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●1409号 2021年8月22日 【一面トップ】 大義なき米武力介入の破綻――アフガンでタリバン政権復帰へ 【1面サブ】 「資本新世」の告発と闘いを――IPCCは早急なCO2排出削減を要請 【コラム】飛耳長目 【二面トップ】 IR(カジノ)絶対反対!――横浜市長選の焦点 腐ったブルジョア社会を一掃しよう! 【二面サブ】 コロナ禍と介護問題――介護問題の解決に共同体原理の導入を <お知らせ> 『海つばめ』次号は9月12日発行です。 ※『海つばめ』PDF版見本 【1面トップ】 大義なき米武力介入の破綻 アフガニスタンのガニ大統領は、反政府勢力タリバンへの抵抗を断念、国外に脱出、タリバン勢力は20年ぶりに政権に復帰することになった。2001年、タリバン政権が米国同時多発テロの首謀者アルカイーダを匿っているという理由で米国はアフガニスタンに大量の軍隊を送り、政権を崩壊させた。しかし、タリバンの抵抗は止まず、駐留米軍はアフガンからの撤退に追い込まれた。 ◇米国の覇権後退 アフガンは、現在でも農業を主として鉱業、採石を産業とする国民総生産年間190億ドル、1人当たりの年間所得530ドル程度の貧しい国である。にもかかわらず、古くから大国による政争の地であった。というのは中東、中央アジア、中国を繋ぐ要衝の地だからである。19世紀にはイギリスとロシアはアフガンの支配をめぐって争いを繰り返してきた。 東西冷戦の時代の1979年には、勢力拡大を目指してソ連がアフガンに武力侵攻し、親ソ政権が誕生した。 これに反対するアルカイーダ、タリバン勢力を支援したのは米国であった。親ソ政権が崩壊し、タリバン政権が誕生すると、タリバン勢力と米国の蜜月は終わり、米国は軍事介入によってタリバン政権を打倒したのである。それは米国の世界覇権維持のための世界戦略の一環であった。 しかし、米国の後ろ盾で成立した政府は、派閥対立、ワイロの横行や援助物資の横流しなど腐敗した政権で、国民の生活は、日常物資の不足、住居や水不足といった生活上の最低限の条件も満たされず、栄養不良の子供は50%にも達するという酷い状況で、一方、米軍の無差別な武力行使は数知れぬアフガン人民の犠牲者を産み、国内を荒廃させてきた。タリバンは、米国と政府への不満と怒りを背景に勢力を伸ばしてきたのである。 タリバンとの戦争は泥沼化し、米国が投入した戦費は1兆ドルを超し、兵員の死傷者は2・3万人に上る。今年4月、バイデン政権は、中国との競争に勝ち抜くために、9月11日までにアフガンから駐留軍を完全撤退すると発表し、5月より撤退を開始した。米国の後ろ盾をなくした政府は、30万の軍隊と米国から提供された近代的武器を持ちながら、タリバンの攻勢に対抗できず崩壊、タリバン勢力は9月を待たずに政権に復帰することになったのである。 アフガンからの撤退を言いだしたのはバイデンが最初ではなく、オバマ政権の時からこの構想はあったし、トランプ政権下の18年には、20年2月より段階的に米軍を撤退させることでタリバンとの交渉が行われてきた。 米国にとって、収束の展望が見えないアフガンの戦争は大きな負担となっていた。「アメリカは世界の警察官ではない」といったオバマの言葉に象徴されるように、米国の国力は後退し、アフガンに軍隊を留めておく力はなくなっているのである。 米国は「国際テロに反対し、民主主義を守る」としてアフガンに軍隊を派遣、NATO諸国や日本に対して応援を求めた(日本政府は米軍艦への海上給油を行うなど協力)。しかし、問題は何も解決しないまま、今度は台頭著しい中国との競争に集中するために、手を引くというのだ。結局、「国際テロ反対」とか「民主主を守る」というのは、軍事介入を正当化するための看板であって、軍隊派遣は米国の覇権維持、大資本や国家的利益のためであったことを教えている。 ◇タリバンの非民主的で野蛮な政治 かつてタリバン政権の下では、服装の規制、音楽や写真など娯楽の禁止、女子への教育の禁止などが行われた。今後、同じようなことが行われるのか今のところはっきりはしないが、イスラム原理主義に基づくタリバンの非民主的で野蛮な政治は歴史を中世の暗黒政治に引き戻すものだ。 今なおこうした勢力がはびこっているのは、帝国主義の責任である。米国をはじめとする帝国主義は自己の利益のために世界の人民を搾取し、収奪し、貧困を押し付けている。