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労働の解放をめざす労働者党機関紙『海つばめ』

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郵政民営化の中で何が起きているのか?
郵政労働者は告発する!

■民営化の嵐の中で最大の御用組合の登場――JPU臨時全国大会議案批判
■郵政民営化――今、職場では/郵政現場からの報告
■恐竜化か、リリパット化か――郵政民営化のジレンマ
■西川善文著『挑戦――日本郵政が目指すもの』/民営化に賭けるトップの本音


憲法改悪と
いかに闘うか?


■改憲に執念燃やす安倍――「国民の自主憲法」幻想を打ち破れ
■労働者は改憲策動といかに闘うか
■国民投票法をどう考えるか
■安倍の「美しい国」幻想――憲法改定にかける野望


本書は何よりも論戦の書であり、その刊行は日和見主義との闘いの一環である。
マルクスが『資本論』で書いていることの本当の意味と内容を知り、その理解を深めるうえでも、さらに『資本論』の解釈をめぐるいくつかの係争問題を解決するうえでも助けとなるだろう。


全国社研社刊、B6判271頁
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「不破哲三の“唯物史観”と『資本論』曲解』(林 紘義著)」紹介


全国社研社刊、B6判384頁
定価2千円+税・送料290円
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理論誌『プロメテウス』第54号
2010年10月(定価800円)

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・神野直彦の思想と理論――菅直人のブレインは「曲学阿世の徒」
・原則なき寄せ集め政党――顕現するブルジョア的“体質”
反動的な「文化」の擁護に帰着――レヴィ=ストロースの「文化相対主義」批判


 
 
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まかり通る「偏向教育」、「つくる会」の策動、教育基本法改悪の動きの中で、“教育”とは何であり、いかに行われるべきかを、問いかける。  


 第一章  
教育基本法改悪案の出発点、
森の「教育改革策動」
 第二章  
破綻する「ゆとり」教育の幻想
 第三章  
“朝令暮改”の文科省、
「ゆとり」から「競争原理」へ
 第四章  
ペテンの検定制度と「つくる会」の教科書
 第五章  
歴史的評価なく詭弁とすりかえ
つくる会教科書(06年)の具体的検証
 第六章  
日の丸・君が代の強制と
石原都政の悪行の数々
 第七章  
憲法改悪の“露払い”、教基法改悪策動

●1433 2022年8月28日
【一面トップ】 カルト宗教団体と手を切れ――反動化する岸田政権を打倒しよう!
【1面サブ】 杉田水脈を要職に任命した岸田――安倍支持層取り込みの一環
【コラム】 飛耳長目
【二面トップ】 政界に魔の手を伸ばす旧統一教会――岸一族や自民党との蜜月を暴く
【二面サブ】 【プロメテウス61号発行】

※『海つばめ』PDF版見本

【1面トップ】

カルト宗教団体と手を切れ

反動化する岸田政権を打倒しよう!

 参院選で勝利した岸田政権の支持率が急落し始め、岸田は慌てて内閣改造に踏み切った。だが、岸田は「安倍国葬」を強行する姿勢を変えず、反動的教義を持つ旧統一教会(教団)と癒着してきた人物を多数閣僚に迎え入れ、しかも教団との関係を組織的に断とうとしていない。岸田政権の反動性は明らかである。

◇支持率急落し内閣改造

 7月10日投開票にて行われた参院選に圧勝した岸田は、「黄金の3年」(国政選挙が無い)を手に入れたかに言われた。だが、岸田内閣支持率は参院選前から低下し始め、政権への不満は増えていた。それは輸入物価が高騰する主要因である円安を止めようともせず、岸田の「新しい資本主義」の目玉であった「所得倍増」が「資産倍増」にあっさり変わったからだが、参院選では野党の不甲斐なさに助けられ、自民党が圧勝した。

 岸田政権への不満が明確な批判となり、内閣支持率が急落したのは参院選後である。共同通信が行った7月30~31日の世論調査によれば、内閣支持率は参院選直後の7月11~12日の調査から12・2ポイントも急落し、岸田政権発足以降で最低の数字(支持率51・0%)になった。その理由は物価高騰(否定的評価63・6%)、コロナ対策(肯定的評価は前回調査から7・7ポイント下落し53・3%)、安倍元首相の国葬決定(国葬に反対53・3%)、旧統一教会問題などであった。

