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労働の解放をめざす労働者党機関紙『海つばめ』

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アベノミクス」を撃つ
カネをバラまくことで国も経済も救えない。


著者・林 紘義
全国社研社刊
定価=2000円(+税)
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「アベノミクス」を徹底批判

崩れゆく資本主義、「賃金奴隷制」の廃絶を
資本の無政府主義の横行闊歩そして蔓延する国家の無政府主義


著者・林 紘義
全国社研社刊
定価=3000円(+税)
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序 章=世界恐慌の勃発とその必然性 第一章=“株式”資本主義の横行とその「論理」 第二章=“株式”資本主義の“暴走”と堀江、村上“現象” 第三章=日本版“新”自由主義とその結末 第四章=“金融重視”政策のとどのつまり 第五章=銀行救済と「公的資金の投入」 第六章=歯止めなき財政膨張と近づく国家破産 第七章=“グローバリズム”と労働者階級 第八章=階級的闘いを貫徹し資本の支配の一掃を 

『「資本」の基礎としての「商品」とは何か』


著者・林 紘義
全国社研社刊
定価=1600円(+税)
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《全九回の報告及び講義のテーマ》
第一回 「資本」とは何か?
第二回 「冒頭の商品」の性格について
第三回 「労働価値説」の論証
第四回 「交換価値」の“質的”側面と貨幣の必然性
第五回 商品の「物神的性格」(“呪物的”性格)
第六回 貨幣の諸機能と“価格”(貨幣の「価値尺度」機能)
第七回 紙幣(もしくは“紙幣化”した――して行く――銀行券)とインフレーション
第八回 特殊な商品――労働力、資本、土地等
第九回 『資本論』(「商品」)と社会主義

林 紘義著作集 全六巻


著者・林 紘義
全国社研社刊
定価=各巻2000円(+税)
●お申し込みは全国社研社または各支部・党員まで。

第一巻=「労働価値説」擁護のために
第二巻=幻想の社会主義(国家資本主義の理論)
第三巻=腐りゆく資本主義
第四巻=観念的、宗教的迷妄との闘い
第五巻=女性解放と教育改革
第六巻=民族主義、国家主義に抗して


●1485号 2024年10月27日
【一面トップ】 金権腐敗継承の石破政権打倒を!
        ――総選挙を労働者の闘いの発展の契機に
【一面サブ】  既成政党の陰で胎動する保守党
        ――議会を放棄し出馬した無責任男・河村市長
【コラム】   飛耳長目
【二面トップ】 「国際労働者協会」創立160周年
        ――共産主義をめざして闘う労働者を組織
【二面サブ】  ネタニヤフの最終目標
        ――「パレスチナ人のいないイスラエル」国家
※『海つばめ』PDF版見本

【1面トップ】

金権腐敗継承の石破政権打倒を!

総選挙を労働者の闘いの発展の契機に

 第50回衆議員選挙が15日公示され、27日投開票までの選挙戦は後半に入った。裏金事件の対応で労働者大衆の決定的な不信を招き、岸田政権は辞任に追い込まれた。それを継いだ石破自公政権は、内閣成立8日目の9日に衆議院を解散。石破は「政治とカネ」の問題について「深い反省」を表明するが、裏金問題は言葉だけの反省で済ませられる問題ではない。この選挙戦を労働者はどう闘うか――それが問題だ。

◇底知れない自民党の腐敗政治

 去年末に表面化した政治資金裏金パーティー事件は、2018年から22年の5年間だけでも安倍派で6億円以上、二階派で2億円以上の他、岸田派、石破派などでも、パーティー券による収入が政治資金収支報告書に記載されていない裏金とし議員に渡っていて、それが「選挙資金」などに不正に使用されていた可能性のある金権腐敗事件だ。労働者大衆の怒りが広がっていった。

 岸田政権は今年1月には「政治刷新本部」を設置し、みせかけの「政治改革」を謳い、2月には、裏金問題の聞き取り調査結果等を公表。2月と3月に衆院と参院で開催された政治倫理審査会では、出席した議員は裏金に関して「知らない」を通し、多くの議員は出席を拒否した。3月の党大会で、党則改正し「派閥解消」を打ち出したが、全く実効性の乏しいものだ。4月には、裏金作りを行っていたと判明した議員ら82人のうち39人について処分を出した。しかし裏金が何のために、何に使われたのかの真相解明は不問に付し、形式的な処分で裏金問題の幕引きを図ろうとしたものだ。労働者大衆の怒りは大きく、4月の衆院3補選では、自民党は立憲に全敗した。

