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労働の解放をめざす労働者党機関紙『海つばめ』

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郵政民営化の中で何が起きているのか?
郵政労働者は告発する!

■民営化の嵐の中で最大の御用組合の登場――JPU臨時全国大会議案批判
■郵政民営化――今、職場では/郵政現場からの報告
■恐竜化か、リリパット化か――郵政民営化のジレンマ
■西川善文著『挑戦――日本郵政が目指すもの』/民営化に賭けるトップの本音


憲法改悪と
いかに闘うか?


■改憲に執念燃やす安倍――「国民の自主憲法」幻想を打ち破れ
■労働者は改憲策動といかに闘うか
■国民投票法をどう考えるか
■安倍の「美しい国」幻想――憲法改定にかける野望


本書は何よりも論戦の書であり、その刊行は日和見主義との闘いの一環である。
マルクスが『資本論』で書いていることの本当の意味と内容を知り、その理解を深めるうえでも、さらに『資本論』の解釈をめぐるいくつかの係争問題を解決するうえでも助けとなるだろう。


全国社研社刊、B6判271頁
定価2千円+税・送料290円
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「不破哲三の“唯物史観”と『資本論』曲解』(林 紘義著)」紹介(『海つばめ』第1048号)


全国社研社刊、B6判384頁
定価2千円+税・送料290円
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「天皇制を根底的に論じる『女帝もいらない 天皇制の廃絶を』(林 紘義著)」(『海つばめ』第989号)他

理論誌『プロメテウス』第54号
2010年10月(定価800円)

《特集》菅民主党のイデオロギーと“体質”
・神野直彦の思想と理論――菅直人のブレインは「曲学阿世の徒」
・原則なき寄せ集め政党――顕現するブルジョア的“体質”
反動的な「文化」の擁護に帰着――レヴィ=ストロースの「文化相対主義」批判


 
 
 教育のこれから
   「ゆとり」から「競争」
   そして「愛国教育」で
   いいのか
 林紘義 著 7月1日発売

  (全国社研社刊、定価2千円+税)
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まかり通る「偏向教育」、「つくる会」の策動、教育基本法改悪の動きの中で、“教育”とは何であり、いかに行われるべきかを、問いかける。  


 第一章  
教育基本法改悪案の出発点、
森の「教育改革策動」
 第二章  
破綻する「ゆとり」教育の幻想
 第三章  
“朝令暮改”の文科省、
「ゆとり」から「競争原理」へ
 第四章  
ペテンの検定制度と「つくる会」の教科書
 第五章  
歴史的評価なく詭弁とすりかえ
つくる会教科書(06年)の具体的検証
 第六章  
日の丸・君が代の強制と
石原都政の悪行の数々
 第七章  
憲法改悪の“露払い”、教基法改悪策動

●1413号 2021年10月24日
【一面トップ】 借金で「所得の再分配」叫ぶ――安倍のベーシックサービスの焼き直し
【1面サブ】 トヨタ労組、議席を自民に献上――会社との一体化をさらに進める
【コラム】飛耳長目
【二面トップ】 「気候変動」を特集――『プロメテウス』60号発行される
【二面サブ】 共産党の新経済提言は――労働者の闘いの羅針盤となりうるか?
<前々号(1411号)の訂正>

※『海つばめ』PDF版見本

【1面トップ】

借金で「所得の再分配」叫ぶ
安倍のベーシックサービスの焼き直し

 今回程、所得の再分配が叫ばれる総選挙はないだろう。与党も野党もこぞって、現金の給付だの、医療、介護、教育への予算の重点配分を叫んでいる。しかし、どの党も財源は借金だと言う。こうした議論が出るのは資本主義の腐朽の表れであるが、各党が言うように本当に労働者のためになるのだろうか。

◇安倍のベーシックサービス

 17年衆院選や19年参院選で、安倍が出して来た消費税の組替え問題――つまり、「財政再建と社会保障」を目的税として法律で定義した消費税の一部を「全世代型社会保障」に切り替える問題――は、言わばベーシックサービスの一種であった。なぜなら、ベーシックサービスとは、現金給付を意味するベーシックインカムとは異なり、福祉の無償化を意味する。

