●1450号 2023年5月14日
【一面トップ】 5衆参補欠選、統一地方選を顧みる 共産の大敗と維新の躍進 労働者の階級的な闘いこそ必要
【一面サブ】 メーデー闘争報告 大軍備増強の岸田政権打倒! 全国の労働者に呼びかける
【コラム】 飛耳長目
【二面トップ】 少子化の解決は共同体原理で ――資本の搾取欲によって進む少子化
【二面サブ】 外国人労働者の奴隷化を策す入管法改正案
<報 告> 労働者党第7回大会開催
※『海つばめ』PDF版見本
【1面トップ】
《5衆参補欠選、統一地方選を顧みる》
共産の大敗と維新の躍進 労働者の階級的な闘いこそ必要
4月、衆参補欠選挙と統一地方選挙が行われた。結果は、自民が衆参5つの補欠選挙で辛うじて4つを制する一方、日本維新の会(以下維新)が衆院和歌山1区で議席を獲得したのをはじめ、地方選で議席を大幅に伸ばした。対して共産は、地方選で議席を大幅に後退、立・民も議員数が伸び悩む結果に終わった。
◇辛勝に終わった自民
岸田政権にとって今回の選挙は、政権運営の〝中間〟評価に当たるものであった。自民党内では当初5つの衆参補欠選挙は「楽勝」という声もあったという。岸田には5つの衆参補欠選挙で完勝し、その勢いで解散を行い、政権の基盤を固めるという思惑があったであろう。
しかし、自民はこのうち、衆議院の千葉5区、山口2区、山口4区、それに参院大分選挙区の4つで勝ったにすぎない。しかも、自民議員がパーティ収入などを過少記載していたことが発覚、政治資金規正法違反で起訴され、議員辞職したことによる千葉5区の補選では、立・民ほか国・民、維新、共産が乱立したにもかかわらず、次点となった立・民候補との差は僅か5千票弱(野党合計では自民候補を大きく上回る)にすぎなかった。また、大分参院補選では自民は公明と共闘し、共産、社民と共闘の立・民候補と一騎打ちとなり、341票の僅差での勝ちであった。
さらには、奈良知事選で維新に敗北したのに続いて、「自民党王国」と言われてきた和歌山の衆院1区では、自民候補は維新の新人候補に6万票余の差で敗れた。
4つで勝ったとはいっても、このうち2つは野党の乱立に助けられたり、公明との共闘による結果であって、とても岸田政権の政策が有権者に支持されたとはいえない。
◇反労働者的維新の〝躍進〟
選挙で〝躍進〟したのは維新である。奈良知事選で自民候補を破り勝利したのに続いて、小選挙区制の衆院和歌山1区で議員を誕生させたのをはじめ、41道府県議選では59議席から倍以上の124議席を獲得した。
このうちこれまで過半数を握ったことがない大阪市議会で9議席増やし、過半数を制した。また兵庫県でも4議席から21議席と議席を大きく伸ばした。これまで関西以外で議席があったのは千葉県と愛媛県だけであったが、神奈川県で6議席獲得したほか福岡県で初めて議席を獲得した。
選挙前、維新は国政で野党第一党を目指し、その足掛かりとして「自治体首長と地方議員で600人」とする目標を掲げたが、結果はそれを大きく上回る774人へと〝躍進〟した。
「既得権打破」や「身を斬る改革」を謳った維新が、「国土強靭化」を掲げてインフラを建設してきた政治と建設業界との癒着が激しかった和歌山1区で自民党候補に打ち勝ったように、維新の〝躍進〟は自民の利権にまみれた政治への批判票を引きつけた結果と言える。それは長年政治を支配してきた腐敗した自民への反発であったとしても、それ以上ではない。
維新は多くの議員とその歳費、業界との癒着など無駄なカネ削減で生活安定のための財源を生み出すと言いつつも、一方では軍事費の上限撤廃、軍備増強を声高に叫び、岸田政権を後押ししている。彼らにとって破壊と殺人のための戦争準備は莫大な浪費あり、働く者に犠牲を強いるものではではないかのようだ。
