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労働の解放をめざす労働者党機関紙『海つばめ』

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郵政民営化の中で何が起きているのか?
郵政労働者は告発する!

■民営化の嵐の中で最大の御用組合の登場――JPU臨時全国大会議案批判
■郵政民営化――今、職場では/郵政現場からの報告
■恐竜化か、リリパット化か――郵政民営化のジレンマ
■西川善文著『挑戦――日本郵政が目指すもの』/民営化に賭けるトップの本音


憲法改悪と
いかに闘うか?


■改憲に執念燃やす安倍――「国民の自主憲法」幻想を打ち破れ
■労働者は改憲策動といかに闘うか
■国民投票法をどう考えるか
■安倍の「美しい国」幻想――憲法改定にかける野望


本書は何よりも論戦の書であり、その刊行は日和見主義との闘いの一環である。
マルクスが『資本論』で書いていることの本当の意味と内容を知り、その理解を深めるうえでも、さらに『資本論』の解釈をめぐるいくつかの係争問題を解決するうえでも助けとなるだろう。


全国社研社刊、B6判271頁
定価2千円+税・送料290円
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「不破哲三の“唯物史観”と『資本論』曲解』(林 紘義著)」紹介


全国社研社刊、B6判384頁
定価2千円+税・送料290円
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「天皇制を根底的に論じる『女帝もいらない 天皇制の廃絶を』(林 紘義著)」(『海つばめ』第989号)他

理論誌『プロメテウス』第54号
2010年10月(定価800円)

《特集》菅民主党のイデオロギーと“体質”
・神野直彦の思想と理論――菅直人のブレインは「曲学阿世の徒」
・原則なき寄せ集め政党――顕現するブルジョア的“体質”
反動的な「文化」の擁護に帰着――レヴィ=ストロースの「文化相対主義」批判


 
 
 教育のこれから
   「ゆとり」から「競争」
   そして「愛国教育」で
   いいのか
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まかり通る「偏向教育」、「つくる会」の策動、教育基本法改悪の動きの中で、“教育”とは何であり、いかに行われるべきかを、問いかける。  


 第一章  
教育基本法改悪案の出発点、
森の「教育改革策動」
 第二章  
破綻する「ゆとり」教育の幻想
 第三章  
“朝令暮改”の文科省、
「ゆとり」から「競争原理」へ
 第四章  
ペテンの検定制度と「つくる会」の教科書
 第五章  
歴史的評価なく詭弁とすりかえ
つくる会教科書(06年)の具体的検証
 第六章  
日の丸・君が代の強制と
石原都政の悪行の数々
 第七章  
憲法改悪の“露払い”、教基法改悪策動

●1452号 2023年6月11日
【一面トップ】 泥縄式の少子化対策
        ――目先のバラ撒き策では解決しない
【一面サブ】  国家による原発推進に転換
        ――福島の反省放棄、「GX電源法」
【コラム】   飛耳長目
【二面トップ】 維新が勝利した堺市長選
         ――無力な反維新の闘い
【二面サブ】  戦争・「台湾有事」は「対話」で防げるか
         ――「沖縄対話プロジェクト」は
            何を行うとしているのか?
※『海つばめ』PDF版見本

【1面トップ】

泥縄式の少子化対策

目先のバラ撒き策では解決しない

 1989年に、「合計特殊出生率1・57ショック」が起きて以来、政府は「エンゼルプラン」などの少子化対策を連発してきた。それでも少子化は止まらず、22年には過去最低を記録した。岸田政権は「子供未来戦略方針」を発表し、年3兆円規模の子供支援を打出した。果たして成功するのか。

◇少子化に危機感を募らせる

 今月(6月)1日、岸田政権は少子化対策として「子ども未来戦略方針」を公表した。続いて厚労省は2日に「人口動態統計」を発表し、22年の「合計特殊出生率」が1・27と過去最低になったこと、出生数が77万人となり統計を取り始めた1899年以降で最少になったことを公にした。

 政府は、少子化が加速しており、このまま進めば経済発展があってもGDPは増大せず、「世界第3位の経済大国としての地位」が脅かされる。「インド、インドネシア、ブラジル」に追い越されるなら、「我が国は国際社会における存在感を失う恐れがある」とブルジョアとしての危機感を募らせている。しかも、少なくとも2030年になる前に少子化傾向を反転させ上昇傾向にしなければ、「もう手遅れになる」という切羽つまった表現もしている。

