WPLLトップページ E-メール


労働の解放をめざす労働者党機関紙『海つばめ』

◆第2第4日曜日発行/A3版2ページ
一部50円(税込み54円)

定期購読料(送料込み)25号分
  開封 2000円
  密封 2500円

ご希望の方には、見本紙を1ヶ月間無料送付いたします。

◆電子版(テキストファイル)
メールに添付して送付します

定期購読料1年分
 電子版のみ 300円

A3版とのセット購読
  開封 2200円
  密封 2700円

●お申し込みは、全国社研社または各支部・党員まで。
E-メールでのお申し込みもできます。



郵政民営化の中で何が起きているのか?
郵政労働者は告発する!

■民営化の嵐の中で最大の御用組合の登場――JPU臨時全国大会議案批判
■郵政民営化――今、職場では/郵政現場からの報告
■恐竜化か、リリパット化か――郵政民営化のジレンマ
■西川善文著『挑戦――日本郵政が目指すもの』/民営化に賭けるトップの本音


憲法改悪と
いかに闘うか?


■改憲に執念燃やす安倍――「国民の自主憲法」幻想を打ち破れ
■労働者は改憲策動といかに闘うか
■国民投票法をどう考えるか
■安倍の「美しい国」幻想――憲法改定にかける野望


本書は何よりも論戦の書であり、その刊行は日和見主義との闘いの一環である。
マルクスが『資本論』で書いていることの本当の意味と内容を知り、その理解を深めるうえでも、さらに『資本論』の解釈をめぐるいくつかの係争問題を解決するうえでも助けとなるだろう。


全国社研社刊、B6判271頁
定価2千円+税・送料290円
●お申し込みは、全国社研社
または各支部・会員まで。
E-メールでのお申し込みもできます。
「不破哲三の“唯物史観”と『資本論』曲解』(林 紘義著)」紹介


全国社研社刊、B6判384頁
定価2千円+税・送料290円
●お申し込みは、全国社研社
または各支部・会員まで。
E-メールでのお申し込みもできます。
「天皇制を根底的に論じる『女帝もいらない 天皇制の廃絶を』(林 紘義著)」(『海つばめ』第989号)他

理論誌『プロメテウス』第54号
2010年10月(定価800円)

《特集》菅民主党のイデオロギーと“体質”
・神野直彦の思想と理論――菅直人のブレインは「曲学阿世の徒」
・原則なき寄せ集め政党――顕現するブルジョア的“体質”
反動的な「文化」の擁護に帰着――レヴィ=ストロースの「文化相対主義」批判


 
 
 教育のこれから
   「ゆとり」から「競争」
   そして「愛国教育」で
   いいのか
 林紘義 著 7月1日発売

  (全国社研社刊、定価2千円+税)
  お申し込みは、全国社研社
  または各支部・会員まで。
  メールでの申し込みも可能です。

まかり通る「偏向教育」、「つくる会」の策動、教育基本法改悪の動きの中で、“教育”とは何であり、いかに行われるべきかを、問いかける。  


 第一章  
教育基本法改悪案の出発点、
森の「教育改革策動」
 第二章  
破綻する「ゆとり」教育の幻想
 第三章  
“朝令暮改”の文科省、
「ゆとり」から「競争原理」へ
 第四章  
ペテンの検定制度と「つくる会」の教科書
 第五章  
歴史的評価なく詭弁とすりかえ
つくる会教科書(06年)の具体的検証
 第六章  
日の丸・君が代の強制と
石原都政の悪行の数々
 第七章  
憲法改悪の“露払い”、教基法改悪策動

●1455号 2023年7月23日
【一面トップ】 日、NATOの軍事協力強化
        ――NATOは「基本的価値を共有するパートナー」
          と
【一面サブ】  労働者の闘いなしには前進せず
        ――大阪府吹田市の「君が代」暗記調査事件
【コラム】   飛耳長目
【二面トップ】 再燃する資源戦争
        ――希少金属・レアアースの争奪戦
【二面サブ】  ASEAN合同軍事演習
        ――ブルジョア国家に依拠し平和を求める共産党
※『海つばめ』PDF版見本