 安倍の無償化は、乳幼児保育や教育の社会化(公的化)ではなく、これらの分野に国がカネを出すというものであり、しかも、親たちの所得制限を外すことが念頭に置かれていた。だから、既に所得の低い親には保育や教育の無償化が実施されていたにもかかわらず、これから無償化をするかに誤魔化して宣伝し、選挙の〝買収工作〟を行ったのである。待機児童の解消のためと称して。

◇私的資本への援助に帰結

 この消費税組替えが行われた結果、認可されていない小規模保育園や企業が運営する企業主導型保育園も、一定の条件を満たせば認可園なみに補助された。それだけではない、公立高校に対しては、既に授業料の無償化が実施されていたにもかかわらず、私立高校にも「貧困対策」を口実にして約590万円の世帯収入まで無償化し、加えて910万円の世帯収入まで公立高校と同じ授業料(約12万円)の支援を決めたのである(東京では小池が910万円の世帯収入までを実質無償化した)。

 だから、保育産業界では、国がカネを出すなら、このチャンスを逃す手はないと、「ポピンズ」といった安倍の「お仲間」の大手私立保育園をはじめとする中小私立保育園が竹の子のように出現し、企業主導型保育園を運営する企業も援助を受ける対象となったのである。

 高校ではその後、公立高校入学者が激減していったが、それは大学受験産業化している私立高校入学を目指す動きが加速していったからである。これもまた、教育の反動化を策する安倍らの狙い目であった。なぜなら、私立には教育の自由を逆手に国家主義の保育や教育を行う施設が多々あり、それらに対して内々に援助金を加算していくことが可能であったからである。ちょうど、皇国史観教育を目玉にする森友学園や加計学園に対して、「国家戦略特区」などを装って安倍が国家財政を〝私的流用〟したのと同じ陰湿な手管なのである。

◇野党の無償サービス論は安倍と同じ

 立憲は「人と暮らしに」重点投資すること、つまり、福祉・教育のベーシックサービスの質・量を充実させることが新たな成長戦略に繋がると、大袈裟に売り込んでいる。

 「児童手当の所得制限撤廃」であり、「高校の授業料無償化」、つまり私立高校授業料無償化の「所得制限撤廃」であり、「義務教育の学校給食無償化」などである――立憲の所得制限無しの無償化策は金子勝や井出英策(慶応大教授)などからの借り物であるが。

 しかし、これらの福祉・教育無償化策は、安倍の幼保無償化、教育無償化の焼き直しではないのか。

立憲は、安倍とは違う、安倍の無償化策には所得制限があった、立憲案には所得制限は無いと自慢し、しかもそれらの財源は「当然借金だ」と開き直るのである。国家の歳入が豊富であり貯金もたんまりあるならともかく、1000兆円もの途方もない借金を抱え、国家と日銀への信用不安が感じられ始めている中で、一体全体、いかにして年数兆円超えのサービス投資を行うというのか、できるというのか。

 立憲と共産や社民らは、ベーシックサービスやベーシックインカムが個人消費を拡大し、経済成長に繋がると信じるのであるが、さんざん自民党政権がアベノミクスでやってきた国家による個人消費拡大策の失敗を何ら感じ取れないのである。

 そもそも、安倍は政府発行の国債=債務証書を日銀に買わせることによって、また消費税を組み替えて国家のカネを作り、国家主導の消費拡大策を行ってきた。金利を下げても民間企業の設備投資が拡大しないならば個人消費を刺激せよと、外国人観光客増大や五輪やIR招致を図り、さらに同様の発想で「全世代型社会保障」というサービス投資を行ったのである。

 アベノミクスは失敗したと立憲や共産らは言う。しかし、アベノミクスが失敗であったと言うなら、今、自分達が唱えている児童手当や高校授業料の所得制限無しの無償化策もまた、何ら経済成長につながるものではない。こんなことは、経済学をいくらか学んだ労働者なら感じ取れることである。

◇労働者の不安の根本的解消こそ必要

 労働者は「大幅賃上げによる景気拡大」とか、「分配による経済成長」という労組幹部や野党らの景気回復のための賃上げ闘争や再分配には反対する。それでは労働者の切実な真実の要求は何か。

 世論調査を見ても明らかなように、多くの労働者の不安や不満は、資本の解雇・雇止めに対してであり、「若者の貧困」に対してであり、職種・雇用形態や男女の違いによる賃金差別に対してである。また、ここ20年間、夫婦共稼ぎ世帯は増えたが、世帯収入300万円未満の層が全体の3割を超え、400万円未満の層が45%を占めているのは、夫婦世帯のどちらかが未就労であるか、両方が非正規労働者の低収入=低賃金であるからだ。

