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労働の解放をめざす労働者党機関紙『海つばめ』

◆第2第4日曜日発行/A3版2ページ
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郵政民営化の中で何が起きているのか?
郵政労働者は告発する!

■民営化の嵐の中で最大の御用組合の登場――JPU臨時全国大会議案批判
■郵政民営化――今、職場では/郵政現場からの報告
■恐竜化か、リリパット化か――郵政民営化のジレンマ
■西川善文著『挑戦――日本郵政が目指すもの』/民営化に賭けるトップの本音


憲法改悪と
いかに闘うか?


■改憲に執念燃やす安倍――「国民の自主憲法」幻想を打ち破れ
■労働者は改憲策動といかに闘うか
■国民投票法をどう考えるか
■安倍の「美しい国」幻想――憲法改定にかける野望


本書は何よりも論戦の書であり、その刊行は日和見主義との闘いの一環である。
マルクスが『資本論』で書いていることの本当の意味と内容を知り、その理解を深めるうえでも、さらに『資本論』の解釈をめぐるいくつかの係争問題を解決するうえでも助けとなるだろう。


全国社研社刊、B6判271頁
定価2千円+税・送料290円
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「不破哲三の“唯物史観”と『資本論』曲解』(林 紘義著)」紹介


全国社研社刊、B6判384頁
定価2千円+税・送料290円
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「天皇制を根底的に論じる『女帝もいらない 天皇制の廃絶を』(林 紘義著)」(『海つばめ』第989号)他

理論誌『プロメテウス』第54号
2010年10月(定価800円)

《特集》菅民主党のイデオロギーと“体質”
・神野直彦の思想と理論――菅直人のブレインは「曲学阿世の徒」
・原則なき寄せ集め政党――顕現するブルジョア的“体質”
反動的な「文化」の擁護に帰着――レヴィ=ストロースの「文化相対主義」批判


 
 
 教育のこれから
   「ゆとり」から「競争」
   そして「愛国教育」で
   いいのか
 林紘義 著 7月1日発売

  (全国社研社刊、定価2千円+税)
  お申し込みは、全国社研社
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まかり通る「偏向教育」、「つくる会」の策動、教育基本法改悪の動きの中で、“教育”とは何であり、いかに行われるべきかを、問いかける。  


 第一章  
教育基本法改悪案の出発点、
森の「教育改革策動」
 第二章  
破綻する「ゆとり」教育の幻想
 第三章  
“朝令暮改”の文科省、
「ゆとり」から「競争原理」へ
 第四章  
ペテンの検定制度と「つくる会」の教科書
 第五章  
歴史的評価なく詭弁とすりかえ
つくる会教科書(06年)の具体的検証
 第六章  
日の丸・君が代の強制と
石原都政の悪行の数々
 第七章  
憲法改悪の“露払い”、教基法改悪策動

●1449号 2023年4月23日
【一面トップ】 幻想を煽り票をかすめ取る
         ――反労働者的維新政治に反撃を!
【一面サブ】  軍需企業の国有化も
         ――「防衛生産基盤強化法」案の審議始まる
【コラム】   飛耳長目
【二面トップ】  技能実習制度が廃止される!?
         ――再び三度〝欺瞞〟を重ねるのか
【二面サブ】   泥沼にハマる政府と日銀
         ――債務超過の危機をひた隠す
※『海つばめ』PDF版見本

【1面トップ】

幻想を煽り票をかすめ取る

反労働者的維新政治に反撃を!

