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労働の解放をめざす労働者党機関紙『海つばめ』

◆第2第4日曜日発行/A3版2ページ
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郵政民営化の中で何が起きているのか?
郵政労働者は告発する!

■民営化の嵐の中で最大の御用組合の登場――JPU臨時全国大会議案批判
■郵政民営化――今、職場では/郵政現場からの報告
■恐竜化か、リリパット化か――郵政民営化のジレンマ
■西川善文著『挑戦――日本郵政が目指すもの』/民営化に賭けるトップの本音


憲法改悪と
いかに闘うか?


■改憲に執念燃やす安倍――「国民の自主憲法」幻想を打ち破れ
■労働者は改憲策動といかに闘うか
■国民投票法をどう考えるか
■安倍の「美しい国」幻想――憲法改定にかける野望


本書は何よりも論戦の書であり、その刊行は日和見主義との闘いの一環である。
マルクスが『資本論』で書いていることの本当の意味と内容を知り、その理解を深めるうえでも、さらに『資本論』の解釈をめぐるいくつかの係争問題を解決するうえでも助けとなるだろう。


全国社研社刊、B6判271頁
定価2千円+税・送料290円
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「不破哲三の“唯物史観”と『資本論』曲解』(林 紘義著)」紹介


全国社研社刊、B6判384頁
定価2千円+税・送料290円
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「天皇制を根底的に論じる『女帝もいらない 天皇制の廃絶を』(林 紘義著)」(『海つばめ』第989号)他

理論誌『プロメテウス』第54号
2010年10月(定価800円)

《特集》菅民主党のイデオロギーと“体質”
・神野直彦の思想と理論――菅直人のブレインは「曲学阿世の徒」
・原則なき寄せ集め政党――顕現するブルジョア的“体質”
反動的な「文化」の擁護に帰着――レヴィ=ストロースの「文化相対主義」批判


 
 
 教育のこれから
   「ゆとり」から「競争」
   そして「愛国教育」で
   いいのか
 林紘義 著 7月1日発売

  (全国社研社刊、定価2千円+税)
  お申し込みは、全国社研社
  または各支部・会員まで。
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まかり通る「偏向教育」、「つくる会」の策動、教育基本法改悪の動きの中で、“教育”とは何であり、いかに行われるべきかを、問いかける。  


 第一章  
教育基本法改悪案の出発点、
森の「教育改革策動」
 第二章  
破綻する「ゆとり」教育の幻想
 第三章  
“朝令暮改”の文科省、
「ゆとり」から「競争原理」へ
 第四章  
ペテンの検定制度と「つくる会」の教科書
 第五章  
歴史的評価なく詭弁とすりかえ
つくる会教科書(06年)の具体的検証
 第六章  
日の丸・君が代の強制と
石原都政の悪行の数々
 第七章  
憲法改悪の“露払い”、教基法改悪策動

●1439号 2022年11月27日
【一面トップ】 労働者はどっちも支持せず
         ――米中間選挙の結果と労働者の課題
【コラム】  飛耳長目
【二面トップ】 破滅への道歩む岸田政権
         ――強大な帝国主義目指し膨れ上がる軍事費
【二面サブ1】 福島事故の教訓を無視
         ――運転期間延長は電力資本の要求
【二面サブ2】 自民党幹部との会食を労働者のためと偽る、連合芳野会長

※『海つばめ』PDF版見本

【1面トップ】

労働者はどっちも支持せず

――米中間選挙の結果と労働者の課題

  アメリカ中間選挙(11月8日投開票)は、16日時点でまだすべての開票結果が出ていないが、バイデンが上院の開票状況について「非常に喜んでいる」(13日)と言ったように、民主党が上院(定数100)の50議席を確保し、下院(定数435)では共和党218議席で過半数を確保したのに対し、民主党208議席である。デマゴギーのトランプが主導した共和党は、上院で敗北し、下院でも当初予想されたような大勝とはならなかった。

◇選挙の争点、物価高

 今回の連邦議会選挙は、40年ぶりの水準にある物価上昇が労働者の生活を直撃する中で行われ、争点はまず物価高対策であった。

 アメリカではトランプ時代の2017年から19年までは消費者物価指数の前年同月比はほぼ2%程度で推移していたが、コロナパンデミックによって世界的な恐慌となった2020年には0~1%になり、その後バイデンに替わった21年以降は上昇し、今年6月には9・1%を記録し、10月には7・7%と高止まり、労働者は生活困難をきたしている。

