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労働の解放をめざす労働者党機関紙『海つばめ』

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アベノミクス」を撃つ
カネをバラまくことで国も経済も救えない。


著者・林 紘義
全国社研社刊
定価=2000円(+税)
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「アベノミクス」を徹底批判

崩れゆく資本主義、「賃金奴隷制」の廃絶を
資本の無政府主義の横行闊歩そして蔓延する国家の無政府主義


著者・林 紘義
全国社研社刊
定価=3000円(+税)
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序 章=世界恐慌の勃発とその必然性 第一章=“株式”資本主義の横行とその「論理」 第二章=“株式”資本主義の“暴走”と堀江、村上“現象” 第三章=日本版“新”自由主義とその結末 第四章=“金融重視”政策のとどのつまり 第五章=銀行救済と「公的資金の投入」 第六章=歯止めなき財政膨張と近づく国家破産 第七章=“グローバリズム”と労働者階級 第八章=階級的闘いを貫徹し資本の支配の一掃を 

『「資本」の基礎としての「商品」とは何か』


著者・林 紘義
全国社研社刊
定価=1600円(+税)
●お申し込みは全国社研社または各支部・党員まで。

《全九回の報告及び講義のテーマ》
第一回 「資本」とは何か?
第二回 「冒頭の商品」の性格について
第三回 「労働価値説」の論証
第四回 「交換価値」の“質的”側面と貨幣の必然性
第五回 商品の「物神的性格」(“呪物的”性格)
第六回 貨幣の諸機能と“価格”(貨幣の「価値尺度」機能)
第七回 紙幣(もしくは“紙幣化”した――して行く――銀行券)とインフレーション
第八回 特殊な商品――労働力、資本、土地等
第九回 『資本論』(「商品」)と社会主義

林 紘義著作集 全六巻


著者・林 紘義
全国社研社刊
定価=各巻2000円(+税)
●お申し込みは全国社研社または各支部・党員まで。

第一巻=「労働価値説」擁護のために
第二巻=幻想の社会主義(国家資本主義の理論)
第三巻=腐りゆく資本主義
第四巻=観念的、宗教的迷妄との闘い
第五巻=女性解放と教育改革
第六巻=民族主義、国家主義に抗して


●1463号 2023年11月26日
【一面トップ】 台湾、経済安保で応酬
        ――一年ぶりの米中首脳会談
【一面サブ】  欺瞞的な政労使会議
【コラム】   飛耳長目
【二面トップ】 贖罪で虐殺を正当化するドイツ
        ――国連はガザ虐殺をジェノサイドと声明
【二面サブ】  来年も全国で育鵬社教科書の不採択を勝ち取ろう!
        ――採択阻止の前哨戦報告
※『海つばめ』PDF版見本

【1面トップ】

台湾、経済安保で応酬

一年ぶりの米中首脳会談

 11月15日、米カリフォルニア州サンフランシスコ近郊で悪化している米中関係改善のためとして、バイデン大統領と習近平国家主席との首脳会談が行われた。対話は4時間に及んだが、両国は自国の主張を述べただけに終わり、米中の関係改善の進展はなかった。

◇合意は偶発的衝突回避のための対話再開

 中国は昨年8月のペロシ米下院議長(当時)の台湾訪問に反発し、衝突回避のための軍同士の対話を中断した。さらに今年2月には米本土上空に飛来した中国の偵察気球を撃墜したほか、台湾海峡や南シナ海で両軍機が異常接近するなど緊張が高まっていた。会談では偶発的な軍事的衝突回避のために、国防当局や軍高官による対話再開で合意した。このほか、人工知能(AI)の安全性向上や気候変動、麻薬規制に関して政府間協議構築で合意した。

 米中両国は、台湾問題、貿易差額・半導体など先端技術の輸出問題、南シナ海・太平洋の覇権をめぐり対立し、近年この対立はますます激しくなり、緊張を激化させてきた。緊張緩和を目指した両国首脳会談で合意したのは、偶発的な軍事衝突回避やAIの安全性向上、気候変動への対応、麻薬規制といった本筋から離れた項目にとどまった。

◇平行線をたどった台湾、先端技術問題

 台湾をめぐってバイデンは台湾周辺での中国の軍事的行動は緊張と懸念を高めていると指摘し、「中国は戦略を考え直す必要がある」と主張、また来年1月に行われる台湾総統選挙に中国は介入しないようにすべきだと求めた。これに対して習は「米国は(武器輸出で)台湾を武装することをやめ、中国の平和的統一を支持すべきだ」と反論した。習は「平和的統一」という一方で「武力行使」がなされる潜在的な条件についても言及した。「核心的利益」としてきた台湾との統一は習政権にとって一歩も譲れぬ問題であり、米中の主張は平行線のままに終わった。