 従って、子育てさえ十分にできない非正規労働者を増大させてきた搾取と差別の社会に労働者は大いに不満と不安を募らせている。さらにまた、国家の大借金が必ず将来の労働者と家族の犠牲になることも知っている。

 だから労働者は、雇止めで会社の寮から追い出された後、アパートに入り住所が確定できなければ仕事に就けない現実を改革したいと考え、仕事に就けたとしても、非正規労働ならば不安定な極少賃金でしかない現実を何とかしたいと切に思っている。さらに性差別賃金、職種・職務差別賃金などに対する抜本的な改革を真に求めている。その改革の一環としての医療や教育などの社会化と諸費用の無料化は労働者の生活の改善に繋がり、大いに賛成だと言うことなのだ。

 一言でいえば労働者は資本の搾取に苦しんでいるのだから、資本の搾取体制の変革が必要なのだ。こうした労働者の真実の声から目を逸らせ、きれいごとの再分配を大借金でやることに労働者は大反対なのだ。分かるかこの意味が、立憲よ、共産よ、社民よ!   (W)

   

【1面サブ】

トヨタ労組、議席を自民に献上

会社との一体化をさらに進める

 衆院選がスタートしたが愛知選挙区11区では、6期連続当選で圧倒的得票率を誇ってきた現職(トヨタ労組の組織内候補者)が不出馬となり、対抗馬ですらなかった自民党の候補者の当選が確定した。現職の不出馬は、地元でも驚きを持って受け取られマスコミでも大きく取り上げられた。

 「組合員三十五万人と連合傘下で最大規模の全トヨタ労働組合連合会(全ト)が、その金城湯池(〇九年の衆院選では全十五選挙区を占めた)で決めた方向転換は、その上部組織で、旧民主党系候補を支援する連合にとっても大きな衝撃だ」(10・16中日)。「選挙での支援は、投票だけではない。全トなど組合関係者は、旧民主系の陣営にスタッフを送り、選挙運動を支えるのが常だった」「全トからの人数と頻度が減ることを懸念する」(10・16朝日)。

 その影響は、公示日のポスター貼りの運動員不足となって現れた。愛知の立・民の候補者は、前回の衆院選では依頼をしなかった会社にポスター貼りの依頼を行い、公示日の午後に選挙事務所に集合してポスター貼りの講習を受け、にわか運動員に駆り立てられたとの情報がもたらされた。

 トヨタ労組の組織内候補の出馬取りやめは、選挙区である愛知11区に留まらず愛知全体に及んだ。圧倒的な動員力で愛知県内の立・民や国・民の選挙運動を支えたトヨタ労組の「方向転換」は、出来て当たり前の選挙運動が困難になり、巨大労組に依存してきた立・民や国・民の弱点を暴露したと言えるだろう。

 「100年に一度の変革期」に、トヨタ労組は、去年発表した与党=自公との連携を進める、という方針をさらに一歩進めた。トヨタ労組は候補者を取り下げ、選挙運動から召喚することによって直接、間接的に自民党の候補者を助けたのだ。今後の選挙では自民党候補者を推薦し、運動員を送り込むことになるのも時間の問題である。

 トヨタ労組の狙いは、トヨタ労組の地盤=愛知11区で当選確実の組織内候補の立候補を取りやめることによって、政府自民党に従順な姿勢を明らかにし、カーボンニュートラルに対するトヨタの取り組みを支援することである。トヨタ労組は、組合運動を組合員の賃上げや待遇改善から、カーボンニュートラルをめぐる「生きるか死ぬかの競争」をトヨタ資本と一体となり闘う事に運動の舵を切った。

 9月1日にはこの先取りとも言うべき象徴的な動きがあった。「全トヨタ労連の鶴岡光行会長は、県公館で大村秀章知事と会談し、政府が掲げる2050年カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出量の実質ゼロ)の実現に向けた要望書を手渡した。会談には、自民、公明、立・民、国・民の各県組織幹部を務める国会議員らが同席した」(9・16読売)。トヨタ労組の動きに対して「自民党県連会長の藤川政人参院議員は、『鶴岡会長と知事に要請する機会が訪れることは与党として想像できなかった』と話した」(同上)。