 こうした世論調査を労働者は参考にするが、重要なのは岸田政権の階級的な性格を捉えることである。

◇岸田の階級的性格

 例えば、物価高騰の原因について、岸田は原油や小麦の海外取引価格の上昇と説明し、円安が主な原因であることを覆い隠している。既に貿易収支の赤字が1年間も続き、今年に入るや赤字額が顕著になったのは、円安が進み出した時期に照応している。岸田はこの事実を隠し、さらに国家財政が破綻状態であるからこそ簡単に金利を引上げられないことをも隠蔽している。

 岸田の「安倍国葬」の決定(7月14日)については、労働者が反対する理由を既に『海つばめ』(1431~2号参照)で述べてきた。安倍は典型的な(天皇制)国家主義者であり、この立場から、戦前のアジア侵略を美化する一方、教育統制や愛国心教育に舵を切り、さらに「安保法」を成立させ、自衛隊の軍備を増強させ、軍事大国化をリードしてきた。日本は今やれっきとした帝国主義国家であり、アジアにおいて中国と覇権を争っている。こうした帝国主義化の道を掃き清めてきたのが安倍であった。

 ところが、岸田は(天皇制)国家主義を妄動した上に、国家財政を私物化し森友・加計事件を起こした安倍という利己的な輩の葬儀に血税を注ぎ込もうとしている。

 岸田の魂胆は明らかだ。岸田は安倍派の要請に沿う振りをしながら、自分の権力基盤を強めるためにのみ「安倍国葬」を強行したいのである。岸田は安倍と大差が無い!

◇教団の化けの皮

 安倍を殺害した山上容疑者の母親は、教団の悪徳教義に引き込まれて入信し、その後急逝した夫の遺産や生命保険金など、およそ1億円を教団に献上した。家庭は破産宣告し、山上は自殺を図るまでに追い詰められ、人生を破壊されたことを恨んだ末、凶行に及んだ。

 山上を局限にまで追いやった教団は宗教の名でカネ儲けを企む悪徳営利団体そのものだ。実際、韓国の教団本部は営利で儲ける一種の財閥と化し、商業やリゾート施設などの50社以上の関連企業を持ち、総資産は6兆ウオンと報道されている。韓国では旧統一教会はカルトと認定され、「ローマ法王庁も1985年、全世界の司祭や信者に統一教主催行事への参加を禁止した」(Newsweek、7月25日配信)。

 日本の場合は、関連団体を多数持ち、それらを信者集めの窓口にし、集めた信者に「先祖の悪い因縁から身を守るために」と騙し、印鑑などの物品を高額で買わせてきた。最近は物品の押売りが減り、退職金や保険の解約金などを献金させてきた。

 その関連団体に、自民党の議員ら(萩生田らのことだ)を呼んで講演させるなどして、信者に教団の権威と力を見せつけ、偽りの団結を図ってきた。信者から集めた莫大なカネは幹部の懐と韓国の本部に流れ、このカネを元手に米国に進出を図って行った――米国の教団は銃規制に反対しトランプを応援している。

◇教団と癒着する自民党、野党

 先に示した共同通信の調査にあるように、岸田政権の支持率が急落したのは、「安倍国葬」決定と同時に噴き出てきたカルト教団・旧統一教会と自民党との癒着だ。

 教団と自民党は、持ちつ持たれつの蜜月の関係にあった。教団は自民党を強く支持し自民党議員の選挙運動を担い、他方の自民党は教団の「霊感商法」で信者から数千万数億円もの資産を巻き上げる「不法行為」に対する社会的追及の〝盾〟となり、また教団の勢力拡大に手を貸してきた。

 教団は労働者の階級的な闘いを敵視する一方、家庭を重視する。しかもその家庭とは宗主を頂点とする封建的な家父長制である。教団はこの家庭観を自民党の安倍派らと共有し、自民党や政府の政策に反映させてきた。例えば、最近では「子ども庁」を「子ども家庭庁」に変えたり、夫婦別姓の動きに反対する策動を強めるなどだ。

 このような悪徳教団と蜜月関係を築く自民党に明日は無い! 労働者は政府と自民党に対して、韓国やフランスなどと同様に教団をカルトと認定し、直ちに縁を切れと要求する。だが同時に、労働者は立憲民主や国民民主や維新にも教団とつるんで国会議員に成りあがった輩がいること、公明はカルト法の制定に反対していることを決して見逃しはしない。

◇改造内閣も教団とズブズブ

 岸田内閣に対する人々の不信が高まり、これを察知した小ずるい岸田は人々の目先を変えて内閣支持率の回復を策動した。岸田は予定を早め、今月(8月)10~11日に、急きょ第二次改造内閣を発足させたのである。