タリバンなど急進的イスラム主義は、帝国主義への大衆の不満、怒りを背景に人民の不満を集め、はびこっているのだ。 (T) 【1面サブ】 「資本新世」の告発と闘いを IPCCは早急なCO2排出削減を要請 去る8月9日、「国連気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)が第6次報告書の「第1作業部会報告書(自然科学的根拠)」を公表した。今回、先行して出された部会報告書の概略を紹介し、また温暖化のメカニズムも示そうと思う。気候温暖化をもたらした資本主義的生産とその頭目どもと闘うためには科学的裏付けも必要だからだ。 ◇世界のCO2排出量が減らない IPCCの報告書は、膨大な分量があり、それを見ることは難しいので、「政策者向け要約」文書を基に検討する。まず、温室効果ガスと大気温との関係についてである。 我々に身近な日本の気温を見ても、猛暑日(35℃以上の日)の日数は確実に増えている。 世界でも同様な傾向であることが分かっており、その温暖化の原因はCO2やCH4(メタン)などの温室効果ガスに起因することが科学的に解明されたとIPCCは断言している。このガス濃度が大きい程、大気温上昇の度合いが大きく、海洋よりも大陸の方が昇温する傾向があるとされる。 第5次評価報告で、11年の大気中の温室効果ガス濃度が、例えば、主たるCO2は391ppmで産業革命前より40%高い値であったと発表された。今度の報告書によれば、19年の大気中のCO2濃度は410ppmであり産業革命前よりも47%も高くなっている。この間のわずか8年間に7%も増えているのである。 要するに、年々のCO2の排出量が減らず、ガス累積量もまた減らず、従ってガス濃度が高まり続け、それゆえに大気温上昇が続いているとのことだ。もちろんCO2は植物の光合成や海水溶解で減るが、それはほんの一部に過ぎない。 しかも、「19年のCO2ガス濃度は少なくとも過去200万年のどの地点よりも高い。1970年以降の世界平均気温は、少なくとも過去2000年間のどの50年の期間よりも速く上昇した。世界の氷河のほとんどが同時に後退しており、少なくとも過去2000年間に前例がない」(『日経新聞』21年8月9日)。他のメタンなども同様に毎年のように増えている。 従って、IPCCは、17年に産業革命前より平均温度が1℃も上昇し、このまま大幅なCO2などの削減ができなければ、パリ協定の「今世紀末に2℃以内、できれば1・5℃以内」を達成できないと結論するのだ。報告書は今直ぐにも温室効果ガス排出量を急速に削減させなければならないと訴えている。 しかし、斉藤幸平などの学者らは産業革命以降の気候温暖化の時代を「人新世」と呼ぶが、なぜ「人」なのか?資本主義的生産様式が気候温暖化をもたらしたのであり、まさに「資本新世」の時代と言うべきだ。 では、何故温室効果ガスにより大気温が上昇するか。このメカニズムを説明すべき気象庁は手を抜いている。それは、温室効果ガス原因説を否定する学者や産業界や政治家が多く、また反原発運動家の中にもいるからだ。 ◇温室効果ガスによる気温上昇メカニズム そこで、我々はいろいろ調べて考えなければならない。 地球が極超低温の宇宙の中にあって、地球が温められ生物が生存し進化できたのは、地殻から地表への伝熱と太陽からの電磁波の放射(輻射)によるが、大半は太陽からの電磁波によってである。 この電磁波の波長は温度が高ければ短く、温度が低ければ長い。 約6000℃の太陽表面からの電磁波は可視光線を中心とした短波長であり、平均14℃の地表から放射されている電磁波は赤外線であり長波長である――太陽から、太陽風という超高温のプラズマ(電子やイオンの荷電粒子)の流れが地球に衝突するが、地球には磁場があり、太陽風プラズマが直接に地球の大気に衝突することはない――。 太陽から放射され、地球に到来した短波長電磁波(可視光線など)は、その一部は雲(水、氷)による反射や吸収で失われるが、無色の気体(窒素や酸素)には吸収されず、地表に到達し大地や海を温める。 次に、地表の熱は対流運動によって大気に伝熱されると同時に、長波長電磁波(赤外線)となって上方に放射される。 しかし、ここで面倒な問題が発生する。太陽からの短波長電磁波(可視光線など)は温室効果ガスを透過するが、地表からの長波長電磁波(赤外線)は透過せずに、温室効果ガスによってほとんどが吸収されてしまう。 