大阪では、維新が推進するカジノを含む統合型リゾート(IR)整備計画が、低迷する経済を浮揚させるという。1兆円余りの巨費を投入し、年間売上げ5200億円、8割にあたる4200億円はカジノ収益という計画である。しかし、4200億円もの収入は過大見積りだし、そもそも不生産的なギャンブルを目玉としたIRなど経済発展のテコにはなりえない。
害あって益なく、破綻必至のIR幻想を振りまく反動政党維新への期待など一時的なものだろう。
◇無力な共産、立・民
今回の選挙で共産は惨敗した。全国で計1396人を立てたが、当選したのは1079人(推薦を含む)にとどまった。選挙前議席を全体で136、なかでも市区町村の議席では100弱減らした。道府県議選では22議席を失った。県議ゼロの空白県だった愛知で1議席獲得したものの、新潟、福井、静岡、熊本の5県が新たに空白県となった。強い地盤を持つと言われた京都(定数50)でも3減の9議席となった。議席が1桁となるのは56年ぶりという(朝日、4・26)。
共産は、ブルジョアマスコミを含めた「反共キャンペーン」が激しくなったことやほとんど野党共闘が組まれなかったことを敗北の原因としてあげている(4・24中央委員会常任幹部会)。しかし、階級矛盾が深まれば「反共キャンペーン」が激しくなることは当然であり、それを敗北の理由にあげても意味のあるまじめな総括とは言えない。
また、野党共闘が組まれなかったことを強調しているが、その相手は立・民であり、立・民は軍備増強や米国との軍事同盟に反対ではないし、また「反対党」であることは建設的でないとして「政策提言」重視を強調するようになっている。こんな政党をあてにした「本気の共闘」という共産の共闘路線に労働者は期待など持てない。
さらに大軍備増強に対して闘うと言いつつも、それは米国追随のためであると言って、日本の大資本とその国家のためである事実から目をそらせ、日本の大資本の支配の根本的な克服ための階級的な闘いを放棄して、「平和な資本主義国家」「資本主義の民主的変革」のための運動に歪める共産党の政治は労働大衆から反発され、信用されなくなってきているのである。
◇労働者の階級的な政党の建設を
貧富の格差拡大、労働大衆の生活困難の増大、大軍備増強の下で、維新に見られるような労働運動を敵視し、軍備増強を唱え、バラマキ財政によって生活改善が実現されると幻想を振りまく反動的なポピュリズム政党が勢力を伸ばしている。
こうしたデマゴギー的な政党が広がってきたのは、資本主義の矛盾の深化が背景にある。とはいっても共産ら〝革新〟と名乗ってきた政党の無力さもその一因となっている。彼らは生活苦の根源である資本の支配の根本的克服のための闘いを放棄し、資本主義の「民主的改良」といった改良政治に捻じ曲げ、資本の勢力とバラマキを競い合ってきた。こうした〝革新〟政党の無力さは、政治不信や国家主義を唱える反動的な潮流の台頭を助長している。今こそ、資本の支配に反対する労働者の階級的な政党とその闘いの発展こそが追求されなくてはならない。 (T)
【1面サブ】
メーデー闘争報告
大軍備増強の岸田政権打倒! 全国の労働者に呼びかける
今年のメーデーは、非正規雇用増大などで賃金が抑制されながら、物価が高騰する状況での春闘が継続する中、そして岸田政権が大軍拡を進めている中で行われた。メーデー会場でビラ配布する我々のゼッケンの「大軍備増強の岸田政権を打倒しよう!」に惹かれてビラをもらいに来た労働者がいたように、大軍拡は重大な問題として受け止められている。
4月29日に中央メーデーを行った連合は、集会に岸田首相を招き挨拶を受け、岸田政権への接近・癒着を露わにした。岸田が進める大軍拡への批判など全くないばかりか、労働者の味方を装って「新しい資本主義の最重要課題は賃上げ」と述べた岸田の点数稼ぎに手を貸したのだ。
連合指導部は、労働条件の改善は労資協調で実現できると労働者を〝洗脳〟しようとしている。例えば賃上げについて、賃上げ分を商品へ価格転嫁すれば生活改善できるとごまかすのである。物価上昇したら賃金は目減りする。彼らの屁理屈は、資本の搾取との闘争回避を正当化しているだけだ。