 しかし、岸田改造内閣の新たな閣僚は、皆ごりごりの反動どもであり、また教団とズブズブの顔ぶれであった。

 大臣20人のうち、少なくとも8人が教団と関係を持っていたし、副大臣26人と政務官28人の計54人のうち、少なくとも23人(副大臣11人、政務官12人)が教団と関係していたとマスコミは報じている(朝日、8月16日)。

 岸田は新内閣人事に当たって、「教団との見直しを約束した者を任命する」かに言ったが、「議員は自ら責任説明をはたすべきだ」と個人任せであり、閣僚に任命された後にこっそり教団との蜜月を打ち明けた議員が何人もいた。

◇岸田政権を打倒しよう

 岸田は自民党と教団との縁を断ち切るとの宣言さえしようとしていない。だから、萩生田のように、教団との関係解消について質問されても「適切な対応をしていきたい」と曖昧な発言をし、むしろ半ば居直っている。

 岸田は教団との癒着問題について、国会集中審議に応じない方針だ。時間が経てばそのうちに忘れ、内閣支持率も上がってくると高をくくっている。労働者は舐められたものだ。

 だが、そうは問屋が卸さない。岸田は目先を逸らせようと内閣改造に打って出たが、労働者は岸田の狙いをとっくに見抜いており、岸田の内閣改造の思惑は既に外れている。

 それが世論調査に現れた。NNNと読売新聞が行った緊急調査(8月11~12日)によれば、岸田改造内閣を「支持する」と答えた人は51%で、政権発足以来過去最低となり、参院選後の1ヶ月で14ポイント下落したとのことだ(他の調査では5割を切った)。この機をとらえ、直ちに岸田政権打倒の烽火を上げようではないか。 (W)

   

【1面サブ】

杉田水脈を要職に任命した岸田

安倍支持層取り込みの一環

 内閣改造で総務政務官に就任した杉田は、さっそく「過去に多様性を否定したこともなく、ある性的マイノリティーの方を差別したこともございません」、旧統一教会との関係についても、「統一教会と知った上で関係を持ったことは一切ない」など、平然とウソつきの会見を行った。

 2018年に月刊誌「新潮45」への寄稿で、杉田が「LGBT(性的少数者)は子供を作らないから生産性がない。そこに税金を投入するのが果たしていいのか」と差別主義を触れ回ったことは有名だ。2020年には女性の性暴力被害について、「女性はいくらでもうそをつけますから」と問題発言をしている。

 これは性暴力被害者の相談事業をテーマにした自民党内の会合で、韓国の元慰安婦支援団体「正義記憶連帯」(旧挺対協)が問題になったことを念頭にしたのだろうが、全く問題のすり替えであった。

 旧統一教会に関しては、2016年8月に米ニューヨークで旧統一教会の教団施設で講演したり、2019年4月には主催者の1人が信者だった熊本県でも講演したりしているのだ。

 岸田内閣が「多様性が尊重される社会」と掲げ、今回の改造では旧統一教会との関係が注目されている中で、どうして杉田のような人物を政務官に抜擢したのか。それは岸田が政権基盤の強化策として安倍派を取り込むための内閣改造の一環であり、安倍が進めてきた反動的な政策を岸田もまた重視して行くことを示し、保守派の支持を集めようと考えたのだ。

 杉田が就任した政務官は、政務三役の内、大臣、副大臣の次のポスト。一般官僚トップの事務次官の上が補佐官で、その上のポストが政務官である。秘書官が2人付き、官僚を動かす力も大きい。杉田は総務省の「ナンバー3」として権力を握ったのだ。

 杉田と言えば、自民党に鞍替え(みんなの党から維新、次世代の党を経て自民に)する以前から、慰安婦問題に〝注力〟し、戦前・戦中の日本の軍国主義を擁護してきた人物である。国連人権委員会の「女子差別撤廃委員会」に出席して、「日本軍による慰安婦の強制連行はなかった」などの発言をしてきた。その反動的な「愛国主義」を安倍は高く評価し、自民党からの立候補では、比例単独の名簿順位を上位にするなど優遇し、杉田を庇い続けた。

 今回の人事について、「副大臣や政務官は首相が派閥の意見をそのまま認めるのは慣例」などと弁護することは、岸田の責任でないかに免罪することである。人事にも見られる国民愚弄の岸田政権は打倒するしかない。 (岩)


