WPLLトップページ E-メール
購読申し込みはこちらから


労働の解放をめざす労働者党機関紙『海つばめ』

◆第2第4日曜日発行/A3版2ページ
一部50円(税込み54円)

定期購読料(送料込み)25号分
  開封 2000円
  密封 2500円

ご希望の方には、見本紙を1ヶ月間無料送付いたします。

◆電子版(テキストファイル)
メールに添付して送付します

定期購読料1年分
 電子版のみ 300円

A3版とのセット購読
  開封 2200円
  密封 2700円

●お申し込みは、全国社研社または各支部・党員まで。
E-メールでのお申し込みもできます。

アベノミクス」を撃つ
カネをバラまくことで国も経済も救えない。


著者・林 紘義
全国社研社刊
定価=2000円(+税)
●お申し込みは全国社研社または各支部・党員まで。

「アベノミクス」を徹底批判

崩れゆく資本主義、「賃金奴隷制」の廃絶を
資本の無政府主義の横行闊歩そして蔓延する国家の無政府主義


著者・林 紘義
全国社研社刊
定価=3000円(+税)
●お申し込みは全国社研社または各支部・党員まで。

序 章=世界恐慌の勃発とその必然性 第一章=“株式”資本主義の横行とその「論理」 第二章=“株式”資本主義の“暴走”と堀江、村上“現象” 第三章=日本版“新”自由主義とその結末 第四章=“金融重視”政策のとどのつまり 第五章=銀行救済と「公的資金の投入」 第六章=歯止めなき財政膨張と近づく国家破産 第七章=“グローバリズム”と労働者階級 第八章=階級的闘いを貫徹し資本の支配の一掃を 

『「資本」の基礎としての「商品」とは何か』


著者・林 紘義
全国社研社刊
定価=1600円(+税)
●お申し込みは全国社研社または各支部・党員まで。

《全九回の報告及び講義のテーマ》
第一回 「資本」とは何か?
第二回 「冒頭の商品」の性格について
第三回 「労働価値説」の論証
第四回 「交換価値」の“質的”側面と貨幣の必然性
第五回 商品の「物神的性格」(“呪物的”性格)
第六回 貨幣の諸機能と“価格”(貨幣の「価値尺度」機能)
第七回 紙幣(もしくは“紙幣化”した――して行く――銀行券)とインフレーション
第八回 特殊な商品――労働力、資本、土地等
第九回 『資本論』(「商品」)と社会主義

林 紘義著作集 全六巻


著者・林 紘義
全国社研社刊
定価=各巻2000円(+税)
●お申し込みは全国社研社または各支部・党員まで。

第一巻=「労働価値説」擁護のために
第二巻=幻想の社会主義(国家資本主義の理論)
第三巻=腐りゆく資本主義
第四巻=観念的、宗教的迷妄との闘い
第五巻=女性解放と教育改革
第六巻=民族主義、国家主義に抗して


●1490号 2025年1月12日
【一面トップ】 =2025年度政府予算案=膨張する予算、国の借金
        ――軍事費も過去最高に
【一面サブ】  1人当りGDP39位へ
        ――行き詰まる日本資本主義
【コラム】   飛耳長目
【二面トップ】 ホンダ・日産経営統合か
        ――待ったなしの自動車産業
【二面サブ】  ネタニヤフ政権打倒をイスラエル労働者の課題に
        ――ハマス壊滅を口実にパレスチナ壊滅に進む
          ネタニヤフ
※『海つばめ』PDF版見本

【1面トップ】

=2025年度政府予算案=
膨張する予算、国の借金

軍事費も過去最高に

 石破政権は、昨年12月、来年度予算案を閣議決定した。一般会計の総額は115・5兆円で、当初予算としては過去最高、歳出としては国の借金の返済である国債費、軍事費もともに過去最大であり、物価上昇のもとでの労働大衆の生活苦をよそに、国家財政はますます悪化の一途をたどっている。

◇膨張する国債費

 来年度予算を特徴づけるのは借金依存の深まりである。国債の返還、及び利払いにあてる国債費は28・2兆円(前年当初比4・5%増)と、過去最高であり、医療や年金など社会保障費(38・3兆円)に次いで第2位、歳出のおよそ4分の1を占めるに至っている。国の借金の激増は、安倍第二次政権による「量的・質的金融緩和」政策によってもたらされた。

 安倍は、大胆な金融緩和、機動的な財政出動によって、民間投資を活発化させるという〝成長戦略〟(アベノミクス)を謳い、14年には「マイナス金利」政策まで導入し、国債を乱発した。しかし、経済は低迷したままで、借金が積み上がり、普通国債発行残高だけで、14年度末774兆円だったのが23年度末では1054兆円と、僅か10年の間に280兆円も膨れ上がり、国家の借金は国内総生産(GDP)比2・5倍にも膨大化している。

