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労働の解放をめざす労働者党機関紙『海つばめ』

◆第2第4日曜日発行/A3版2ページ
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郵政民営化の中で何が起きているのか?
郵政労働者は告発する!

■民営化の嵐の中で最大の御用組合の登場――JPU臨時全国大会議案批判
■郵政民営化――今、職場では/郵政現場からの報告
■恐竜化か、リリパット化か――郵政民営化のジレンマ
■西川善文著『挑戦――日本郵政が目指すもの』/民営化に賭けるトップの本音


憲法改悪と
いかに闘うか?


■改憲に執念燃やす安倍――「国民の自主憲法」幻想を打ち破れ
■労働者は改憲策動といかに闘うか
■国民投票法をどう考えるか
■安倍の「美しい国」幻想――憲法改定にかける野望


本書は何よりも論戦の書であり、その刊行は日和見主義との闘いの一環である。
マルクスが『資本論』で書いていることの本当の意味と内容を知り、その理解を深めるうえでも、さらに『資本論』の解釈をめぐるいくつかの係争問題を解決するうえでも助けとなるだろう。


全国社研社刊、B6判271頁
定価2千円+税・送料290円
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「不破哲三の“唯物史観”と『資本論』曲解』(林 紘義著)」紹介


全国社研社刊、B6判384頁
定価2千円+税・送料290円
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「天皇制を根底的に論じる『女帝もいらない 天皇制の廃絶を』(林 紘義著)」(『海つばめ』第989号)他

理論誌『プロメテウス』第54号
2010年10月(定価800円)

《特集》菅民主党のイデオロギーと“体質”
・神野直彦の思想と理論――菅直人のブレインは「曲学阿世の徒」
・原則なき寄せ集め政党――顕現するブルジョア的“体質”
反動的な「文化」の擁護に帰着――レヴィ=ストロースの「文化相対主義」批判


 
 
 教育のこれから
   「ゆとり」から「競争」
   そして「愛国教育」で
   いいのか
 林紘義 著 7月1日発売

  (全国社研社刊、定価2千円+税)
  お申し込みは、全国社研社
  または各支部・会員まで。
  メールでの申し込みも可能です。

まかり通る「偏向教育」、「つくる会」の策動、教育基本法改悪の動きの中で、“教育”とは何であり、いかに行われるべきかを、問いかける。  


 第一章  
教育基本法改悪案の出発点、
森の「教育改革策動」
 第二章  
破綻する「ゆとり」教育の幻想
 第三章  
“朝令暮改”の文科省、
「ゆとり」から「競争原理」へ
 第四章  
ペテンの検定制度と「つくる会」の教科書
 第五章  
歴史的評価なく詭弁とすりかえ
つくる会教科書(06年)の具体的検証
 第六章  
日の丸・君が代の強制と
石原都政の悪行の数々
 第七章  
憲法改悪の“露払い”、教基法改悪策動

●1456号 2023年8月13日
【一面トップ】 〝新たな戦前″に邁進する岸田政権
        ――再び東アジアにおいて〝戦端を開く″つもりか
【一面サブ】  改憲策動を労働者は許さない
【コラム】   飛耳長目
【二面トップ】 「第二自民」と本音を宣言
        ――労働者の階級闘争を敵視する維新
【二面サブ】  「地球沸騰」に素知らぬ顔
        ――覇権争いに夢中の資本と政府
※『海つばめ』PDF版見本

【1面トップ】

〝新たな戦前″に邁進する岸田政権

再び東アジアにおいて〝戦端を開く″つもりか

 78回目の〝敗戦記念の日〟を目前にして、我々は、岸田政権が〝新たな戦前〟に向かって邁進していることを明らかにする。今年の防衛白書は「中国の軍事動向などは、……これまでにない最大の戦略的挑戦」と危機意識を押し出し、軍事費GDP比2%倍増に舵を切った。

◇百十二年前に発出された国際主義に満ち溢れた革命的精神を受け継ぐ!