           

【飛耳長目】

★77回目の8・15を迎えた。終戦日の2ヶ月程前のこと、ある県都が空襲にさらされた。隊列を組んだB29が一夜にして町を焼き払った。東の空が真っ赤に燃えていた。死者2千人、負傷者5千人。あちこちに焼けただれた遺体、小学校のプールにも夥しい焼死体が浮かんでいた。翌朝、町の中心を流れる川は焼け出された人々でごったがえし、中には河原で肉親を火葬する煙も上がっていた★深夜、この河原にB29一機が墜落した。S山頂からの迎撃砲は編隊にまで届かなかった。B29同士の接触事故による墜落だった。翌朝、機体の残骸にはまだ息のあった米兵がいた。近所の子供達が寄ってきて、河原にあった石を投げつけて殺してしまった。「鬼畜米英」と教えられていた子供達にとっては当然のことだった。戦後、GHQが調査に来た。住民は皆口をつぐんだ。結局米兵の遺体は海へと流されて見つからなかった。今そこには墓碑がひっそりと忘れられて建つ★毎年8月15日になると各地で追悼式が行われ、お偉いさんたちが変わり映えのしない追悼文を読み上げる。形骸化した「追悼式典」が行われるが、こんなものは直ちに廃止し、戦争犯罪や戦争へと突き進んだ原因や歴史を明らかにする集会をこそ全国で開催すべきであろう。その方がよっぽど「不戦の誓い」だ。  (義)


【2面トップ】

政界に魔の手を伸ばす旧統一教会

岸一族や自民党との蜜月を暴く

 かっての「オウム真理教」が現実社会から隔絶し、富士山麓にサティアンと称した教団拠点を築いて集団生活を営み、社会に牙を向けて、弁護士一家殺害や果ては地下鉄サリン事件などのテロ行為を引き起こし破滅していったのとは反対に、キリストの名を借りて現実社会に深く浸透し、政界にも魔の手を伸ばしていったのが「世界平和統一家庭連合」(以後、旧統一教会と称す)である。どちらも社会的害毒を垂れ流すカルト教団であることに変わりはない。

◇「お告げ」を受けた文鮮明と、雑多な妄想の書「原理原本」(聖本)

 「教祖」と自他共に称する者が、神からの啓示を受けたとする妄想はよくある話である。文鮮明(ムン・ソンミョン)もその口である。

 現北朝鮮の平安北道の農家に生まれた文鮮明も、16歳の時にイエス・キリストから「人類救済はいまだ成就されておらず、(汝には)残された救済を完成させる使命がある」との啓示を受け、生涯を神に捧げる決意をしたと言う。その後、聖書をもとに「統一原理」なるものの全容を解明し、「宗教と科学との統一」、「既存の宗教では戦争や人間の堕落は止められない」「世界平和のために人類一家族の形成を」などと唱えて、ソウルや平壌でその原理の講義をしながら信者を獲得していった。

 その後、重婚の罪(これもお告げか?)を犯したとして重婚罪で5年の懲役刑を受けたが、朝鮮戦争のどさくさに紛れて釈放され、釜山を拠点に再び伝道を開始、1952年に教義をまとめた「原理原本」(聖本)を作り、朝鮮戦争終結後の1954年にソウルで「世界基督教統一神霊教会」を設立する。

 ここで「原理原本」の中にあるという主だった教義なるものを見てみよう。雑多な妄想の寄せ集めが3千万円で信者に売られるというのも驚きだが、その主張も荒唐無稽なものである。馬鹿馬鹿しいのでコメントはしない。

一、既存のキリスト教では罪悪の世界となった現代社会を救うことはできない。

二、人の原理はエバがサタンの化身である蛇と交わったためサタンの血が人間に流れるようになった。

三、人生と宇宙の根本問題を解決するために神が文鮮明を遣わせた。

四、イエスの十字架刑では現在を償うことはできなかった。だから地上に再臨しなければならない。それが文鮮明である。

五、神を中心とした家族的世界を地上天国と言い、教祖夫妻がその原型である。

六、全ての人類は一つの言語を持たねばならない。それは韓国語である、等々。

 この教会支部は、現在では世界に200カ国あると言われているが、日本に設立されて、会員数、資金源ともに飛躍的に増大し、その活動も活発となった。

 その1つに日本の芸能人も巻き込んだ国際合同結婚式がある。「人類一家族の形成」という原理に基づき、「地上に建設される天国は、理想的な家庭を築くことから生まれる」としてたびたび開催、韓国人の夫(アダム)と日本人の妻(イブ)の強制結婚を繰り広げた。

