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労働の解放をめざす労働者党機関紙『海つばめ』

◆第2第4日曜日発行/A3版2ページ
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郵政民営化の中で何が起きているのか?
郵政労働者は告発する!

■民営化の嵐の中で最大の御用組合の登場――JPU臨時全国大会議案批判
■郵政民営化――今、職場では/郵政現場からの報告
■恐竜化か、リリパット化か――郵政民営化のジレンマ
■西川善文著『挑戦――日本郵政が目指すもの』/民営化に賭けるトップの本音


憲法改悪と
いかに闘うか?


■改憲に執念燃やす安倍――「国民の自主憲法」幻想を打ち破れ
■労働者は改憲策動といかに闘うか
■国民投票法をどう考えるか
■安倍の「美しい国」幻想――憲法改定にかける野望


本書は何よりも論戦の書であり、その刊行は日和見主義との闘いの一環である。
マルクスが『資本論』で書いていることの本当の意味と内容を知り、その理解を深めるうえでも、さらに『資本論』の解釈をめぐるいくつかの係争問題を解決するうえでも助けとなるだろう。


全国社研社刊、B6判271頁
定価2千円+税・送料290円
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「不破哲三の“唯物史観”と『資本論』曲解』(林 紘義著)」紹介


全国社研社刊、B6判384頁
定価2千円+税・送料290円
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「天皇制を根底的に論じる『女帝もいらない 天皇制の廃絶を』(林 紘義著)」(『海つばめ』第989号)他

理論誌『プロメテウス』第54号
2010年10月(定価800円)

《特集》菅民主党のイデオロギーと“体質”
・神野直彦の思想と理論――菅直人のブレインは「曲学阿世の徒」
・原則なき寄せ集め政党――顕現するブルジョア的“体質”
反動的な「文化」の擁護に帰着――レヴィ=ストロースの「文化相対主義」批判


 
 
 教育のこれから
   「ゆとり」から「競争」
   そして「愛国教育」で
   いいのか
 林紘義 著 7月1日発売

  (全国社研社刊、定価2千円+税)
  お申し込みは、全国社研社
  または各支部・会員まで。
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まかり通る「偏向教育」、「つくる会」の策動、教育基本法改悪の動きの中で、“教育”とは何であり、いかに行われるべきかを、問いかける。  


 第一章  
教育基本法改悪案の出発点、
森の「教育改革策動」
 第二章  
破綻する「ゆとり」教育の幻想
 第三章  
“朝令暮改”の文科省、
「ゆとり」から「競争原理」へ
 第四章  
ペテンの検定制度と「つくる会」の教科書
 第五章  
歴史的評価なく詭弁とすりかえ
つくる会教科書(06年)の具体的検証
 第六章  
日の丸・君が代の強制と
石原都政の悪行の数々
 第七章  
憲法改悪の“露払い”、教基法改悪策動

●1459号 2023年9月24日
【一面トップ】 企業倒産数が増大
        ――労働運動と「労働の解放」の結合を!
【一面サブ】  〝再エネ族〟秋本の汚職が暴露
         ――CO2削減も結局は利権の争奪戦!
【コラム】   飛耳長目
【二面トップ】 定見なく、政権維持を優先
        ――岸田改造内閣の発足
【二面サブ】  歴史の真実に向き合わないのは資本の政府の本質
※『海つばめ』PDF版見本

【1面トップ】

企業倒産数が増大

労働運動と「労働の解放」の結合を!