 自民党は、6月には「政治資金規正法」を改正した。形だけの「政治改革」を打ち上げて労働者大衆の批判をかわすしかないのだ。

◇石破政権の「政治改革」

 岸田首相を引き継いだ石破は、それまでの発言を裏切るような豹変をし、自民党の金権腐敗体質が変わらないことを示した。石破は裏金問題に見られる「政治とカネ」に対する「政治改革」を、本気で取り組む意思のないことを表明したといえる。

 石破は10月8日の参院本会議の答弁で、「刑事事件として取り上げるべきものは立件された」と、裏金問題の真相のための調査の姿勢を後退させた。そして石破は、否定していた「早期の解散」を9日に実行した。国会での討論で自民党の腐敗が追及され、選挙で不利になることを石破は恐れたのだ。それは石破の言う「国民の納得、共感」を得ることと真逆だ。

 石破は所信表明では、冒頭「政治資金問題などをめぐり、国民の政治不信を招いた事態について、深い反省」を表明した。しかし、石破は10日の立憲・野田代表との党首討論で、野田からの「裏金隠し解散」との論難に対し、「裏金は決めつけ。不記載だ」と言い逃れた。石破は「ルールを守る」どころか、「ルール破り」をまったく「反省」しない態度を示した。9月30日に東京地裁は、元安倍派松本事務局長に「政治資金規正法違反(虚偽記載)の罪」の判決を出し、「虚偽記載」とした。裏金づくりのための「虚偽記載」を単なる「不記載」と言うなど、石破は悪質である。石破の「政治改革」は労働者大衆に全く信用されていない。

◇選挙の争点、「政治改革」と「経済政策」

 野党は、立憲が「政権交代こそ、最大の政治改革」を掲げる。その「政権交代」による政治は、「政治改革」では企業・団体献金の禁止、政策活動費の廃止、裏金事件の真相究明を公約で掲げる。

 労働者はそれが実行されることを期すが、それは国会だけでなく、デモ、ストライキなど労働者の大衆的な闘いとして、階級的な要求として断固とした闘いで勝ち取らなければならない。資本の支配の下では、その政治は資本の支配のために行われ、カネによる支配と結びつく。労働者は腐敗政治の一掃を、資本の支配の一掃の闘いと共に進めるであろう。

 「政治改革」とともに「経済政策」が選挙の争点である。石破は「新たな経済対策を世に問いたい」と、低所得層への給付金や地方への重点支援のための公金の拡充を盛り込んだ、去年の歳出総額13兆円を上回る補正予算をぶち上げた。石破が掲げる「物価に負けない賃上げ」や「成長と分配の好循環」、そして具体策である最低賃金の引き上げ、給付金の支給などは、立憲を始め各党の公約と大同小異だ。

 労働者は、賃金の引き上げなど労働者の生活改善に必要な改良は、政策要求と共に労働者の団結した階級的な力で断固勝ち取らなければならない。

 しかし石破の掲げる経済対策は、これまでの政権の政策と同様、経済的な困難を先延ばしにする財政膨張を、無責任に押し進めるバラ撒きによるものであり、将来の労働者に負担を押し付けるものだ。自民党と変わらないような経済政策を掲げる立憲を、労働者は支持できない。

◇石破内閣打倒は労働者の闘いの一歩

 選挙情勢の中間地点における世論調査では、「自民、単独過半数割れの公算、自公、過半数微妙な情勢」(朝日10月21日)と出ている。自民党は公示前から47議席減、公明は7減、これに対する野党は立憲が40増、維新が6減、共産が2増、国民民主が14増、れいわが8増等々。立憲が、小選挙区で37と大きく伸ばすのは、自民に対する大衆の厳しい批判票が立憲に集まることによるが、比例区では立憲が3増と伸びが顕著ではないのは、立憲そのものに積極的に支持を与える票ではないからだと言える。

 政権交代も現実味を帯びる。しかし立憲の「政権交代」は、労働者大衆に犠牲を転化してきた資本の支配には指一本触れず、資本の支配の維持を図るものだ。

 労働者大衆の生活を根本的に解決するには、労働者が団結して、行き詰まった資本の支配を打倒し、社会を根底から改革するしかない。労働者は石破内閣打倒を断固闘い、資本の支配を打ち破り、労働の解放を目指して、連帯した労働者の闘いを発展させる。