 費用は1人180万円に最低献金が30万円(渡航、滞在費も自己負担)で、ほとんど日本人の妻が負担し、これも教会の莫大な資金源となった。夫婦の組み合わせは文鮮明が写真を見て勝手に決めたが、壮絶な結婚生活の中で離婚した夫婦も多い。

 文鮮明には17人(4人死亡)の子供がいたとされるが、現総裁の韓鶴子(ハン・ハクチャ、結婚したのは17歳)も含めて、わかっているだけでも相手は5人もいて、重婚罪で罰せられたり、信者にも手を出してのご乱交ぶりだ。とんだ「理想的な家庭」で、キリストも驚くほどの呆れた「神の再臨」である。

◇フランスの「反カルト」法と旧統一教会

 フランスの「反カルト」法には10の主立った項目が並べられている。そのほとんどに旧統一教会は当てはまる。

 ①精神的不安定化をもたらすもの ②法外な金銭要求(献金など) ③元の生活からの意図的な引き渡し ④身体に対する危害 ⑤子供の強制的入信 ⑥反社会的な説教 ⑦公共の秩序を乱す行い ⑧重大な訴訟問題 ⑨通常の経済流通経路からの逸脱(高額な物品販売) ⑩公権力への浸透の企て

 既に明らかとなっている項目が多いが、ここでは⑩公権力の浸透の企てを取り上げよう。

◇安倍政権下で増加した旧統一教会との蜜月

 日本で旧統一教会が設立されたのは1958年のことである。初代会長には元立正佼成会幹部の久保木修己がついた。久保木は後の「国際勝共連合」の会長も兼ねる。

 彼はその中で、自主憲法制定や北方領土返還、スパイ防止法制定などの国民運動を展開し、日韓トンネル構想(韓国と九州間230㎞を海底トンネルで結ぶ構想、当時、議員連盟も設立された)の実現などに奔走した。

 また安倍元首相の唱えた「美しい日本の国づくり」の元ネタと噂される『美しい国日本の使命著作集』などの著書を著わした。

 文鮮明や久保木、そして旧統一教会に特徴的なのは、朝鮮戦争の影響も受けて、徹底した「反共主義」を掲げたことである。それが後に旧統一教会の政治団体「国際勝共連合」の結成(1968年)へと結びつく。

 この反共主義に同感した岸信介や笹川良一(後に名誉会長)らが日本での設立に奔走し、文鮮明との交流を深めていく。

 「勝共連合」からの資金で「スパイ防止法」制定の組織を結成したのも岸であり、文鮮明がアメリカで脱税容疑で逮捕された時には岸が釈放の嘆願書を出したり、あろうことか首相公邸の建物の一部を教会に使用させたりもした。『旧統一教会40年史』には、文鮮明と堂々と握手する岸の写真が掲載される程だ。こうして、岸一族と旧統一教会は切っても切れぬ仲となっていく。

 この関係は安倍元首相の父の安倍晋太郎に引き継がれ、彼は教会員を国会議員の秘書として斡旋したり(最盛期には百人以上に達した)、各議員を教会団体のセミナーに積極的に勧誘したりした。

 80年代以降、旧統一教会の悪質な霊感商法で批判が高まると、負のイメージを払拭しようと旧統一教会は現在の名称に改め(1997年)、文化庁に名称変更を申請するが、なかなか受け入れられず、安倍政権になってから安倍側近の一人である下村文科相によって漸く認可された。下村は「認可については自分は知らぬ、存ぜぬ」としているが、そこに安倍と旧統一教会の両者への忖度があったことは明らかであろう。

 安倍元首相と旧統一教会との関わりは、官房長官時代から祝電を贈ったり、首相になってからはビデオメッセージで出演したり、選挙で教会会員票を自派の候補者に割り振ったりとズブズブの関係である。さらに実弟の岸信夫は、自ら旧統一教会に選挙応援をしてもらったとを白状している。安倍政権下では、教会と深い関係にある議員が副大臣や政務官に登用されるという噂もあるほどだ。

 こうして旧統一教会は岸一族、そして自民党と持ちつ持たれつの関係を築き、特に最大派閥の細田派(現安倍派)の中に触手を張り巡らせていく。萩生田、下村、岸をはじめ関係を持たぬ議員はほとんどいまい。また、維新や立憲、国民民主、果ては地方議会の首長や議員達との関係も明らかにされつつある。

◇なぜこうした深いつながりが生まれたのか?