 統一地方選前半の投開票が4月9日行われた。維新はこの選挙で、大阪府知事、大阪市長を引き続き制し、大阪府議会とこれまで過半数に満たなかった大阪市議会で過半数を得た。全国的にみれば奈良県知事選でも維新公認の知事が誕生した。維新はこの勢いでその反労働者的な政治の全国化を策している。

◇IRが争点の大阪府・大阪市の選挙結果

 大阪府知事選では、維新・吉村が約244万票74%の得票を得て再選を果たし、大阪市長選では、維新・横山が約66万票65%の得票で当選し松井を引き継いだ。反維新派は「アップデートおおさか」を立ち上げ市民派を装い、知事選と市長選に臨んだが惨敗した。

 大阪府議選と大阪市議選の結果を維新と自民でみると、府議選では79(前回88)議席のうち維新55(同51)に対して自民7(同15)、市議選では81(前回83)議席のうち維新46(同40)に対して自民11(同17)となり、府議会、市議会とも、維新が当選者を増やし、自民が大幅減少。その他の政党では、公明が現状維持、共産は半減した。

 維新は2019年の統一地方選で、府議選では過半数を得て、市議選では及ばなかったが、今回、共に過半数を得た。

 今回の選挙の争点の一つがIRカジノの大阪市夢洲への誘致であった。維新は「カジノは成長の起爆剤」と位置付けて誘致を進めた。吉村は「IR誘致は正面から必要だと訴え、一定の民意を得た」と言う。しかし、維新は、土壌汚染対策だけでも約790億円もの費用が掛かり、それを「カジノに税金は一切使わない」と公言しながら、大阪市が負担することや地盤沈下対策、液状化対策、高潮・津波対策など公費負担がさらに膨らむことには触れなかった。

 今回市長選に無所属として立候補するために自民党を離党した北野は、前自民党大阪市議で都構想反対の旗振り役であった。しかし、政策的にIRを推進したのは自民党であり、北野は「情報開示」や「住民投票」しか言わず、IRを正面切って反対しなかった。

 そして、IR反対の旗手である共産は、市長選に候補者を出さず北野に協力し、自民や立憲も自主支援した。しかし、腰が引けて徹底的にIRカジノの問題を暴露しない北野は、維新に勝てるわけがないのである。

 IRカジノによる発展など全く絵にかいた餅であるが、有権者の幻想を煽るのには十分であった。北野・自民に立憲や共産が協力して維新を助けたのである。

◇〝革新〟票も食う

 奈良知事選では、大阪以外で維新公認の山下が当選した。自民系が現職と新顔で分裂したことが維新を利した影響は大きい。しかし奈良県議選でも維新が14(前回4)に対し、自民が17(前回21)と前回より議席を減らしており、維新が奈良県でも伸長した。

 全国41道府県議選と17指定市議選の結果を自民と維新でみると、道府県議選で2260(前回2277)議席のうち自民は1153(前回1158)でほぼ現状維持、維新は124(同71)で増加、市議選では1005(前回1013)のうち自民292(同327)で減少、維新は136(同74)で増加。その他は、公明が現状維持、共産・国民が減少し、社民は道府県議選で22から3に減少し退潮が著しい。

 維新は道府県議では、北海道、関東、近畿・滋賀、四国、九州で新たに当選者をだし、神奈川、福岡、京都、兵庫、奈良、和歌山で当選者を増やした。指定市議選では、札幌、さいたま、千葉、横浜、川崎、相模原、新潟、名古屋、岡山、広島、熊本で新たに当選者を出し、京都、堺、神戸、福岡で当選者を増やした。

 22年8月の党代表選挙で松井の跡を引き継いだ馬場は、今月5日の党大会で春の統一選で地方議員を現有の1・5倍となる600人を擁することを目指す活動方針を決めている。維新はこれらの地方選でも、大阪での「身を切る改革」の〝実績〟と、自民党と〝対峙〟する姿勢で票を得た。

◇維新の改革の内実

 「自民党と対峙する政党に成長する」という維新であるが、国政では「敵基地攻撃能力」保有の容認や安全保障関係予算のGDP比2%の方針などで自民と同調し、「核共有」の議論では自民の尻を叩くなど、その反動的な国家主義的政策が際立つ。