  日本の社会主義運動の偉大な先人である幸徳秋水は、日露戦争の戦時下にロシア人、ロシアの社会主義者にあてて、連帯のアッピールを発出した。

 「諸君の敵は、日本人ではない。実際は今日のいわゆる愛国主義である。軍国主義である。われらの敵は、ロシア人ではない。そしてまた、実際は今日のいわゆる愛国主義である。軍国主義である。さよう、愛国主義と軍国主義とは、諸君とわれらの共通の敵である。世界各国の社会主義者にとって、共通の敵である。諸君とわれらと全世界の社会主義者は、この共通の敵に向かって、勇敢な戦闘をしなくてはならない」(幸徳秋水の非戦論 平民新聞)。この格調高い革命的精神を受け継ぐことが我々に求められている。

 中国とは戦火を交えているわけではないが、我々は呼び掛ける。共通の敵は、自分たち労働者を搾取し祖国擁護の愛国主義を鼓舞する自国の政府と資本家(私有、国有を問わず)である。帝国主義が存在する限り戦争は残念ながら不可避である。だから我々は帝国主義を、それを生み出す資本主義体制、国家資本主義体制の一掃のために闘わなければならない!と。

◇軍備増強に貫かれた背景を理解できない共産党は祖国防衛主義に転落!

 軍事増強に踏み出した理由を理解しなければ、正しい闘いの方向を労働者に明らかにすることは出来ない。それが出来ないがゆえに共産党や急進派の闘いは、低迷し後退するしかないのだ(翻って我々の現状をみると猛省するしかないが)。

 台湾をめぐる日米・中の対立は、飛躍的な経済発展をとげて世界中に権益を拡げ経済、最先端技術、軍事において米国に対抗する唯一の国家として帝国主義的な拡張を続ける中国と、それを封じ込めようとする米国とそれに追随・同盟する日本、豪との対立として現れている。

 共産党は、中国に対抗する軍備増強を明確にした安保3文書決定に対して、「まっさきに米国に報告し、忠誠を誓う。この姿勢は、およそ独立国の政府とはいえない、卑屈きわまる米国追従の極みといわなければならない。」(1/14赤旗)と憤激した。共産党は、帝国主義国家としての野心と自信を深める中国に対峙する軍備増強に貫かれている日本の国家的利益を見ようとはしない。日本資本主義が海外に保有する独自の帝国主義的な権益(21年現地法人2万5千社、現地労働者569万人、対外純資産418兆6千億)と対外投資で得た利益は22年でGDPの約9%、50兆円に達している現実を直視できていない。

 共産党は、「日本独占資本主義と日本政府は、アメリカの目したの同盟者としての役割を、軍事、外交、経済のあらゆる面で積極的、能動的に果たしつつ、アメリカの世界戦略に日本をより深く結びつける形で、自分自身の海外での活動を拡大しようとしている」(共産党綱領)としており、主君アメリカとの関係の中でしか日本政府や日本の独占資本の行動を評価することが出来ない。

 導き出される闘いは、自国政府や独占資本の支配の打倒ではなく「資本主義の枠内で可能な民主的改革である」、「いま政治がとりくむべきは、戦争の準備でなく、平和の準備――9条を生かした外交によって日本の平和を確保し、東アジアに平和をつくりだすことである」(5/3赤旗)、ここからは、中国の労働者へ共通の敵に対する闘いの呼びかけなど出てくるわけがない。

 共産党の「9条を守れ」、「国連憲章を守れ」は、無力であるばかりか有害である。それは帝国主義国家間のリアルな対立や抗争を生み出している現実的な権益の鋭い対立を、おめでたい〝話し合い〟で解決できるなどと主張することによって、それを生み出している自公政権との真剣な闘いを放棄し、労働者の闘いを専ら、国会での連立政権樹立のための野党共闘の選挙運動に解消した。共産党は、「平和」を守るためには「軍事力、抑止力」が必要だという自民党やマスコミの批判に抗うことができずに、空想的「平和主義」の必然的帰結として、急迫不正の時は自衛隊を活用すると「祖国防衛主義」に転落した。

◇理解不能!急進派の主張!