従って、地表に降り注いだ熱エネルギーは対流伝熱で大気を温めると同時に、長波長電磁波(赤外線)となって上方に放射され、大気中の温室効果ガスに吸収される。すると大気は温められて熱エネルギーが蓄積され、今度はガスを含む大気から四方八方に長波長電磁波(赤外線)が放射される。その一部は地表に戻って来る。これが繰り返されて地表はさらに温まる。 要するに、大気中の温室効果ガス濃度が高ければ高い程、大気及び地表の温度は相互に上昇し熱エネルギーが蓄積され、気候温暖化をもたらすのである。 これらは、おそらく高校物理の授業で行える問題であろうがほとんどなされず、労働者も良くは知っていないであろう。闘いの一つの武器にしていただきたい。 (W) 【飛耳長目】 ★今年も8・15がやってきた。1945・7・26、日本に対し「ポツダム宣言」が発令された。しかし、天皇及び日本政府はソ連仲介による和平に一抹の望みを託し、国体(天皇制)維持の不確定さ故にこれを黙殺した。この引き延ばした20日余りの間に未曾有の悲劇が繰り返された。二度にわたる原爆投下、特攻や各地での戦闘の続投等々★8・15の「玉音放送」が戦争を終わらせた訳ではない。この日だけでも、樺太ではソ連軍との激しい戦闘が、太平洋では日本の潜水艦が作戦行動中、そして本土上空では無謀な遊撃戦が繰り返され多くの者が命を落とした。さらに16日の大本営発表「自衛の戦闘は妨げず」の発令により多くの若者が出撃、漸く全部隊に戦闘停止命令が出たのは22日午前零時のことである★15日午前10時半、既に降伏することを知りながら、寺岡中将は百里基地(茨城)から特攻隊を出撃させ、大分基地からは同夕刻、宇垣中将が11機を率いて最後の特攻へ出撃、自死のために若者たちを道連れにした。「私は長官が(死に)行くなら1人で行け、と思い、見送りもしませんでした」と元参謀は証言★次年度防衛費が、6兆円にも迫ろうとする中、安倍の愚弟・岸防衛相よ、112万人もの遺骨が未だ海底や密林に取り残されていることを知っているか。(是) 【2面トップ】 IR(カジノ)絶対反対! カジノ誘致が最大の焦点となる横浜市長選が始まった。約400万の市民を抱える最大の政令指定都市の市長選は、これまでの重要選挙で四連敗している菅首相にとって、衆院選前の最後にして最重要の選挙である。菅にとって横浜は、ここを地盤(神奈川2区)として市議、県議、衆院議員、首相に上り詰めた故郷(出身は秋田)なのである。だからこの市長選で自民党が敗北することにでもなれば、首相交代論も現実のものになりかねないのだ。 さて市長選の立候補者は、過去最高の8人。そのうちカジノ誘致に賛成は、推進してきた林市長と元衆院議員の福田のみ、あとの6人は全員誘致に反対である。 この市長選で市民をあっと驚かせたのは、現閣僚(国家公安委員長)で自民党県連の会長でもあり、市連のボスの小此木(神奈川3区)が、閣僚と県連の会長を辞して市長選に立候補したことである。しかも小此木は、内閣や自民党県連、市連が推進してきたカジノ誘致に反対を表明したから、市連は大騒ぎとなった。 ◇何としてでも勝ちたい菅 不可解なのは安倍・菅内閣が法律(IR整備推進法)まで作って推進してきたカジノ誘致に現閣僚が反旗を翻して市長選に立候補することに加えて、菅首相がその反逆行為を容認し、小此木支持を表明したことである。結果、自民党市議団36名のうち6名は林市長支持に回り、残りの30名は小此木支持に回った。 なぜ菅は小此木を支持するのか?それは、政策や主張はどうであれ、何が何でもこの選挙に勝利すること、野党に絶対に市長の座を渡さないこと、である。この際、私はブレてもいい(〝私はブレない〟は菅のキャッチフレーズ)のである。それに菅と小此木との縁は深い。菅は小此木の父の秘書を長く勤め息子の八郎とは、いわば〝義兄弟〟の間柄である。 当初野党は、この選挙を楽観していた。何しろ市民の反カジノは70%(告示前、神奈川新聞)であり、自民党市連は、林市長の高齢(75才)もあって、林支持ではまとまらず、候補者選びも難航していたからだ。ところが小此木が立候補したことで事情は一変した。カジノ反対は、小此木を含めて6人もおり、野党が候補者を一本化できても、同じカジノ反対を掲げる大物の小此木に勝てるとは限らないからだ。 ◇小此木のカジノ反対は本物か ここで浮上してきたのが、〝小此木、隠れ推進派〟論である。立憲民主党の江田憲司によると、小此木は「カジノ誘致は完全に取りやめる。