【1面トップ】

日、NATOの軍事協力強化

NATOは「基本的価値を共有する
          パートナー」と

 北大西洋条約機構(NATO)の首脳会議が行われたリトアニアで、同時に開かれた主要7カ国首脳会議(G7)は、ウクライナに対する軍事支援を強化することを決定した。会議に参加した岸田首相もNATOとの協力関係を一層発展させることを約束するなど、ロシアのウクライナ侵攻を契機に日本とNATOとの軍事的協力が進んでいる。

◇G7、ウクライナに長期安保を約束

 7月11~12日に開かれたNATO首脳会談の主要な議題の一つは、ウクライナのNATO加盟問題であった。ゼレンスキーは、「(ウクライナの)最善の安全保障はNATOに加盟することだ」と早期加盟を訴えた。

 ポーランドやバルト3国などウクライナ周辺国は、加盟への道筋を明確にすることに賛成した。ウクライナの次はロシアの脅威が自国に及ぶという危機感からだ。

 しかし、米国やドイツはNATOとロシアとの軍事的緊張やウクライナのNATO加盟時期については言及しなかった。

 現在NATOはウクライナへの軍事的支援を行ってはいるが、ウクライナが将来NATOに加盟するということになれば、ロシアとの戦争も起こり得るというのがその理由である。

 その代わりに、G7はウクライナへの長期的な安全保障を約束する共同宣言を発表した。

 宣言は、「ウクライナの自衛と将来の侵略を抑止する軍事力」を確保するための支援策であることを強調、現在のウクライナを守ることができ、将来のロシアの侵略を抑止することが出来るように「陸海空の領域で現代的な軍事装備を」支援すると謳っている。

 さらにウクライナの軍需産業の発展を支援するほか、軍事訓練と演習、情報共有を進めるとしている。また経済復興などを通じた経済的安定を強化する。

 そしてロシアから再び攻撃があった場合は、「ウクライナの安全保障は欧州大西洋地域の安全保障と不可分であることを確認し」、特定の2国間の長期的な安全保障上の約束として、サイバー防衛安全保障支援をはじめ、経済の復興、復旧の取り組みを含め、ウクライナの経済的な安定、強化のための支援、技術的、財政的な支援の提供等を謳っている。

 ウクライナに対してNATOは直接軍事的な支援は行わないが、それに代わってG7諸国が各々ウクライナと2国間協定を結び軍事、経済援助を行うことになる。G7以外の国でも賛同すれば宣言に加わることが出来る。

 NATOは、ロシアのウクライナ侵攻を契機に、現行4万人の即応部隊を30万人超に増員。指揮系統を強化し、大規模な作戦に迅速に対応出来るようにするとともに、加盟国の軍事費については、国内総生産比(GDP)で「最低2%」に引き上げた。

◇日本とNATOとの軍事協力強化

 岸田首相はウクライナ支援に関するG7共同宣言およびNATO首脳会談について、次のように述べた。

 「欧州とインド太平洋の安全保障は不可分であるという認識のもとに、大西洋の同志国との間でも、インド太平洋への関心あるいは関与が高まっている、このことを歓迎し、そして、地域を越えた同志国間の協力が重要である。……法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序の維持・強化に向けて、NATOおよびその加盟国並びにパートナーとの連携を引き続き進めていきたい。」

 岸田発言は、ロシア及び中国を見据えたものであり、NATO加盟国を「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序」を目指す共通の立場に立った「同志国」と呼び、ロシアや中国に対抗して軍事協力の強化を訴えたのである。

 NATOは昨年改定した「戦略概念」で初めて中国をとりあげ、軍事・経済力を背景とした中国の影響力の拡大やロシアとの関係強化に警戒を示し、インド太平洋地域への関与を強めることを明らかにした。