 世界中で生きるか死ぬかの最前線で活動するトヨタと一体の労組の変わり身の速さを、古色蒼然たる自民党県連会長が理解できないのも無理はない。

 トヨタ労組は春闘でベアを公表せず春闘相場の中心的な立場から離脱し、9月28日に行われた連合の役員選にもトヨタ労組は出なかった。トヨタ労組は連合の運動から距離を置くだろうし、連合から離脱する可能性もある。

 全トヨタ労連の組合員数は35万1千人。トヨタグループ、関連会社に雇用される企業別組合の連合体である。カーボンニュートラルをめぐる取り組みは、自動車会社によって具体的方針が違う。ホンダは2040年以降EV専業を宣言し、国内の再編成を進めている。競争戦は国内外の自動車メーカーが入り乱れて闘っている。

 企業別組合が中心である日本の労働組合は、これまで以上に資本との一体化を進めていくだろう。資本の競争戦が激しくなれば、資本と一体化する組合間の利害対立も先鋭化する。愛知11区でのトヨタ系候補者の不出馬は、労働組合運動の新たな再編につながる可能性を感じさせる。その再編においても我々は、労働の解放の旗を高く掲げて志ある労働者の道標にならなければならない。  (愛知 古川)


       

【飛耳長目】

★安倍屋の番頭の菅が流行り病に有効な手立てを講じえず、庶民人気もがた落ちとなり、他の大店からもそっぽを向かれ、代わって岸田屋が株仲間の座長に推挙された。岸田屋にとって念願叶うの感あるが、それは安倍屋や麻生屋等の大店の強い力添えがあってのことで、彼等には〝永遠に〟逆らえない★座長の座を安倍屋の高市店や麻生屋の手代らと争っていた時は、株仲間の改革なるもの訴えていたが、いざ座長になるとそれらすっかりそぎ落とし、操り人形に成り下がった。それだけ大店の圧力が強力と言うことなり★座長選で意外だったは高市店への推挙が多数見られたことで、会員の3割強を占めた。勿論安倍屋の強力な根回しあったらばこそ。株仲間中に安倍主人に同調する尊皇反動勢力が頗る勢いを増し、誰が座長になるも、一大圧力集団化している証である。女系天皇容認の麻生屋の手代が敗れたのも、この勢力が相容れなしと切り捨てたからなり★安倍屋が本気で高市店を座長に据えようとしたかどうかさておくとして、尊皇反動派の示威行動として充分であった。長期停滞や隣国習王朝の覇権主義に対抗し、この勢力は軍備増強、法度改悪がなり立て、国威発揚強めて益々のさばることであろう。こんな連中は一刻も早く獄門流刑に処せねばならない。  (是)      


【2面トップ】

「気候変動」を特集
   『プロメテウス』60号発行される

 「気候変動と労働者の立場」を特集した『プロメテウス』60号が発行された。折しも、真鍋淑郎氏(米プリンストン大学上席研究員)が地球の気候をコンピュータ上で再現する「気候モデル」を開発した功績によってノーベル物理学賞を受賞し、話題を呼んでいるさなかであり、タイムリーな企画であろう。

◇温暖化「懐疑論」「否定論」批判

 特集は3つの論文で構成されている。最初の斎藤論文は、地球温暖化が大気中のCO2増加に起因するという定説に対する『懐疑論』『否定論』を詳しく検討し、その一面性や虚偽性を徹底的に暴いている。

 「懐疑論」「否定論」の代表格は、地球温暖化をめぐる議論を「狂騒曲」だと揶揄する渡辺正、二酸化炭素温暖化説は「崩壊」したとうそぶく広瀬隆、「脱炭素」は「嘘だらけ」とわめき立てる杉山大志らである。

 斎藤氏は、「気候変動の諸要因の程度とその相互関連を正しく評価するためには気候現象全体を一つのシステムとして捉える」「気候システム」の考え方に立つ必要がある、「こうしたシステム的な思考が欠落しているか無視していることが温暖化懐疑論・否定論、さらには陰謀論的発想の一つの大きな温床になっている」(37頁)と指摘している。

 全体的科学的認識を拒否するこれらの論者は、結局、地球温暖化はフェイクだと言い張った無知蒙昧のトランプ前大統領――石炭・石油業界の利害代弁者でもあった――の立場に行き着くことを斎藤氏は説得的に展開している。