 確かに近年、出生数の減少傾向が強まり、コロナが収まってきた今年に入っても、前年比で減少している。この数字を見て、政府は少子化で女性の数が減った上に、「結婚と出産・子育てを区別する人」が増えていると嘆く。

 しかし、夫婦が安心して共に働くことも、保育・教育の「社会化」も進まず、さらに20~40代の若い労働者の非正規雇用化が進み、結婚できる条件が奪われている。労働者が直面しているこうした困難の解決のために、まず手を打つべきではないのか。だが、政府は企業に負担がかかることを敢えて避けている。

 では、政府の対応を具体的に見て行こう。

◇ピンボケな政府の少子化対策

 政府は「子ども未来戦略」で少子化を食い止める対策を羅列している。

 子育てへの給付のみならず、専業主婦でも保育園・幼稚園に入れるように「制度改革」を行うとか(私立保育園で入園児童が減っている対策でもある)、男親の育休を推進する「働き方改革」などをうたい、官僚の作文らしく綺麗ごとを無数に並べている。予算を付けるという項目はおよそ以下になる。

 ①中心になるのが児童手当の拡充である。現在、この手当は既に毎月支給されていて、0~2歳は1・5万円、3歳から小学生までの第1子と第2子に1万円、第3子以降は1・5万円であるが、第3子以降に対して3万円に増額する。また対象範囲は中学生(1万円)となっているが、高校生にも広げるとのことだ――貧乏で高校に進学できなかった生徒については無視だ!。

 しかも、児童手当は、主たる生計者または戸主に対して給付されており、夫婦の合計収入は同じでも手当が給付される夫婦とされない夫婦が発生している。この矛盾を隠すために、また、収入の大小で差別するなという保守派の要求や次の衆院選対策のために、「所得制限の撤廃」を打ち出した。 合わせて、この財源確保のために、「16~18歳の子供」(高校生年令)への「扶養控除」(子供1人について所得税課税対象額から38万円を控除、住民税については33万円の控除)を廃止する。

 児童手当の予算案は1・2兆円である。

 ②子育てサービス・応援への増額がうたわれている。その中味は、「出産一時金」を42万円から50万円に増額、22年度の第2次補正予算で計上した「出産・子育て応援交付金」(0~2歳児まで)の給付、2026年度を目途に「出産費用(正常分娩)の保険適用の導入」などで、この予算は0・8~0・9兆円である。

 ③育休関連給付については、「産後パパ育休」(最大28日間)を念頭に、「出生後」一定期間内に両親ともに育児休業を取得することを促進するため、給付率を現行の67%から、8割程度へと引き上げるという。この予算案は0・7兆円である。

 これらの少子化対策は、子供がいる親に対する支援であり、子供がいない夫婦にとっては何の恩恵もない。だが、これで未婚の若者にも希望が生まれるかに政府は言うが、果たしてそうか。

 子供を産み育てながら安心して働ける労働条件を確保する意志も見通しもないくせに、政府がただ口先で、非正規雇用から正規雇用への転換を企業に働きかけると言っても、一体誰が信用するのか。「20~30代の非正規男性の既婚率は約5%、交際相手なしが8割」、「結婚したいのにできない不本意未婚」や「女性の生涯未婚率」が増大している現実を何一つ分析もしないし、具体的な対応もしていない。

 児童手当増額や育休支援などの〝人参〟をぶら提げられても、労働者・若者の琴線に触れることはない。

◇軍事費同様に財源はない

 岸田は「出生最少」に驚き、慌てて児童手当を高校生まで拡充することを押し通して、合計予算案を3兆円から3・5兆円に引き上げた。

 しかし、「安定財源」はどこにもなく、見通しは全く付いていない。

 現在、政府の口から出てくる財源は、まず「歳出削減」であり、これが出来なければ「つなぎ国債」の発行である。

 しかし、「歳出削減」については、既に軍事予算増額の折、国有財産の売却、特別会計からの振替、決算剰余金の利用が言われ、また、建設国債の発行や増税(所得税や法人税引上げ)が確定しているのであり、今度の少子化対策用の財源は、どこにもない。