 バイデンは、コロナ禍で落ち込んだ経済をテコ入れし、雇用を回復させるため2021年3月に総額1・9兆ドル(約280兆円)の追加経済対策、その後、インフラ整備に1兆ドル(約147兆円)、半導体産業に527億ドル(約7・7兆円)の補助金などの巨額の財政出動を伴う経済対策を行った。

 トランプはこれらの政府支出がインフレを引き起こしたと、ここぞとばかりバイデンを責めるが、トランプも20年8月にコロナ対策として米国の国内総生産(GDP)の1割に当たる2兆ドル(約220兆円)超に上る史上最大の財政出動を行ったのだから、トランプも同罪である。

 トランプは大統領時代に既に中国などからの鉄鋼輸入に25%の関税をかけ、そのアメリカファーストの保護主義が安い輸入品を抑制し物価の上昇を招いた。そして、今年2月のロシアのウクライナ侵攻に始まるウクライナ戦争は、ロシアに対する欧米の経済制裁とロシアによる対抗措置で、ロシア産天然ガスや石油やウクライナ産小麦の生産と流通が攪乱し、価格高騰と供給不足を招き、欧米のみならず世界の物価高を引き起こした。

 それとともに現在みられる物価上昇は、必要流通量以上に通貨が流通に入り、通貨の「価値」が減少する、インフレの様相を呈している。コロナ禍による世界的恐慌で生産が縮小し、商品流通が縮小する中で、世界中の政府と同様にアメリカでも、コロナ過によって被った生活難と減少する消費対策として、通貨を大量にバラまいたのだから、通貨の「価値」が減少し、インフレを引き起こしたことは十分考えられる。

 バイデンは22年8月に「インフレ削減法」を成立させたが、その中身は「気候変動対策」や「医療保険制度改革」などで、財源として「15%の最低法人税率」、大企業や富裕層に対する「内国歳入庁による課税の強化」などが盛り込まれている。しかし「気候変動対策」として、GⅩの投資のための税額控除を行うというのであるから、インフレ抑制効果はほとんどないであろう。

 一方トランプはインフレ抑制として大企業や富裕層の減税を言うのであるが、インフレに対しては、むしろ増税して通貨を引き上げなければならないのであるから、まじめに取り組もうとしているとは言えず、バイデンと同じである。労働者はどちらの政策にも支持できない。

◇トランプの懲りないデマゴギー

 6年前、「アメリカ第一」と豪語し、国家主義、保護主義を臆面もなく口にし、排外主義や移民排除や人種差別を公然と謳うトランプが、大統領選で最終的に勝利を決定したのは、「ラストベルト」と呼ばれるかつて自動車や鉄鋼産業で栄えた工業地帯の、一部の労働者層の支持を民主党から奪い取ったからであった。

 しかしそのトランプの米国第一の保護主義は、労働者をたぶらかすだけものであったことは、自動車や鉄鋼産業が衰退したままの「ラストベルト」の労働者のみならず、多くの労働者に見透かされ、20年の大統領選でトランプは敗れ去ったのである。しかし「大統領選挙で選挙不正があった」とトランプは自らの敗北を認めず、トランプ支持者による21年1月の連邦議会議事堂襲撃事件を引き起こした。

 今回の選挙戦でもトランプは、20年の大統領選結果を認めないという、トランプの主張に賛同するMAGA(Make America Great Again)を共和党候補者に送り込んだ。トランプは、「大統領選が不正操作され盗まれた」と2年前と同じ主張を繰り返し、「拡大する左翼の暴政に立ち上がらなければならない」、「アメリカンドリームを再び」などとデマゴギーを振りまいたが、健全な労働者の心をつかむことはなかった。

 こんなトランプの推薦は逆効果を生むとさえいわれ、民主党は共和党の予備選挙でMAGAを共和党候補になるようなネガティブキャンペインを張った(15日TBS)。

 選挙不正の主張は、健全な労働者の支持など得るものではなく、トランプが推薦した共和党候補者は、特に上院の接戦州ネバダ、アリゾナ、ペンシルバニアなどで民主党に敗れ、トランプの野望は退けられた。

 トランプは、15日に次期大統領選への立候補を正式表明し、「米国のカムバックがいま始まる」、「再び偉大で栄光に満ちた国にするため」と、今ではすっかりメッキが剥がれたデマゴギーを再び振りまくしかなかったが、もう多くの労働者の支持をかき集めることはできないであろう。