 一方、半導体など先端技術分野をめぐっては米中の争いは熾烈となっている。

 米国は、国家安全保障戦略で、中国を「国際秩序を変える意志と能力を兼ね備えた唯一の競合国」と位置づけている。そして半導体、蓄電池、重要鉱物、医薬品の4つの分野で、軍事転用の恐れがあるという理由で中国の製造能力を抑え込むために、昨年10月以降輸出制限を強化してきた。

 またEV電気自動車などに不可欠の蓄電池ではサプライチェーン全体で高いシェアを握る中国への対抗意識を鮮明にしている。米国は北米地域で組み立てられたEVのみを税制優遇の対象とするなど露骨な中国はずしを進めてきた。

 中国との経済的な結びつきを切り離し、弱体化させようという米国のデカップリング政策に対抗して、中国は半導体の材料に使われ、中国が世界的に高いシェアを持つガリウム、ゲルマニウム、リチウム関連の輸出規制強化を行っている。

 会談では習は「中国側の正当な利益を著しく損なっている」として、米国のデカップリング政策の廃止を求めたが、バイデンは先端技術が軍事転用されるのを防ぐ措置だとして「取り続ける」と強調、両国の主張はここでも平行線をたどった。米国にとってデカップリング政策は軍事的のみならず、経済的にも優位を保つための政策なのである。

 その他、イスラエルのパレスチナ自治区ガザ侵攻に関して、米国はイスラム組織ハマス等を支援するイランの介入でイスラエルとハマスの軍事衝突が中東全体に波及することを恐れて、習にイランが介入しないよう中国の影響力を行使するよう要請したが、中国からの賛同は得られなかったとみられると報道されている(朝日11・17)。

 バイデンはガザに軍事侵攻するイスラエルに対して「揺るぎない支援」を約束し、米国は国連安保理では戦闘の一時停止を求める決議案を拒否権行使で葬り去る対応を取るなどしてきたが、それはイスラエルが中東における米国の覇権維持のための役割を担っているためである。

 一方、中国はこうした米国をウクライナではロシアの侵略を非難しながら、中東ではイスラエルのパレスチナ抑圧を支援する欺瞞的な「二重基準」と非難してきた。しかし、中国は国内ではウイグル人民を抑圧しているように米国と同様の「二重基準」策をとっているのであり、米国も中国も同じである。

◇帝国主義の一掃なくして真の国際平和なし

 会談は米、中両国間の溝の深さを改めて明らかにした。ウクライナ、中東、中国の進出著しいアジアの3方面にわたる厳しい情勢に直面している米国にとって、中国との緊張緩和を図ることが会談の目的であった。一方、不動産バブルの崩壊、青年の失業の増加など経済不振に見舞われた中国にとって、貿易を拡大し、海外からの投資を呼び込み経済を活性化させることが当面の課題とされ、悪化の一途をたどってきた米国との関係改善が求められた。こうして米、中の首脳会談が開かれた。

 しかし、米国が望んでいた台湾や南シナ海、太平洋地域の〝緊張緩和〟、中東におけるイスラエルとパレスチナの紛争をめぐる中国の協力は何一つ実現せず、一方中国が望む、米国の先端技術の中国への輸出規制の撤廃等デカップリング政策の廃止、高関税による中国からの輸入規制廃止の要求は中国を強める恐れがあるとして拒否された。

 習は「この地球は中米両国を受け入れることが出来る。それぞれの成功は互いのチャンスだ」「双方が相互尊重、平和共存、ウィンウィンの協力関係を堅持するかぎり、完全に相違を乗り越えて、正しく付き合う道を見つけることが出来る」と訴えた。だが、米中が互いに自国の利益に固執して譲らなかった首脳会談における結果自体が、習発言が空文句であることを示している。

 米国と中国は互いに帝国主義大国として自国の利益拡大のために争っているのであり、両国の利害の対立は国際的規模で深化、拡大し、緊張は激しくなっている。帝国主義の一掃なしには国際社会の平和、協力はありえない。 (T)


