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労働の解放をめざす労働者党機関紙『海つばめ』

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アベノミクス」を撃つ
カネをバラまくことで国も経済も救えない。


著者・林 紘義
全国社研社刊
定価=2000円(+税)
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「アベノミクス」を徹底批判

崩れゆく資本主義、「賃金奴隷制」の廃絶を
資本の無政府主義の横行闊歩そして蔓延する国家の無政府主義


著者・林 紘義
全国社研社刊
定価=3000円(+税)
●お申し込みは全国社研社または各支部・党員まで。

序 章=世界恐慌の勃発とその必然性 第一章=“株式”資本主義の横行とその「論理」 第二章=“株式”資本主義の“暴走”と堀江、村上“現象” 第三章=日本版“新”自由主義とその結末 第四章=“金融重視”政策のとどのつまり 第五章=銀行救済と「公的資金の投入」 第六章=歯止めなき財政膨張と近づく国家破産 第七章=“グローバリズム”と労働者階級 第八章=階級的闘いを貫徹し資本の支配の一掃を 

『「資本」の基礎としての「商品」とは何か』


著者・林 紘義
全国社研社刊
定価=1600円(+税)
●お申し込みは全国社研社または各支部・党員まで。

《全九回の報告及び講義のテーマ》
第一回 「資本」とは何か?
第二回 「冒頭の商品」の性格について
第三回 「労働価値説」の論証
第四回 「交換価値」の“質的”側面と貨幣の必然性
第五回 商品の「物神的性格」(“呪物的”性格)
第六回 貨幣の諸機能と“価格”(貨幣の「価値尺度」機能)
第七回 紙幣(もしくは“紙幣化”した――して行く――銀行券)とインフレーション
第八回 特殊な商品――労働力、資本、土地等
第九回 『資本論』(「商品」)と社会主義

林 紘義著作集 全六巻


著者・林 紘義
全国社研社刊
定価=各巻2000円(+税)
●お申し込みは全国社研社または各支部・党員まで。

第一巻=「労働価値説」擁護のために
第二巻=幻想の社会主義(国家資本主義の理論)
第三巻=腐りゆく資本主義
第四巻=観念的、宗教的迷妄との闘い
第五巻=女性解放と教育改革
第六巻=民族主義、国家主義に抗して


●1464号 2023年12月10日
【一面トップ】 破綻した万博を取り繕う維新と自民
        ――責任逃れの維新を自民もろとも打倒しよう
【一面サブ】  日銀10・5兆円の含み損!!
        ――アベノミクス破綻の歴史的瞬間
  【コラム】  飛耳長目
【二面トップ】 軍拡に狂奔する岸田政権打倒!
        ――再び沖縄の戦場化を推進
【二面サブ】  混迷を深めるミャンマー
        ――疲弊する国軍支配
※『海つばめ』PDF版見本

【1面トップ】

破綻した万博を取り繕う
維新と自民

責任逃れの維新を自民もろとも打倒しよう

 2014年8月、「大阪維新の会」橋下は25年に「大阪万博」の構想を発表し、同時にIR誘致も「大阪都構想」の住民投票に向けた政策として発表した。大阪都構想は2度の住民投票で否決され実現しなかったが、万博は18年11月23日の博覧会事務局総会でロシアを92対61で破り、25年開催が決定した。その後、コロナ禍など未曾有の危機もあったが、維新も自民も衰退し他人任せの無責任がはびこる日本を象徴するかのように、パビリオンの建設すら始まらない「夢洲」に、万博を権力維持のためだけに、労働者・生産者から搾り取った労働の結晶である税金を万博につぎ込み、開催にこぎつけようといる。

◇維新と安倍が結託して実現した万博に
        高まる不信と増える工事費

 70年大阪万博は「人類の進歩と調和」をテーマに掲げた。今回の万博テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。大阪市のHPは開催目的を「万博には、人・モノを呼び寄せる求心力と発信力があります。この力を2020年東京オリンピック・パラリンピック後の大阪・関西、そして日本の成長を持続させる起爆剤にします」と謳う。70年万博から55年経過した25年開催の万博の目的は「ヒト集めと成長の起爆剤にする」と語ること自体、日本資本主義の行き詰まりを明らかにしている。

 25年万博は大阪で圧倒的な政治的影響力を持つ維新(当時は大阪維新の会)橋下らの主導のもとに、安倍と結託し〝維新の万博〟として進められてきた。しかし万博開催が危ぶまれる中で出てきた維新の責任逃れの態度は、万博誘致の目的の不純さを明らかにした。