 急進派(中核派)の論評を紹介しよう。「そして帝国主義の『最弱の環』である日帝・岸田は、帝国主義としての存亡をかけてウクライナ戦争・中国侵略戦争―世界戦争への参戦に突き進み、空前の大軍拡と国内統治形態の転換=戦時体制への移行を強引に推し進めている。」(前進3305号)。「中国侵略戦争」(!)その意味は「米帝を始めとした帝国主義は、戦後世界において自分たちの直接の支配を及ぼすことができなかった広大な地域----ロシアと中国を再分割の対象とし、巨大な核軍事力を持ったスターリン主義体制(旧スターリン主義・ロシア=プーチン政権と残存スターリン主義・中国)を転覆・打倒する戦争へと踏み出したのである」(同)

 彼らの情勢認識は、米帝をはじめとした帝国主義は、ロシアや中国を支配・分割し打倒する侵略戦争へ踏み出したと規定する。しかし、日米・中の対立は一方的な侵略戦争ではなく、帝国主義国家間の覇権を掛けた対立である。中国侵略戦争と規定することは、中国国家資本主義の帝国主義を免罪することになる。まったく馬鹿げている。

◇偉大な先人に恥じることのない闘いを!

 〝プロレタリア国際主義″に立脚し、労働者階級の立場で闘い続けることは容易なことではない。〝新たな戦前〟を予感させる、78回目の〝敗戦記念日〟を前に改めて、揺るぎなき〝プロレタリア国際主義″のメッセージを、ロシアの兄弟に発出した偉大な先人の革命的精神を受け継ぎ、闘いを貫こう! (古川)


【1面サブ】

改憲策動を労働者は許さない

 すでに安保法制改定で集団自衛権を行使して自衛隊の海外派兵を実行し、さらに安保3文書の閣議決定で「専守防衛」を投げ捨てて敵基地攻撃能力強化を推し進めている現況において、岸田政権による改憲策動が着々と進行している。9条の平和主義を形式的には保持しながら実質的な軍事強国に向かっている。

 マスコミなどは岸田の「在任中の改憲実現」に注目して、いかに明文改憲を実現できるかという観点から憲法問題を伝えて、権力への追随を恥じない。改憲策動との闘いが明文化の段階にあることは現実であるが、「緊急事態条項」での改憲策動の、「基本的人権」に関わる危険な狙いを軽視しているのではないか。

 「基本的人権」は階級対立するブルジョア社会では基本的には私権である。しかし、労働者にとっては「基本的人権」は資本との闘いにおける団結権であり、争議権でもある。そしてそれは政治的自由を求めるのであり、「緊急事態」だからといって、制限されてはならないものである。

 安倍が改憲にこだわったのは、安倍の主観においては(政権維持策でもある)、「戦後レジュームからの脱却」という保守派の〝願い〟を実現するためであった。岸田は、21年の総裁選出馬時点では改憲について触れていなかったが、総裁就任後の衆院選以降、政権維持に都合がいいように「改憲」を利用している。

 9条はすでに実質的には改憲されているが、さらなる岸田の「改憲」は、軍事強国化を支える体制の構築、すなわち有事体制へ一歩踏み出そうという狙いがある。岸田政権は安倍政治よりも露骨に軍備増強を推進し、改憲策動においても専制主義的な軍国主義化に熱心である。

 「緊急事態条項」について、頻発する自然災害や北朝鮮によるミサイル発射、ロシアのウクライナ侵攻などで醸し出された〝危機感〟に乗じて改憲を進めるのに利用しているという評価があった。

 しかし、「緊急事態条項」は戦前・戦中の国家主義者による権力乱用の反省から、戦後憲法では「緊急権」は意識的に排除されたのである(参院の「緊急集会」は議会制尊重のためであり、執行機関の「緊急権」とは別)。自衛隊法で外国からの武力攻撃や治安出動での「緊急事態」規定のように個別法では「緊急事態」規定はあったが、憲法での復活はまさに〝新しい戦前〟の象徴であり、保守反動派が強く求めていたものである(国際勝共連合が改憲の優先順位で真っ先に「緊急事態条項の新設」を挙げていたことは有名である)。

 自民党の改憲案第98条第1項では、「内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる」としている。

 法律で「緊急事態」を定めてあれば(警察法など)、「緊急事態の宣言」ができて、「緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる」(第99条第1項)のである。内閣によって独裁的な、どんな反動的な政治も可能となるのである。

 憲法審査会で議論を積み重ね、すでに「論点整理」は済んでいるとマスコミは伝えるが、出来レースの茶番であり、改憲策動を労働者は断じて許さない。 (岩)


   