◇女性労働者、Z世代労働者の怒りを買った中絶問題

 女性蔑視のトランプは、妊娠中絶の禁止・制限を狙っていた。連邦最高裁判事9人はトランプが保守派の判事を送り込み、共和党保守派6人革新派3人となっていた。今年6月に連邦最高裁は、合衆国憲法で保障された権利として中絶を認めた73年の判決を覆した。トランプは大統領退任後、その望みをようやく実現させた。

 しかし法律で人工妊娠中絶を禁じることは、今回の中間選挙、そして同時に行われた州知事選や住民投票などでも、女性労働者をはじめ、若い世代の労働者に大きな反発を起した。バイデンはこれに対して、中絶の権利を明記する法案の成立を目指すと、中絶問題を中間選挙の争点とし支持を広げた。

 10月の世論調査(CNN)では、最も重視する争点は「経済・インフレ」51%、「中絶」15%であったが、投票後の出口調査では「インフレ」31%、「中絶」27%と「中絶」に関心を持つ人が多くなり、「中絶」と回答した人の多くが民主党に投票した調査結果となった。

 「米国では行きすぎた資本主義に反発し、格差是正などを求める若年層『ジェネレーション・レフト(左派世代)』が増えている。経済格差を広げかねない共和党への批判票が増えたとみられる」(高濱賛)と言われるが、これまで選挙にあまり関心のなかった多くの若者、Z世代と呼ばれる1990年半ば以降に生まれた労働者、そして有権者登録していない貧困層が、中絶の権利を奪うトランプのような反動的政治や、気候変動対策に消極的な政治状況に危機感を覚え、選挙に参加し、中間選挙の接戦州で共和党が敗退した要因となった。

 中絶に反対するトランプ共和党や共和党支持者は、宗教的・道徳的理由を挙げ中絶に反対するだけである。背景にある貧困などの社会的問題を考えずに、中絶を選択しなければならない女性を、ただその悲惨な状態に放置するだけである。

 子供を育てる経済的余裕があれば、正しい性教育が行われ避妊などの措置が適切に行われば、女性が労働者として自立し社会的に女性蔑視・差別がなくなりレイプが根絶すれば、中絶の必要などはなくなるのである。

 このように中絶の問題は、単に女性の権利としてではなく、中絶を選択しなければならなくなる社会の問題ととらえなければならない。その解決は民主党のように単に中絶の権利の獲得に留まるのではなく、貧困からの生活の向上、労働と結びついた科学的教育、人間の真の社会関係に基づく共同体など、現代資本主義社会の社会主義的変革の課題と深く結びついている。

◇労働者の闘い

 バイデンは、トランプのデマゴギーにたいして、「今回の投票で問われているのは民主主義そのものだ」と訴え、「民主主義の勝利」と言ったが、バイデンが守ろうとするのは、こんな資本の支配を維持するブルジョア民主主義である。

 バイデンにしろトランプにしろ、インフレを抑えようとして金利を引き上げると、今度は景気後退を心配しなければならないのである。労働者がインフレによって生活苦に陥り、景気が後退すると資本によって賃下げ、労働強化、解雇の犠牲を強いられ悲惨な状況に置かれることなどはお構いなしである。コロナ禍のもとでも好調だったIT大手のメタやツイッターが、今や今後の景気後退を予測し、多量の従業員削減を始める状況である。労働者は闘いを強めなければならない。

 中間選挙は、民主党も共和党もともに、労働者が支持し得るものでないことを明らかにした。当初予想された共和党の「赤い波」は、さざ波程度になったが、下院の過半数を失った民主党は、これまでのような政権運営は難しくなるであろう。しかし労働者の生活難をよそに、米国の資本の利益、国益を第一とすることは、米国第一、保護主義の共和党と変わることはない。

 バイデンは、帝国主義的国家として、中国の帝国主義的進出と対立を深め、労働者の利益に反する軍備増強に励んでいる。そして岸田政権は、バイデンと歩調を合わせて、「自国第一」と保護主義・愛国主義を鼓吹し、軍国主義化を進めようとしている。

 日本の労働者は岸田政権と闘い、アメリカその他世界の労働者とともに、労働の搾取に基礎を置く資本の支配を乗り越え、労働者の支配する本当の民主主義の獲得をめざす、断固たる闘いを推し進めるべきである。 (佐)


   

