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●1475号 2024年5月26日 【一面トップ】 厚顔無恥の自民党に反撃を ――企業献金継続の「政治資金改革」案 【一面サブ】 復帰52年、沖縄からの訴え 【コラム】 飛耳長目 【二面トップ】 中国EV自動車に100%関税 ――高まる保護貿易と対中強硬策 【二面サブ】 ロシアの疲弊を進めるウクライナ侵攻 ――自ら解決することができない独裁者プーチン ※『海つばめ』PDF版見本 【1面トップ】厚顔無恥の自民党に反撃を企業献金継続の「政治資金改革」案自民党は、裏金問題を受けて、22日から始まる衆院政治資金改革特別委員会審議に向けて、党独自の「政治資金改正案」を国会に提出した。しかし、それは「実効性ある改正案になった」という岸田首相の言葉とは裏腹に、「抜け穴」だらけのごまかしでしかなく、自らの金権・腐敗に一片の〝反省〟も見られず、真面目な〝反省〟などできないことを暴露した。 ◇ごまかしの〝連座制〟裏金問題では、政治資金収支報告書の不記載が問題となったが、議員はその責任を秘書や会計担当者に押し付け、自分は知らぬ存ぜぬで押し通した。このため、野党各党の「改正案」では議員の責任を明らかにする「連座制」が盛り込まれている。 これに対して自民党案でも〝連座制〟を導入したとしている。それは政治資金収支報告書提出時、議員による「確認書」の添付を義務付けるというものである。会計責任者が不記載、虚偽記載で処罰された場合、議員が確認を怠って確認書を交付したことが認められた場合は、議員も処罰されるというのである。 ここでは、まず会計責任者が処罰され、そして第二に「確認書」を交付した議員に確認を怠ったということが認められた場合、二重の要件が認められた時に初めて議員が責任を問われるという仕組みである。 しかし、議員が不正に気付かなかったなどの言い逃れの道が残されている。〝連座制〟を設けたといっても、これまでと同様、議員の責任はまぬがれる、名ばかりの〝連座制〟でしかない。 ◇「政策活動費」の使途は不明のまま裏金づくりの一つの手段となったのは、党の幹事長、政調会長、国対委員長らの党幹部に渡されるカネの処理の問題である。このカネは「政策活動費」として、政治資金収支報告書には記載されてこなかった。例えば二階は幹事長在職、5カ年中に50億円ものカネを受け取ったが、何に使われたのか、その使途は不明である。2022年には、党から自民党幹部15人に14億円余りのカネが渡された。これらのカネは、使途を明らからにする必要のない政策活動費として裏金づくりのために利用されてきたのである。 そして、自民党の収入の3分2は国民の税金を原資とする政党交付金であるが、これが裏金として利用されてきたことも否定できない。 裏金づくりの手段として利用されてきた使途を明らかにする必要のない「政策活動費」は即刻廃止されるべきである。 しかし、自民党は「政治活動の自由」や「外交上の秘密」などを理由に使途を明らかにすることを拒み続けてきた。与党案作成のための公明党との折衝で最終的には「調査研究」、「党勢拡大」などの大まかな項目で公開することにした。これでは具体的に何に使われたかは不明であり、依然としてブラックボックスのままである。 ◇企業献金、政治資金パーティ―は温存裏金づくりの温床となってきた企業による政治資金パーティー券購入や政党、政党支部への献金の禁止については、自民党案は触れていない。 公明党との話し合いで、パーティー券購入者の公開基準額を現行の「20万円超」から「10万円超」へと引き下げることにしたが、「5万円超」とする公明と折り合わなかった。自民党が「10万円超」にこだわったのは、企業は名前が公表されることを嫌い、企業からの献金が減少するのを懸念したからである。 自民党にとってパーティー収入は重要な資金源である。例えば岸田の政治団体である新政治経済研究会の2022年の収入は、総額1・58億円であり、このうち9割以上はパーティー収入となっている。 企業は自民党に献金し、見返りに事業の受注、補助金の支給、国や自治体の事業計画の情報の入手等々、利権のために便宜を図ってもらい、企業と自民党は持ちつ持たれつの密接な関係にあるのである。