【飛耳長目】

★「クリミア戦争」(1853~56年)は、東方進出を狙う英仏とロシアの勢力争いを背景に、ロシアのオスマン帝国への宣戦布告で始まった。オスマン帝国を支援する英仏の参戦で、史上稀にみる大規模な戦争は、兵士75万人の戦死傷者を出し、ロシアの敗北で終わった★8年後、赤十字国際委員会が呼びかけ、紛争時の兵士・捕虜と文民の保護による被害軽減のための「ジュネーヴ条約」が締結される。20世紀の2つの大戦も朝鮮戦争、ベトナム戦争も、この条約下で戦われた。地雷と焼夷弾、原爆による惨禍は民間人を襲い、文民保護は空文と化した★ユーゴ、イラク、シリア、ルワンダでのジェノサイドという新たな戦争犯罪が加わり、600超の条文で構成される条約は、全ての国を拘束する国際法として、特に深刻な場合には戦争犯罪として国際刑事裁判所(ICC)で裁かれることになった★ウクライナへの軍事侵攻でロシアのプーチンは、住宅や病院、ダムへの攻撃、民間人虐殺など数え切れない戦争犯罪を犯しているが、ICCから逮捕状が出されたのは「占領地から違法に子どもを連れ去った容疑」だけだ★長大な条文と国連は、帝国主義的大国の世界支配を正当化する道具立てに過ぎない。この偽装を見抜くことでのみ、世界平和への道は開かれる。 (Y)


【2面トップ】

「第二自民」と本音を宣言

労働者の階級闘争を敵視する維新

 維新の馬場代表が、7月23日放送のネット番組「ABEMA的ニュースショー」に出演し、維新は「第2自民党でいい」、「立憲民主党がいても日本はよくならない」、「共産党はなくなったらいい」などの発言をし、野党間で波紋が広がっている。維新政治の問題を考えてみよう。

◇維新は労働者に対する抑圧政治を「改革」と偽る

 馬場は、維新は「第2自民党でいい」とし、「第1自民党、第2自民党でいい。それが改革合戦をやる。どんどん改革をやって国家国民のためになることを競い合う。それが政治を良くしていくことにつながる」と言う。

 しかし今問題になっているのは、自民政治の行き詰まりではないのか。自民政治は、日本の経済を発展させることができない。GDP(名目)は、1980年256兆円から1991年493兆円と約10年で1・9倍に成長したが、それ以降は鈍化し2022年556兆円と約30年たっても1・1倍にしか成長していない。

 資本は拡大再生産の条件を失い腐朽を深め、資本を海外に進出する帝国主義化の道をたどっている。

 そしてこのような状況下で労働者大衆の生活苦は深刻化している。例えば実質賃金指数の推移(2020年=100)では、1990年111・8からほぼ毎年下がり続け2022年99・7となっているのである。

 その背景には、資本が進めてきた労働者の非正規化がある。1989年には雇用者に占める非正規雇用者の割合は約20%であったが、2019年には約40%と約2倍へ大きく増加し、雇用者の5人に2人が非正規雇用者となっているのである。

 景気の悪化を理由に、各企業が非正規化を進めたからであるが、維新は自公政権と一緒に率先して資本のための政策を後押ししているのである。

 そして、雇用の流動化を進めるとして、さらに馬場は番組で、金銭を払えば解雇が自由にできる「解雇の金銭解決」を早期導入し、「できるだけ早く、企業側の負担がないような形でルール化した方がいい」などと主張した。維新の政策は、労働者大衆の生活向上を図る政策どころか、資本に奉仕するものであることが表明された。

 こんな維新を労働者がどうして支持することができるであろうか。維新の「改革」の内実は、労働者に対する抑圧政治である。そして、軍備拡張に邁進する日本の帝国主義化を支える政治勢力の一翼を担っている。

◇維新は立憲を標的に対決関係を進める

 そして、馬場は立憲について「立憲がいらっしゃっても日本はなんにもよくならない」、立憲との関係改善は「未来永劫(えいごう)ない。やるかやられるか」、「まず何よりも、立憲民主党をつぶさなアカン。日本には必要ない政党だ。野党第一党になって、立憲を消滅させるんや」と息巻いた。

 今度の総選挙で「野党第一党」を目指し、その先に政権交代を見据えるという維新は、立憲を攻撃目標にしている。立憲は、統一教会問題では維新と歩調を合わせ共闘の形を取ったが、この間の憲法審査会を巡っては憲法改正に慎重な姿勢を崩さず、出入国管理法改正でも廃案の立場を取り、国会末での内閣不信任案提出と維新との対立が際立った。維新と国民民主は、自民党を支えたのである。