【1面サブ】

欺瞞的な政労使会議

 15日に、政府と経済界、労働界の代表が協議する政労使会議が開かれた。岸田首相は経済界に、来年の春闘での今年を上回る水準の賃上げを要請した。労働者大衆の支持を失っている岸田政権は、賃上げを語って労働者の味方を装うのである。

 岸田は経済界への賃上げ要請のほか、中小企業の賃上げを支援する税制措置、「労務費」の適切な価格転嫁に関する指針をとりまとめるなどの方針を示した。

 しかし、「この税制措置は、そもそも全従業員4・7千万人の約7割を占める中小企業では、その6割の企業が赤字なのだから、その恩恵を受けることができない、また、労務費を価格転嫁すると競争に負けてしまうなどの現実があり、その実効性に疑問符が打たれている」(「日経ニュースプラス9」11・15)。

 これに応じて、経団連の十倉会長は、来年の春闘での賃上げは「少なくとも今は今年以上の水準を目指そうということで意気込みも、熱も、傾けている」と、いくらでも逃げを打つことができる言い方で、煙に巻いている。

 一方、連合の芳野会長は、賃上げにむけて、価格転嫁が重要だとし、岸田の挙げた「価格転嫁」や「指針」の取りまとめなど、中小企業の賃上げを推進する政策を要請した。芳野は、「政府も使用者も連合も賃上げに向けて、同じ方向を向いているということが確認できた」などと悦にいっている。

 芳野は、大企業が中小を踏みにじること無く価格転嫁されれば、中小の賃上げが可能であるかのように、労働者の関心を価格転嫁に向けようとしている。しかしそれは、非科学的な階級協調主義であり、労働者と資本との深刻な階級対立から目をそらさせるものだ。

 連合はすでに、来春闘に向けた統一方針を「5%以上」とした。今春闘の「5%程度」より表現を強めたが、さっそく経済界から「5%以上となると、なかなか難しい」と釘を刺され、根源的な労使の対立が浮き彫りになっている。

 このように政労使会議は、労使が欺瞞的に賃上げを謳い、岸田の人気取りに協力するものだ。労働者大衆をたぶらかす以外の何物でも無い。

 今年の大企業の賃上げ率は3・99%であり、芳野の鼻も高いのであるが、実際の消費者物価は、これを上回っており、実質賃金は物価上昇に追いついていない。

 大企業でさえこんな状況である。それ以下の賃金上昇率である中小企業の大部分の労働者の賃金は物価上昇に追いつかず、去年からの物価上昇で労働者の悲惨な状況に拍車がかかっている。

 労働者全体では、実質賃金は1991年から22年までで1・03倍と全く伸びていないことに、そのことが現れている。労働者が岸田を支持し得ない要因の一つだ。

 岸田は、「デフレ完全脱却のための総合経済対策」(11・2)で、「デフレ脱却を確実にするため、賃上げが物価高に追いつくまで支える」(10・23)と言い、日銀植田総裁も「国内の賃金と物価が好循環で回っていくかを見極めたい」(11・2)と言うが、良くて「物価高に追いつくまで」で、しかも、これまでの物価上昇分は補填できない。

 岸田は「物価高」に対応すると言うが、他方で「デフレ脱却」のためにと、2%のインフレを持ち出しているのである。しかし労働者にとっては2%のインフレでも物価高は生活難に直結する。たとえ賃上げされても後追いにすぎない。

 そもそもブルジョアジーは、賃金が上がると、企業の利益が減り、企業活動に支障を来すと言って、賃上げを抑制してきたのだ。岸田の賃上げ要請は、全くの茶番劇だ。

 労働者と資本家との利益は根本にて対立している。労働者は階級的な団結した力で資本家と闘い賃上げを勝ち取り、さらに賃金制度の廃止を目指す闘いへと、闘いを発展させなければならない。 (佐)


   

【飛耳長目】

★徴兵されたロシアの兵士たちが列を成している。どの顔も無表情だ。これから戦場へ送られる緊張感と寂寥感が伝わってくる。そこへ、突然、ひとりの母親が自分の息子の元へ近寄っていく。母親が息子に触れる、そしてそっと抱きしめる。他をはばかりしばし無表情だった息子も、徐々に顔を崩し、目に涙を浮かべる★いつの世の戦争も、戦場へ送られるのは若い労働者たちである。戦争を始めた支配者たちは「祖国のために」と彼らを鼓舞しながら、自らは暖衣飽食し、ふかふかのソファーにふんぞり返っている★チェコ・プラハ駅にニコラス・ウィントン(英)が救ったユダヤ人の子ら699人の記念碑がある。そのイスラエルがガザ地区で5500人の子供を殺した。そして今、ガザ最大の医療機関シファ病院を攻撃し新生児や患者40人を殺し、多くの人を死の淵に追い込んでいる★イスラエルは病院地下にハマスの拠点があるとしたが、そこには既にハマスはおらず、明確な痕跡は残っていなかった。ハマスのテロは結局パレスチナ人に甚大な被害(死者1万数千人)を与える口実となり、イスラエルは彼らの撲滅を名目にガザを廃墟と化した。かってユダヤ人が国を追われたように、まさにそのことをパレスチナ人に強いている。イスラエルは即刻戦争をやめよ! (義)