 そこで、政府は次の様に策動している。

 ①社会保険料の徴収を増やして(75歳以上も含めた医療保険料や薬局料の増額など)、0・9~1兆円を確保、②社会保障費の「歳出削減」(介護支援削減や扶養控除廃止も含めた)で、数年かけて1・1~1・2兆円を確保、③消費税から回すことで0・9兆円、④そして、財源確保はできないことを見越して、国債にて担保すると。

 まったく冗談ではない! 社会保険料徴収を増やし、社会保障費の支出を削減し、その上で、国債発行まで行うのである。

 岸田政権は資本への負担を最大限配慮し、反対に、現役労働者(及び家族)や働けない高齢者の犠牲において、少子化対策を行うのである。こんな反動的な政権は、一刻も早く打倒しなければならない。 (W)


【1面サブ】

国家による原発推進に転換

福島の反省放棄、「GX電源法」

 「GX脱炭素電源法案」が自民、公明、維新、国・民などの賛成で可決、成立した。法律は、原子力規制や再生可能エネルギーに関連する5つの法律(原子力規制法、原子炉等規制法、電気事業法、再処理法、再エネ特措法)をまとめた「束ね法案」であり、再エネ特措法を除く4つは原子力政策に関わっている。

 その狙いは原発の推進である。

 原発関係の法改定については、原子炉等規制法と電気事業法では「原則40年最長60年」とする原発の運転期間を定めた規定を、原子力規制委員会管轄の原子炉規制法から削除。経産省所管の電気事業法に移し、一定の条件では60年超の運転を認可できる仕組みに変えた。

 原発の運転期間「原則40年最長60年」は、福島第一原発事故の教訓である。原発が一旦事故を起こすならば、大災害になるという経験から運転期間を40年、特別な場合は60年と定めたのである。

 政府はこの制限をなくし、運転開始30年以降10年ごとに審査を行い、これを条件として60年を超えても運転できるようにするというのである。しかも、事故などで運転を停止していた期間は運転期間に計算しないという。

 例えば、現在でも新規に義務付けられたテロ対策の施設工事の遅れなどで運転停止となっている原発はかなり多くあるが、こうした会社の責任で原発の運転が止まった期間までも運転期間から除外されることになる。

 しかし、運転開始から時間がたつほど設備の劣化は進む。中性子による圧力容器のひび割れのほかにも、電線などケーブルの機能低下やコンクリート構造物の強度低下等々。

 さらに原発の運転期間の管轄を経産省に移したことも問題だ。

 原発の安全運転のために新たに原子力規制委員会が設けられたのは福島第一の原発事故の〝反省〟からであった。事故発生以前には、原発を推進する「資源エネルギー庁」と規制する「原子力安全・保安院」が同じ経産省の中にあるため規制対象である電力会社に天下りした退職者が規制行政に公然と干渉するなど、規制機関が監査機能の役割を果たしていなかったことが、事故原因の一つと考えられた。こうした〝反省〟に基づいて環境省に新たに外局として原子力規制委員会が設けられた。

 今回の法改定では原発炉の管轄を経産省に移すことによって、原子力規制委員会は安全かどうかの審査を行うだけとなった。経産省、会社が60年を超えて運転しようとしている時、果たして原子力規制委員会はそれにストップをかけることが出来るだろうか。更田前規制委員長は「事業者が申請してきたものに対して『やめなさい』と言うのはなかなか難しい」と述べている(朝日、6・1)。

 使用済核燃料の処理は全くめどが立っていず、たまる一方であるし、福島第一原発の汚染物処理も未解決。にもかかわらず電気の安定供給や脱炭素の掛け声のもと、「原発の活用」を「国の責務」とし、原子力産業の支援が強調されている。「国の責務」として「立地地域住民への理解促進」「地域振興」「人材育成」「産業基盤の維持」「研究開発推進」「事業環境」が挙げられ、国の支援が謳われているが、再生可能エネルギー推進を図る再エネ特措法では、国が支援する施策は「研究開発の推進」のみである。

 福島第一原発大事故の教訓は、「可能な限り原発依存を低減する」ことであった。今やこの教訓は反故にされ、岸田政権は将来の展望もなしに原発推進に突っ走ろうとしている。「電源法」は岸田政権の無責任さ、無謀さを暴露している。 (T)


   