 維新は、立憲のこれらのリベラリズム的政策に業を煮やし、立憲との対決に進んだのである。

 連合を支持母体とする立憲、国民民主であるが、連合自体は芳野会長が、政府の新しい資本主義実現会議、男女共同参画会議、GX実行会議などのメンバーも務めることに象徴されるように、すっかり体制内化し、資本・政府と一緒になって労働者抑圧政治を進める役割を担っている。

 その中で国民民主は、体制内化した連合を体現するかのように自民党政治と歩調を合わせ、維新と協調関係を深める。維新は、当面は立憲を標的にし対立関係を強めている。

 馬場は、「大阪で実績がある」と維新の政策を誇る。しかし維新の「既得権打破」、「身を切る改革」、「教育無償化」などのポピュリズム政治は、労働者を解雇しやすくする「雇用の流動化」や「非正規雇用化」、労働運動抑圧など労働者を苦しめる政策と表裏一体である。維新は、労働者大衆を「改革」の幻想で誑かし、その実は生産を支える労働者に犠牲を強いる。

 維新のこのような政策は、大阪での労働運動、とりわけ公務員労働者、教育労働者への弾圧等として現れたことを、我々は決して忘れるものではない。

◇維新は労働者階級の革命運動を敵視

 さらに馬場は、「共産を日本からいなくなったらいい政党」とし、その理由を「世の中にあり得ない空想の世界を作って、真剣にまじめに考えている人たち」と述べた。

 維新の共産党への攻撃は、その後さらに、共産は破壊活動防止法に基づく調査団体だとして「危険な政党」と述べるに至っている。

 共産の綱領は、現在の日本における「民主主義的変革」を謳い、「日本の社会発展の次の段階では、資本主義を乗り越え、社会主義・共産主義の社会への前進をはかる社会主義的変革が、課題となる」とするだけである。

 現代社会における資本の支配との闘いを、民主的改良に切り縮めて、社会主義的変革の闘いに発展させない共産は、結局、社会主義的変革を永遠の彼方に遠ざけるのだ。

 綱領は、「市場経済を通じて社会主義に進むことは、日本の条件にかなった社会主義の法則的な発展法則である」としている。すなわち綱領が目標とする社会主義は、「市場経済社会主義」である。しかし「市場経済」は、商品が残り、貨幣が残り、資本が残ることである。「市場経済社会主義」を標榜する中国を見ても明らかなように、それは資本主義、国家が経済発展を主導する国家資本主義である。共産が目標とするのは資本主義でしかないのである。

 維新はこんな共産を「暴力革命」を行う「危険な政党」だと非難し、「日本からなくなったらいい政党」と決めつけたのである。維新は共産を日本から排除すべきだというファッショ的立場を露わにした。

◇綻び始めた維新政治

 維新は、万博そしてIRカジノを関西経済の起爆剤になると幻想を煽り、大阪府政・市政を簒奪したが、肝心の万博の会場建設が進んでいない問題が出てきた。

 すでに会場建設費総額が当初1250億円から1・5倍の1850億円に引き上げられた。

 さらに建設業界の人手不足や資材の高騰が加わって、工事費の増加や工事進捗の遅れの可能性がある。

 その遅れを取り戻すために、万博協会が建設工事に従事する労働者に時間外労働の上限規制を適用しない政府に要請した問題が浮上した。これに対し維新の藤田幹事長は、残業規制除外は「許容範囲」などと述べた。

 ただでさえ突貫工事が予想され、労働強化が図られかねない状況にある。労働者の健康を考えるなら、むしろ残業規制の厳格化を要請しなければならない。

 目玉政策に綻びが見え始めた反労働者的な維新政治に、我々は断固として反撃しなければならない。

 しかし反維新だといって、堺市長選で見られたように、市民派を装った自民政治の復活に、無批判に加担することであってはならない。 (佐)


【二面サブ】

「地球沸騰」に素知らぬ顔

覇権争いに夢中の資本と政府

 今春以降、世界各地で異常な猛暑が続いている。世界気象機関とEUが組織する国際気象情報機関は、7月の世界の平均気温が観測史上最高になったこと、地球がこれほどの暑さになるのは「12万年ぶり」だと発表した。