 最近の世論調査では、維新支持者ですら65・7%が不要、必要が33・1%(産経11・20)。建設費増加に納得24%、納得できないが69%(読売11・19)の結果が出た。

 8月31日、岸田は関係者会合で「万博の準備はまさに胸突き八丁の状況にある。極めて厳しい状況に置かれていることを直視しなければならない」、「開幕に間に合わせるため政府が前面に出て支援に乗り出す」と危機感をあらわにしたが、マスコミが報道しているように、外国のパビリオン建設は一件の着工もなく、撤退する国も現れている。

 建設費は当初の1250億から2350億に膨れ上がった。11月27日にはさらに追加の費用として警備費や途上国の出展支援費用、機運醸成費などに837億円が必要になると国会で答弁された。他に道路整備、地下鉄、上下水道、電気、地盤改良などもあり、軽く1兆円突破は確実である。

◇労働者に工事の遅れを押しつけるな

 工事の遅れから「いのち輝く未来社会」を掲げる万博工事で、4月から始まる建設業界への時間外労働上限規制(月45時間、年360時間)を万博工事に適用しないよう政府に要請したと報じられた。自民の大阪・関西万博推進本部の会合で「災害と思えばいい」と、自らの責任を棚に上げて、工事の遅れを労働者の苛酷労働で乗り越えようとする策動が始まったが、断じて認めることは出来ない。

 今後、自民党や維新、資本家団体が「日本の国際的な信用を守るため」などと称して突貫工事に駆り立て、協力しない労働者や組合、業者を〝国策万博〟に非協力的だとするキャンペーンで孤立・屈服させて、目的を実現しようと策動する事も考えられる。労働者の闘いへの弾圧は維新が大阪で行ってきたことである。

◇財政調整基金は万博穴埋め金と違う

 維新横山大阪市長は、万博建設費が増額した結果、大阪市民の負担が一人当たり1万9千円に増えることを「重く受け止める」と市議会で発言した。それに対して、大阪市長として万博招致の旗振り役を務めた橋下は、「国と違って大阪市には十分な積み立て金があるし、これまで途方もない改革で負債を減らしてきた。市民サービスの充実も物凄い。負担以上の経済効果を考えれば謝る必要はない」と、横山市長に苦言を呈した。

 確かに大阪市の財政調整基金は23年度末で2452億円(大阪府399億円)であり、横浜の370億円、名古屋の195億円と比較しダントツである。これは交通局の民営化など市役所職員のリストラ、外部委託、保健所などの統廃合という、日産に乗り込んできたゴーン同様のリストラ合理化を、市職員等を〝既得権者〟として悪者に祭り上げて、歳出削減を進めた結果である。

◇万博は国の行事と逃げる維新

 昨年の大阪市議選、府議選で単独過半数を維新は獲得し、市長、知事選でも「万博誘致は維新の功績」とアッピールし圧勝した。舌の根も乾かぬ7月に維新馬場代表は、維新と自民の関係は「第1自民党と第2自民党でいい」と突然言い出し、「万博というのは国の行事、国のイベントなので、(遅れが)大阪の責任とかそういうことではなしに、国を挙げてやっている」(デジタル朝日9・2)と、維新に責任はないと言い始めている。

◇万博・IRの維新政治は利権政治

 維新は先月29日には岸田内閣が提出した補正予算案に初めて賛成。ポピュリズム政治でファシズムの鎧を覆い隠す維新政治の無責任さを、万博開催危機は暴き出した。維新代表の馬場は「反共」で労働者の闘いを憎悪する人物で、社会福祉法人の〝乗っ取り疑惑〟(文春オンライン8・31号)を報じられるような品行下劣な政治屋でしかない。

 万博会場夢洲は万博終了後、IR施設を建設・開業する予定。その後は年間売上5200億円、経済波及効果1兆1400億円を〝夢想〟し、その権益から分け前にあずかろうと橋下、松井、馬場ら維新の政治屋は電卓をたたいているが、「令和5年度大阪IR第3回説明会」でIR事業者の要求通り、違約金無しの「解除権」が26年9月まで3年間延長された。

 維新が大阪府・市の財政を維新の政治的目的と利権のために流用することを許してはならない。馬場は〝君は「第1自民党」僕は「第2自民党」〟でいいと、信念なきポピュリズム政党であることを自ら告白した。

 維新の責任逃れを許さず、〝身を切る改革〟で労働者に犠牲を強い、利権政治に突き進む維新を自民党もろとも権力の座から放逐しよう! (古)


【1面サブ】

日銀10・5兆円の含み損!!