 同時に、斎藤氏は、明日香壽川の「気候正義」という観念――バニー・サンダース、グレタ・トゥンベリらに共通する立場――の一面性、限界をも明確に指摘している。彼らは利潤第一の資本主義そのものに地球温暖化の根源があることを否定し、「グリーン・ニューディール」といった新たな幻想を振りまき、バイデン米大統領と同じ立場に帰着するのだ。

◇「排出処理は社会的再生産の一過程」

 特集の第二論文は、排出処理を「社会的再生産の一過程」として捉え、「資本主義的生産こそ気候変動の真犯人」であることを明確にしている。

 執筆者の渡辺氏は、温暖化のメカニズムを解明するとともに、主要国政府が打ち出した「脱炭素」戦略が資本主義的生産に支障がない限りでの対応にすぎないことを暴露している。

 しかも、米国にしても中国、さらにはEUにしても、「脱炭素」戦略は、世界支配をめぐる覇権争いの一環であり、先手を取って相手を不利な立場に追い込み、競争に打ち勝つという帝国主義的抗争の一部であることを渡辺氏は指摘している。帝国主義の諸国家は、全人類的課題に一致協力して取り組むことさえできないことが分かる。

 日本政府――かつての民主党政権も含めて――は、目先の利益にとらわれて「脱炭素」で遅れを取り、困難な立場に立たされていることも明らかにされている。

 渡辺氏はさらに、斎藤幸平ら自由主義的学者や知識人の〝脱成長〟論の欺瞞性、反労働者性を容赦なく暴き、排出処理を「社会的再生産の一過程」として意識的計画的に取り組んでいく必要を強調している。

◇自動車のEV化と展望

 特集の最後は、自動車産業におけるEV化の取り組みと労働者の立場について論じた古川論文である。古川氏は、EV化をめぐる競争を自動車資本の生死を賭けた攻防として米国、EU、中国、日本の動きを詳細に分析している。

 部品点数が3分の1に減り、自動車の構造を根本から変えるEV化は日本資本主義にも重大な影響を与えること、EV化は電池開発の困難さや電力消費量の増加など問題も残り、必ずしも〝脱炭素〟につながらないことも明らかにされている。古川氏は労働者に犠牲を強いて自動車産業の再編を推し進めようとする資本に断固反撃することを呼びかけると共に、未来社会における自動車のあり方についても論じている。

◇斎藤幸平、ウェーバーの理論批判も

 特集論文の他に、本号には、斎藤幸平『人新世の「資本論」』批判(田口)、M・ウェーバーの社会主義論批判(菊池)が掲載されている。いずれも、400字70枚前後の力作である。

 田口論文は、今マスコミにもてはやされている斎藤幸平の〝脱成長〟論がマルクスの主張をゆがめ、恣意的に解釈した虚構の上に展開されていることを徹底的に暴いている。「希少性」が商品の価値を決めるといった「効用価値」説を唱える斎藤氏がマルクス主義からどれほどかけ離れているかは明らかであろう。彼は、「コモン」の拡大といった主張が協同組合運動などの市民運動を美化して、労働者の階級闘争を否定しているのだ。

 ウェーバーの社会主義批判も労作である。菊池氏は、ウェーバーの社会主義論がベルンシュタインら修正主義者のマルクス批判、ドイツ歴史学派や講壇社会主義の改良主義を引き継ぎ、労働者の階級闘争に敵対するブルジョア理論であることを明確にしている。

 他に、『防衛白書』批判、尖閣諸島問題と労働者の立場を論じた小論もあり、全体として時宜にかなう構成となっている。「海つばめ」読者の皆さんが是非購読されることを、また学習会のテキストとして活用されることを願っている。(鈴木)

 全国社研社刊 定価990円(税込)


【二面サブ】

共産党の新経済提言は
労働者の闘いの羅針盤となりうるか?