 この『海つばめ』が届く頃には、選挙結果が出る所もあるだろうが、労働者党は衆院選に臨んで、労働者が各地において、階級闘争発展のため自主投票で、自公政権を打倒するため、それぞれの状況に応じて投票することを呼びかけている。 (佐)


【1面サブ】

既成政党の陰で胎動する保守党

議会を放棄し出馬した無責任男・河村市長

 百田や有本ら国家主義者が、名古屋市長河村と組んだ日本保守党は30名の候補者を擁立した。共同代表の河村は市議会を会期途中で放棄し出馬した。諸派扱いで既成政党の陰に隠れているが、安倍亡き後の自民党保守派に代わる保守政党として登場する契機になるのか、警戒し注目しよう。

 昨年10月に百田や有本、河村らによって結成された日本保守党は、結党後の東京、大阪、名古屋で開催した街頭演説会に多くの聴衆が駆けつけ、大阪では聴衆が集まりすぎて警察からの要請で30分で演説会を切り上げるなど、国会議員も務め〝お騒がせの〟名古屋市長の参画もありマスコミの注目も浴び、Xアカウントのフォロワー数は自民党の25万人を超える33万人。

4月に行われた衆院選東京15区補欠選挙では、小池都知事の都民ファーストが推薦した乙武候補を上回り、維新の候補に次ぐ得票を得たことが今回の30名の擁立に繋がったのは確実である。党員は、解散総選挙が発表されてから数千人増えて7万人を超えたと言われている。

 国家主義・民族主義の権化のような百田の結党宣言、「神話とともに成立し、およそ二千年、天皇を中心に一つの国として続いた例は世界のどこにもありません。断固として日本を守る。そのための新たな政治勢力が必要」と主張する。神話を虚妄の観念論として一笑に付すことは簡単である。しかし、米国大統領選における熱狂的トランプ支持者が信心深いキリスト教徒であり、米国の帝国主義体制全般に宗教的信仰や規範がいまだに根深く浸透しているのを見よ。

 世界中の国々で、自国中心の国家主義、民族主義的な立場や主張が当然のこととして語られ、日本においても、日米豪などとの軍事同盟を棚に上げて、中ロ・北朝鮮の〝挑発的軍事行動〟が非難されている。ロシアによるウクライナ侵攻を取り上げて、日本の領土や領海、領空が今にも侵犯され奪い取られるかのごとき発言が繰り返され、国家主義的主張を受け入れる国民的な雰囲気が形成されつつある。保守党の結党もそのような流れの中で考えなければならない。

 また、日本保守党の重点8政策項目の中の「名古屋城天守閣木造復元」や「名古屋モデルの地方税減税」、「国会議員歳費、地方議員報酬の一般国民並みの給与」等は、河村に対する手土産である。

 保守党が擁立した30名の候補者のうち、比例を除く4選挙区は愛知の選挙区であり、愛知を日本保守党の地盤と考えている(河村の支持率は名古屋以外では高くはない)。しかし愛知は産業労働者の比重が高く、海外生産が国内を上回るトヨタの存在が圧倒的な愛知で、日本保守党の民族主義的主張は国境を超えて活動する資本にとっては、歓迎すべきものではない。

 〝選挙モンスター〟河村の出馬で愛知1区は風雲急を告げた。河村は市長報酬を800万円に引き下げ、市民税を5%減税、名古屋弁丸出しで庶民派を河村は装うが、「南京虐殺」や「従軍慰安婦」を一貫して否定。愛知県主催の「あいちトリエンナーレ2019」に《平和の少女像》が展示されたことに激怒し、歴史修正主義の立場で百田や有本、吉村大阪知事らと反対運動したり、美容クリニック経営者の高須らと愛知県知事リコール運動を行う恥ずべき国粋主義者である。

 5%の市民税減税で減税額の最高額は六百万円、もらったのは所得20億円の超富裕者だった。市民討論会で、五百億円の巨費を投じる木造天守閣復元に疑問を呈した障碍者に対して、差別発言が繰り返された現場にいながら止めようとせず、「熱いトークもあって良かった」と平然と言う河村や日本保守党の反動的・差別主義的策動を労働者は許してはならない。(古)


   