アベノミクス破綻の歴史的瞬間

 22年度上半期の決算にて、日銀は保有国債に8749億円の「含み損」があることを認めていたが、その後わずか1年で10・5兆円に膨らんだ。我々は近いうちにこうした事態が発生することを予想していたが、それが一気に訪れた。

◇「含み損」発生は必然

 日銀の保有国債の「含み損」は、日銀が購入した国債の価格(簿価)が市場利回りの上昇によって下落し、市場価格(時価)で見るなら損失を被っていることから生ずる。

 今年の上半期時点で(9月)、日銀は586・9兆円と過去最大の国債保有を記録している。日銀が保有する国債は短期(1年以下)の他に、中期(2~5年)・長期(10年以上)であるが、10年国債が全体の5割を占め、20年国債が2割であり、10年と20年物で全体の7割を占めている。

 これらの国債購入時の簿価を9月時点の市場価格である時価と比較するなら、10兆円超のマイナスになっているのだ。国債保有額(簿価)に対する「含み損」の比率は1・8%にも達している、それだけ、長期国債の市場利回りが上がり市場価格が下落していること、また日銀が国債の表面価格より高値で市場から買っていたことを意味する。

 日銀は安倍の「アベノミクス」を支えようと国債を買いまくったが、少しも「景気」は良くならず、思案のあげく16年に「マイナス金利政策」(日銀当座預金の「付利」をマイナス0・1%に引き下げた)を導入した。ところが、直後に長期金利がマイナス0・3%に一気に下落し、慌てた日銀は策を弄して10年国債の金利を中心に管理する方向に転じたが、19年にも同程度にまで長期金利は下落していたのである。

 そうした金利水準から、最近の1%超を容認した金利水準を比較して推計するなら、日銀が強引に購入した国債の簿価より10兆円もの「含み損」が出ているのは当然であろう。

◇日銀は信用を喪失する!

 民間企業や銀行なら、決算時点の時価評価にて保有債券に差損が発生した場合には欠損として計上し、それらを何らかの手段によって補填する。ところが日銀は時価評価をしていないから問題ない、何も対策する必要はないと言うのだ。

 実際、日銀の植田は去る9月の講演会にて、国債に多額の「含み損」が発生していることを前提に、さらに、「日銀収支が一時的に赤字や債務超過になっても、政策運営能力は損なわれない」と述べているが、そんな確信が本当にあるのか?

 昨年初め、米国やスイスやその他の国の銀行で、金利上昇による債券価格の下落によって、「含み損」が発生し、信用不安が駆け巡り破綻が相次いだ。中央銀行は民間とは違うから問題ないかに振る舞う植田は総裁としても学者としても失格ではないのか。

 国債の「含み損」を会計に計上せず、また国債を売却しないから実際の欠損にはならないといっても、「含み損」は解消されず、今後金利上昇局面を迎えるなら日銀はさらに窮地に陥り、日銀に対する不信は増幅し、日銀の信用が失われる。そうなれば、国債や日銀券(通貨)に対する信用も失われる――国債や通貨がある限り常に起きることではあるが。

 こうした危機的状況を招いたのは、自公政権のみならず、「アベノミクス」を賛美してきたリフレ派やMMT派の学者共であり、それに追随してきた野党(れいわや共産ら)である。どう責任を感じ総括するか! (W)


   

【飛耳長目】

★「税逃れ」が横行している。外形標準課税は、赤字企業でも資本金1億円超であれば課税されるが、資本金の超過分を資本剰余金に名目変更すれば「税逃れ」ができる。04年の導入時の課税企業は3分の2に減り、総務省は11月、資本剰余金も含む新基準を示した。中小企業団体は猛反対だ★「税逃れ」の本命は大企業だ。トヨタは09年から5年間法人税を納めていない。法人税は法人所得に課されるが、10年前までの赤字の繰越しができ、外国子会社からの配当は95%が所得控除される特例を適用した結果だ★法人の「税逃れ」には租税特別措置の80項目があり、総額年2兆円にもなる。この措置は経済振興などの政策目的で減免するもので、研究開発投資の2~14%を税額控除する制度では、総額6527億円。トヨタは21年度1・1兆円の投資で666億円減免された★「税逃れ」のチャンピオンは何と言ってもソフトバンクだ。18年に1兆円を超す純利益を出しながら法人税はゼロだ。16年に3兆3千億円で買収したIT企業のアーム社の株価下落で1兆円超の評価損が出たことを利用し、合法的に赤字法人にしたのだ★AIバブルの現在、アーム株の評価額は買収時の約3倍10兆円にもなる! 労働者を踏み台にした資本主義の寄生性、投機性は深まるばかりだ。 (Y)


【2面トップ】

軍拡に狂奔する岸田政権打倒!

