革運動」であるが、これは19世紀末のベルンシュタイン以来の改良主義的で空論的なスローガンでしかない。福島瑞穂はスウェーデンのような社会が理想だと言ったそうだが、西欧社民で最も〝成功〟しているといわれるスウェーデンは、二度の大戦にも巻き込まれず、少なくともここ何年か前までは数十年に渡って(あるいは百年以上も)順調に経済が発展できたという特殊な条件があった。その証拠に、他の西欧社民は軒並み停滞を強めるか、半ば新自由主義的な政策を取り入れざるを得なくなってきている(ブレア英労働党、シューレーダー独社民党、あるいはミッテラン、オランド仏社会党、等)。そして、その反面の現実として、どの国においても反移民などを唱える極右の伸長を許しているのであり、これはスウェーデンでも例外ではない。社民主義では、新自由主義ともまともに闘えないことを示しているのだ。 (長野 YS)

(全文は党ブログにて掲載します)

   

   
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