【飛耳長目】

★昭和30年代以降、静岡県では死刑冤罪事件が多発した。幸浦事件(昭38無罪)、二俣事件(昭32同)、小島事件(昭34同)、島田事件(平1同)、そして袴田事件である。それは何故か?★背景に「昭和の拷問王、冤罪王」と呼ばれる紅林麻雄を中心とする静岡県警の存在があった。あらゆる手段を用いて被疑者を拷問して自白を強要し、数々の証拠をねつ造した。見かねた同僚のYが「県警の組織自体が拷問による自白強要を容認する傾向があった」と告発したが、逆に偽証罪で逮捕され懲戒免職処分された★幸浦事件では、自分たちが先に被害者の遺体場所を探知しながら、被疑者に自白させた後に発見したように見せかけ、他事件ではアリバイを潰すために、犯行現場の時計の針を動かすなど、あらゆるでっち上げをした★その延長上に昭41年の袴田事件(当初は清水事件)がある。自白の強要や味噌樽から発見された血染めの5点の衣類はその最たるものだ。自ら味噌樽に漬けた衣類を1年後に発見したように見せかけることなどお手の物だ★袴田事件について畝本検事総長は、検察・警察による衣類のねつ造を認めず、無罪判決を到底承認できないとして、あくまで袴田さんを犯人扱いとする談話を発表した。国家権力は人権や人命より機関の面子や権力保持に奔走するのだ。 (義)


【2面トップ】

「国際労働者協会」
創立160周年

共産主義をめざして闘う労働者を組織

「国際労働者協会」(第一インター)が1864年9月に創立され、今年で160周年になる。マルクスは『経済学批判』や『資本論』を書いたことで有名であるが、それらを書き続けたのは、共産主義政党を自ら組織して敢然として闘ったことと密接不可分であった。

◇「共産主義通信委員会」設立

 マルクスは(またエンゲルスも)、単に学究に励むだけの、またマスコミに登場してお喋りするだけの学者ではなかった。 マルクスはヘーゲル哲学や経済学を批判的に学び、資本主義が労働者を搾取する生産様式であること、生産手段を私有した資本が労働者の労働力(労働ではなく)を買い、この処分権を取得して行使し、剰余労働を生み出すことを科学的に明らかにした。

 そして、資本主義の歴史的批判を通じて、資本主義が人類の歴史の通過点であることを確信するようになっていく。資本主義に対する歴史的批判は『資本論』(草稿を含む)に凝縮されている。

 マルクスはこうした研究に止まらず、共産主義者の組織化や各国の労働者党の創立に尽力を注いでいく。その第一歩がエンゲルスと共にブリュッセルで設立した「共産主義通信委員会」であった(1846年・28歳)。

 この「委員会」を設立した目的は、各国の進歩的労働者との理論的・組織的な結びつきを促進するためであり、国際的な労働者党創立の地盤を準備するものであった。有望な労働者を誘ったのは言うまでもない。ヴィルヘルム・ヴォルフと知り合い親交を結び、この「委員会」に加盟させたのをはじめ、ロシアの文芸評論家アンネコフなどとの交流も深めた。

 ヴォルフは「共産主義通信委員会」のメンバーになると共に、マルクスが発行した「新ライン新聞」の編集部に入り、また「ケルン労働者協会」の指導も快く引受けた。彼は1864年に亡命先のマンチェスターで死ぬまで、常にマルクスと行動を共にした。ひどく貧乏であったが、家庭教師をしてマルクスを経済的に支えたりもした。ヴォルフの献身的活動があったのは、単にマルクスの歴史哲学(史的唯物論)や経済学に共鳴したのみならず、共産主義的活動に労働者を組織する必要性を十分理解していたからである。その意味で、エンゲルスのみならず、ヴォルフはマルクスにとって本当の同志であった。

 ヴォルフが死んだ3年後の1867年、『資本論』第一巻が刊行される。ヴォルフのひたむきな闘いに敬意を表し、マルクスは本書の冒頭で次の様に書いた。

 「忘れられないわが友 勇敢で誠実で高潔なプロレタリアートの前衛 ヴィルヘルム・ヴォルフにささげる」。

◇「共産主義者同盟」を結成

 マルクスは空想的社会主義者や無政府主義者との論争を恐れなかった。

 例えば、当時話題になっていたプルードンの社会革命――自由な市場経済を存続させながら、市場の性格を変革し、かつ流通の組織化によって、市場を利益追求の場から自発的な相互性の発現の場に変えることを構想した。具体的には、信用と流通の組織化(人民銀行と生産者の協同組織の設立)によって協同的社会を築こうとした。協同組合組織を〝珍重〟し『マルクス解体』を叫ぶ斎藤幸平の理屈によく似ているのは歴史の皮肉であろうか――を小ブルジョア的理論であると批判しながら、労働者に影響力を強めていった。