 大阪府市政下では、公務員労働者に対して給与を引き下げ、職員の相対評価度を導入し管理を強め、労働運動に敵対している。とりわけ教育労働者に対しては、府独自の「国旗国歌条例」を制定し、入学式などで起立斉唱を強い、従わない教育労働者に減給や再任用を拒否するなどの弾圧を加えている。児童生徒には愛国主義を刷り込んでいる。また、小中学生に府独自テストを実施し、児童生徒を競争に追いやって教育を歪めている。

 維新が進めた、私立高校授業料や小中学校給食費の無償化の「教育無償化」、府会議員の議員定数削減や議員報酬削減の「身を切る改革」など、大衆受けする政策は、維新の国家主義的政策を覆い隠すイチジクの葉である。

 維新はこれらのポピュリズム的政策で、腐敗した自民や無力な野党への大衆の不満票を得たに過ぎない。同時に議員定数の削減は、維新に有利な小選挙区の要素を強め、維新政治の維持に役立っているのである。

 これらを徹底的に暴き出し、維新を退けなければならない。

◇労働者大衆のための政治を

 維新は「身を切る改革」で生みだした財源で投資というが、投資先はIRカジノに代表されるサービス産業であり、退廃の芽が現れている。機械、化学、自動車、エレクトロニクスなどの生産的産業を発展させることができない、資本主義の行き詰まりの反映である。

 吉村は「自民党以外の選択肢を示したい」というが、維新は雇用の流動化や非正規化など反労働者的政治と帝国主義的政治を推し進めており自民と変わらない。労働者はこの衆参補選、統一地方選後半戦で、岸田政権打倒とともに維新との闘いを進めて行こう。 (佐)


【1面サブ】

軍需企業の国有化も

「防衛生産基盤強化法」案の審議始まる

 軍需産業の生産強化を目指した「防衛生産基盤強化法案」の国会審議が行われている。岸田政権は昨年末、軍事費を今後5年間に43兆円とする大軍備拡大計画を決定、軍事大国化の道を突き進もうとしているが、この法案はそれを支える産業の強化・発展が目的である。

 防衛白書(21年版)は、日本の軍需産業の問題点について次のように述べている。

 「我が国においては、その多くの部分を、装備品などを生産する企業(防衛産業)が担っており、特殊かつ高度な技能や設備を有する広範な企業が関与している。一方、防衛需要依存度(会社売り上げに占める防衛関連売上の比率)は平均5%程度と、多くの企業で防衛事業が主要な事業となっていない。

 また、少量多種生産や装備品の高度化・複雑化により調達単価及び維持・整備費が増加傾向にあることから、調達数量の減少に伴う仕事量及び作業量の減少により、技能の維持・伝承が困難になるという問題や一部企業が防衛事業から撤退するなどの問題も生じている。

 これらに加え、欧米企業の再編と国際共同開発が進展するなか、……これまでわが国の防衛産業は、もっぱら自衛隊向けに装備品の生産などを行うことを前提としてきたために、国際競争力の向上が課題となっている」。 防衛省は、日本の軍需産業は現状のままでは外国に遅れをとるだけでなく、自衛隊の活動を支えることが困難になると述べ、その解決を訴えていた。

 安保3文書は、これらの問題の解決のために、「企業のコストや利益を適正に算定する方式を導入し、防衛産業の魅力化を図る」としている。また、「防衛装備品の販路拡大を通じた防衛産業の成長性の確保にも効果的である。このため、政府が主導し、官民の一層の連携の下に装備品の適切な海外移転を推進するとともに基金を創設し、必要に応じた企業支援を行っていく」と述べた。

 つまり官民一体となって「強靭な」軍需産業を構築していこうというのである。

 こうした方針を受けて、法案は①軍需産業の基盤の強化、②武器輸出の促進、③軍需企業の国有化を謳っている。

 軍需産業の基盤の強化については、①原材料、部品などサプライチェーン(供給網)の強靱化、②人工知能技術の導入など製造工程の効率化、③サイバーセキュリティの実施、④事業承継に伴う設備投資や技術情報の受け渡しの4分野を対象に、国はこれらを実施する企業に経費を支援することを打ち出している(23年度予算には363億円計上)。