【2面トップ】

贖罪で虐殺を正当化するドイツ

国連はガザ虐殺をジェノサイドと声明

 ハマスの10・7急襲攻撃後、ショルツ独首相は10月12日独連邦議会で演説し、「われわれの歴史、ホロコーストに対する責任から、イスラエルの存続と安全のために立ち上がることは永続的な使命だ」と述べ、断固としてイスラエルを支持する考えを示した。連邦議会も全会一致で「イスラエルの安全はドイツの国是だ」と、イスラエルへの連帯決議案を可決。ドイツはイスラエルを無条件に擁護する。なぜか?

◇イスラエルを支えNATOの中心となった西独

 1948年のイスラエル建国から西ドイツは、イスラエルに対する軍事的、経済的援助を中心に関係を強化した。東西冷戦の下で西ドイツは建国間もないイスラエルに対して、ホロコーストに対する賠償として、52年ルクセンブルク補償協定で34億5千万ドルを現物で支払うことに合意した。国家予算の四分の一の軍事費に補償の一部は姿を変え、アラブ諸国との戦争に明け暮れるイスラエルを支えてきたのである。イスラエル建国によってパレスチナを追われた難民の補償にも回すべきという要求に対して西ドイツは、難民問題とユダヤ人迫害を分離する立場をとった。

 55年に主権を回復した西ドイツは、東西冷戦によるソ連の脅威に対抗する必要から再軍備とNATO加盟が認められた。西ドイツは60年に世界第2位の経済大国となり、東西冷戦下の西ドイツは49万の兵力を持つNATOの中心的軍隊として西側帝国主義陣営を経済的、軍事的に支えてきたのである。

 イスラエルとは、57年に秘密裏に武器供与に合意。武器供与ばかりか、両国軍隊の共同訓練、イスラエルの武器購入の代金を西ドイツが肩代わりするなど、ドイツを介した武器調達が続いた。

◇排外主義と闘えないショルツブルジョア政権

 ドイツは移民を積極的に受け入れ、2019年までに世界2位の1300万人の移民を受け入れているがその根本的理由は、深刻な労働力不足というブルジョアジーの要求があるからに他ならない。しかし移民や難民の増加は、失業率が高く発展から取り残された旧東ドイツにおいて難民や移民に対する排外主義的なネオナチ勢力の政治的進出を生み出している。

 10月8日に行われたバイエルン州議会選挙では、「キリスト教社会同盟」(地域政党)が37・0%の得票を得て第1党になったが、ネオナチ政党と言われる「ドイツのための選択肢」(AfD)は前回より4・4ポイント伸ばし14・6%で第3党になった。ショルツ政権与党はいずれも得票を大きく減らした。25日に行われた旧東ドイツの人口6万人に満たないゾンネベルク郡の首長には、AfDの候補が選出された。

 景気後退(GDPは昨年10~今年3月まで連続してマイナス)やウクライナ侵攻による物価高騰、24年から石油ガス暖房機の使用禁止等による負担増、難民の増加に対する反発は、AfDに対する支持(6月の支持率は19%で第2党)となって表れている。

 ネオナチ政党は移民や難民によって仕事を奪われる労働者の反発や、困難な生活に喘ぐ労働者大衆のショルツ政権に対する怒りを、ポピュリズムと排外主義(容易に反ユダヤ主義に転化する)的な主張で取り込み、支持を伸ばしている。ショルツ政権は反ユダヤ主義とは闘うが、排外主義政党の政治的影響力の拡大を阻止することは出来ない。

◇戦争を仕掛けるイスラエル 繰り返されるガザ虐殺

 ドイツはハマスの軍事テロに対して、ハマスを称賛する街頭活動に関わっている親パレスチナ団体の活動を禁止し、ガザ虐殺を推し進めるネタニヤフに対して「イスラエルの安全はドイツの国是だ」とイスラエルとの一体化を改めて宣言した。