 マルクス達の活動が次第に知られるようになり、1847年初めに「正義者同盟」から加盟の要請があった。この「正義者同盟」は「すべての人は兄弟である」をモットーとし、財産共有制を旨とする「手工業者共産主義」の秘密結社で100名程も結集していた。この指導部にいたヨーゼフ・モルらなどから、マルクスやエンゲルスの科学的共産主義を受け入れる用意がある、という確証を得て加盟する。

 「共産主義者同盟」第一回大会が47年6月に開催された。この大会で「正義者同盟」は「共産主義者同盟」に改称することが決議され、「万国のプロレタリア、団結せよ!」というスローガンが高らかに掲げられた。続いて、第二回大会が11月に開催され、マルクスとエンゲルスは大会から新たな綱領草案作成を委託され、『共産主義の原理』及び『共産党宣言』を急いで執筆した――大会の了承を得て『共産党宣言』が48年2月にロンドンで出版。

 48年当時、フランスやドイツを始め、ヨーロッパ各地で封建的王制打倒と共和制樹立の闘いが頻発し、パリで「2月革命」が起こるやウイーンやベルリンでも革命が勃発した。資本主義がヨーロッパに拡がると共に、封建的生産様式とその体制は桎梏になっていた。このことを理解していたマルクスやエンゲルスは王制打倒の闘いを支持し、闘いの先頭に立ちながらも、同時に共産主義政党への結集を呼びかけた。

 例えば、ドイツでは「ドイツにおける共産党の要求」をビラにし、『共産党宣言』をセットにしてドイツに集まる労働者に配布した。さらに、『新ライン新聞』に「共産主義者同盟」の機関紙の役割を持たせることを確認し、王制の終焉とブルジョア民主主義の樹立は歴史を一歩前進させると論陣を張り、また、議会選挙を要求し、選挙の際には未来を切り開く〝労働者的な候補者〟を支持するように呼びかけた。

 マルクス達は常に現実の闘いと共産主義を結合させようとしていたのである。

「国際労働者協会」創立とその意義

 フランスやドイツ各地で起こった蜂起は武力弾圧され、『新ライン新聞』は発行禁止にされ、マルクスも逮捕されてフランスに追放され、同盟員も投獄されるなど、マルクス達の闘いの苦難が始まる――事実上、「共産主義者同盟」は52年末に解散せざるを得なくなった。 こうした困難の中で、マルクスは階級闘争と経済との関係を綿密に分析し始め、とりわけ経済の研究に注力を傾けていく。だが、そこに止まらずに、ヴォルフが死んだ64年、マルクスは「国際労働者協会」(第一インター)創立集会に参加し、参加者から「暫定委員会」メンバーに選出された。

 マルクスが「暫定委員」に選出されたのは、単に理論的に卓越していたからではなかった。既に若くして「共産主義通信委員会」を設立して政治的活動を行い、国際的な労働者党の必要性を感じ、また各国でも労働者党が成長するのを願い、かつ自らもその先頭に立って闘ってきたからだ。

 だが、「協会」の「創立宣言」と「一般規約」を成立させるまで、マルクスは相当に奮闘したことがエンゲルス宛に書いた手紙から読み取れる。というのは、「協会」に加わった革命的労働者(ウエストンら)でさえ、オーエンなどの影響を強く受けていたからだ。結局、マルクスは彼らの草案を批判し、草案の大半を書き換えざるを得なかった。この「国際労働者協会」は68年にマルクスが死去して事実上活動を終えるが、労働の解放を目指した世界的組織建設への功績は今も光輝いている。

 資本主義の腐朽化が進む現在、資本主義の民主的な改良の連続的闘いによって、または労働運動や市民運動で「社会主義」に接近できるかに標榜する政党・党派が未だに幅を利かせている。

 だが、労働者・若者たちがそれを乗り越え、労働の解放を目指して闘う政党に参加していくなら、それこそ、マルクス達の闘いを継承することになる。「汝の道をゆけ、そして人にはその言うにまかせよ」(マルクス)。 (W)


【2面サブ】

ネタニヤフの最終目標

「パレスチナ人のいないイスラエル」国家

 イスラエルのネタニヤフ政権によるパレスチナ人への暴虐が止まらない。8月、ハマスの軍事部門のデイフ最高司令官を空爆で殺害したのに続いて、10月17日、ネタニヤフ政権は、パレスチナ自治区ガザで、ハマスによる奇襲の首謀者とされるシンワルを殺害したとの声明を発表した。