(とはいえ、中国との経済的な関係を重視するフランスが、NATOの東京事務所開設案に消極的で、開設案がご破算になったように、対中政策では強硬な米、英と宥和的なフランスとでは温度差はある。)

 岸田首相はストルテンベルグNATO事務局長との会談で、日本とNATOとの協力を「新たな高み」に引き上げるとして、今後4年間のNATOとの協力強化・拡大を盛り込んだ「国別適合パートナーシップ計画」(ITPP)に合意した。

 対ロシア、中国を念頭に、自衛隊とNATO部隊との共同演習はこれまでにも行われてきたが、従来の海洋安全保障に加え、サイバー防衛や偽情報対策、人工知能(AI)、宇宙安全保障などに対象を広げている。NATO演習への自衛隊オブザーバー参加の拡充や自然災害などに対する共同行動の実現に向けた準備なども盛り込まれた。

◇帝国主義に反対する労働者の闘いを

 日本政府がウクライナを支援するのは米国を中心とする自由主義的資本主義の体制のためである。ゼレンスキー政府は、EU及びNATOに加盟することによってウクライナの自由主義的資本主義の発展を目指している。大ロシア主義を唱え、ウクライナの主権を認めず軍事侵攻しているプーチンのロシアにどんな正当性もないのは明らかであり、ウクライナの労働者がそれに反対して闘うのは当然のことである。

 とはいえ、労働者はゼレンスキー政権を無条件で支持することは出来ない。というのは、ゼレンスキーが目指すのは資本の支配だからである。

 労働者はロシア帝国主義も欧米の帝国主義も支持しない。労働者の要求はロシアの軍事侵攻の即時停止とウクライナからの撤兵、欧米帝国主義の軍事支援の中止、資本の支配からの解放である。

 岸田政権は、中国の軍事的経済的膨張について日本もウクライナのようになる危険があると危機意識を煽り、日米軍事同盟の強化、NATOとの連携の拡大に走っている。日本の軍備増強は世界の緊張を激化する要因となっている。大資本の利益と国家利権獲得のために軍備増強し、世界の緊張を激化させている帝国主義に反対し、労働者の階級的な闘いを発展させ、帝国主義を一掃していくことこそ国際的平和を実現していく道である。 (T)


【1面サブ】

労働者の闘いなしには前進せず

大阪府吹田市の「君が代」暗記調査事件

 毎日新聞が6月14日に報じた大阪府吹田市での全市立小中学校児童生徒の君が代暗記状況調査は波紋を呼び、共産は吹田市委員会委員長、吹田市議会議員団団長、大阪7区国政対策委員長連名で、14日付で声明を出した。

 「憲法と教育の条理を踏みにじり、教育の中立性・民主主義を崩し、教育の内容及び方法に対する公権力の介入は直ちに中止すべき」というのである。

 君が代を子供たちに押し付け、早くから愛国主義に染まらせ、国家主義に統合していこうという狙いを共産が指摘しないのは、この問題を憲法第19条の「思想・良心の自由」の問題や教育基本法16条が禁じる「教育への不当な支配」といった形式的・抽象的な問題と考えているからである。

 共産は「教育に求められる政治的中立を守ることとあわせて、ただちに暗記調査など教育現場への介入をやめること、君が代斉唱の強制をすることのないよう強く要望する」だけであり、実際に日の丸・君が代が強制され、教育の反動化が推し進められ、軍国主義化が強められている現実に立向かっていないのだ。

 当局に暗記状況調査を迫ったのは「闘う保守」を標榜する藤木栄亮という与党自民の市議で、すでに何回も議会で日の君について当局にその徹底(日の丸は三脚でなく掲揚すべき、君が代は伴奏付きで斉唱させよ、と)を求めていた。「(吹田市の)学校教育部によりますと、こうした調査は2012年から5回にわたって行われていたという」(7月5日・NHK)。