企業献金の廃止は、30年前、リクルート事件など相次ぐ金権・腐敗の中で唱えられた「政治改革」以来の積み残しの課題である。当時、細川護熙首相と河野洋平自民党総裁が「政治改革」で、政党交付金制度を導入する代わりに、5年後に企業献金のあり方を見直すことで合意した。しかし、その後、企業献金禁止はあやふやにされ、今日まで残されてきたのであり、政党交付金と共にやめて当然のことである。 ◇労働者は企業献金に反対する自民党は企業献金を禁止すれば、労働組合の献金も禁止すべきと立憲や国民を牽制している。たが、経済的社会的に圧倒的影響力を持っている企業の献金と労働組合の献金を同じに見做すことは出来ない。企業献金は金権・腐敗の温床となってきたのであり、労働者は断固禁止を主張する。 一方、労働組合が資本とその勢力と闘う政党をカンパなどの支援を組合員に呼び掛けることは当然である。 しかし、労働組合はかつての総評などがやったように、組合の決定によって組合員からカンパを集め、支持政党に献金することはすべきではない。労働組合は労働者の大衆的組織であり、組合員の支持政党についても様々であり、多数決によってカンパを特定の政党に集中することは団結を弱めるからである。政党は自らの努力で労働者からの支援を募るべきだし、労働者の政党への支援は各々の自主的な判断で行うべきことだからである。 共産党は企業献金と労働者の献金との階級的な違いを区別せず、企業献金と並べて団体(労働組合など)の献金も禁止を掲げているが、自民党の反動的主張に屈服する日和見主義である。労働組合は組合員の多数決によって、性急に特定の政党に献金することはしないが、組合員にカンパなどで労働者政党支援を訴えることは否定しないのである。 ◇腐敗した自民党政権打倒!自民党の「改革」案は、自らの金権腐敗を真剣に〝反省〟する意思を持ってないことを暴露している。彼らはごまかしの「改革」で国民をだまし、汚い利権政治を継続しようとしている。労働者・働く者の階級的団結と闘いを発展させ、金権腐敗の自民政権を打倒し、労働の解放目指して闘いを前進させていこう。(T) 【1面サブ】復帰52年、沖縄からの訴え◇再び沖縄の〝戦場〟化もやむなし?辺野古への基地建設計画が浮上した1996年から28年になる。米軍普天間基地の県内移設にこだわったのは日本政府だという。帝国主義化しつつあった日本政府の隠された意図が、自衛隊(新日本軍)によって軍事要塞化する琉球列島の現実を前にして、いま徐々に明らかになってきたと言えよう。飛行場に艦船用岸壁を備えた新基地が将来、自衛隊(新日本軍)基地化する可能性は否定できない。 戦後米軍基地の圧迫を受けてきた沖縄に、自衛隊(新日本軍)がいまにも戦争が始まるかのようななりふり構わぬやり方で再び島々を蹂躙しようとしている。 これまで沖縄・奄美に中国を仮想敵国としたミサイル関連軍事基地の建設してきているが、好戦的な岸田自公政権は、ここにきて軍事費を倍増させ、陸自第15旅団の「師団」化に向けて、危機を煽りながら琉球列島の軍事要塞化を強行して戦争準備にまい進している。 与那国島や宮古・八重山諸島などでは戦場化を前提に基地司令部の地下化のほかに、住民用の避難シェルターも造るとか、九州に全島避難をも検討している。だが、それらを事前に実行するのは、事実上戦争状態にあるということではないか。 それにしても、シェルターの上の住宅や町は破壊されても仕方ないというのか?また、「有事」勃発の際の全島避難など事実上不可能であろう。それは、「住民を守る」という防衛省・自衛隊のポーズでしかなく、結局、住民は戦場の中に捨て置かれるほかないだろう。 ◇全国的に進む軍事国家化それだけではない、民間空港・港を「特定利用空港・港湾」に指定するのは、有事の際に自衛隊や(準軍事組織の)海保や米軍が自由に使えるようにするためのものであり、米軍・自衛隊基地の周辺に網を被せる「土地利用規制法」は、基地周辺の住民等を監視下に置くもの。これは沖縄だけに限らない、日本の軍事国家へのキナ臭い動きだ。 かつて中国や東南アジアを侵略して2千数百万人余の犠牲者を出し、ついには自国をも焦土にした過去を忘れて、再び戦争政策に前のめりになる帝国主義者とは何というべきか。 ◇右翼とイチャツク反動町長3日に都内であった改憲派のフォーラムで、糸数与那国町長が「旧宗主国として台湾に対する責任を放棄してはならない」「全国民が(中国と)一戦を交える覚悟を」と、挑発的なトンデモ発言をしている。 「旧宗主国」との言い方は、小さな離島の町長に誰が吹き込んだのか、これは、「台湾有事それは日本有事」、「戦う覚悟」などと台湾有事をけしかけてきたタカ派の元首相の故安倍や麻生のような、台湾をいまだに日本の植民地とみなす自民党の極右に繋がる連中と同じ言い草である。 