 ネタヤニフ首相は、声明で「ホロコースト(ユダヤ人虐殺)以来、わが国の歴史上最もおぞましい大量殺人を実行し、イスラエル人数千人(実際には1200人殺害、人質120人)の命を奪った人物が除去された」と〝戦果〟を誇った。

 しかし、ハマスの攻撃をナチスの「ホロコースト」と同一視するネタニヤフの言動は恥知らずの嘘である。ハマスの攻撃は、パレスチナとイスラエルの「2国家」共存を目指す1993年のオスロ合意を無視して、イスラエルがパレスチナ人を差別、弾圧してきたことに対するパレスチナ人の反発からだ。そして、「人質救済」を名目に、ガザに軍事侵攻し、約1年間で死者は4万人を超え、負傷者は9・7万人、街の4割は瓦礫の山と化した。「ホロコースト」政策をおこなったのはパレスチナ人ではなく、ネタニヤフ政権である。

 一方、イスラエルの後ろ盾となっている米国のバイデン大統領は18日の声明でシンワル殺害に「祝意」を送るとともに、「今こそ停戦に向かって前進する時、この戦争を終わらせ、人質を帰還させる時だ」と述べ、ネタニヤフに停戦を促した。しかし、ネタニヤフは「ガザでの我々の任務はまだ終わったわけではない」と、さらに戦闘を継続する意志を明らかにした。

 ネタニヤフがバイデンの「停戦」協議に耳を貸そうとしないのは、戦争目的が「ハマス殲滅」にとどまらないからだ。

◇ネタニヤフの目標

 2017年、サマリア(ヨルダン川西岸地区)で開かれた入植者の集会で、ネタニヤフはヨルダン川西岸地区の政策について5つの基本原則を語っている。

 「第一の原則は、ここは私たちの祖国であること。第二の原則は、われわれはこの地を開発および発展させていくこと。第三の原則は、政治的な合意がある以上、住民(入植者)や共同体(入植地)はこの地で暮らし続けられること。第四の原則は、イスラエル軍と治安維持当局はヨルダン渓谷までの全領土を統治し続けること。第五の原則は、国際社会がこれらの原則を承認するように私が働きかけること。……そしてネタニヤフは具体的な手法こそ言及しなかったが『ヨルダン川西岸地区におけるイスラエル統治を徐々に拡大していく』と述べた」(シルヴァン・シベル著『イスラエルvs.ユダヤ人』明石書店)。

 ここではパレスチナの自治政府領域内への入植地拡大について述べられているが、パレスチナ人を排除して純粋な「ユダヤ人による国家」はネタニヤフら右派の理想であり、ガザ軍事侵攻は「ユダヤ人だけの国家」形成の第一歩なのである。

 ネタニヤフ政権は、「停戦を」というバイデンの意見を聞き流し、パレスチナ難民への国連パレスチナ難民救済事業機関の活動を禁止する法案を国会に上程するなど、深刻な食糧不足に苦しんでいるパレスチナ人への締め付けを一層強化しようとさえしている。その一方では、ハマスを支援する隣国のレバノンのヒズボラやイラン、レバノンに派遣された国連暫定駐留軍等への攻撃を行うなど戦線を拡大している。

◇米国は最大の共犯者

 イスラエル政府がこうした暴挙に走っているのは、欧米(そして日本)が、ガザへの軍事侵攻をイスラエルの「自衛権の発動」として擁護してきたからである。バイデンは、最近でこそ「停戦」を言い出しているが口先だけにとどまっている。米国が2024会計年度(23年10月~24年9月)に実施した対イスラエル軍事支援は179億ドル(約2・7兆円)と過去最高となった(日経、10・16)。これらはイスラエルによるパレスチナ人虐殺に使用されてきたのだ。米国はパレスチナ人への「ジェノサイド」の最大の共犯者である。

 米国がイスラエル政府に肩入れしてきたのは、中東における帝国主義的覇権を維持するためである。米国は「民主主義」を標榜しながら、実際では自国の国家的及び大資本の利益のために、反動的なイスラエルの後ろ盾となり、パレスチナの労働者・人民の虐殺、抑圧に加担してきたのである。パレスチナの労働者、人民がイスラエルの支配から解放を勝ち取る展望は、イスラエルと闘うとともに帝国主義国家米国(及びそれに加担してきた欧州、日本)に反対して闘い抜くことのうちにある。 (T)

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