再び沖縄の戦場化を推進

 岸田自公政権は、沖縄・奄美に中国を仮想敵国としたミサイル関連軍事基地の建設を推し進めてきた。ここにきて軍事費を倍増させ、さらに急ピッチで危機を煽りながら琉球列島の軍事要塞化を進め戦争準備にまい進している。

◇軍隊が大きな顔をする世の中

 政府・防衛省は、北朝鮮の人工衛星発射を口実に、オオカミ少年のごときJアラートであたかも弾道ミサイルが飛来するかのデマをも流して、迎撃用ミサイル部隊を配備するなど、何でもありだ。

 自衛隊法103条(「防衛出動時における物資の収用等」)は、指定公共機関とされている空港・港湾やフェリーなどの船舶・交通機関(および労働者)を、戦時には徴発・徴用することが定められており、軍事化は有無を言わさず、か。憲法と整合しない法律でも「法の下の支配」というわけだ。

 また、敵基地攻撃能力(長距離ミサイル)の保有は、「攻撃は最大の防御なり(先制攻撃)」が起きる危険性を生じさせるだろう。

 与那国や宮古・八重山諸島などでは戦場化を前提に基地司令部の地下化のほかに、住民用の避難シェルターも造るとか、全島避難をも検討しているという。

 だが、シェルターの上の住宅や町は破壊されても仕方ないというのか?また、「有事」勃発の際の全島避難など事実上不可能であろう!それは、「住民を守る」という防衛省のポーズでしかなく、結局、住民は戦場の中に捨て置かれるほかないであろう!

 そもそも、5年で43兆円という巨額の軍事費は、GDPの2倍余の借金を抱える国のすることではなく、国民生活を犠牲にしなければできない相談であろう。

 戦争の反省を忘れ、沖縄を再び戦場にする事を平然と推進する危険な政権はいらないし、国際世論を動かすほどに大衆行動を発展させ、打ち倒すほかない!

◇台湾有事けしかける自民タカ派

 自民党副総裁の麻生が8月に、台湾で講演して、台湾有事で「戦う覚悟」が求められていると、無責任で、異常ともいえる発言をしている。21年末には、元首相安倍が台湾側に「台湾有事それは日本有事であり、日米同盟の有事でもある」と語り、台湾がいまだに日本の〝植民地〟であるかだ。

 自民党のタカ派として知られる故安倍や麻生らは、日中平和友好条約の下での「一つの中国」という政治的枠組みがありながら、台湾に中国との対立をけしかけ、日本の軍事力増強を図ろうとしている。

 琉球列島を不沈空母として軍事要塞化しようとする自公政権は、米国と台湾独立派を利用しながら再び軍事大国を目指し、東シナ海や南シナ海などでの覇権を妄想するまでになっているのである。

◇自公政権を追認する司法機関

 先般、最高裁は、辺野古新基地建設をめぐり国土交通相の「是正指示」の取り消しを求めた沖縄県の訴えを棄却した。県と国の訴訟は立て続けに県の敗訴が続いている。

 最高裁は、地裁・高裁に政権寄りの裁判官を送り込んでおり、安保・自衛隊関連の訴訟は当然のごとく門前払いだ。日本の司法は、米国のトランプ大統領と同様な、反動的な裁判官の増強を自民党長期政権下で数十年も前からやってきたからである(PRESIDENT・2016年1月4日号 辺野古代執行訴訟「国が勝つことは決まっている」黒木亮)。