 藤木は、今年3月の市議会定例会において、「また(君が代の)暗記率を出してください」と要望を出し、教育室主幹・指導主事の三井慎吾は「提出も含め検討させていただきます」と、「前向きに」回答しており、君が代暗記率調査がすでに企てられていたことは議事録でも明らかだ。

 吹田市の後藤圭二市長は、自公推薦で今年4月の統一地方選で三選された。2015年4月の市長選では自公推薦、共産が自主支援して、無所属で出馬。現職で立候補した大阪維新の会推薦の井上哲也に勝利。後藤は2014年に市職員を退職、長く自治労連組合員であったことから共産が自主支援したのであろうが、自公に相乗りして選挙を闘った。2019年の市長選では共産は、後藤から野党統一候補の阪口善雄に支持を替えたが、前回後藤を支援したことで不信を買い、維新候補にも大差で及ばないばかりか、自公推薦となった後藤の再選を許したのである。

 市議会に議席を持つ共産が藤木による暗記調査を知らないはずがない。日の君強制との闘いに不真面目どころか、堺市長選での実質自民候補の野村を支援するほどに堕落しているのである。

 この吹田の事件は、赤旗のWEBサイトでは検索にひっかからない。抗議行動を組織したという報道はない。共産の教育政策である「民主教育の実践」は、労働者の闘いを抑えているのである。

 暗記調査の件で、保護者・市民有志からの抗議に872名の署名を添えて市教委に提出した市民運動メンバーによると、40名を超える市民が集まり、その後の協議に参加、市民一人ひとりの声をぶつける中で、「今後は暗記調査というかたちの調査はしない」と明言したという。団体交渉の成果である。労働者(特に教育労働者)もまた、社会の主人公として登場するために、断固たる闘いで前進していこう。 (岩)


   

【飛耳長目】

★ヒトにとって「食」は最も重要な生命行為である。かつての教科書は縄文人は狩猟採集故に移住し、弥生人は稲作により定住したと記した。しかし今では、三内丸山遺跡をはじめ北海道・北東北縄文遺跡群により、縄文人も定住し、クリやトチ、イヌビエ(ヒエ)などを栽培(採集)し食していたことが判っている★5月、85歳の男性がスーパーでお握り1個を盗んだとして逮捕された。万引きは10代の青少年に多い犯罪であったが、今では高齢者が全体の4割を占める。その7割が食料品である。理由は「生活困窮」「孤独感」とある。高齢者世帯の所得は150~200万未満が最多で、高騰する諸経費を引けば手元には月数万円しか残らない★一方、世界で破棄される食糧は年25億トン(20億人を養える)、日本では2800万トンで、一人毎日136g(お茶碗一杯分)を捨てていることになる。かたや8・1億人が食糧難に喘ぐのにだ★ヒトは労働により多くの食糧を生産し、その豊かさを誇る。しかし、一方で毎年1500万人もの餓死者を生み出す。北海道洞爺湖の入江貝塚からは、幼少期に筋萎縮症に羅患した成人人骨が見つかり、ムラ内で手厚い介護を受けながら生きながらえたことを伝える。共同体を営むこのムラの縄文人たちは、今日の「食」を何と見るか。 (義)


【2面トップ】

再燃する資源戦争

希少金属・レアアースの争奪戦

 かつて、石炭や石油の化石燃料資源をめぐって、あるいは鉄やクロムなどの金属資源をめぐって、資本主義国家間で争奪戦が繰り返されてきた。今また、EV電池、EV自動車、風力発電などを製造するのに欠かせない希少金属、とりわけレアアースの争奪戦が激しくなっている。

◇新たな資源戦争が勃発

 資本主義が生み出した地球温暖化(斎藤幸平は「人新世」の時代と名付けたが「資本新世」と呼ぶべき)を止める方法は、二酸化炭素やメタンなどの温暖化効果ガスの排出を大胆に止めることだが、バイデンもプーチンも岸田も習も、自国の安全保障と世界の覇権を制する闘いに勝利することを優先している。