【飛耳長目】

★1969年に月面着陸を成功させたアポロ宇宙船登載のコンピュータは、「恐ろしいほど原始的」だった。それでも無事に成功させた背後には、姿勢制御や飛行ルートを手計算してきたノウハウの蓄積があったからだ★手計算といっても、機械式計算機が使われていたのだ。日本でも電卓が普及する70年代始め頃までは、企業の経理部や設計技師の現場では、ソロバンとともに電動式や手回し式の計算機が活躍していた。筆者もタイガー式計算機の使い方を教えてもらい、税額計算に利用した経験がある★手計算には必ず誤りが含まれるように、宇宙空間で磁気テープからプログラムやデータを読み込んで計算する精度は、100%ではなかった。データはテープの3箇所に書き込まれ、読み込んで計算された3つのデータは、多数決回路を通ることで精度と信頼性を担保していた★何兆円もの予算と乗員の安全を保障するには、こうしたシステムの冗長性(重複やあそび)はムダではなく、欠かせないのだ。それに引き換えマイナカードの誤登録の数々は、検証システムがないまま運用されているのだろうか★危険性が問題視されている創世紀の人工知能(AI)技術も同じだが、基礎となる情報の正確性と〝悪意ある〟利用の排除があっての利便性なのだ。  (Y)


【2面トップ】

維新が勝利した堺市長選

無力な反維新の闘い

 堺市長選は、6月4日投開票され、維新の公認の現職永藤が、反維新の対立候補野村を破り当選した。野村は元自民党堺市議だが無所属で立候補し、立憲、共産が「自主支援」し、自民は堺市議団の一部が活動を支えるだけであった。反維新の闘いが労働者の政治の発展と結びつかない問題を浮き彫りにした。

◇堺市長選挙結果

 今回の結果は、得票が永藤約13・9万票(得票率約61%)、野村約8・8万票(得票率約39%)、投票率34%であった。前回市長選は、永藤、野村のほかN党立花が立候補し、得票が永藤約13・7万票(得票率約50%)、野村約12・4万票(得票率約45%)、立花約1・4万票(得票率約5%)、投票率41%であった。

 今回の市長選では維新の得票は微増し、反維新は支持を減らす結果となった。

 市長選の情勢調査(5月27、28朝日)では、4年間の永藤市政を「評価する」は59%、維新の地方政治についても「評価する」は71%であった。

 全国での衆院選比例区投票先については、自民36%、維新17%、立憲11%であった。近畿では維新33%、自民25%、立憲7%であり、近畿では維新が自民を上回った。

 維新の「既得権打破」、「身を切る改革」、「教育無償化」などのポピュリズム政治は、労働者を解雇しやすくする「雇用の流動化」や「非正規雇用化」、労働運動抑圧など労働者を苦しめる政策と表裏一体である。その維新が「改革」の幻想を掻き集め、自民党と対抗する政治勢力になろうとしている。

◇市長選の争点

 今回の選挙の争点は、4年間の維新永藤市政の評価である。永藤は、「大阪・関西万博の開催や、IR誘致等を見据え、大阪府・市と連携し、ベイエリアの賑わいの創出と産業活性化を図る」というように、万博やIRカジノと一体となった大型湾岸開発等を進めてきた。これは従来の自民党型の税金による公共事業と何らかわらない。

 万博やIRカジノは、建設地である夢洲の軟弱地盤や土壌汚染などで、建設費増大や工期延長の問題、そして経済効果の問題などが露呈しており、事業そのものが成り立つかどうか疑問符がついている。永藤は、そんな問題はないかのように堺の発展は「大型ベイエリア開発」にあると湾岸開発に邁進している。

 自民党政治を行ってきた野村は、自民党と同様の維新の公共事業から決別することはできない。野村は、永藤市政の事業について「総点検する」というが、「堺とカジノをつなぐ航路の検証」、「無謀なベイエリア開発の見直し」というだけで、「ベイエリア開発」の問題点を暴露し反対するのではない。これでは、維新永藤に勝つことはできない。

 永藤も野村も、保育料無償化、交通費を支援の「おでかけ応援制度」、小学校給食の無償化、給付型奨学金などの住民サービスの拡充で競い、「バラ撒き」で人気取りの競争をしたのであった。

 永藤は、その財源を問題にし「財政危機宣言」を出して、保育料無償化を延期するなどの事業の見直しを進めた。今回、コロナ禍で事業が中止なり、支出が減ったことや、製造業を中心に景気が回復して税収が回復したとして、1月に「財政危機宣言」を解除した。この「財政危機宣言」も争点になった。