 司法は県の訴えを棄却したが、近年自衛隊は米軍基地内で共同訓練を続けており、政府・防衛省は将来的には辺野古新基地等の自衛隊基地化を狙っているのは疑いない。

◇戦争を知らない沖縄の若者が狙われている

 悲惨な沖縄戦から78年、その記憶も薄れつつある近年、自衛隊(新日本軍)に入る沖縄出身の若者は毎年200人余もいるという。

 その動機は「災害派遣の現場で活躍する自衛官を見て、人を助ける仕事がしたくて」、「小学校のころ自宅近くで不発弾が見つかり、自衛隊が速やかに処理してくださり、そのかっこいい姿を見て自分も人助けがしたい」などの理由を挙げている。

 憲法で戦争を放棄した敗戦後に、再軍備派が自衛隊認知に向けた「宣撫工作」としての被災地への「災害派遣」が効を奏したかである。

 だが、自衛隊の教官は「自衛隊の本来の仕事は国防(戦争)」であることを明言して、戦争訓練の片手間でする災害派遣などが任務ではなく、戦場で「敵を殺す」こともできるかと問い詰めるのである。

 さらに、体で覚えさせる訓練によって、命令に従うことに慣れさせ、自民党政権が考える、憲法や法律、そして日本をとりまく国際情勢などを徹底して刷り込むのである。

 そして、訓練終了ごとに教官の訓示があり、「沖縄県出身の人たちが沖縄を守ること、沖縄をとりまく安全保障環境の厳しさや日本の防衛上重要な場所にある沖縄を守る必要」と繰り返し叩き込まれるのだ(NHK「誰が島を守るのか」)。

 自衛隊(新日本軍)は沖縄を再び「捨て石」にすることを公然と要求して、日本民族主義に立つ哀れな兵士を作り上げようというのである。

 かくして、人助けをしたかった善良な若者を、自民党政権(資本家階級)の兵士として「敵」国の兵士と殺し合いをさせようというのだ。

◇国際主義の旗を掲げて闘おう

 労働者階級は国境の内外を問わず仲間である。「万国の労働者は団結せよ!」こそが世界の労働者階級のスローガンだ!

 大衆行動を発展させ、それぞれの国の労働者階級は、国民を戦争政策に引きずり込もうとする自国の資本家階級の政府を倒すためにこそ闘わなければならない!これが戦争の悲劇を阻止していくことに繋がるのである。

 11月23日に、「沖縄を再び戦場にさせない県民の会」主催の「11・23県民平和大集会」が開催された。我々はビラを準備して、集会に結集した仲間に二千枚を配布した。集会は約1万人が参加したが、組織労働者は一部の教組や県職労等少数であった。まだまだ現役労働者の怒りの声が「沖縄を再び戦場にさせない」闘いに届いていない。資本の搾取と闘うと共に、反軍闘争に立ち上がり、世界の労働者と連帯していこう。 (沖縄発)


【2面サブ】

混迷を深めるミャンマー

疲弊する国軍支配

 ミャンマー北東部で今年10月27日、少数民族武装3勢力が共闘し国軍への攻撃を始めた。さらに2021年のクーデターに反発して国軍に対する武装抵抗を進めている民主派勢力も連携し、攻勢を強めている。

◇クーデター以降の政治状況

 国軍は21年2月1日、国民民主連盟(NLD)スーチー政権が圧勝した2020年11月の総選挙に不正があったと主張し、総選挙後初の国会が召集されスーチー政権の継続が決まる日に軍事クーデターを起こし、国家の権力を掌握した。スーチー国家顧問やウィンミン大統領らが国軍に拘束され、軍事政権は非常事態宣言を出した。

 これに対しNLDは、国軍の特権を認めた現憲法の廃止を21年3月末に宣言、4月に国軍に対抗する国民統一政府(NUG)を発足させ、5月には国軍の弾圧から市民を守るための組織として国民防衛隊(PDF)を設立した。NLD側の抗議活動・抵抗運動に対し、国軍・治安部隊は無差別に発砲し弾圧している。殺害された民主派活動家と市民は4175人に上る(「政治囚支援協会」23年11月7日)。

 軍事政権は、当初、非常事態宣言を1年間とし、23年8月には自由で公正な複数政党による総選挙を実施するとした。しかしその後、民主派の武力闘争は続き、非常事態宣言は半年毎に延長され、今年7月31日に国軍はさらに半年の延長を発表した。しかし国軍は、圧倒的な武力弾圧でも軍に抵抗する民主派勢力を鎮圧することはできていない。

 スーチーらは、禁固刑によって拘束され、その他の多くの政治活動家も収監されたままである。また、政治活動は厳しく監視され、民主化運動は弾圧され、政党活動が制限されている。スーチーは言いがかりのような罪で訴追され、昨年末までに計33年の刑期が言い渡された。スーチーは今年7月には、ネピドーの刑務所の収監から、官舎に移され軟禁されている。