 そのため、IPCC(気象変動に関する政府間パネル)が定め、各国が合意した「パリ協定」など、どこ吹く風である。 昨年の今頃、北半球の世界各地を40~50℃の熱波が襲い、山林の火事が多発し、集中豪雨にも見舞われた。今年もまた、昨年を上回る異変が起きているのに、世界の帝国主義の頭目にとって温暖化対策は二の次なのである。

 しかし、既に温暖化対策は新たな産業として登場し、これに乗り遅れることは、自国の産業の衰退を招くことを承知しながら、日米の頭目たちはひたすら軍事費を増額し、安全保障のために自国で半導体を作ろうと補助金を湯水のごとくに使い始めた。さらに、中国に対する「包囲網」(安全保障)の一環として、半導体製造用材料やこれを微細加工して半導体に仕上げる製造装置も輸出規制の対象に加えた。

 米国の材料・装置・技術を網羅した半導体輸出規制に対する「報復」として、中国の習近平は希少金属の1種であるガリウムやゲルマニウムの輸出規制を開始すると宣言した(この8月から)――この2元素はEVの電源制御用半導体に使われ、また発光ダイオードに利用される有望な物質である、しかも中国は前者の9割、後者の7割を生産している。

 中国の報復は2元素に止まらず、今後、EV自動車や風力発電に必要なレアアースにも及ぶ可能性がある。いよいよ中国は希少金属・レアアースを「中国包囲網」に対抗する〝切り札〟にしようとしている。

◇中国は希少金属・レアアースの産出地

 希少金属・レアアースは脱炭素に向かって進む当面の必須の原料である。 温暖化効果ガスを排出しない手段は限定的であるが見つかり、開発も進んできた。その一つが太陽光発電や風力発電であり、EV電池やEV自動車であり、水素利用の火力発電や鉄鋼生産などである。これらの技術革新が進み、量産に移るに従って、希少金属・レアースが大量に必要になる。

 希少金属とは、生産量の少ないニッケルやクロム、タングステンなどの非鉄金属(31鉱種47元素)のことで、レアアースとは、希少金属の1鉱種(17元素)であり、少量しか採掘できない「希土類」のことである。

 このレアアースは他の金属と混ぜ合わせることで、性能を大幅に向上できる。例えば、ネオジムやジスプロシウムは永久磁石の製造に欠かせず、永久磁石はEV電池で駆動するモーターや風力発電用発電機に利用されている。また、イットリウムやユウロピウムは個体レーザーに使われている。

 中国が希少金属・レアアースを「中国包囲網」に対抗する〝切り札〟や〝武器〟にするのは、中国が世界で最も有望な産出地であるからだ。

 希少金属の産出地は、中国・アフリカ・ロシア・南北アメリカに偏在している。しかも、上位3か国で、50~90%の埋蔵量を占めている。例えば、レアアースやタングステンは中国だけで90%以上の埋蔵量があり、バナジウムは南アフリカ、中国、ロシアの3か国で98%を占めるなどだ。

◇中国依存から脱却図る米国

 EU主要国は脱炭素の技術革新の先頭に立ってきた。それゆえに、中国やアフリカに投資して来たが、それを独占することは出来なかった。

 希少金属・レアアースについては、石油や天然ガスと違って、必要な原料を大量に採掘・精製できるわけでなく、また技術革新によって利用する希少金属の種類が変わってきたことも、先進国が大規模な開発・投資をためらってきた理由である――イットリウムなどはカラーテレビのブラウン管や蛍光灯に使われてきたが、最近は使用量が大幅に減っている。

 こうしたEUや米国の事情を尻目に、希少金属・レアアースの量産に繋げたのは中国である。中国は自国が主な生産地でないEV電池用のリチウムやニッケルの選鉱工程(鉱石を微細に砕き選び出す工程)も独占するに至っている。