この糸数町長の行為は、かつての沖縄戦で旧日本軍の手先になって住民を「集団自決」にまで追い込んだ連中と同じ犯罪的所業である。 ◇軍国化との粘り強い闘いを!他方、自公政権・防衛省がうるま市石川で計画した陸自訓練場計画が、市内の全自治会が反対決議を上げるなど住民の反対運動で断念を余儀なくされた。これは6月に県議選挙が予定される中、自民党県連まで反対を表明したこともあるが、防衛省の初めての挫折であり、住民側の勝利である。 今沖縄は日本の最前線基地として更に強化されつつある。南シナ海、太平洋地域の覇権をめぐる帝国主義的な争いのためであることを見据えよう。 労働者、働く者は階級的団結を固め、断固帝国主義に反対し、反撃に立ち上がろう。(沖縄発) 【飛耳長目】 ★兵糧攻めとは、食糧を欠乏させて敵を弱らせ一気に攻撃することで、食(じき)攻めとも言われる。現代で言うと、食糧・弾薬物資の補給路を断つことである。それが可能なのは圧倒的な軍事力で敵を包囲することである★信長や秀吉はよくその手を使い、徳川幕府は島原天草一揆をその手で鎮圧し、明治政府も西郷軍をその手で壊滅させた。アメリカ軍は太平洋戦争で制空・制海権を握り、日本軍を孤島の地下壕やジャングルに閉じ込め、飢餓に追いやった★それと同じことがガザで進行し、ガザ住民の4分の1にあたる57・6万人を餓死寸前に追い込んでいる。人々は家畜の餌や木の葉や草で作ったスープで、かろうじて命を繋いでいるが、乳幼児はミルクがなく、6人に1人が栄養失調で死亡している★「私たちは子供たちのためにゴミを集めて火をおこし、見つけたものをなんでも調理しています。小麦粉もなく子供らはお腹をくだしています。味方は誰もいません。私たちが何をしたのでしょう?」とある母親は言う★住民やハマス戦闘員を飢餓状況に追い込み、弱ったところを一気に殲滅する。近々、ガザ南部でその地上作戦が実行されるだろう。イスラエル軍撤退とネタニヤフ政権打倒に立ち上がったイスラエル労働者の闘いや欧米の学生運動に熱烈な支持を送る。(義) 【2面トップ】中国EV自動車に100%関税高まる保護貿易と対中強硬策米国バイデン政権は、14日(今月)、中国製のEV(電気自動車)にかける関税を現行の25%から100%に引き上げると発表、さらに、旧世代の半導体についても25%から50%にする。バイデンは今年11月に実施される大統領選を控え、国内産業の保護や対中強硬策をアピールしようとしている。 ◇エスカレートする関税戦争既に米国は18年7月以降、トランプ政権によって、中国製品に対して「通商法301条」(不公正だと政府が認めた相手国に対し一方的に関税引上げができる条項)を適用した関税引上げが開始され、これをバイデン政権が引継いできた。 その結果、今年5月時点で、中国から輸入する1万品目以上の幅広い製品に対して、7・5%~25%の関税がかけられている。 今回も、中国政府が多額の補助金を注ぎ込んで製造しているとして、バイデン政権は、中国製のEVに対して、ほとんど輸入されていないのに、現在の25%から100%に、太陽光電池と半導体(旧世代半導体)に対しては2倍の50%に、車載用リチウムイオン電池や鉄鋼・アルミの鋼材に対しては3倍の25%に、その他、重要物資、STSクレーン、医療品に対しても25%に引き上げる。 だが、今回の関税率引上げ対象から除外される品目もある。それは、太陽光電池製造装置19品目や各種製造用工作機械などである。なぜなら、これらの装置や機械なしに米国企業はやっていけないからである。 関税率引き上げの狙いは次のようなものである。 一つは、EVや太陽光電池に100%の関税をかけることで、中国が強い先端品目の価格競争力を削ぎ、米国内で売れないようにすることである。また、安い半導体や鋼材などが米国内に入ってくるのを制限することである。 二つ目は、米国企業を保護し、かつ労働者の雇用を守ると訴える政治宣伝のためである。 さらに、トランプに対抗したブルジョア同士の闘いでもある。トランプが11月の米大統領選に向け、共和党候補指名獲得をほぼ手中にしたことを踏まえ、中国からの輸入品に対して関税率を引上げると言い出したからだ。 トランプは中国輸入品に最大関税率60%を適用すると言い、加えて、中国がメキシコに大規模なEV工場を作ることを牽制して、メキシコから対米輸出を行うなら、自動車全てに50%の関税をかけると宣言(3月11日、CNBCの番組で)した。そして3月17日になると、今度は、オハイオ州デイトンの選挙集会で、「中国がメキシコで製造した自動車を米国の労働者を雇用せずに米国に輸出するなら、国境を越えてくる全ての自動車に100%の関税を課す」と、わずか1週間後に関税率を2倍にしたのだ。 