 武器輸出の促進については、現在、共同開発国、日本の安全保障にかかわる国を除いて、殺傷能力のある輸出は禁止されている武器輸出規制を緩和するための運用規定改定の議論が始められるが、輸出先の要望に合わせて武器の性能や仕様を変えたり、サイバー攻撃による技術の外部流失を防ぐための経費の一部を企業に支援するための基金を設けることを定めている(23年度予算に400億円計上)。

 政府、軍需企業にとって武器輸出制限の解禁は自衛隊に限られている需要を拡大する手段である。

 軍需企業の国有化については、事業撤退や外国の安価な製品によって事業の継続が難しくなった企業の製造施設について国が取得、保有することを定めている。実際の管理・運営は民間に委託し、出来るだけ早期に事業者に譲渡することに努めるとされているが、不採算を理由に引き受けがいない場合には国有化されたままになる。

 現在、軍需産業の市場規模は約3兆円、三菱重工、川崎重工、三菱電機といった大手の下に何千社もの下請け企業が連なって、防衛省によれば、戦闘機は約1100社、護衛艦は8300社といわれる。

 法案は官民一体で軍備増強のために軍需産業の生産基盤強化を謳うが、これは経済の退廃、寄生化の深化であることを暴露している。 (T)


   

【飛耳長目】

★岸田首相が「社会を変える」と豪語して「異次元の少子化対策」を発表した。顔を撫でる程度のお得意のバラまき政策で、対策として用をなしていない。高卒までの所得制限のない児童手当、出産費用の保険適用、給食費の無償化、保育所の利用拡大、育児休業中の賃金保障等から成り立つ★その半数は「適用を検討」「課題を整理」「制度を検討」と尾ひれが付く。一方に莫大な軍事費の捻出があるのに、いったいどこからこの対策費用(2~3兆円)を捻り出すのか。国会でこの点を突かれて、「(財源よりも)まずは政策の中身が重要だ」「基準や時期を申し上げるのは適切ではない」と逃げた★今や出生率は1・27となり、一世代ごとに36%ずつ人口が減る。労働力の減少や社会保障の縮小、過疎化や地方都市の崩壊、サービスやセーフティーネットの崩壊等々に政府やブルジョア達は驚愕する★少子化の直接的要因としての未婚率の上昇、晩婚化、夫婦の出生数の減少等はこの資本主義の賃金制度にあるのだ。今や男性の5人に1人、女性の2人に1人が生活苦に喘ぐ非正規労働者であり、その未婚率は実に75・6%(男30代)までに達する。我々が賃金奴隷である限り少子化は避けられない。同じ変えるでも、まさに「(資本主義)社会を変える」必要があるのだ。 (是)


【2面トップ】

技能実習制度が廃止される!?

再び三度〝欺瞞〟を重ねるのか

 「技能実習制度」(1993年)が始まって30年、ここにきて漸く「見直し」と称して、政府有識者会議が中間報告を出した。果たして見直しとなるであろうか?

◇「人材確保と人材育成」、「育成」にこだわる理由は何か

 かっての「研修制度」を見直したはずの「技能実習制度」は、さらに劣悪な労働環境を生み出し、今や大きな社会問題となっている。

 「技能実習制度」は「発展途上国への人材育成を通じた国際貢献」を名目としながらも、実質は人手不足の企業への安価な労働力の提供(5年間の期限付き)であった。しかし政府は一貫して「人材育成、国際貢献」だとしてそのことを認めてこなかった。ここにきて漸く、新たな制度の目的として「人材確保と人材育成」を打ち出した。誰が見ても明らかな労働力の確保(人材確保)を認めたわけだが、それならただそれだけを目的とすればよいものを、再び三度「人材育成」と付け足した。それは、資本側からの強い要請――「転職の自由」を認めさせない――のためだ。転職を認めると、技能実習生は当然より賃金の高い職を求めて転職していく。そうなると最大の受け入れ側である中小零細製造企業、農業、建設土木、裁縫、清掃、介護、小売り業などは、「監理団体」に高い金を払って手にした貴重な労働力を手放すことになる。