【飛耳長目】

★『なぜ俺たちだけ』と悔しくも悲しかったのは、北海道余市市の修学旅行中の中学生だ。岩手県を訪れたが、就学支援を受ける7人だけには全国支援クーポン(6千円分)が配られなかった。理由は、旅行業者が「公的支援は二重には受けられない」と誤認したからだという。ホテルで教師が配る際、彼等は別室に隔離された★嬉々としてクーポンで土産を買う仲間達を見て、彼等は何を思ったであろうか。理不尽で、自らの境遇に思いをはせたことだろう。旅行後、除外された保護者の訴えで業者も学校も誤りに気づいた。彼等には同額分の商品券が渡されるという。就学支援は決して恥じるものではなく、また差別の対象となってはならない。それは労働者家庭のどの子もそうなる可能性があるからだ★2021年の就学支援児童生徒は20年前の2倍、132・5万人(14・2%)にも達し、7人に1人が支援を受ける。その背景は「企業の倒産やリストラによる経済状況の変化」(76%)、「離婚による母子、父子家庭の増加」(60%)であり(文科省調査)、労働力を売る以外に生活の術のない労働者家庭を反映している★昨今の「インフレ」、物価高騰による労働者への収奪は益々激しい。今こそ、〝労働の解放〟を目指す闘いが必要なのだ。 (義)


【2面トップ】

破滅への道歩む岸田政権

強大な帝国主義目指し膨れ上がる軍事費

 「抜本的な軍事力強化」を掲げる岸田政権の下で、軍事費増大が図られている。世論操作のためにでっち上げた政府「有識者会議」では、軍拡に賛成するが「国債に頼るのではなく恒久財源が必要だ」との発言が相次いだ。今や岸田政権は軍事費増額のための「財源探し」に焦点を移そうとしている。

◇戦時国債化する軍事費

 軍事費増額を賄う財源はどこにも無い。

 かつて、世界のトップシェアを誇った半導体や通信や電気は衰退し、次世代のITやAI分野では中国や韓国にも後れをとる有様で、「資本輸出」は増大したが国内経済は停滞したままだ。

 「アベノミクス」は、徹底した低金利と量的緩和策によって、政府のバラ撒きを容易にし、また民間資本の投資行動を促そうと画策したが失敗した。「年2%の物価上昇目標」も挫折し、政府の膨大な借金だけが残った。

 にもかかわらず、岸田政権はロシアのウクライナ侵攻を口実に、また中国の海洋進出に対抗して、帝国主義国家に相応しいより強大な軍事大国にしようと、膨大な軍事費増額を画策している。

 しかし、軍事費の増額を賄う「安定財源」を確保できなければ、さらに借金を重ねて〝蟻地獄〟に転落するしかない。

 そこで、政府や「有識者会議」の面々は歳出削減や法人税・所得税引上げが必要だと思わせぶりに発言する。だが彼らが実際に考える歳出削減は、一番抵抗がないところから手を付けようと算段するのであり、既に実行している社会保障費の更なる削減であり、経済協力費や中小企業対策費等についてである。しかし、これらの歳出削減で軍事費増額分を賄うことはとうてい不可能である。

 ところが、増税について公明党は「防衛費は国民全員で負担すべき」と特定の法人税引上げに反対であり、経団連も反対している。では所得税や消費税を引き上げることが可能かと言えば、政府は「今は不可能だ」と考えるのであり、従って、大半は国債発行となるのは必至なのだ。

 そこで、政府は軍事費には「安定財源」が必要だと主張する防衛省や御用学者らと折り合いを付けようと、将来の増税を担保にする「一時的な国債でつなぐ」ことを考えるのである。

 しかし、こんな代物はいつ返すか当てのない「戦時国債」に堕すのがオチだ。

 さらに政府は建設国債の名目で隊舎や武器庫の費用を賄うことも考えているが、赤字国債であろうが建設国債であろうが軍事費のための借金であることには変わらない。

◇既にGDP比1%超

 21年度の軍事費は既にGDP比1%を超えている。昨年(21年)10月、政府は「経済対策」を名目に補正予算を組んだ。この時、岸田は補正予算には「安全保障も含まれる」と発言し、急きょ装備品購入などが22年度予算分から前倒して8千億円も積み上げられた。

 あの極悪の安倍でさえ、補正予算に軍事費を入れなかったが、岸田はそれをあっさりと破り、防衛省幹部から「補正予算で軍事費を認めるのは画期的だ」と喝采を受けた。その結果、21年度の軍事費は当初予算の5兆3千億に補正分の8千億を加えて6兆1千億円となり、GDP比では1・09%となった。