 衆院総選挙に突入し与野党の政策論争が盛んである。岸田政権はコロナ禍渦中において労働者・働く者に困難と犠牲を強いながら、「新しい資本主義」を唱え改革を装って、「分厚い中間層を再構築」するという。

 これは社会の根底を支える労働者の生活を何ら顧みないことを、自ら語っているのである。労働者・働く者はこのような自民党岸田政権を一掃するために闘わなければならない。しかし政権交代を旗印に掲げている野党共闘勢力を、労働者は果たして信頼しうるであろうか。

 共闘勢力の一角を占める共産党が総選挙に向けて9月22日に発表した新経済提言を検討し、この課題を明らかにしたい。

◇弱肉強食の新自由主義は資本主義の本性ではないか

 提言を発表した志位委員長は、「提言全体を通した一貫したテーマは、弱肉強食の新自由主義を終わりにし、国民の暮らしと命を何よりも大切にする政治に切り替えようとするもの」と言う。しかし岸田でさえも、「新自由主義的な政策を転換」すると言っている。一体何が違うのか。

 志位の「国民」と岸田の「中間層」とは異なっているが、「国民」とは労働者のみならず富裕層、資本家、小商品生産者を含む階級社会の現実を塗りつぶし、「中間層」も含まれる。「国民」は、ブルジョア勢力、自民党も掲げる概念であり、そのためと称する政策は、階級差別を基礎とするこのブルジョア社会において、労働者を抑圧するものにもなる。

 「競争を重視」「格差を広げる」新自由主義というが、むしろそれは、資本主義の本性というべきなのである。格差に苦しむ労働者は、生活苦の根底に労働者を搾取する資本主義的な生産があり、その下で抑圧されていることを日々経験で知っている。

 「新自由主義の転換」は、今では野党・共産党のみならず自民党まで使うスローガンである。「新自由主義の転換」は、資本主義の維持を図るものである。資本主義的生産そのものを変革する、労働者の生活を守る未来を切り開く闘いこそが必要である。提言の項目を簡単に見ていこう。

◇医療崩壊の立て直しのためには、医療の社会化を

 提言ではコロナの下で現れる深刻な医療崩壊の対策として、「感染症病床、救急・救命体制など」の予算を2倍化することを掲げている。

 しかし、政府・自治体が号令をかけても、病床・救命装置などの設備が進まず医療崩壊が起きたのは、それらの設備投資が病院経営を圧迫し、利益の確保が困難になるからである。

 資本主義社会では、病院経営は、私立、公立を問わず、投下した資本によって利潤を回収できるかが問題になる。コロナ禍で露呈したのは資本主義的経営をもとに行われている医療体制の根本的矛盾であり、医療・介護などが社会的に行われなければならないことを白日の下に明らかにしたといえる。

 提言は、公立病院を拡充すること等を謳うが、医療がブルジョア的に運営されている問題が触れられていない。私的病院を温存する政策は、共産党の政治のプチブルジョア性を物語る。医療・介護の社会化こそが労働者のスローガンである。

◇労働者の要求は、差別労働・搾取労働の撤廃

 提言は「8時間働けばふつうに暮らせる社会」をめざすというが、労働現場では8時間労働でも、労働が強化され搾取が強まっているのであり、長時間労働とともに労働強化とも闘わなければならないのである。

 共産党は最低賃金時給1500円を掲げているが、これでは共産党が言う貧富の差、格差の解消にもならないではないか。「ふつうに暮らせる」という提言は、労働者を賃金制度の下で貧困に縛り付けるものである。

◇バラまきでなく資本主義の廃絶を目指す闘いの準備を

 提言の教育負担軽減のための様々なバラまきは、競争社会の下で歪められている受験教育などの弊害を温存するものだ。自然と社会に対する一貫した科学的な教育をこそ労働者は求めるであろう。

 また税の不公平をただすとしているが、富裕層への税を強化するとしても、消費税・所得税などの税の本質は国家による労働者からの収奪である。労働者は税負担の軽減を求める。労働者は真の社会的共同体を構築して、税ではなく、社会の全成員が自らの生産的労働の一部を共同体維持に必要な医療・介護などに計画的に支出するであろう。

 提言は、労働者に困難をもたらしている資本主義を温存し労働者を資本の下に縛り付けるものである。提言の様な政策を掲げる共産党・野党共闘を労働者は信頼することはできない。労働者・働く者は野党に頼ることなく、本当の解決を求め、資本主義の廃絶と真の社会的共同体をめざす労働者独自の闘いを準備するであろう。   (大阪 佐々木)

   

    <前々号(1411号)の校正>

1411号 1面4段20行目
 「百万以上の年金」→「最高で65万の年金」
   
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