 ハマスの軍事テロに対してドイツ国内のアラブ系住民のハマスを支持する自然発生的な抗議運動が燃え上がった。ドイツに定住するアラブ系住民にとって、イスラエルは同胞であるパレスチナ人の抹殺を進める虐殺者そのものだからである。アラブ系住民は米国やイスラエルによって国を追われ、難民として定住したドイツでは、差別され都合の良い労働力として搾取される対象でしかないからである。

 軍事帝国主義国家としてイスラエルは、4回にわたって中東各国と戦争を繰り返して来た。

 スエズ運河の権益確保を目論む英仏とエジプト・ナセル政権打倒でイスラエルが手を組んだ第二次中東戦争は一方的な侵略戦争であり、イスラエルが先制攻撃を仕掛けた第三次中東戦争(67年)では僅か6日間でイスラエルが勝利し、現在もゴラン高原やヨルダン川西岸、ガザ地区を占領している。

 これらはイスラエルから仕掛けた戦争で、いずれも領土拡張と相手国の軍事力解体を狙った戦争である。

 イスラエルは強力な軍事力の一方的行使を何らためらわない、イスラエルはホロコーストの被害者であることを免罪符に、パレスチナ人やアラブ諸国への軍事力行使を正当化するのである。

 ドイツがイスラエルに対して果たしてきた役割は、米国と何ら変わることは無い。米国が中東における帝国主義的権益のパートナーとしてイスラエルに巨額な軍事的、経済的援助を行ってきたように、ドイツもイスラエルと「特別な唯一無比の関係」(メルケル前独首相)と表現しながら軍事的、経済的な関係を継続してきた。

 ユダヤ人の抹殺を図ったホロコーストと、パレスチナ人民に対するジェノサイド・ガザ虐殺に違いはない。16日に「国連専門家は国際社会に、パレスチナの人々へのジェノサイドを防止するよう求める」声明を出した。

 しかし、イスラエルのパレスチナ人に対する虐殺は56年のカフル・カーセム虐殺を筆頭に、ガザに対しては2014年にイスラエル軍によるガザへの大規模な軍事侵攻で、450人の子どもを含む、2200人以上が殺害された。21年5月には11日間にわたって空爆が続き、子どもを含む約2500人が死傷した。今回のガザ虐殺ではすでに17日時点で11078人のパレスチナ人が殺害されている。

◇未来は労働者が創る!「永久の責任」や「人間的未来」を支配階級が語る資格はない!

 ドイツではアラブ系住民による抗議行動を反ユダヤ主義と断じて非合法活動としながら、ネタニヤフによるジェノサイドを容認し、「即時停戦」はハマスの利益になるから反対だと、ショルツ独首相は地方紙主催の討論会で答えた。

 9日に行われた国連人権理事会では、レバノン、カタールからは「表現の自由と集会の自由を守るように」に釘を刺された。〝どの口が言うか〟というドイツに対する非難にも満足に反論もできない。

 08年のイスラエル建国60周年にイスラエルの国会でメルケル前首相は演説で、「ドイツの歴史の中の道徳的な破局について、ドイツが永久に責任を認めることによってのみ、我々は人間的な未来を形作ることができます」と首を垂れたが、イスラエルもドイツも軍事国家、帝国主義国家として本質的には共通の立場に立っているのである。

 EU盟主であるドイツはGDP3位の経済力、技術力を誇る。これまでの〝負い目〟を捨て軍事力の増強(GDP2%)に舵を切り、世界4位の武器輸出を促進しようとしている。ドイツは帝国主義国家である。

 労働者の立場は、資本の支配を打倒する闘いである。その中でパレスチナ、イスラエル労働者との民族的、宗教的な違いを克服した、労働者としての連帯を実現することである。未来を代表する階級である労働者階級だけが未来を語ることが出来る。 (古)


【2面サブ】

来年も全国で育鵬社教科書の
不採択を勝ち取ろう!