 来年度の予算でも歳入財源の不足を補うために28兆円余の新規国債発行を予定している。政府は17年ぶりに新規発行は30兆円を下回るといっているが、昨年末の補正予算19・3兆円のうち国債の新規発行6兆円に依存しているのを見れば、今後、大型補正予算をくりかえせば、さらに膨らみ、借金依存の財政が改善に向かっているなどと言うことは出来ない。

 新規国債は、新規の事業に使用されるわけではなく、これまでの借金の返済のために充てられるだけである。支出の国債費28・2兆円のうち、利子の支払いは前年より0・8兆円増えて10・5兆円である。25年度は、想定利子率を2・0 %として計算したという。今後、利子率が上昇するなら、利子負担はさらに大きくなることは避けられない。 国債(短期を除く)を所有しているのは主に日銀53・2%、損保会社20・7%、銀行等(証券会社を含む)9・2%、公的年金5・9%、海外6・1%であるが、日銀、公的年金を除けばこれらの民間金融は国債を所有することで、居ながらにして毎年何兆円もの利子を受け取っているのである。

◇膨らみ続ける軍事費

 予算案の第二の特徴は、軍事費の膨張である。岸田前政権は米国との軍事同盟の拡大、「防衛力の抜本的強化」を掲げ、軍事費の総額を23~27年の5年間で43兆円とする計画を策定したが、石破政権もこの計画を受けつぎ、来年度は3年目。予算案では、24年度よりも約7500億円も増の8・7兆円である。軍事費は僅か3カ年で3・4兆円も増える突出ぶりである。

 政府が力を入れるのは、敵の射程圏外から敵基地攻撃にも使える長射程ミサイルの量産・配備など「スタンド・オフ防衛能力強化」(9390億円)である。「専守防衛」の原則など全く無視した形だ。米国製巡行ミサイル「トマホーク」導入の1年前倒し、その他多数の小型人工衛星でミサイルなどの目標を探知・追尾する「衛星コンステレーション」構築に関する予算(2832億円)も初めて盛り込まれた。また巨額の予算に見合う効果を疑問視されてきたイージス・システム搭載艦整備関連経費も計上された。 さらには日・英・伊3国による次期戦闘機への共同開発・生産への経費(1087億円)も計上。これは、武器輸出禁止の原則を破り、英、伊以外の国にも輸出することが可能だとされている。

 軍事費の膨張について、政府は核保有国ロシアや北朝鮮の存在、中国のインド、太平洋地域への進出の抑止を挙げている。だが、その実態は帝国主義国家同士の覇権争いである。緊張を激化させているのはロシア、中国だけではなく、米国との軍事同盟を強化し、軍備増強を推進する日本もまた、ロシア、中国との軍事的な対立を激化させている。

◇無責任な野党

 借金の更なる膨張、破壊と殺人のために使用する軍事費の巨大化の下、国家財政が破滅的な状況に向かっている中で、それに無自覚な野党の姿勢が浮き彫りにされている。

 国・民は、手取り収入を増やすとして、課税収入の引上げ(「103万円から178万円へ」)を謳った。しかし、彼らはそれに伴う7~8兆円の税収減については無頓着である。目先の利益をアピールし、国民の歓心を買い、政権にすり寄っている。維新もまた高校授業料無償化を謳い、自公がこれを受け入れれば連合政権も辞さないという姿勢なのだ。

 一方、れいわ新選組は、「デフレとコロナで疲弊しきった日本で、国債発行は重要な財源であり、社会を支えるために使えるもの」と言い、24衆院選では「消費税の廃止」、「季節ごとの10万円のインフレ給付金の支給」を提案、「政府の借金は社会や国民を豊かにする投資」とし、国債発行による積極財政を謳った。国債の買手が国内である限り、国が借金しても破綻しないというのがその理由だ。

 だがこんな理屈は戦時中の軍部の理屈と同じだ。これが全くの偽りであったことは、敗戦直後の激しいインフレによって暴露された。卸売物価指数は、敗戦時の1945年8月から49年12月には65倍に急騰し、生活は逼迫し、国債は紙切れ同然になった。

 れいわは、歴史からなにも学ぶことなく、無責任に借金財政を礼賛している。彼らは低所得者、生活困窮者への支援を謳うのだが、貧困の根本的原因である資本の支配の克服については無関心で、自民党とバラ撒きを競いあっている。

 他の野党も同様である。立・民は日米同盟を基軸とした安全保障の強化を謳い、共産党も現在の困難が「米国追随政治」、「大企業偏重」政治の「歪み」にあるとして、この「歪み」を是正することが労働者の課題だとし、労働者の闘いを資本主義の〝民主的改良〟に卑しめている。