 景気が回復しているかに囁かれているが、昨年夏ごろから企業倒産数が増加に転じ、それに伴い失業者数も徐々に増えている。一体何が起きているのかを紹介しながら自覚した労働者の課題について論じ、共に闘うよう呼びかける。

◇17カ月連続で倒産数増加

 東京商工リサーチによれば、今年上半期(1~6月)の負債額1千万円以上の企業倒産数は4042件であった。

 前年同期の倒産数3060件より、約1千件も増加し、また、前年下半期(7~12月)の倒産数3368件よりも増えている。

 企業倒産数の増え方は、22年4月から23年8月まで17カ月連続で前年同月を超え、しかも、今年に入ってから増加率が拡大し始め、8月の倒産数は742件と、前年同月の1・5倍となった。

 同リサーチは今年上半期の業種別倒産数も発表している。それによれば、最多は「サービス他」で1351件(前年同期比36%増)、次いで資材価格の高騰が続く「建設業」が785件(同36%増)、同様な困難にある「製造業」が459件(同37%増)となっている。

 この他に、「運輸業」が188件(同25%増)、「情報通信業」が161件(同39%増)などと続き、「金融・保険業」でも24件(同140%増)が破綻した。

 こうして、今年上半期の業種別倒産数は1998年上半期以来、25年ぶりに「10産業種全て」で前年同期を上回ったのだ。

◇実際の失業率は6%以上

 岸田政権はコロナ対策だといって、売上減の企業に無利子・無担保融資を行い、円安による燃料費高騰に対して元売り企業に補助金を注ぎ込んだが、打ち止めを始めた昨年半ばから企業倒産が増加し始めた。

 これに伴い、人手不足と言われながらも失業者数が増大。7月の「完全失業率」は2・7%、「完全失業者数」は183万人と、4~6月より率でも数でも増え、22年平均(2・6%、179万人)よりも多くなった。

 しかし「完全失業者」は働く意欲があり、失業してから「1週間以内に求職活動」を行い、「直ぐに仕事に就くことが出来る」人のことであり、何らかの理由で迅速に就職活動ができなかった人は除外される。

 実際、総務省の「労働力調査」によれば、23年4~6月期の「未活用労働力」、つまり介護や保育などにて働きたくても働けない人は「平均して6・1%」もおり、その人数は427万人と推計できる。

◇退廃する資本主義

 今後も物価高騰が続き、米国(日本)と中国との帝国主義的対立が激化していくなら、世界経済は一層行き詰まり、企業倒産や失業者も増えていく。事実、EUでは日本と同様な低成長に転じ、ドイツは「マイナス成長」に陥入った。

 既に世界の資本主義は20~30年間も長期停滞が続き、この停滞から脱却しようと超低金利と財政バラ撒き策を続けてきた。

 このツケが物価高騰や「インフレ」を招いたのであり、今度は、これを鎮めようと金利引上げに転じるのである。だがこれは対症療法に過ぎず、結局、金融危機や不況の深化を招いている。

◇労働組合も後退

 このように資本主義を立て直そうと各国政府が繰り出す政策は、どれも資本の行き詰まりを解決するのではなく、さらに別の矛盾を招き入れ、それに伴い、労働者に新たな犠牲を押付ける――労働者を雇用するのではなく「フリーランス」として利用する動きもその一つ、だが実態は非正規だ。

 何故なのかは明白だ。

 資本主義は、資本が労働者の労働力を買い、労働力の再生産に必要な労働(賃金部分)を超えて働かせ、貪欲に剰余労働を搾取し続ける社会であるからだ。

 それゆえ、労働者は就職活動の時から差別と選別の洗礼を受け、労働過程に入るや厳しいノルマや管理に晒され、加えて低賃金や過重労働を強いられる。挙げ句に資本の身勝手な都合で解雇も受ける。

 「資本と賃労働」の階級社会の中では、労働者は弱い立場にあり、労働組合に団結して生活の改善を求め、また、資本の攻撃から身を守るために闘うことを必要とする。

 しかし、かつて総評の「戦闘的労働運動」は資本の合理化の中で、また資本主義の退廃とともに行き詰まった。

 その大きな理由は労働運動の組合主義・経済主義にあった。それは一方で物取り主義であり、他方で労働運動を戦闘的に継続すれば、また組合が生産を管理すれば、あたかも資本の体制のままでも労働者の自治や労働者権力に近づくかに幻想を振り撒き、労働運動と「労働の解放」の結合という課題を放棄していたからである。