採択阻止の前哨戦報告

 去る 11/6、私もそのメンバーとして参加している「教育の問題を考える東予の会」(以下「東予の会」と記す)は新居浜情報公開審査会(以下「審査会」と記す)にて意見陳述を行った。

 2015年に「東予の会」は新居浜市教育委員会に情報公開請求(教科書採択手続き変更に関する公文書を公開せよ)を行ったが、「不存在」と却下された。それを不服として新居浜市情報公開審査会に審査請求を行ったものである。分かりやすく裁判に例えれば、第一審で敗訴し、第二審に持ち込んだ形である。

 さて、我々が問題にした採択手続きの変更とは「私の評価表」(=現場教師の採択に関する意見書)そのものを削除したことである。

 全教員に対象教科書の検討を義務づけ、意見を記入する教委作成の書式「私の評価表」(第一位、第二位の教科書会社名とそれぞれ10項目にわたる観点を記載する)を廃止し、各校長作成の「学校の評価表」のみの作成に変更。その「学校の評価表」は順位無し上位2点のみで観点記載なし、となった。校長の恣意的な判断がなされても検証ができない。「私の評価表」廃止後、各教員は教科書展示会での各教科書についての評価をどんな形で表現してきたのか。

 中学校では各教科の免許を持った教師が担当する教科書をその専門性で評価し、「私の評価表」ではない何らかの文書を作成し、教務主任や校長との協議に臨んだか、それとも口頭のみで意見具申したかは不明であるが、中学校長は各教科全ての免許を持っているとは現実には考えられず、その際「専門性」はどう担保されて「学校の評価表」が作成されているのか不明である。

 教育委員会は答弁書で「私の評価表」はメモ書きの性質で廃止しても問題ない、廃止は重大なことではないと言っているが、納得できない。十分な調査研究や審議を尽くす観点から、「私の評価表」は拡充されても、無くしてしまうことは考えられない。「学校の評価表」が上位2点のみで観点記載なしで済んできたのは、「私の評価表」が評価項目を記した選定理由を伴ったものであるからこそ、結果だけの記述で済んでいるということだ。小中学校教員の意見の肝心なものは「私の評価表」だったことを示している。

 選択理由が検証できない「学校の評価表」のみを採択委員会に提出となった。如何なる観点で数種類(歴史なら8社)から2点を選んだかの後付けがそもそもできないように改悪されている。採択資料としては「学校の評価表」だけでは内容的に不十分である。「私の評価表」を廃止したことは誤りであり、その処分(廃止した行為)を行った経緯は検証されなければならない。陳述の概要は以上であった。

 過去三回の採択を見てみると、育鵬社教科書の全国占有率は中学歴史で2011年3・7%、15年6・4%、20年1・1%と大きく減少した。中学公民では同、3・8%、5・8%、0・4%。

 特に神奈川県横浜市は全国シェア 2・4%で、20年に歴史は育鵬社から帝国書院に、公民も同社から東京書籍に変更したことが占有率減少に寄与した。全国の市町村で学習会、宣伝、署名、教育委員会への申し入れ、会議の傍聴など、工夫ある取り組みが継続して積み重ねられてきた。また愛媛県新居浜市での行政裁判(採択委員会議事録が採択結果しか記載されておらず、審議内容が不明では行政の説明責任が果たされていない、不当だとの訴え)では高松高裁での控訴審まで争われた。

 裁判では敗訴(説明責任の欠如という原告の意見は認めるが、行政の裁量の範囲内だ)したが、採択委員会議事録は発言者、発言内容が記載されるよう改訂され、実質的には訴えが実現された。

 採択経過を一定明らかにさせた取り組みの成果の影響もあって、20年は新居浜市や県都松山市を含む4採択地区で、前回採択の育鵬社が不採択となった。ただ、21年菅政権で、維新の会の質問主意書の内容を受入れ、育鵬社以外の教科書で記述内容の「育鵬社化」が行われ、「従軍慰安婦」「強制連行」「強制労働」などの用語削除や修正が行われた。

 その根拠とされたのが、「検定基準改定の1項目」で、「閣議決定その他の方法により示された政府の統一的な見解に基づいた記述がなされていること」である。時の政府の見解で教科書の記述内容を左右できる政治は、オーウェルの「1984」の世界に限りなく近い。

 日本をはじめ世界の資本主義国家にとって、資本の利益のために「命を投げ出すことのできる兵士の存在」は必須である。戦前日本では学校教育がそのために大いに利用され、戦後も特に安倍政権で教育基本法改悪や歴史修正主義教科書の採択推進がなされた。

 安倍亡きあとも、教育反動化が現在進行中であることは周知の事実である。来年は4年に一度の教科書採択年である。育鵬社版をはじめとする歴史修正主義教科書採択阻止を勝ち取り、軍国主義教育に抗する闘いを全国で広げよう。軍拡に活路を見出す自公政権の支配を打ち破る闘いに発展させよう。 (愛媛FY)