我々はメーデービラで、「満額回答」は物価高騰で吹き飛ぶ、「ブルジョア的な指導部を刷新して、労働者の生活向上のために真剣に闘う態勢を構築していこう」と訴えた。
5月1日に中央メーデーを行った全労連や全労協の集会にも宣伝を行った。
全労連の集会で志位は、「大企業がため込んだ500兆円もの内部留保を、賃上げに還元することが必要」、そのために「闘う労働組合の結束した力」と「政治の責任で賃上げを推進すること」が大切だと述べた。
賃上げを労働の搾取の問題としてではなく、支払い能力の問題にすり替える志位の「似非マルクス主義」を共産党員の誰も糾さないのか。内部留保が剰余労働だけで蓄積されたとしても、それは過去の労働によるものであって、賃上げ闘争はこれからの労働力の価格をめぐる闘いである。志位はブルジョア的な理屈を振り回して、賃上げ闘争を安易に考えている。
「大企業の内部留保に、時限的課税を行い、10兆円の税収を中小企業の賃上げ支援にあて、最低賃金を時給1500円に引き上げる」のが志位の言う「政治の責任」だ。税源が内部留保であろうが、賃上げ支援は中小企業や最賃だけとしても、資本家と労働者との階級的な関係を超越して国家が賃金保証しろというのだ。搾取関係はそのままで労働者を満足させられるという理屈も間違いなく労働運動を腐らせる。
志位は、「戦争か平和かの重大な岐路に立つ今、大軍拡・大増税、改憲ではなく憲法を生かし、平和な日本をつくるために、幅広い労働者・国民の共闘を」と、資本の支配の本質を理解しない護憲の立場や国民主義での闘いを呼びかけた。
しかし、岸田大軍拡は、帝国主義国家日本の国家利益や資本の権益のためである。反軍拡は資本の支配と階級的に闘ってこそ前進するのである。
岸田政権は大軍拡のために、破綻状態の国家財政をさらに膨張させようとしている。そのツケは、戦前と同様に、大増税やインフレの爆発となって労働者を襲い、生活を破壊する。労働者党はメーデーで、「岸田政権と正面から闘うこと無しに、労働者の生活と未来は守れない」、「労働者は団結し、岸田政権打倒のために断固として立ち上がろう」と呼びかけた。
我々は党友やシンパと共に、2万枚を超えるビラを全国18会場で配布、残ったビラは労働者居住区に宅配を行った。 (岩)
【飛耳長目】
★ウクライナ東部のルハンシク、ドネツク両州には、歴史的にもロシア系住民が多いが、91年のウクライナ独立には圧倒的に賛成だった★転機は12年、この地域に欧州第3位のシェールガス田発見とともに訪れた。親露派のヤヌコビッチ大統領は、EUとの連合協定も、ガス田の欧米企業との協同開発も容認できず、反政府デモによって解任された★高まったウクライナの民族主義に押されたのか、12年に制定されたロシア語の地域公用語化は、18年に憲法裁判所で違憲とされた。これに乗じたのが、親露派分離主義勢力であった★ロシア軍の支援を受けた彼らには、ロシア正規兵数千人も加わるが、ロシア側は「命令によってではなく、自発的な参加だ」と開き直る。ミサイルまで供与された彼らは、14年7月、マレーシア航空機を撃墜してしまった★プーチンの私兵軍団であるプリゴジン率いるワグネルも暗躍した。激戦地バフムトでは囚人兵まで動員するが、真っ先に占領したのがソレダルの有名な岩塩坑だった。彼らはスーダンにも派遣され、金鉱利権を巡る国軍と第二の軍隊であるRSFの戦闘にも関与している★陰謀・暗殺を常套手段とする治安機構と、石油・天然ガスなどの資源に依拠したロシア経済を牛耳るオルガルヒの、プーチン専制体制の内実が浮かび上がる。 (Y)
【2面トップ】
少子化の解決は共同体原理で
資本の搾取欲によって進む少子化
子供の日に向けて総務省は子供の数を発表した。外国人を含む15歳未満の男女は、前年より30万人少ない1435万人となり、1982年から42年連続で減少し、過去最少を更新した。何十年もの間、「少子化対策」にカネがバラ撒かれてきたが効果はなかった。