 「人材育成」ならば、名目上だが、一定の技術・技能を身につけさせるためにはある程度長期の期間(例えば3年とか4年とか)雇うことができる。期限が来たら、また新たに同様の労働力を雇い入れれば良いのだ。

 一方技能実習生も、これまた名目上だが、身につけた技術・技能を母国へ持ち帰るために長期に渡って日本に滞在するわけにはいかない。妻子を帯同したり、永住などもってのほかだ。

 例えば現「技能実習制度」も、3年働いたら一旦帰国し、再来日して同職場に2年働けるとなっている。3年で身につけたものを母国へ持ち帰り活かす、さらにそれを高めるために希望すれば同じ職場でもう2年学ぶという面倒くさい仕組みだ。

 中間報告では「転職」の自由ではなく「転籍」の自由を認め、「転職」の自由を緩和すると言うが、様々な制限を付けてそれを阻止するに違いない。

◇さらなる長期雇用のために「特定技能制度」と連結させる

 「特定技能制度」(2019年)の仕組みは複雑だ。「一定の専門性・技能を有し、戦力となる外国人を受け入れて人手不足を解消する」として、初めて〝公に〟外国人労働力の受け入れを認めた。1号と2号とに分け、1号は〝連続して〟5年、2号は上限なし、それぞれ〝同一の業種であれば〟転職も認めた。また2号は配偶者と家族帯同も可能となった。但し、「一定の専門性」が必要だとして、技能試験と日本語能力試験(N4)を義務づけた。

 1号は人手不足がより深刻とされる12業種(介護、ビルクリーニング、建設、自動車整備等々)で、2号は建設業と造船・船用工業のみ。しかし、「特定技能制度」は進んでいない。技能実習生が約37万人いるのに対し、特定技能の方は僅か3・8万人(内2号8人2021年)。日本語検定が障害なのだ。N4(N1~5の下から2番目)は基本的な日本語理解の試験だが、漢字を含む文章を読め日常会話ができることが条件だ。来日前に母国で日本語を学んできたとはいえ、ひらがなを読むのが精一杯で、漢字などは全く書けない。

 特定技能生の8割は技能実習生から移ってきている。技能実習生をさらに長期にわたって雇用するために(さらに5年、計10年間)考え出されたが、政府の思うようには進まなかった(政府目標34・5万人)。謂わば失敗作である。

 資本側からは「もっと長期にわたって働かせたい」という強い要請がある。有識者会議はこの要請にどう応えるか。例えば、「技能実習制度」と「1号」を結びつけ、68業種に拡大し、検定をもっと容易なものにすれば、最低10年は雇うことが出来る。しかし、それは問題だらけの「技能実習制度」をさらに引き延ばすというだけのことである。

◇暴利を貪る「監理団体」制度は廃止せよ

 中間報告は、「監理団体」については現状のまま維持する。但し「厳しく適正化する」とした。これはひどいことだ!

 実習生への様々な仕打ちは、政府認可の「監理団体」こそがそれを防ぎ、指導し、実習生の労働環境や人権を守るべきものである。しかし、「非営利団体」であるはずの「監理団体」はまさに暴利を貪っている。蟻がたかるように、大小含めて全国で3千2百も乱立する。

 各国の「送り出し機関」からの過剰接待、リベート、紹介した企業からの前貸金(1人当たり約50万円)、義務づけられた1ヶ月の日本語研修費(1人当たり約10万円)、監理費と称する紹介料(1人当たり月約3万円×5年)、一体どこが「非営利」なのか。しかも、斡旋した企業を「監理指導」すべき立場にありながら、一緒になって〝強制帰国〟に手を貸すなど完全に企業側の出先機関に成り下がっている。