 労働者は資本主義の矛盾を受け続ける。資本との日常的な経済的対決は不可避であるが、その闘いの延長線上に矛盾の解決は無い。

◇「労働の解放」との結合こそ必要

 資本の支配を打倒し、搾取と差別を廃絶し、「共同体の原理」によって互いに支え合う社会、自由に働き必要に応じて生活手段を受けとる社会、労働時間が抜本的に短縮され自由な時間を謳歌できる社会を目差して闘うことが現在に生きる労働者の課題なのである。

 従って、労働運動もまたこの課題と固く結びつくことが不可欠なのである。そうした認識を欠いた労働運動は、どんなに戦闘性を誇り一時的に勝利しても、決定的な限界を持っている。

 最近も、労働運動の課題をねじ曲げる動きがある。労働組合の地域連合や産業別組織化によって、また「資本との経営協議」に参加することで「資本の物象の力」を削ぎ、労働者の自立が可能になるかに叫び、さらに企業の協同組合化がまるで「コモン」(共産主義)に繋がるかに〝デマる〟動きのことである。

 これは佐々木隆治や斎藤幸平らの経済学者によって吹聴されているが、これに安易に乗っかる党派や労働組合も少なくない。

 しかし、この立場は、いくら協同的民主的社会をめざすといっても、資本主義の枠内に止まり、「労働の解放」の革命的な事業とは正反対な代物なのである。

 労働者はこうした幻想をも打ち破って行かなければならない。(W)


【1面サブ】

〝再エネ族〟秋本の汚職が暴露

CO2削減も結局は利権の争奪戦!

 9月6日、自民党秋本は、日本風力開発から6100万円の賄賂をもらった容疑で逮捕された。秋本は再エネの有力手段である風力発電に注目して、多額な賄賂を資本家からもらいその意向を受けて国会で質問し、確たる計画も方針も信念もない政府の風力発電政策にも大きな影響を与えた。秋本の犯罪は贈収賄に留まらず、現代資本主義の本質の一面をも暴露した。

 秋本と日本風力開発社長脇塚との金のやり取りは、国会質問とぴったり一致する。19年2月、日本風力開発が参入を目指した青森沖について、秋本は国会で「洋上風力が青森県でしっかりと展開されるべきだ」と質問した翌月3月には3千万円が渡された。

 21年12月に第一弾「促進区域」を圧倒的価格差で三菱商事が〝総取り〟し〝三菱ショック〟に見まわれる中(三菱が落札した価格は他の業者が20円/kwhに対して12~16円台)秋本は、22年2月には衆院予算委員会で「業者選定基準見直し」を求めた。選定基準の見直しを叫んだのは秋本だけではなく、自民党総合エネルギー戦略調査会で再エネ議連の会長代理(秋本は事務局長)小泉進次郎も入札基準に欠陥があると決めつけた。

 「選定基準見直し」は、発電単価の競争を事実上なくした。入札基準をクリアーすれば「最高評価点」が与えられるため、単価競争は事実上なくなり、官製談合に道を拓いた。政府は第二弾「促進区域」公募を一旦中断し、10月に「業者選定基準見直しを発表」。秋本には翌月に脇塚から、1千万円の現金提供がなされた。

 日本がCO2削減の国際公約を果たすためには、再生エネの比率を30年度までに36~38%(21年度は20・3%)、その中で風力発電は5%(同0・9)にしなければならない。

 風力発電の本命は洋上風力発電であるが、統一したルールがなく、無政府的に建設された既存の洋上風力発電との調整のために、「再エネ海域利用法」が19年に成立した。この法律に基づいて具体的な「促進区域」が全国に第一弾として4か所(21年12月三菱選定で終了)公募中の第二弾が4か所の計8か所が「促進区域」に設定されている。