 野党は徹底して腐りきっている。資本と闘い、その支配を克服し差別と搾取のない社会を目指していく労働者の階級的政党の闘いとその発展が求められている。 (T)


【1面サブ】

1人当りGDP39位へ

行き詰まる日本資本主義

 昨年、日本のGDP(名目――以下同様)が独国に抜かれた。25年には印国にも抜かれ世界5位に。また23年の1人当りGDPが韓国に抜かれた。24年の公式データが発表されるなら台湾にも抜かれ、G7最下位の39位に転落する。

◇GDPは眉唾物

 各国のGDPは「付加価値」の合計で算出され、基軸通貨であるドルに換算される。日本のような「通貨安」の国はそれだけ低く見積もられる。

 「付加価値」は、基本的に労働過程で生産的に支出された社会的労働量全体のこと、つまり、必要労働(賃金)+剰余労働(利潤)から成っている。だが、商品生産の社会にあっては、商品売り上げもGDPも労働量で、つまり労働時間で計算されないで、労働量の貨幣表現である価格で表わされている。

 それゆえ、GDPには、為替相場の変動であろうが、インフレであろうが、全ての価格変動が含まれざるを得ないし、実質GDPの方も同様である。

 ここ数年の世界的な物価急騰の時代に、GDPを最も増額し得たのは米国であった。米国はIT・AIや流通の分野で巨額な売り上げを弾き出し、為替相場もドル高を維持し、世界の労働を「安買い」して、国内企業を儲けさせた。人口の多い米国や中国のような大国がGDPの上位を占めるのは当然である。

 他方、GDPを人口で割った1人当りGDPの場合には、人口が少なく、かつ働く人々の割合が多い国が上位に来やすい。ルクセンブルグやスイスはその典型である。

 しかし、この指標もまた、「格差」が内包されていても何も明らかにされない代物であり、マスコミが騒ぐように、〝国民1人当りの幸せ度〟を測るデータではない。

◇労働力減少に怯える日韓

 ここで、GDPと少子化・未婚化との関係を見てみよう。この問題は、人口減少や労働力不足を招き、当然、GDPにも影響を与えるからだ。

 「まるで3倍速 老いる韓国」と題した特集が組まれ、韓国は「23年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む見込みの子供数)が0・72まで下がり、世界的にも異例の『超少子化』に直面している」(24・11・13「朝日」)と報道されたが、その韓国は23年、1人当りGDPで日本を抜いた。そこには理由があった。13年と23年を比較すると、日本は人口が3%減、生産年齢人口(15歳~64歳)が8%減、労働力人口(15歳以上の人口のうち「就業者」と「完全失業者」の合計)5%増だが高齢「退職者」が増え、1人当りGDP18%減に影響を与えた。

 韓国の方は、人口が3%増、生産年齢人口が1%減、労働力人口が12%増で、1人当りGDP25%増に貢献した――韓国では高齢者の「貧困率」が4割もあり、働かなければ生きて行けない。実に60歳代の労働力人口が世代比較で一番多いのだ。

 では、少子化・未婚化の原因は何か? 韓国も日本も非正規が労働者の4割を占め、若い労働者はこれが一生涯続くのかと大きな不安を抱いている。それゆえの少子化・未婚化なのである。

 日韓の資本主義は、大きな国内市場を持たない工業国として発展し、次第に非正規労働を増やすなどして搾取率を高め、その利潤をを海外投資に利用してきた。とりわけ、日本は韓国の場合より早く「資本輸出立国」になり、今では海外現地から世界に資本と商品の輸出を進めている。しかも、少子化・未婚化で、また定年という首切りで働き手が減少し続け、それらによって、1人当りGDP=39位なのである。

 日韓の労働者は他の国家同様に資本主義的搾取制度によって翻弄され続けている。 (W)


   

【飛耳長目】

★パレスチナとウクライナで続く戦乱の死者数が、ガザ地区で4万人を超え、ウクライナ側の死者も4万3千人を数える。ロシア側では10万人を超え、主要国が対峙、加担するという意味では「第三次世界大戦」と呼ぶべきではないか★ここに国際秩序など歯牙にもかけないトランプは貿易戦争を仕掛け、国家利益の最大化を目論む。だがその足元では、路上生活者は過去最大の65万人に登る。銃乱射事件がしばしば起き、新年には自動車突入テロの惨劇も★お隣り韓国とは「民主主義や法の支配、基本的人権の尊重」の価値観を共有し、日米韓で事実上の軍事同盟を結び、中露北朝鮮と対峙している。その韓国で起きた「戒厳令」事件で、尹大統領は内乱容疑で拘束令状が出された。その混乱の最中、石破政権は「国交正常化60年を迎える日韓の交流事業」を持ちかけるトンチンカン★能登半島の震災と豪雨災害からの復興は進んでいない。老朽化が指摘されていた幹線道路の復旧の遅れが原因と言うが、「国民の命と暮らしを守る」で一致する与野党の責任は大きい★明るい展望が見えない年明けだが、年末年始が繁忙期の運輸交通などで働く労働者の皆さん、お疲れ様でした。9連休を過ごした労働者と共に、労働の解放をめざして展望を切り開いて行きましょう! (Y)