 自民党、中でも安倍派のような右派反動の連中と旧統一教会が蜜月を続けるのは、その思想――反共主義、自国防衛主義、愛国主義、歴史修正主義、自主憲法制定、家父長制維持等々、彼等の機関誌紙である『世界家庭』や『世界日報』を見よ――を同じくするからであり、「日本会議」などと共に反動派の思想のバックボーン、理論的精神的支柱となっているからである。だから彼等を当選させようと、教会の幹部等の指令で、会員を彼等の選挙に総動員するのであり、それはまた教会存続の保証と結びつく。

 他方、旧統一教会にとって彼等と結びつくことは、彼等が権力の中枢にいる限り、未来永劫教会が存続していく保証が得られ、おおっぴらに日向を歩くことができるからであり、また大会という名の様々な関連団体のショーを通じて彼等を宣伝に使い、看板に見立てて現会員を教会につなぎ止め、さらに多くの会員を獲得する手段となり得るからである。

 今や旧統一教会の信者は日本が最大で60万人(韓国30万人)であり、1300人の教師、85の教会があり、下部組織と言われるものは宗教関係で8つ、政治関係で21、社会関係で13、文化関係で8、教育で17、スポーツで6つもある。いずれも信者から献金の名でむしり取った資金で運営されており、総裁の韓鶴子を始め幹部連中や教師らは贅を尽くした生活を享受する。特に韓の住む教会の本部と目される御殿「天生宮」は韓国のマスコミでも取り上げられ、300億円以上をかけて建設中だが、その9割が日本からの寄付で賄われていると言う。

◇労働者の階級的な闘いこそ急務

 人を惑わせ、社会の害毒となっているこうした宗教の名を借りたカルト集団は、徹底的に糾弾、解体、追放されねばならないが、あろうことか自民党及び歴代内閣はこれを保護し、同調するといった蛮行を繰り返してきた。政治が右傾化し愛国主義や民族主義が高まるにつれ、こうした集団は増々のさぼり、政治に接近し、国会議員まで取り込むといった危険な兆候が現れている。我々は旧統一教会の非科学的な妄想と迷信で人をたぶらかし、詐欺に等しい法外な献金で益々潤うとするカルト集団の厳罰と解体を要求する。さらに不正や犯罪を置き去りにし、何十年もの蜜月を繰り返し、互いに甘い汁を吸ってきた自民党をも断固糾弾する。

 こうしたカルト集団が信者を得て拡大していく背景にあるのは、絶対的貧困や社会的疎外・孤立、家庭崩壊、政治汚職や不正の蔓延、生活格差の増大、拝金主義といった現代資本主義の固有の矛盾の反映である。さらに階級社会である現代において、連合すら闘いを放棄して自民党にすり寄るといった労働者の全般的な階級的闘いの著しい減退、労働者の賃上げや雇用の保障、最低限の生活防衛、権利保障さえ闘い得ないという現実の反映からきている。我々は労働者の階級的闘いを通じて資本主義を変革し、「労働の解放」を勝ち取る道こそが、こうした問題を解決していく唯一の道であると宣言する。無力な野党に代わる新たな労働者階級の党、労働者党に結集して共に闘おう。いざ、前進!

 「宗教上の不幸は、一つには不幸の表現であり、一つには現実の不幸に対する抗議である。宗教は悩める者のため息、心なき世の情であり、またそれは魂なき場の魂である。それは民衆のアヘンである」(カール・マルクス)。 (是)


【二面サブ】

【『プロメテウス』61号発行】

 労働者党理論誌『プロメテウス』61号が発行されました。特集テーマは「激化する帝国主義的対立」です。

 米中対立に焦点を当てた論文やロシアの体制を分析した論文、日本資本主義を解明した論文の3つがあります。

 特集の他に、ミャンマー論、リニア新幹線建設の問題点を解明した論文、故林紘義氏の「樺さんを偲んで」という追悼文も掲載されています。若い人々にも是非とも読んでいただきたいと思います。

 全国社研社刊 

 A5版138頁

 定価 880円(本体800円+税)

 購読申し込みは党員か「全国社研社」宛にお申し込みください。

 また、新宿の「模索舎」には配本してあります。書店や大学生協から取り寄せが可能ですので、全国社研社へ電話かメールをしてもらってください。


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