 「再エネ海域利用法」の定める「促進区域」の事業者認定を受けると、事業者は「促進区域」の海域を30年間にわたって独占的に占有することが出来る。第一弾で4か所を総取りした三菱商事は、売電収入が30年間で数千億円の規模になるといわれている。

 再生エネルギー活用は、政府の政策として資本主義的競争の中で行われる。〝三菱総取り〟で落札できなかった企業は「選定基準」に〝疑義〟を唱え、政府はより大きく反応した。

 国家独占資本主義社会においては、政府が定めた入札の基準に従い、競争に勝利した企業に対して、〝予定調和〟(発電単価を政府はほぼ同じと試算)を乱された政府の対応は執拗で法律の適用さえも変更し、〝再エネ族〟と自称し菅や河野と関係を深めた秋本と、日本風力開発との癒着も利用して、政府は「評価基準見直し」を強行した。

 三菱は第二弾への参加を取りやめ、露骨に振舞った秋本や脇塚は〝司直〟に裁かれる身となり、小泉はほくそ笑み、ライバル企業は手を汚すことなく「促進区域」第二弾入札に応募している。

 資本の支配する資本主義社会では、再エネも政府はご都合主義で、いい加減に取り組み、資本家も政治家も蜜に群がる蟻のように利権を奪いあう。労働者は彼らを弾劾し、その支配の打倒のために闘う! (古)


   

【飛耳長目】

★ブルジョア文化の退廃が進む。ジャニー喜多川による少年たちへの性的虐待が公の場に曝け出された。何十年にも渡り数百人に繰り返していたと言うから、犯罪史上類を見ない「鬼畜の所業」(東山新社長弁)ではある。そう言う東山は、頬被りしてやり過ごしていた★姉のメリー喜多川はかって「タレントには手を出しませんよ、顔を傷つけたら商品ですからね」(週刊文春インタビュー)と述べた。総資産1千億、2人併せて年収18億のこのブローカー姉弟は所属商品を芸能やマスコミに売って巨万の富を築いた★売りに出したのは買い付けた数千人のほんの一部で、多くは権力を笠に性加害後、商品破棄した。大資本は自社製品の売上げ向上のために彼らを盛んにCMで起用し、マスコミはその〝噂〟を知りながら視聴率アップのため好んで彼らを利用した★ファンクラブ員は国内外で1千3百万人を超える。しかしこの問題が公になると、アサヒやJAL、日産、資生堂など大資本は早々と広告起用を中止、変わり身の早さを見せた。自社ブランド維持と利益のために彼らを捨てるのだ。本事件は氷山の一角、少年少女を食い物にする芸能界や薬物汚染、性産業は後を絶たない★少年少女たちに広まるオーバードーズ(薬物過剰摂取)を含め、この社会は彼らに夢も希望も生きる目的さえ与えない。 (義)


【2面トップ】

定見なく、政権維持を優先

岸田改造内閣の発足

 13日、岸田の新たな改造内閣の顔ぶれが決まった。しかし、首相の椅子維持のための派閥均衡優先で、日中の軍事、経済をめぐっての緊張の激化、国内では経済不振、財政悪化、物価上昇、失業増加など内外の厳しい状況に対してこれをいかに打開していくかについて、政府として取り組むべき具体的方針は見えない。

◇政権維持優先のための派閥均衡

 まず政権の骨格となる党4役の人事については、各派閥の会長や幹部を政権運営の中心に取り込むことで、党内の基盤を安定させることを最優先としている。

 党内での第2派閥を率いる麻生を副総裁として再任、第3派閥を率いる茂木を、議員や立候補予定者らへの資金の配分や選挙区の公認などの実権を握る幹事長に再任。党の最大派閥である安倍派からは松野を首相を補佐する官房長官に、萩生田を党の政策、調査・研究や企画・立案を行う政調会長として再任した。これは来年9月の総裁選をにらんで党の安定を図ろうとするためなのである。