 我々労働者は、野放図な財政支出を容認するものではなく、健全な財政を求める。しかし、永藤は「財政危機宣言」を出しながらベイエリア開発は進めている。それは永藤が、資本の利益をまもる政治を進めているからである。しかし野村も、維新の「バラ撒き政治」や公共事業から決別することはできないのであるから、永藤と闘えるわけがないのだ。

◇党利党略の維新

 今回の堺市長選でも、目立つのが維新の党利党略である。維新は、最初市長選を大阪府知事選、大阪市長選と同時に行う「トリプル選」を目論んでいた。その方が相乗効果で選挙戦を優位に進められるとの思惑があったからである。しかし堺市選管は単独での実施とした。

 維新吉村は、選管での自公や立憲系の推薦の委員が、維新に有利になる堺市長選の「トリプル選」を回避させた、そのため選挙の費用が余分に1億1千万円かかったと、野村批判に利用したのだ。

 この選挙前後で、維新は梅村参院議員が入管難民法改正案の審議における発言に非難が集まり、「不適切発言」(維新の藤田幹事長は「直接的な処分理由は発言内容ではない」と言明)で党員資格停止6ケ月の処分、笹川大阪府議が女性市議へのパワハラやセクハラ行為をして除名処分、政治資金収支報告書を期限内に提出していなかった橋本大阪府議は離党勧告の処分を行った。

 こうした処分は堺市長選への影響をできるだけなくそうとしただけで、問題に真剣に取り組むのではなく、その場しのぎに処分を急いだ維新の腐敗した姿であった。

 維新は、「大阪都構想」の住民投票の実現のために、公明党の協力が必要で、そのために衆院大阪の6つの選挙区と兵庫の2つの選挙区では、これまで独自候補を立ててこなかった。しかし、今回の統一地方選で大阪市でも過半数を得て、大阪市議会で必ずしも公明の協力を得る必要がなくなった。

 維新は、「野党第一党」のみならず、今年の1月の党大会で「3回以内の衆議院選挙で政権獲得」すると大見得を切った。次期衆院選では全国の全選挙区で候補者を擁立する方針を掲げており、維新は、これらの選挙区に維新が独自候補たて、党勢の拡大につなげようとしている。

 大阪市議会の定数削減の策動も、大阪府議会の定数削減と同様に、「身を切る改革」という謳い文句で少数政党を排除し、維新の政権維持・拡大を策している。

 維新は、過去2度の住民投票で否決された「大阪都構想」を、大阪市議会も過半数を得た好機を逃さず、三度、俎上に載せようとする動きもある。「大阪都構想」を実現させ、維新は政権基盤の強化を図ろうとしているのである。

◇地方選でも労働者の政治勢力の伸長を

 ポピュリズム政策と表裏一体に労働者の抑圧政治を進める、維新および永藤を、労働者・働く者は、信頼することはできない。しかし、維新と変わらないバラ撒き政治と、万博に依存したベイエリア構想と決別することができない、元自民党の野村も信頼することをできるはずがない。

 今回の市長選挙で、共産は市民の組織である「住みよい堺市をつくる会」を組織し、市民の共同候補として無所属の野村を支える選挙闘争を行った。しかし野村の政治は、自民党政治と変わらない。またそれは、本質的に維新政治と変わらないのである。

 共産党は市民団体として街頭でいくら声を枯らして維新に反対しても、無所属を装う自民党政治の野村の支援を呼び掛けるのであるから、労働者・働く者はしらけるだけだった。投票率は前回から7ポイントも下がったことが、如実にそのことを物語っている。

 これは、自民党の市議が党籍を離れて無所属として立候補し、共産はその元自民党市議を応援した大阪市長選の構図と同じである。

 労働者は、自民そして維新に協調する共産党の政治と決別し、労働者の闘いを伸長させ、岸田政権とともに維新との闘いを構築しなければならない。 (佐)


【二面サブ】

戦争・「台湾有事」は「対話」
で防げるか

「沖縄対話プロジェクト」は何を
行うとしているのか?