 国軍に反発する市民を懐柔する狙いがあるのであろうが、しかし、民主派の武装闘争は、すでにスーチーの影響力を超えたところにまで進んでいると言える。

 10月末に始まった少数民族武装勢力による国軍への攻撃は、民主派勢力も連携しており、国軍の劣勢が続いている。

◇内戦状況の深化

 公務員、教員、医療従事者の多くが、職場を放棄する不服従運動(CDM)を展開して抵抗し、縫製労働者を中心とした労働者が国軍に対する抗議活動を行っている。

 不服従運動の参加者は一時、全国で36万人に達したが、国軍は抵抗運動を弾圧し、さらに刑法を改正し、「犯罪者」として運動参加者の取り締まりに乗り出した。生活のために一部は職場に戻り、現在は一時のような盛り上がりはないが、不服従運動は今も続いている。

 NUGは21年9月に、自衛のための武装闘争を宣言し、PDFにまとめられた市民武装組織が闘いを展開している。これまでの抗議デモは、国軍との武力闘争に発展し、国土の真ん中に位置する中央乾燥平原から北西部のインド国境にかけての地域に広がっている。山間部の少数民族武装勢力が参加し、全土で国軍との衝突が起きている。国軍は砲撃や空爆で対抗し、村が放火される事件も相次いでいる。

 ミャンマーは独立以来、70年以上にわたって、中央政府及び国軍と自治拡大や権利向上を掲げた山間部の複数の少数民族武装組織との内戦が続いてきた。

 クーデター以降は国軍とNUGが、それぞれ少数民族武装組織を懐柔し、味方にしようと動いていた。

 こうした情勢の下、中国と国境を接する北東部シャン州拠点のタアン民族解放軍(TNLA)、ミャンマー民族民主同盟軍(MNDAA)、西部ラカイン州拠点のアラカン軍(AA)の3つの少数民族武装勢力は10月27日、軍事政権の打倒と親軍派によるネット犯罪組織を一掃するため、国軍への大規模攻撃を開始したと発表し、他の武装勢力に対し、国軍を倒すために共闘を促した。

 3武装勢力は、27日に中国との国境ゲートや国軍の拠点を占拠し、11月5日までに100近くの軍の拠点や中国との国境検問所を占拠した。戦線は他地域にも拡大し、中部マグウェ地域では3日、全ビルマ学生民主戦線(ABSDF)が複数の警察署を占拠、PDFは6日、北部ザガイン地区のコーリン市を制圧した。

 8日には国軍のミンスエ暫定大統領が、少数民族と民主派の武装組織による攻勢が「国家の分裂」をもたらす恐れがあると危機感を表明した。

 武装勢力は13日には、西部ラカイン州への攻撃を開始し、国軍は多数の軍事基地を明け渡した。軍は多方面に同時に対処することを余儀なくされ、劣勢に立つ国軍は空爆で応戦するが、思うように反撃できていない。前線で軍の兵士の投降が相次いでいる。

 戦闘が始まって1か月が過ぎ、国軍との戦闘は圧政に不満を抱く他地域の少数民族や民主派勢力にも広がり、首都ネピドーなど中心部を取り囲む形で周縁部の地方に波及している。

◇疲弊する社会と労働者の闘い

 クーデター以降、経済の低迷は長期化し、GDP成長率の推移を見ると19年6・8%、20年は新型コロナ感染の影響で3・2%、21年はクーデターと新型コロナの影響でマイナス17・9%と非常に大きな打撃を受けたことが分かるが、22年も2・0%と低成長のままである。

 消費者物価指数上昇率は、21年度3・6%、22年16・2%で、実質賃金は低下を続けている。国軍支配の下で、ますます生活が苦しくなる労働者は、解雇撤回や賃上げを求める抗議活動・ストライキによる闘いを行っている。

 これに対して、国軍は抗議活動をしたとして労働者を逮捕し、扇動法と不法結社法に基づき起訴する弾圧を行っている。ミャンマーは国軍官僚制の下で、国軍系企業を中心に軍の利権構造が築かれ、軍は資本の支配を体現しているのだ。

 少数民族、民主派の国軍に対する闘いは、資本の搾取と抑圧に反対する労働者の階級的闘いと結びつき前進するであろう。  (佐)