 大臣の数も安倍派4人(派閥人数100人)、麻生派4人(同55人)、茂木派3人(同54人)、岸田派3人(同45人)、二階派2人(同41人)、その他(無派閥、公明等)4人とほぼ派閥の人数に応じた配分となっている。岸田にとって首相の座を維持することが、なにより大事であり、優先されるべきことなのである。改造組閣人事は岸田の無定見を暴露している。

◇看板倒れの女性登用

 女性の大臣は内閣改造前の2人から5人へ増えた。女性閣僚の人数は、2001年4月発足の小泉内閣、14年9月発足の第2次安倍改造内閣と並び過去最高となる。

 岸田は「女性活躍は岸田政権の重要な課題」、「女性ならではの感性、共感力を十分発揮して頂くことを期待したい」と胸を張った。しかし、それは見せかけの、卑しい人気とり策でしかないことがたちまち暴露された。5人の女性登用から2日後に発表された28人の副大臣、26人の政務官はすべて男性議員であり、女性の登用はゼロであった。副大臣は大臣不在時に職務を代行し、政務官は特定の政策分野について大臣を補佐する役割を担う。人事は各派閥からの推薦を踏まえて決定し、副大臣は衆院では当選4、5回、政務官は当選2、3回の議員が人材育成の観点から登用されるケースが目立つという。

 女性議員ゼロとなったことについて「副大臣、政務官の未経験者を中心に選んだ」(首相官邸幹部)と言うが、言い訳にもなりはしない。岸田の言うように真剣に「女性の活躍」を望んでいるのだとするならば、大臣ばかりではなく副大臣や政務官にも積極的に女性を登用してしかるべきだろう。しかし、岸田はそうすることなく各派閥からの推薦を重んじ、それに従ったのである。その結果、昨年8月の内閣改造では、女性議員11人が起用されたが、今回はゼロになった。

 もちろん、女性が大臣や副大臣、政務官に登用されたからといって、女性の地位の向上が進むわけではない。例えば、経済安全保障相に再任された高市は、選択的夫婦別姓反対の急先鋒である。高市は「『社会秩序』や『家族の絆』を破壊する個人主義的政策に保守系の議員が協力するのは愚かなこと」(雑誌「諸君!」02・3)と語ってきた。

 肝心なことは、男女平等を目指す政策が政治に反映され、女性差別が許されなくなるように社会が変革されることである。そうなれば女性の政治への進出も活発となっていくだろう。

◇反省なし、統一教会との癒着、選挙とカネ問題

 女性閣僚の問題ばかりでなく、他の大臣の顔ぶれを見ても自民党の政治腐敗を象徴する閣僚が名を連ねる。

 その第1が、旧統一教会との関係の深かった萩生田を政調会長に留任させたのを筆頭に、その他4人も大臣に任命(いずれも初入閣)したことである。鈴木総務相、盛山文部科学相、伊藤環境相、木原防衛相の4人である。

 萩生田は22年の参議院選では候補者の生稲を伴って統一教会施設を訪問、選挙への応援、投票依頼を行った。また12~19年の8年間に統一教会に会費を支払っていたという癒着ぶりであった。

 初入閣の盛山は、過去に統一教会の会合に出席し、挨拶を行ったことが明らかになっている。盛山の所轄は文部科学省であり、旧統一教会の解散命令請求など教団との直接対応を行う部署である。

 統一教会と癒着してきた議員の閣僚任命について岸田は「現在は関係を一切有しないということを前提として任命を行っている」と言う。しかし一切の関係は絶ったとはいっても、本人の報告によるものであり、信用出来ない。自民党は、選挙応援、献金など統一教会との長年の癒着問題を、党としての責任ある調査もなしに、「今後一切の関係を絶つ」という「本人の報告」で解決済みの問題と見做して、その責任を曖昧にしている。