何より横浜市においては地域や市民の理解が十分に得られてはおらず、誘致する環境が整っていない」(アンケート回答)と言っているが、これは、環境が整ったら、カジノを誘致するということではないか。菅首相が、カジノの横浜誘致をあきらめることは絶対にない、これが江田の推測である。江田がこういうのも当然なのだ。というのは、4年前の市長選で林市長は、「カジノ白紙」を掲げて当選したのに、2年後に突然「カジノ誘致」を表明したからである。野党は、二度と騙されないぞというわけだ。確かに小此木は、自分は、「カジノ自体には賛成である。ただカジノを横浜に持ってくるのは、市民が反対しているからやらない」と言っているだけで、裏を返せば、「環境が整えば」カジノを誘致する、ということだ。小此木自身、この批判は十分承知で、「『本当にやめるの?』と。4割は疑いのまなざし。『ほとぼりが冷めたらやり直すんだろ?前の人(林市長)がそうだったじゃない』。これが有権者の正直な思いだ。ただ、私はうそつきじゃない。信じてもらうしかない」とマスコミに答えている。今の小此木は、この市民の懸念を払拭するのに懸命である。 ◇野党は小此木に勝てるか 四選を目指す林市長は、横浜商工会議所などの経済団体の推薦を受けて、IR(統合リゾート)誘致の経済効果を次のように述べる、IRの誘致によって横浜市に納められる税収は、一千億円にも上る、これは企業が市に納める税金の二倍である。市は少子高齢化が進み税収減に悩んでいるが、この一千億円は社会保障費の増大に充てる。またIRの誘致による雇用の創出効果は約十万人以上になり、その経済波及効果はIR建設時において一兆三千億円、建設後の運営時においても八千億円に上る。また心配されるギャンブル依存症対策はIRから上がる税収を財源にして完璧を図る。カジノ施設もIR全体の施設の3%以内であり、目立たないから安心である、等々。 これに対しカジノ反対派は、税収の見込みはコロナ前のものであり、コロナ後では大幅に減るだろう、また世界最大のカジノ運営会社の米ラスベガス・サンズ社は、昨年5月に日本のIR事業からの撤退を発表しているではないか。さらにギャンブル依存症は、有効な薬や治療法がなく、再発を繰り返し簡単に治せるものではない。カジノは、風俗環境や治安の悪化を招き、青少年の健全な育成に悪影響をもたらす、等々で、カジノ誘致に反対している。 ところでカジノ反対派は、小此木を除いて、元長野県知事の田中康夫、元神奈川県知事の松沢成文、横浜国大教授の山中竹春、他2人が立候補しており、反カジノ票が分散する恐れがある。立憲民主党は国大教授の山中を擁立して野党共闘を呼び掛けているが、例の連合の共産アレルギーに立民が配慮して共産には推薦の要請を出していない、共産は単なる支持である。 さて現時点(8月18日)では情勢はどうなるかわからない。12日に発表された朝日の世論調査(9日、10日調査)ではIR誘致反対68%、賛成20%であり、投票先では小此木がわずかに先行し、山中と林が小此木を激しく追う展開だということである。しかしこれは選挙の告示の翌日と翌々日の調査であり、有権者の半数強が投票態度を明らかにしていないというから情勢は全く分からない。 ◇カジノ(賭博)は犯罪だ 野党の反対派は、「カジノは毒リンゴ!」とか「ミナトヨコハマにはカジノは似合わない」と反対するのだが、これはカジノが横浜に来さえしなければい良い、という個人主義的な発想である。確かにギャンブル、賭博は、人間の射幸心を刺激し依存症を引き起こす。果ては人格の崩壊、犯罪や自殺の原因にもなり、さらには暴力団の跋扈、マネーロンダリングにも利用される。これを野放しにしておけば、社会秩序は保たれなくなり、無法が支配するようになる。国家はそれを知っているからこそ、ギャンブルや賭博を犯罪として刑法(185~187条の賭博罪)に規定し取り締まるのである。ただし国民の欲求不満を満たすために、競輪・競馬やボートレースと言った、いくつかの公営賭博場を開いて、労働者のわずかばかりの賃金から巻き上げるのであるが。人はパチンコや競輪で勝った、儲けたと喜ぶが、健全なものではない。賭博は労働者どうしの共食いであり、ごく少数の勝組のために大多数が犠牲になるのだ。 ◇何が問題か 国がやろうと市がやろうと賭博はそもそも犯罪(賭博法がある)なのである。市が胴元になって市民から巻き上げた「テラ銭」を市の財源にしようとはなんと見下げ果てた魂胆であることか! 庶民のささやかな楽しみだ、息抜きだ等々、何と言われようと、パチンコ、競輪・競馬、ボートレースなどの賭博が必要とされる社会は、不健全な社会、腐った社会なのである。