 この21年度軍事予算をNATOの基準でみると、国土交通省の海上保安庁予算やPKO関連経費などが含まれる、それらを加えると6兆9千億円となり、GDP比では1・24%となっている。

 今年度(22年度)も、当初予算の軍事費は5兆4千億と昨年度を上回り(21年度に前倒した8千億は含まず)、第2次補正予算で4千5百億円が追加された。

 さらに岸田は、来年度当初予算の概算要求を出すようにと各省庁に指示した際、防衛省に対しては「上限なし」で出せと号令をかける程であった。防衛省は5兆6千億もの過去最大の要求を出し、加えて、金額を明示しない100項目の「事項要求」も出した。その結果、今年末に決まる当初予算の総額は6兆とも6兆5千億円とも言われている。

◇ツケは労働者に

 既に、コロナ対策や「不況脱出」のための国債発行額は、20~22年度のわずか3年で211兆円にのぼった。岸田の「新しい資本主義」や軍事費増額によって、今後の国債発行額はさらに急増する。

 最近、新発長期国債は毛嫌いされ、さらに既発の長期国債も市場で売買されないという異常な状況が発生している。こうした状況が続くなら、日銀が長期国債の大半を購入せざるを得なくなり、さらに日銀負担が増え、金利上昇圧力に耐えられない事態を迎え、日銀信用は失墜する。

 これはほんの1例であり、政府の借金政策のツケは、円通貨や日銀財政や国債の信用危機として、あるいは過剰通貨が流通に入り込んで発生するインフレとして、必ず労働者の肩にのしかかってくる。全ての労働者に呼びかける。日中の覇権争いに反対すると共に、軍事費増額を画策する岸田政権を直ちに打倒しよう。 (W)


【二面サブ1】

福島事故の教訓を無視

運転期間延長は電力資本の要求

 岸田政権は今年8月、運転停止中の原発の再稼働の加速、新型小型原発の建設など「原発の最大限活用」を謳った。この政策の中心が運転期間60年から規制委の安全審査に伴う停止期間や、裁判所の命令で運転停止していた期間を除くとするものである。

 現行の運転期間60年とする法律は、福島第一原発事故の翌年、2012年に行われた原子炉等規制法改正によるものである。それまでは運転期間についての法的な制限はなかったが福島第一事故を受けて、原発の安全確保のために法律で運転期間を40年とし、但し「1回限り、20年を超えない範囲で延長ができる」ことが定められた。

 当時政府(民主党)は、運転期間を40年とする根拠として、原子炉の圧力容器の壁は中性子の照射により劣化し、期間が長くなるほど劣化が進むこと、重要施設や機器などの設計は40年使用を想定しているものが多いことをあげている。運転期間の制限は、原発の「リスク低減」のために設けられたのである。

 そして福島第一事故の教訓として、原発については、「可能なかぎり依存年を低減」することが謳われた。

 政府案が実施されるなら、70年運転の原発も生まれる。東電の柏崎刈場原発や日本原発東海第2原発などはこれまで10年ほど稼働できていない。

 既に5基を稼働させている関西電力も事故、テロ防護工事の遅れなど再稼働までの停止が5年程度の原発も存在する。運転停止中も設備・部品の劣化は進むのであり、運転停止中の期間を稼働期間から除く政府の方針は原発の安全をないがしろにする暴論である。

 岸田による「原発最大限活用」政策の背景には、大資本、電力産業の強い要求がある。

 経団連は19年、運転期間最長60年より延ばすことや、審査などによる停止期間を運転期間に含めないように求める提言を発表した。

 電力各社による電力事業連合会も、原発を再稼働させるための投資の「回収見通しが厳しくなる」との理由で、運転期間制度の見直しを要求してきた。

 岸田の「運転期間」延長政策は、安全よりも利潤確保を優先させる経団連、電力資本の要求にこたえるものであることは明白だ。

 また、岸田はロシアのウクライナ侵攻などで発電のための石油、天然ガスのひっ迫をあげている。供給が縮小し、価格が騰貴するなかで、原発は安定した電力を確保するために重要であるというのだ。