◇的外れな「少子化対策」
岸田の「少子化対策3本柱」(児童手当を中心にした経済支援、幼保サービスの拡充、育休制度など働き方改革)が年頭に発表され、これに続いて、自民党や経団連は3本柱に加えて、高等教育の支援や結婚支援(出産費の公的保険適用など)も必要だと強調する。
要するに、子供数が減ったのは保育や教育の「子育て」支援や出産支援を本気でやってこなかったからだと言う。だが、政府の少子化対策で、果たして子育てをする障碍をすっかり取り除くことができるのか。
「少子化」が急ピッチで進んでいるのは、一向に子育ての困難さが解消されず、夫婦が希望する子供数を断念すること、さらに、結婚したくても結婚しにくい社会になっていること等が浮かび上がる。しかし、政府は未婚率が上昇している原因に何ら注意を向けようとしない。
◇子供を産み育てる困難
最初に、労働者夫婦にとって、子育てがいかに困難であるかについて検討する。
「社会保障・人口問題研究所」の調査によれば、「初婚どうしの夫婦の理想子供の数」と「現在の子供数に追加予定子供数」の間にギャップがあるという。1977年に前者は2・61、後者は2・17であった、それから44年後の2021年に前者は2・25となり後者は2・01となった。
この数字は、現実の生活を前提に「理想子供数」を聞いた結果に過ぎず、無条件に欲しい子供数を聞いたなら、実際にはもっと上の数字になるであろう(例えば3~4)。
にもかかわらず、初婚どうしの夫婦が希望した子供数から、現在の子供数に次の予定数を加えた子供数が減っているのは、夫婦の経済的負担はもちろん、子育て自体に困難さを感じ、さらに、今後も働き続けることへの危機感を抱くからである。
それゆえ、「理想な数の子供を持たない理由」の第1に、「子育てや教育にお金がかかりすぎる」が挙がり、次いで「自分の仕事(勤めや家族)に差しつかえる」や「これ以上、育児の心理的肉体的負担に耐えられない」などが列挙されている。
「金がかかりすぎる」理由には、夫婦が低賃金であること、保育・教育費が高いことが想定されている。
正規雇用労働者でも、20代の若い夫婦の場合は賃金が安く、非正規労働者夫婦の場合は差別された低賃金で暮らしており、子育てどころではないと感じている。
近年、子育て世代である20~40代の労働者も非正規化を強いられ、低賃金に喘いでいる。年収300万円未満は、20代なら正規雇用労働者の約5割であるが、非正規雇用労働者の場合には実に約8割になる。
しかも、30~40代になっても非正規雇用のままであれば、〝高級労働〟に転職しなければ賃金は変わらず、夫婦共稼ぎであっても、子供が大きくなるにつれてカネがかかり子育てに厳しさが増す。まして、一人親(未婚の母も)の場合は子育てどころか生活自体が成り立たない。
だから、調査対象者の5割以上の夫婦が、「金がかかりすぎる」という理由で「理想な数の子供」を持てないと回答するのである。
「自分の仕事に差しつかえる」からという理由は、出産を契機に女性が仕事から排除され、復帰しても元の仕事に戻ることが出来ずに非正規化するケースが後を断たないからだが、そのために、夫婦は子供を産むことに尻込みしている。
「育児の心理的肉体的負担に耐えられない」という理由も深刻な問題だ。
現在、保育や教育施設の多くが私的資本による利潤目的で経営されており、充分な保育環境や保育労働者が確保されておらず、まして医師・看護・栄養の各労働者を配置するような施設は皆無である。そのため、子供が少し熱を出せば、その度に保育所に呼び出される始末で、ほとほと疲れてしまう。
また、子供を施設に預けることが出来ず、「待機児童」になれば、夫婦のどちらかは仕事を辞めざるを得ない事態に陥る。
これらの様々な「負担に耐えよ」と言うのなら、次の子供の出産については泣く泣く我慢するしかない!