 一方、選挙対策委員長となった小渕は、14年、自らの政治団体が支援者向けに主催した観劇会経費の大半を負担していたことが発覚。経済産業相を辞任。15年には元秘書が政治資金規正法違反で有罪となり、帳簿データーなどを保存していたハードディスクを電気ドリルで破壊し証拠隠滅したことが明らかになっている。

 反動的な宗教団体=統一教会との深い繋がりを持ってきた議員が党の要職や閣僚に任命されたり、選挙民買収のために不正を行った犯罪者が党の選挙対策委員長に登用されたりしたことは、岸田の恐るべき無責任ぶりを暴露している。

◇労働者の階級的闘いの発展を

 岸田は「変化を力に」と改造新内閣をアピールしている。しかし、首相の地位維持のための来年の党総裁選に備えた改造人事である以外に、何の新味もない。

 約2年前、初めて首相になった時、岸田は「新自由主義政策」は貧富の格差を拡大した、これからは労働者の賃上げなど分配を重視した「新しい資本主義」を目指していくとか、環境にやさしいエネルギーを重視し、原発依存を低めていくなどを訴えた。

 しかし、分配重視の賃上げと言っても政府・労組・企業3者による官製賃上げ、賃上げを行った企業への減税など基本的に安倍政権の政策と同じであったし、貧富の格差縮小問題は若いサラリーマンを対象とした小口投資NISAによる貯蓄奨励にすり替えられていった。また、電力確保の名のもとに原発依存低下とは反対に、稼働40年を経た老朽原発の稼働をさらに20年も延長させるなど「最大限活用」する方向に転じた。

 今では鳴り物入りで喧伝された「新しい資本主義」について口にしない。それはこれまでの政策の焼き直しでしかないことが明らかになったからである。

 一方、総理補佐官として国家安全保障関連「3文書」作成を担当してきた木原を防衛相に任命し、日米の軍事同盟の一層の強化、今後5年間に軍事費2倍化など軍備拡大が進められている。大規模な軍備増強は一層の財政膨張をもたらし、その負担は労働者、働く者に押し付けられることは必至である。

 岸田政権が発足してから約2年、労働者の生活改善の実績は見当たらない。世論調査(NHK9月)によっても岸田政権について支持36%に対して不支持43%で、その理由の約半数は政策に期待できない(47%)である。政権維持に汲々とし、労働者、働く者の生活を省みない岸田政権は一刻も早く打倒されなくてはならない。(T)


【二面サブ】

歴史の真実に向き合わないのは資本の政府の本質

◇時宜を得た映画「福田村事件」上映

 関東大震災100年目にあたり、朝鮮人と間違って被差別部落の薬行商団一行、妊婦・少年を含む九名が虐殺された事実をとりあげた映画「福田村事件」が全国で封切りされ、読者の中には観られた方も少なくないと思われる。映画では自警団が「十五円五十銭と言ってみろ」と朝鮮人少女に迫り連行していくシーンはあるが、直接朝鮮人虐殺の現場は描かれない。しかし政府のデマやそれに追随する新聞社(今も同じだ)はしっかり描かれる。

 日本人が地域外から来た「よそ者の」日本人を集団で虐殺するシーンでは少数ながら正気を失わず、虐殺を阻止しようとした住人(日本が強引に併合した朝鮮で学校教師をしていたが、支配に抵抗する者とみなされた朝鮮住民が教会に閉じ込められ鎮圧軍に一斉射撃されるも傍観してしまい、失意のなかで帰郷した男とその妻、朝鮮人の反乱を見た訳でもないのにデマを妄信するな、と諫める人等)も描かれる。

「朝鮮人なら殺してもええんか」と武器を手にして取り巻く住民に訴える行商団のリーダーの言葉は差別されてきた者の平等主義に貫かれ、民族差別、排外主義に染められた住民を鋭く諫める。

 政府が関与した虐殺事件であること、しかもその事実を政府が認めないことで、制作に名乗りを上げる映画会社が見つからずクラウドファンディングで資金を、エキストラはボランティアを募っての制作と聞く。権力者への忖度がまかり通るのは百年前と変わらない。