 愛知県一宮市に本部を置くA「監理団体」は、今まで4000人以上の実習生を斡旋したが、彼らにありとあらゆる暴挙を働き、裁判沙汰にもなり、果ては2億円の脱税を告発され、政府認可取り消しとなった。

 彼等の「もうけ」は全て斡旋した企業から支払われる。つまり、技能実習生から搾取した利潤の一部だ。企業主たちは「最低賃金(或いはそれ以下)で給与を支払うのは当たり前のことだ。そうでなければ技能実習生を雇う意味が無い。ある「監理団体」のボスも、「殴ってでも蹴ってでも、彼らに言うことをきかせろ」と暴言を吐く(これは筆者が実際に耳にした言葉だ)。

有識者会議はこうした事実を知りながら、「監理団体」制度の廃止を謳わない。彼らは政府や資本の要請に如何に応えるかの「見直し」に従事しているのである。

◇「技能実習制度」や「特定技能制度」は直ちに廃止せよ

 「見直し」はまだ一部の骨組みだけが発表されたに過ぎない。言えることは、「技能実習制度」では、日本の非正規労働者以下の賃金と劣悪な労働条件の下に、母国の「送り出し機関」に多額な借金(日本の約2千万円に相当する)を背負って来日して働いていることだ。しかも転職は許されないので、借金を返済し、残してきた家族に十分な仕送りが出来るまで、その企業や雇い主の下で働かねばならない。どんなに無理難題なことでも、どんなに劣悪な労働環境であっても、文句を言わずに従わねばならない。文句を言えば、〝強制帰国〟の脅しがかけられる。借金を残したまま帰国させられることを彼らは最も恐れる。近年の〝失踪〟の増大(昨年度だけで7千人)はそれが要因だ。

 両制度とも直ちに廃止すべきである。資本が労働力を必要とするならば、国境の壁を取り払い、自国労働者と同等の権利と雇用条件で採用すべきである。外国人労働者ということで差別されることは許されない。日本の資本は海外で彼らを搾取し、国内でも搾取するのだ。

しかし、同等となったからと言って問題が解決するわけではない。外国人労働者の問題は日本の労働者の問題であって、例えば低賃金や長時間労働、過労死、男女差別、首切りや失業、そして益々増え続ける非正規労働者の生活苦、これらは日本の労働者にも襲いかかっている。彼らが同等の権利を得たとしても、彼らはまたこれらの問題に直面するであろう。

 労働力を商品として資本に売る以外に生活のすべがない、それ以外生きていけないのは外国人労働者も日本の労働者も同じである。まずは自国の資本主義を変革することこそ我々の目指すべき道である。 (是)

(紙面の都合で一部省略。党ブログに全文掲載)


【二面サブ】

泥沼にハマる政府と日銀

債務超過の危機をひた隠す

 日銀の植田新体制が4月10日に始動した。記者会見で植田は「イールドカーブ・コントロール(YCC)を継続することが適当だ」と、黒田がやってきた超低金利政策を続行すると表明。しかし、YCCが既に破綻していること、日銀資産に「含み損」が出ていることについて、植田は何一つ説明しなかった。

◇YCCを廻る攻防

 安倍は政権を奪取するや、リフレ派の黒田と共に異次元の質的・量的緩和策を開始し、財政バラ撒き策も強めた。だが、丸2年を経ても「2%物価上昇」や「景気回復」は実現しなかった。

 安倍は起死回生を図るために「新3本の矢」(15年秋)を発表。黒田も続いて16年2月に民間金融機関が日銀に預ける当座預金の一部にマイナス0・1%を適用する「マイナス金利政策」を導入した。ところが、この政策によって10年国債の利回りが急激に下落し、マイナス0・3%になった。