 その理由は、採掘と選鉱、その後の精錬に多額のカネがかかり、環境が最悪であることから先進国では敬遠されてきたのである。だから、米国は採掘した鉱石を中国に輸出し、化合物や金属の形で輸入してきた程である――米地質調査所によれば、17~20年のレアアースの輸入の78%を中国が占めた。

 こうした中国の独占に対抗して、米国政府は自国内のレアアース産業(米国は世界の十数%のシェア)に補助金を出して中国依存から脱却しようとしている。今まで、採掘のみで、選鉱工程や精製工程については中国に頼ってきたが、バイデン政府は国内でレアアースの全工程を確保するつもりのようだ。

 しかし、それでうまくいくかは確かでない。補助金が出ている間はいいが、いずれ米国内で生産するレアアースは高価になり、米国産EV自動車の価格競争力が維持できるかは疑問であろう。

◇米国と仏(EU)は違う動き

 脱炭素の現在の切り札とされる太陽光発電パネルに必要なシリコンもまた、中国が独占的に販売している。結晶構造を持つシリコンには、単結晶と多結晶がありどちらも半金属の特性をもつことから半導体の基板や太陽光発電パネルの原料として使われている。このパネル用シリコンの原料採掘から完成品に至る生産について、現在、中国が価格の面で圧倒的に強い。

 このように、希少金属・レアアースを独占的に生産し、かつ太陽光発電パネルの原料から製品までを安く大量に生産できる中国に対して、EUと米国ではいくらか違った動きを見せている。

 去る4月、マクロン仏大統領やフォンデアライエンEU委員長が中国を訪問し、仏からは、大手航空機メーカー「エアバス」などの企業関係者も多く同行して中国の経済界と会合を持った。マクロンらの中国訪問の目的は、中国とロシアの軍事的経済的連携を警戒する欧米諸国の声を代表した以上に、経済関係について、お互いに強化することにあった。

 「米国の覇権に挑戦する国家」、「安全保障上の脅威」と中国を位置付ける米国は半導体規制に加えて、希少金属・レアアースの中国独占を切り崩そうとやっきになっているが、仏などは今後も中国のレアアース類に依存せざるを得ない。そうした米国との違いから、仏らは中国への対応をいくらか変えるであろう。

 最近の資源戦争を取り上げたが、次のことだけは真実である。

 世界経済は相互に依存し合っているのに、米中や日中の覇権争い、帝国主義的争いは、保護貿易・関税引上げ合戦を手始めとして、安全保障の理由で半導体や通信分野の輸出規制に踏み込み、さらに原材料の採掘・精製にまで相互依存を断ち切ろうとしている。そして、互いの首を絞め合い、どちらかが倒れるまで突き進もうとする。資本の争いは何とも醜く愚かなことか。労働者は帝国主義を突き進む資本にも、その政府にも与しない。共産党やれいわのようには。 (W)


【二面サブ】

ASEAN合同軍事演習

ブルジョア国家に依拠し平和を求める共産党

 東南アジア諸国連合(ASEAN)は、南シナ海で9月、域内の全10カ国が参加する合同軍事演習を実施することに合意した(6月7日)。日本共産党は、ASEANを東アジアの平和の地域協力の要としているが、軍事演習はまたもや共産の「平和構想」の虚妄性を明るみに出している。

◇合同軍事演習を提起するASEAN

 インドネシアで5月10、11日にASEAN首脳会議、7月11~15日にはASEAN関連外相会議や、ASEAN地域フォーラム(ARF)その他のASEANを中心とする関連会合が開かれた。