 さらに政府は地球温暖化の大きな原因となっている化石燃料と比べて温室効果ガスを出さない原発は、温暖化を防ぐために有益だとも言う。

 しかし、原発は「安全性」確保をはじめ、放射性廃棄物質の処理や核燃料サイクルの行き詰まり、将来の経済性など未解決の問題は山積みである。

 福島第一の原子炉内に残された放射性物質の取り出しは今なお進んでいないし、たまった冷却水は海へ放出されることになったが、海水汚染は避けられない。核燃料の効率的な使用を謳い文句に核燃料サイクル計画は、高速濃縮設備・もんじゅの廃止に見られるように進んでいない。使用済み核燃料の貯蔵も見通しもなく、今後稼働原発が増えれば使用済み核燃料は増加する一方だ。

 また、地震などによる事故に備えての防止対策、住民避難対策と費用は増加するが、原発資本や自治体の対策も進んでいない。現在放射性物質の安全な貯蔵の見通しもない原発を利用し続けることは出来ず、太陽光、地熱発電など再生可能エネルギーに転換していくべきであろう。

 これまで政府や資本は太陽光など再生可能エネルギーに比べて安価であると強調してきたが、必ずしもそう言えなくなっているのが現実だ。

 岸田政権の運転期間延長政策は、資本の利益、その場しのぎを優先させるものでしかなく、将来のことを見据えた政策ではない。 (T)


【二面サブ2】

自民党幹部との会食を労働者のためと偽る、連合芳野会長

 来春闘を前にして連合の芳野会長が朝日のインタビューに答えている。彼女の状況認識はこうだ、「物価高に賃上げが追い付かない状況が続く中、私たちは今、三重苦(物価高、円安、コロナ禍)の中にいると思う。来年の春闘は重要な局面にきている。」

 全くその通り、労働者は日々の生活に追い詰められている。特に不安定雇用、低賃金の非正規労働者、年金生活者の生活は大変である。毎朝、スーパーのチラシで少しでも安い商品を血眼で探しているありさまだ。

 また、芳野は言う、「コロナ禍から業績が回復している業界では、ちゃんと物価高(分)まで取っていくことが大事だ。」 ちょっと待てよ、業績が悪い業界の労働者は、どうなるんだ? こっちの労働者の方が圧倒的に多いんだぜ、景気のいい企業の賃上げなど、当たり前じゃないか!

◇労働者を裏切る堕落した幹部を追放しよう!

 芳野は「重要な局面にきている」と言っているが、本当に「重要な局面」を認識しているのか? 現在は、これまでとは違って異常な物価高、円安が引き金となって、いつ猛烈なインフレが襲ってくるとも限らない局面なのである。

 芳野は、「来年の春闘での賃上げ目標を、従来の4%から5%に引き上げた」と、大威張りである。そして「連合が(5%)の旗を掲げたことが一つ大きい。経団連や商工会議所にもプレッシャーをかけていく」と闘う姿勢を装っている。

 しかし、プレッシャーをかけるというが、問題はいかにプレッシャーをかけるかだ。要求をいかに実現していくかだ。口先だけなら何とでも言える。労働者の断固たる闘いなくして資本家が労働者の要求を飲んだためしはない。ところが連合はこれまで労働者に闘いを呼びかけたことは皆無なのだ。

 それとも、芳野は自民党の麻生ら幹部と会食をしたことをもって要求実現のプレッシャーをかけた、というのか?どうも彼女はそう考えているらしい。というのは、芳野はこう言っているのだ、「(連合が掲げる政策制度を)実現しやすい環境を作っていくうえで、トップセールスは効果的だ」、麻生と会食した際には「非正規社員の待遇是正などについて議論した」と言うのである。

 いったい、どんな議論をしたのか聞いてみたいが、自民党政府の大物からお呼びがかかって、いそいそ出かけていくような者を彼らが相手にするはずがないではないか。

 しかも芳野は「女性会長になったということで…自民党さんから会いたいといわれるようになった」などとフェミニストを憤激させるようなことまで言っているのだ。

◇労働組合を闘う組合に立て直そう!

 なんと腑抜けた、やる気のない労働組合のリーダーであることか!

 このような人物を会長に戴くのは、連合の底なしの堕落をものがたっている。連合のダラ幹たちは、労働者を資本家に売り渡す犬である。連合に組織された労働者は、こんなダラ幹を放逐することによって連合をまともな労働組合に再建し、4、5%のわずかばかりの賃上げ要求に騙されることなく、労働者を資本の奴隷に縛りつけている賃金制度の廃止にむけて労働者の闘いを構築していかねばならないのである。 (K)


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