◇まともな社会ではない
子供が欲しいにもかかわらず、経済的に、また「育児の負担に我慢できず」に、子育てを放棄せざるを得ないのは、まともな社会とは言えない。
子育ての負担から解放するためには、まず、私的資本による経営を廃止し、保育・教育の「社会化」を徹底して進め、育児や教育の個人的負担を解消することが何よりも必要である。
さらに、親の介護も子育て夫婦の(全ての家族にとっても)負担になっている場合が多々あり、子供が病気にかかれば医療費もかさむのであり、介護や医療を含めた「全面的な社会化」を推進すべきなのである。その実現のためには、搾取労働の廃止が不可欠になる。
カネをバラ撒けば、子育て問題を解決できると考える岸田やブルジョア共は何も分かっていない。
◇結婚もできない頽廃した社会
最初に述べたように、日本の「少子化」が進む原因の一つは、結婚したくても結婚できない社会になっているからだ。
新卒でも非正規にならざるを得ない労働者が増え、未来に対する希望を喪失する労働者が急増しており、同時に、労働者の間で連帯感が形成されず、男女の間でも疎外感が高まっているように思われる。
資本主義のもとでは、労働生産物のみならず、人間労働力までもが商品として現れる。資本主義は自ら生み出した資本の過剰にあえぎ、搾取度を強めるに従って、資本は20~40代の若い労働者に対しても差別化し、効率的に搾取しようとする。
こうした「資本と賃労働」の社会関係の下にあるゆえに、つまり「賃金奴隷制」の下にあるゆえに、若者は資本の経済的束縛から逃れられなくなっている。
なぜなら、若者が結婚適齢期になっても、家族を持てないような低賃金の非正規労働者であれば、自身の境遇に少なからずの〝負い目〟を感じ、男女の出会いの前においても、相手に巡り合った後においても、そこからさらに一歩を踏み出すことに遠慮や躊躇が生まれるからだ。あるいは、そうした努力さえ徒労だと感じてしまう。
実際、それを裏付ける証言やデータが溢れている。「20~30代の非正規男性の既婚率は約5%、交際相手なしが8割」にのぼり、「男性では、雇用形態や年収の違いは経済格差のみならず、家族形成状況の違いにも直結する」(ニッセイ基礎研究所論文)。「結婚したいのにできない不本意未婚」や「女性の生涯未婚率」が増大している(朝日新聞)等々。
まさに、労働者を賃金奴隷化する資本主義の下では、若者にとって恋愛さえ自由でなく、家族を持つことをも大きく制限され、生きて行くことさえ疎ましく感じられる。
今や、人間が存続し、社会を支えるのに必要な子供を生み育てることができなくなっているという、驚くべき段階に至っている。
資本の支配する社会は、かくも若者たちの前途を塞ぐ存在であること、一刻も早く打倒されなければならない退廃し切った存在になっていることを、我々は確認しなければならない。
合わせて、「今後の少子化対策は」「収入が不安定な男性と結婚しても大丈夫という女性をどう増やすか」(経団連タイムス22・5・19)と、極少賃金で不安的な労働者をそのままに固定しようと策動するブルジョア世論を糾弾する。 (W)
【二面サブ】
外国人労働者の奴隷化を策す 入管法改正案
4月28日、「出入国管理及び難民認定法及び日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法の一部を改正する法律案」(入管法改正案)が衆院法務委員会で可決。改正案は、安価で使い捨てされる外国人労働者への人命軽視の横暴な管理を後押しするもので許されるものではない。
◇外国人を蔑視し差別する入管体制
現行の入管体制は、難民認定が厳格すぎて、本来難民として認定されるべき人が認定されない。また、在留資格を失うなどの理由で、退去強制令を受けた外国人は、送還されるまで入管に収容され、それが長期間にわたることがある。仮放免の場合でも、社会保障から排除され医療費は全額負担で、しかも、就労もできず、居住する都道府県外への移動の自由もない。