マルクスは、『資本論』で「この法則は、資本の蓄積に照応する貧困の蓄積を条件づける。したがって一方の極における富の蓄積は、同時に、その対極における、すなわち自分自身の生産物を資本として生産する階級の側における、貧困、労働苦、奴隷状態、無知、野蛮化、および道徳的堕落の蓄積である」(新日本出版社、第1巻原書675頁)と述べている。 ◇働く者・労働者が主人公の社会を 共産党は、のん気に「カジノに頼らない素敵な街づくり」などと叫んでいる。カジノに反対するだけでなく、カジノを生み出し、カジノを必要とする社会つまり資本主義社会そのものに反対しなければならない。コロナ禍ですでに自宅療養者は二万数千人に達し、感染は制御不能、医療は機能不全に陥っている。金まみれのオリンピックを強行した政治がブルジョアたちや金持ちたちのための政治であることは、明らかである。もうこんな政治は沢山だ。ブルジョア政治を一掃し、働く者・労働者が主人公の社会をめざして立ち上がろう! (神奈川 K) 【二面サブ】 コロナ禍と介護問題 ◇コロナ禍で相次いだ高齢者介護施設のクラスター 65歳以上の高齢者に対する新型コロナワクチン接種は7月31日で2回目接種が75・5%と終了の目処が立ったと言われた。 コロナ禍では当初は高齢者施設や介護施設においてクラスターの発生が相次いだ。名古屋でも介護施設やデイサービスを通じて感染の拡大が進み医療・介護の危機が叫ばれた。医療用マスクや防護服、フェイスシールド、消毒液が不足し感染対策の専門スタッフも存在せず研修も満足に受けることが出来ずに、人手不足の中で差別や中傷を浴びながら劣悪な条件で働く多くの労働者がいます。 ◇進む高齢化と困難を極める介護問題 日本の高齢者は2020年で3617万人!高齢者が人口に占める割合は、28%と世界有数の高齢社会。2025年には戦後ベビーブームで生まれた世代が後期高齢者75歳以上になるために、介護問題が大きくクローズアップされてきた=増大する社会保障費、保険料値上げ、不足する介護労働者、介護離職等々。 人間が老いていくのは自然なことであり、老いに応じて身体の自由が効かなくなり、何らかの介助や介護が必要になり、死に至ります。 少子化が進み現役世代が減少し税収が不足し、その結果、社会保障や高齢者問題がクローズアップされ政府は、2000年に「介護の社会化」を掲げて「介護保険制度」を導入しました。 ◇民営化や介護労働者に介護を押し付ける仕組みでは介護問題は解決しない しかし、介護の社会化という立派な政策を掲げながら、実態は40歳以上の国民全てから介護保険料を徴収し介護保険の運用は自治体が行うというものであり、社会化と言いながら真逆の介護の民営化を促進したのです。 財政力ある自治体と弱小自治体で保険料や介護サービスに違いが出る、介護報酬の上限が決められている中で民営化を進めた結果、介護労働者の賃金と労働条件は劣悪なまま推移してきました。 介護の民営化は、ネットの人材紹介サイトや人材派遣業など〝手配業者〟が介護報酬に群がるビジネスチャンスを作り出し、紹介手数料の名目で介護施設から金を巻き上げています。 政府は様々な報告書を作成し、2025年問題や2040年問題を煽りたて、負担増とサービス減を受け入れさせようと国民を〝洗脳〟してきたのです。 ◇介護を全員が担う仕組み作り上げよう! 労働者党は皆さんに、介護問題に対する解決策を提案します。 人間である以上、人は誰でも老いるのは当然なことです。とするならば、介護を利益を追求する経営原理によって運営される私的施設や、そこに雇用される介護労働者に介護を押し付ける現在の仕組みはおかしくないか。介護は人類のみが行う崇高な文化です。人類は年老いて生産的労働や社会的労働に参加できなくなれば、共同体の成員によって支えられ生涯を終える文化を育んできました。 我々は、現代においてこの共同体原理を現代の解決困難な介護問題の解決に導入すべきであると提案します。 すなわち、介護の社会化を掲げながら利益追求と資本の論理で運用するような会社と、非生産的で劣悪な労働条件の介護労働者に介護を押し付けるのではなく、全ての人々が一定期間、介護に従事する、共同体原理の適用が介護問題を解決する方法であると、呼び掛けます。 (愛知支部発行『海つばめ』号外より。全文は労働者党ブログに。) |
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