◇長期的な温暖化

 世界気象機関(WMO)らが警告を発したのは、7月の世界平均気温が観測史上最高になった(16・95℃、8月8日発表)上に、23年の世界平均気温が「パリ協定」の目標である「産業革命以前の平均気温」(IPCCは1850年~1900年の平均値13・7℃を採用している)から「1・5℃」に抑制する水準をも突破しかねないからだ。

 1900年以降の地球気温は「温室効果ガス」の排出量及び濃度を主因として上昇し、とりわけ、最近十数年の数値は異常である。例えば、11年~20年の世界の平均上昇気温は1・09℃と1℃を突破していたが、さらに13年~22の上昇気温は1・14℃となり「長期的な温暖化」が顕著になっている。

◇地球温暖化の原因

 昨年、記録的な熱波が世界各地を襲い、山火事などの気候災害が頻発し、パキスタンでは、例年の10倍以上の降雨により大洪水が発生し国土の約3分の1が浸水した。

 今年の夏もまた、「温室効果ガス」に起因した地球全体の温暖化・高温化が発生し(メカニズムについては全国社研社発行『プロメテウス』第60号、63~65頁を参照)、特に北半球全体の海洋温度が過去最高を示し(WMOが7月4日に発表)、偏西風の蛇行による熱の〝マグマ〟が発生し、昨年にも増した異常気象になった。

 「温室効果ガス」による地球温室化によって海洋温度が上がることは、大容量の海洋に蓄えられた熱エネルギーが膨大であること、一度熱せられると中々元に戻りにくいことを意味する。陸地についても地表が熱せられると熱が拡散しにくく高温になりやすい。北米や欧州などでは森林火災が絶えず、また中国の新疆ウイグル自治区で今年7月に52・2℃を記録したのも、地球全体の高温温室化が主因なのである。

 ところが、こうした異常気象について、未だにCO2は地球気温上昇の原因ではないと扇動する学者がいる。例えば、気象とエネルギーを「研究」する杉山大志である。どのように言うのかを少し聞いて見よう。

 「猛暑の原因は別にあります。気象庁は夏の高気圧の張り出し具合などの自然現象と、都市熱による影響の2つを挙げています。都市熱についていえば、都市化によってアスファルトやコンクリートによる『ヒートアイランド現象』が起こり、家やビルが建て込むことで風が遮られる『ひだまり効果』も出ます。こうした都市熱によって東京は既に約3℃も気温が上がっているのです。東京から離れた伊豆半島の石廊崎では1℃も上がっていませんが、これが地球温暖化による日本全体の気温上昇(0・7℃)に対応する数字と言えます。温暖化が原因で猛暑になっているわけではないのです」(「『地球温暖化』のウソに騙されるな」キャノングローバル戦略研究所22年4月4日Web)。

 杉山は、気候温暖化の原因はCO2による温室効果によってではなく、都市化による「都市熱」であるかに主張する。東京などの気温上昇が「都市熱」の影響によることを否定する者はいない。しかし、日本をはじめ世界の熱波発生の原因を「都市熱」に還元することは不可能である。

 杉山が温暖化の原因をねじ曲げる目的は、温暖化対策にカネを注ぎこむことで国力を削いではならない、つまり中国を利してはならないと言わんがためである。杉山はアジアの覇権争いに勝つために温暖化対策を牽制しているに過ぎないのだ。杉山という人間の底なしの愚劣さは余りある。

◇帝国主義を許すな

 徹底的な「温室効果ガス」の排出規制ができないなら、国連のグテーレス事務総長が警告したように、「地球全体が災害状態」になるのは必至であろう。

 この気候温暖化・高温化をもたらした真の原因は、労働者なら知っているように、利潤増大を推進動機とする資本主義的生産そのものにある。大量にCO2を排出する鉄鋼生産や発電等において、CO2を排出しない生産方法は古くからあったにもかかわらず、世界の資本は生産コストが増えて価格競争力が低下するという一点で、新しい生産方法を採用してこなかったし、今なお石炭等を大量に使用している。

 岸田ら各国政府の頭目共も、アジアや世界の帝国主義的覇権争いを優先し、気候温暖化対策を二の次三の次に考えてきた、また自国産業界の目先利益を優先してCO2の大量排出を容認して来た。

 しかし、今こそ労働者は資本主義とその手代共が「人類生存の危機」を生み出していることを確認し、労働の解放を展望しつつ政治的組織的な闘いに立ち上がっていく時である。 (W)

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