2021年3月に名古屋出入国在留管理局に収容されていたスリランカのウィシュマさんが、体調不良を訴えるのに適切な医療を受けることなく死亡した凄惨な事件は、このような外国人差別の入管体制の下で起きた。
この時政府は、今回と同じような改正案成立を狙っていたが、世論の反発が多く廃案にした。今回審議されている入管法改正はほとんどこれと変わらず、このような酷い入管体制を幾分かでも改善を図ろうとするものではない。強制送還をよりスムーズの行えるように入管の権限をさらに強めようとするものである。
現入管法では難民認定申請中なら、回数を問わずに一律に送還が停止される規定があるが、改正案は、この規定を乱用して退去を拒む送還拒否者がいるとして、難民申請3回目以降の申請者を送還可能にする改悪を主眼としている。
さらに、収容せずに強制退去の手続きを進める「管理措置」や強制的に退去させる手段がない外国人に対して罰則付きで退去を命令できる制度(退去命令拒否罪)の導入など、入管の厳正化が目論まれている。
◇「技能実習制度」の見直しと入管の厳格化、その狙い
外国人労働者の受け入れは、人手不足の企業への安価な労働力として、資本が求めるものである。それを制度化しているのが、入管法での在留資格「技能実習」である。
現行の「技能実習制度」は、在留期間は最長5年で、転籍は原則不可。実習生は日本の「監理団体」が受け入れ窓口で、企業に斡旋し監督も担い、受け入れの決まった企業での就労が原則で、転職も家族帯同もできない。
実質的に労働者なのに、「技能実習」という建前で、職業選択の自由など労働者の基本的権利が剥奪されている。また実習生は送り出し機関に手数料を払うため多額の借金を抱えていることが多い。
企業で賃金未払いや暴力などの問題が起きても、会社を移ることができないため、過酷な搾取が横行。監理団体は長時間労働や暴力などの問題が起きても適正に指導しない。
入管は、外国人労働者が「技能実習制度」などの強搾取に耐えかねて逃亡し、不法就労になってしまうようなケースを、厳しい入管体制で規制し、資本の要求に答えている。
政府は、「技能実習制度」を廃止し、新しい制度に改める案を有識者会議に示した(4月10日)が、実効性のあるものになるかは疑問である。
資本が、喉から手が出るほど欲しい、安価な労賃で強搾取できる外国人労働者であるが、政府・資本は一方で、偏狭な民族主義や国家主義に取りつかれており、労働市場の海外への開放や難民受容をひどく恐れており、今回の入管法改正でそれを厳しく規制し管理しようとしているのだ。
維新は自公が修正協議に応じると、さっさと改正案に賛成。立憲は公正中立に難民申請を審査する第三者機関の設置や子どもの保護などを求め、共産も外国人の人権無視や子どもの権利が守られていないなどの理由で反対した。しかし、彼らの政治は、資本の維持を図ることを目的とする政治であることは自公と変わりなく、民族主義や国家主義の片棒を担いでいる。
労働者は、労働者の自由な往来を阻む入管行政を、国際主義の立場から、岸田政権と共に葬りさらなければならない。 (佐)
【報 告】
労働者党第7回大会開催
4月22日~23日、東京の会場で、労働の解放をめざす労働者党第7回大会を開催。国際情勢・国内情勢、組織活動、方針各議案を討議し全員一致で採択しました。機関紙誌の普及、学習会の充実、宣伝、HPをスマホでも見やすくするなどの改善、ネットの有効利用など、若者を引き付けられるような魅力ある活動を進めて、労働者の闘う党の建設を推し進めていきます。(大会決議は党ブログに掲載予定)
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