◇災害と人災の区別がつかない小池都知事はヘイト応援も

 東京都内では中国人や朝鮮人の追悼集会が今年もあった。東京都知事小池百合子は2016年までは歴代知事にならい追悼文を送っていたが、翌年から送付拒否、今年も送っていない。追悼文拒否の理由を「全ての方々に慰霊堂(東京都)法要で哀悼の意を表している。それがすべて」と述べたが、地震による災害死と虐殺死は原因が違う。後者は加害者がおり、真相究明や賠償や謝罪が必要である。知事として再発防止のための決意や施策が求められる。ところが追悼式典会場の隣でヘイトスピーチを繰り返す輩への集会を許可しており、あからさまな妨害行為の推進者でもある。

◇真相解明に消極的な松野官房長官

 岸田改造内閣で留任した官房長官松野博一は野党からの「虐殺に当時の政府が関与した事実」の公表要求に「調査した限り記録が見当たらない」と回答した。

「記録がない」は嘘であり、①政府の流言(井戸に朝鮮人が毒投入等)は防衛省史料②朝鮮人を殺害した記録は東京都公文書館保存③軍隊などが朝鮮人の虐殺を直接行ったことが中央防災会議(内閣府に所属)2009年3月報告書に記載されている。そこの「災害教訓の継承に関する専門調査会」文書で警察や軍隊、住民による朝鮮人らへの殺傷行為が多発し、「虐殺という表現が妥当する例が多かった」と明記されている。さらに流言の拡散には官憲や新聞が関わったことも指摘。背景に植民地支配への抵抗運動に対する恐怖や民族的な差別意識を挙げている(そのとおりだ)。

 要するに政府の虐殺関与、いや主導は政府自身が確認済みなのである。虐殺の事実、それも政府主導を言いたくないだけのことである。

◇歴史教科書採択で母校に圧力かけた前歴のある盛山文科相

 日本会議等の右翼団体が育鵬社版中学歴史教科書で事実歪曲本(政府関与を否定)を推奨し、歩調を合わせて教育の先祖帰り(軍国主義教育)を故安倍らは進めてきた(教育基本法改定、現場教員の意向より首長任命の教育委員に採択権限を持たせる通達等)。

 2016年盛山は、「学び舎」版中学歴史教科書を採択した神戸の私立灘中高一貫校の校長に「そちらは自分の母校でもあるが、政府からの問い合わせなのだが」と断った上で、「なぜあの(学び舎)教科書を採用したのか」と問い合わせた。この問い合わせの翌月から「何処の国の教科書か」などと誹謗中傷の匿名ハガキが殺到した。なお、当時自民党兵庫県議和田有一郎(現在日本維新の会衆議院議員)も盛山同様の圧力をかけた。盛山は旧統一教会癒着議員としても有名(関係ないと言っておいてマスコミに暴露されてから関係を認めた)で、その筋で「立派」な人物である。

 盛山らが使ってほしくないとした学び舎版教科書の関東大震災の記述では「地震後朝鮮人が攻めてくるなどの流言が広められ、軍隊・警察や住民がつくった自警団によっておびただしい朝鮮人が虐殺された。数多くの中国人や日本人の社会主義者も殺害された。約230人(当時の政府調査)や約2610人(吉野作造調査)6550人(日本にいた朝鮮人達による調査)などがある虐殺された人数はさだまっていない」とある。一方育鵬社版では「交通や通信がとだえた混乱の中で、朝鮮人や社会主義者が住民たちのつくる自警団などに殺害されるという事件も起きました」として、「軍隊・警察」の関与を否定している。

 頑なに真実に向き合うことを拒否する政治は打破するしかない。 (FY)


【訂正とお詫び】

前号(1458号)の発行日を訂正し、お詫びいたします。

誤 9月13日

正 9月10日

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