 これに慌てた黒田は、長短国債利回りを操作するという名目でYCCを導入した。

 日銀は、10年国債利回りを±0・1%程度に抑え込むために、新発10年物を中心に金融機関から大量に買い占めた。銀行などの金融機関は、国債を必要分のみ長期金融資産として持つが、政府から買った国債の多くを日銀に転売して差額利益を得た。

 だが、一般的にはこんなゼロ金利の国債を買おうとする者はいない。当然に国債の売り圧力は高まった。日銀は2年後には10年国債利回りを±0・2%にし、さらに2年半後には±0・25%に緩めた。

 ところが政府と日銀はさらに対応を迫られた。それは、22年初めからの物価上昇を鎮めるために、日本を除く各国政府が政策金利を引上げたからだ。他国との間に金利差が生まれ、円は海外に向かい円安が進行し国内物価は上昇した。

 資産として国債を保有し続けるなら、目減りし「含み損」が発生するのであり、投資家は日本国債を売った。利上げ目当ての国債売り(先物取引の類)も頻発し、国債価格は下落し利回りが上昇した。

 低金利政策を死守する日銀(政府も)は、長期金利の指標である10年国債を中心に大量に買ったため、当然に、10年国債の利回りは8年や9年物より下がった。

 利上げを想定して儲ける投資家の国債売り圧力はさらに高まり、日銀は防戦して買いまくったが、とうとう日銀は22年12月20日、突然にYCCの歪を直すとの屁理屈で10年国債の利回り上限を0・5%に引き上げた。

 だが、その後も国債の売り圧力は強く、日銀は防戦一方になっている。日銀は、23年1月に単月で過去最大の23・7兆円の国債を購入し、22年度全体では136兆円の国債を購入し記録を更新した。

◇破綻迫る日銀と政府財政

 22年12月末時点における国債発行残高は1051・4兆円である。このうち日銀が保有する国債(短期を除く)は546・9兆円であり、過去最高の52%を占める。

 円安が続き物価が高騰していても、低金利を死守するのは何のためであり、どんな結果を招くのか。それが問題なのだ。

 既に日銀は22年度上半期の決算発表を行った時、日銀資産(国債や社債など)が時価評価で8749億円の「含み損」を抱えていることを認めていた。これは物価高騰や市場から国債を高く買い上げたため、時価評価の資産が大きく毀損していることを意味した。

 問題はさらにある。現在の円安や高物価が今後も続くなら、国債利回りは上昇する。そして、これに日銀が抗しきれずに金利を引き上げるなら、日銀資産に「含み損」が増加し、ひいては「債務超過」に陥る。

 「長期金利の利回りが1%に上昇した場合に日銀が保有する国債に発生する含み損は28・6兆円」、「長期金利が現在より1%上昇するなら2年で債務超過になる」(『日銀 我が国に迫る危機』河村小百合著、講談社現代新書)。

 その結果はどうなるのか?「債務超過」になれば、日銀は政府から現金を注入してもらう羽目になり、その原資は税金からとなる。しかも長期金利が上がるなら「国債費」(利子と元金支払い)は増加し、歳出予算に占める割合は直ぐにも30%に上がり、予算編成を困難にする。

 また、短期金利が上がるなら、日銀の当座預金利率(付利)が上がり、「わずか0・2%に引き上げるだけで、日銀自身が逆ざや状態に陥る」(同上)。1%も上がれば簡単に「債務超過」となる。

 日銀に「債務超過」が発生し、日銀信用や政府財政に不安が高まるなら、国債は投げ売られ円も売られる。しかも、インフレが爆発しても金利を上げられないジレンマに陥る、否、既にそうなっている。

 政府と日銀が今なお頑なに低金利政策をとるのは、何よりも資本のため、国債を発行し易くするため、「国債費」を少なくするためであった。だが、こんな政策は最初から破綻していたのであり、自公政権はとっくに打倒されてしかるべきであった。大胆な財政支出を促して来た立憲や共産党、MMTのれいわ、ベーシックインカムの維新も同罪だった! (W)

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