排外主義・米国一国主義を煽るトランプを批判するのではなく、バイデンもトランプに負けまいと、対中強硬策を打ち出したのである。 しかし、米国の関税引上げが実施されるなら、中国の報復関税が発動されるのは間違いない。既に、習近平中国政府は、「断固として報復する」と述べている。 ◇関税率引上げで労働者は高く買わされる関税率が上がるなら、米国内の輸入品価格は当然高くなる。 ドルに対して通貨安の日本やアジア諸国などから入ってくる輸入品は、米国で安く売られるが(価値の大きさは変わらない)、このドル高メリットは相殺されてしまう。なぜなら、今度の関税率引上げで、さらに中国からの輸入品が高騰するなら、中国製品のみならず、これを加工して販売する米国企業製品の価格もまた高騰するからだ。 これは、経済的側面でのみ見るなら、物価高を鎮火させようとしている米FRB(中央銀行)と矛盾する。 海外から安い製品が輸入されることは、企業や労働者にとって基本的にプラスである。 安い原材料(鋼材、太陽光電池用原料、半導体原料など)が入って来るなら、自動車や太陽光電池や電気機器などの各種製品を安く作ることができ、労働者にとっても、安価な製品を購入できる。 にもかかわらず、バイデンらが保護貿易に傾斜して行くのは、第一には、米国の優位と安全保障を脅かす中国の躍進(習政権は「中国製造2025」を掲げ、世界一の製造立国をめざしている)を阻止するためである。そのために、高度先端技術や装置の輸出を禁止し、合わせて、中国からの輸入を制限し、中国の国力を削ぎたいからである。 そして第二には、鉄鋼や最近の自動車に象徴されるように、米国の製造業は生産力が相対的に後退する業種が増え、半導体やコンピューターなども、海外メーカーに製造委託を余儀なくされ、それゆえ、製造業を保護・育成しなければならなくなって来たからである。 米国資本主義を守ろうとして、経済の自由を排除し、保護主義で対応するバイデンらは、米国資本主義の活性化ではなく、後退と腐朽に手を貸している。 ◇第三次産業が8割を占めるここで、米国の産業を概観しておきたい。 米国の産業構造をGDPに占める比率で見ると、第三次産業が約80%を占め、サービス産業が経済の大部分を構成している。対照的に、第二次産業は約20%、第一次産業はわずか1%程度にとどまっている――CIA World Factbook20年版によると、17年の米国GDPの産業別構成比は、農畜林水産業が0・9%、製造・建設・採掘・輸送業・技能職が19・1%、商業・サービス業が80・0%である。技能職は第二次産業に分類されている。 この構成比は、現在でも同じと言われ、米国経済のサービス産業化が定着していることを示している。それにつれて、労働者の割合も、全労働者の約85%が第三次産業に属し――職種で見ると、金融、保険、コンサルタントやマネージメント(コンピュータやIT分野を含む)など――、製造業や農業に従事する労働者はそれぞれ約14%、約1%にとどまっている。 しかも、製造業や農業の労働現場では、大量の非正規労働者――①コンティンジェント労働という、その場限りで雇われ、解雇自由な不安的な労働者、②一定の労働時間で継続性があるパート労働者に大別される――が生まれ、強搾取されている。 米国は、わずかな生産的労働者が生み出す労働の〝果実〟に、経営者はもちろん、国家官僚や軍需企業などの非生産的・不生産的部門の面々が集り(たかり)貪るという寄生した国家になっている。 英国はかつて、工業先進国として名を馳せたが、現在では、自国の資本は生産的部門から順次撤退し、金融部門で稼ぐ「金融立国」に様変わりしている。米国は英国と違って、機械・航空機・科学光学などの製造業で、またITやAIという新しい分野で高い生産力や開発力を持ち世界をリードしている。 だが反面、情報処理機器、電気機器、繊維製品、TVなどの製造は後退し、それらは中国からの輸入に頼っているし、日本からも自動車及び関連部品を大量に輸入している。つまり、米国は後退した製造業の各種品目を輸入で補完して、国家を支えているに過ぎない。 この現実を無視して、高い関税率で輸入制限を行い、また、輸出規制も仕掛けるバイデンらは、ただ「米国第一」という覇権維持を狙う帝国主義の〝腐った頭〟になっている。(W) 【2面サブ】ロシアの疲弊を進める
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