 南西諸島において、自衛隊の軍備が拡張され、沖縄の大衆も「台湾有事」戦争の危機感をもって反対運動が活発化しつつある。その中で作年10月15日に300名の参加で「沖縄対話プロジェクト」が発足した。

 沖縄プロジェクトとは、「『台湾有事』『南西諸島有事』を決して起こさせてはならないと考える沖縄の市民が、政治的な立場や意見・思想の違いを超えて対話」するものである。そして「対話」とは、「意見を異にする者同士が、一個の人間として相手に向き合い、相手の意見を尊重しつつ相互に共通点を見出し、意見の違いを乗り越えていく作業である」。「小異を捨て大同に就くの『大同』とは戦争を起こさないという一点に尽きる」、「市民自らが対話を実践することで政治指導者に対話を促すことも必要である」(「台湾有事」を起こさせない・沖縄対話プロジェクト第1回沖縄・台湾対話シンポジウム資料より)とされ、小ブル、共産流の言葉が満ち満ちている。

 なぜそれを立ち上げなければならないのかという背景は、米国政府によって「あたかも中国が台湾に武力行使する『台湾有事』が迫っているかのような発言」、日本政府も「米軍との軍事協力の強化を」、そしてバイデン政権の「台湾への軍事援助」、米国の「与野党議員の台湾訪問」によって、「中国の軍事的対応を生む結果」になり、「このまま黙っていては、台湾と沖縄が戦場にされる危険があるという強い危機感」からであるとしている。

 この危機感から「何としても沖縄が再び戦場にされ、本土の『捨て石』になることは防がなければなりません。そのためには『台湾有事』を起こしてはならない」という唯一の目的が出てくる。この「沖縄対話プロジェクト」を「趣意書」からどのような内容なのか深堀りしてみよう。

 「この地域に住む私たちが、まずしなければならないのは、万が一にも戦争を引き起こさないことである。そのためにできる努力はすべて行わなければならない。戦争、『台湾有事』を引き起こさないことこそ、この地域に住むすべての人びとの『共通の利益』である。当然、この地域にあるすべての政府は、外交の努力、対話の努力を尽くさなければならない」と。「すべてを行う」とは、市民は万能の能力をもっているのか、大衆に責任を擦り付けるかのようなことはやめよ、デキもしないくせに。

 この麗しき「資本の利益」、「市民・民衆の利益」、「その利益を実現するためにどのような方策があるのか、『抑止』に頼る以外にないのか、この地域に住み、生きている者同士として対話し議論し知恵を絞りたい」と、万事すべての人が幸あれと願う、沖縄のニライカナイ(理想郷)の夢に知恵を絞るように啓蒙するもいいが、日々搾取されている労働者階級がいることに目隠し、教授・知識人たる者が資本主義の本質を語ることもなく、ここから何の利益があるというのか、あるのは君たちの利益、資本を守るために貢献することではないかと、大いなる疑問が湧くのである。

 中国に対し、「経済的な力と同時に軍事力を高める中国に対しては、ハイレベルの交流と対話、外交を進めることこそ有事を防ぐ道」と言うのは、日本政府に対する脳ミソのない進言であると思われる。

 この「沖縄対話プロジェクト」は、いろいろな集会の導きの流れになっているようであり、注視する必要があると思われる。我々にとっては、0・1%の可能性でも、革命的な労働者を組織することが課題であろう。シンポジウムも6月に3回目、まとめとしての総括集会が予定されている。

 最後に故林氏の「尖閣諸島問題」について、「『法理』や『話し合い』の問題か」の記事の一部を引用して、労働者の立場を明確にしよう。

 「階級国家、帝国主義的諸国家の利害の対立や紛争が、すべて話し合いや『道理』に基づいて、〝解決する〟などと考えることは、労働者にとって途方もないことに思われるが――というのは、労働者は搾取されている自分の社会的な地位が、搾取されている状態が、ブルジョアたちとの『同じテーブルについての』話し合いによって解決するなどと決して思わないし、思うことができないことを、日々の日常的な経験によって、よく知っているから――、気楽なプチブルたちは違うのである。しかし自覚した労働者は、尖閣諸島をめぐる日中の争いは、ブルジョア支配階級の利害の争いであり、国家の争いであって、労働者人民に何の係わりもない事を確認し、日中の支配階級の争い、国家間の争いに対して、世界の労働者階級の国際主義と連帯した闘いを対置することによって、それに断固として反撃するし、しなくてはならない」(『海つばめ』1185号 2012・10・28刊)。 (日高)


【『海つばめ』の校正】

 1451号1面
第1パラ9行目:ロシアによる核兵器の使用もされない→ロシアによる核兵器のいかなる使用も許されない
 1450号1面
第2パラ8行目:政治規制法→政治資金規正法

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