 これらの会議の主な議題は、ミャンマー問題であり、中国の海洋戦力の増強・南シナ海への進出を受けてのインド太平洋地域の緊張を緩和するための、地域の平和と安定をめざすASEANインド太平洋構想(AOIP)の具体策採択などであった。しかし、ミャンマー問題の解決に向けての進展はなく、AOIPについても、その重要性と検討の継続性が確認されたことに留まる。ASEANの会議は、かえってASEANを巡る米中・米ロの対立や、これらに関わるASEAN内部の利害の対立を明らかにした。

 南シナ海の領有権を主張しその実行支配を進めつつある中国に対しては、インドネシア、ベトナム、フィリピンなどが反発しているのだ。

 フィリピンは、4月に米国との定例合同軍事演習「バリカタン」を実施した。これには豪が加わり、日、印、ASEANも参加した。また米国との外務防衛会議(4月11日)で、米比防衛協力協定(EDCA)に基づいて、南シナ海での共同防衛を合意し、米軍が使用できる拠点を増やした。

 インドネシアでは、去年8月に米、豪、シンガポールとカナダなど8カ国がオブザーバー参加する軍事演習「ガルーダ・シールド」が行われた。

 ASEANは、このようにこれまでも米とそれぞれ合同軍事演習を行ってきたが、首脳会議後の6月7日に、「加盟国はこれまで実施したことのない演習を行う」ことで一致したと、インドネシア軍は発表したのだ。

 演習は、海上での警備や海難救助などで、連携強化を図るのが狙いとインドネシア軍は説明する。最初演習海域は、インドネシアと中国が管轄権を主張し合う係争地の北ナトゥナ海で行うと発表していた。これに対し、カンボジアが演習海域を再検討するように要請し、19日の合同演習準備会合ではカンボジアとミャンマーが欠席した。これはこれらの国が、中国に配慮したからであり、演習海域は係争海域外の南ナトゥナ海に変更された。

 合同軍事演習には、ASEAN各国と中国との関係を巡る利害が絡んだ、ASEANの一部の諸国と中国との領有権を巡る対立が背景にある。軍事演習は、ASEANが平和の枠組みにとどまらないことを現した。

◇ASEANに託す共産の平和構想

 共産は、3月30日に「日中両国関係の前向きの打開のために」という提言を発表し、さっそく岸田首相と会談し、5月4日には中国大使に提言内容を申し入れた。

 共産は提言で、2008年の「共同声明」の「互いに脅威とならない」との合意と、2014年の尖閣諸島の緊張を「対話と協議」で解決するとの合意、そして、どの国も敵視せず、中国を含めた開放性と包摂性を促進する互恵的な協力をめざすASEANインド太平洋構想(AOIP)に日、中政府が賛意を示していることを生かして、外交努力を図ることを提起している。

 共産は、「東アジアに平和をつくる『外交ビジョン』、『日中関係の前向きのための提言』が、大きな生命力を発揮しています」「戦争の準備ではなく、平和の準備を」(6月25日)と悦に入っている。

 しかし日、中の賛意そのものは、ブルジョア国家が話し合うことを決めたものにすぎない。共産は、日、中、米、ロ、EUなどの帝国主義国家の利害の対立が、国家間の対立・軋轢を生み、戦争の危険性を生みだしている現実に向き合わず、ブルジョア国家に期待を表明している。

 共産は、ASEANを平和の地域協定と高く持ち上げるが、ASEANの合同軍事演習は、ASEANが単に平和の枠組みに留まらないことを明らかにし、共産の「平和構想」の虚妄性を明るみに出した。

◇ブルジョア国家の支配を止揚し労働者の国際的連帯を

 ブルジョア国家の変革をめざす労働者は、〝平和〟の実現のための闘いを共産のように、ASEANに依拠しない。ブルジョア国家間の対立から生じる戦争をなくし、平和を闘いとるためには、対立の根源である資本とブルジョア国家を廃絶しなければならない。

 日本の労働者・働く者は、労働者・働く者の生活困難をよそに軍備増強に傾斜する岸田政権を打倒し、闘う世界の労働者との連帯を勝ち取るであろう。 (佐)

ページTOP