【2面トップ】

ホンダ・日産経営統合か

待ったなしの自動車産業

 ホンダと日産は、12月23日「共同持株会社設立による経営統合に向けた検討に関する基本合意書」を発表した。最終的決定ではないが、統合されると生産台数750万台の世界第三位の自動車会社が25年6月に発足する。新会社はホンダ主導で、経営陣はホンダが過半数を指名し社長もホンダが指名する。

◇統合以外存続余地なくなるホンダ・日産

 日産の中間決算は世間に衝撃を与える数字(営業利益が90・2%減って329億円、最終的な利益も93・5%減って192億円)となった。日産は3月に26年度までに30車種の新型車を投入し、世界販売を24年3月期より百万台増し、次世代電池の採用などで、EV車のコストを30年度までに内燃機関車と同等水準にすると〝夢物語〟を語ったが、現実は日産が破綻の瀬戸際にあることを明らかにした。

 今回の経営統合を両者は対等な統合と繰り返すが、実態はホンダによる日産の〝吸収〟合併以外ではない。統合を急ぐのは、現在のホンダ(411万台)や日産(344万台)の販売台数では、世界的規模で激化する競争や技術革新の進展に対応することが困難であり、原価低減、通信サービス料収入は台数が多ければ多いほど〝幾何級数的〟に増加するからである。

 車両の開発領域において、これまで自動車会社が手掛けてきた車両のハードウエア部分の比重が急速に下がっている。高性能半導体、センサー、通信機器、電池等々、それらを制御しネットワークで情報を共有処理し自動運転をも可能にするSDV(ソフトウエア定義車両)の比重が高まっている。

 開発には豊富な人材と巨額な開発資金が必要だ。VWは車載OS(ECU=車両制御システムの制御を行うソフトウエア)の自社開発を放棄した。世界4位の販売台数を誇るステランティス(プジョー・フィアット・クライスラー)はEV開発に三百億ユーロ(約5兆円)投入したが、EVの販売不振でルノーとの経営統合の話が持ち上がっている(プジョーもルノーも仏政府が大株主)。ホンダとの業務提携を解消したGMは、現代自動車との次世代車開発提携を9月12日に発表した。

◇VWのリストラ攻撃労組の譲歩で収束

 昨年9月に発表されたVWの工場閉鎖・解雇攻撃は12月24日にVWと労組(労使協議会とIGメタル)とで労働協約が締結され収束。国内工場3か所の閉鎖は棚上げにされたが、2か所は2年半以内に生産を終了し、本社工場生産の半分を占めるゴルフ(25万台)はメキシコの工場に移管する(本社工場には6万人の労働者が働く。4本の生産ラインのうち2本を止める)。首切りはなかったが、30年までに自然減で労働者3万5千人と73万台の生産能力が削減されると資本は試算。これは日産の経営計画同様に〝眉唾物〟ものだ。

 ストライキを武器に、賃上げを勝ち取ってきたドイツ金属労働組合(IGメタル)は30年までの賃上凍結に合意。IGメタルとVWとの合意は、独経済の停滞、自動車産業の危機的な状況(約5万の人員削減を予定)の中で、VWの経営に参画するIGメタルが、会社の利益を優先し資本と妥協(譲歩)したという事であろう。このことは、VWが中国のEVメーカーとの競争に完敗し、これまでの労資関係を維持することが困難になってきたことを明らかにした。

 IGメタル(組合員215万人の独最大の産別労組)は、ストライキや大衆行動を組織し資本と闘ってきた。しかし彼らは、ブルジョア政党であるドイツ社会民主党を支持し入閣、行動を共にする資本主義を擁護するブルジョア的労働運動が、IGメタルの立場であり、克服されるべきである。

◇魅力ある職場でなく組合は闘う職場を!

 VWの経営危機に伴うリストラと日産の経営危機は同じである。日産はこれからが正念場であり、単独での存続が困難と判断しホンダとの経営統合に踏み出さざるを得なかった。ホンダとの経営統合の合意文書は、9千人の首切りと生産台数2割削減のリストラ計画の期限通りの達成を日産に求める(不十分とホンダが判断すれば統合しない)〝屈辱的〟なものである。労働者にはリストラと労働条件の切り下げを求められる。

 闘う意志も気力もないホンダ労組の委員長は「働きがいを高めることにこだわって活動をしていきます。働き続けたいと思える職場、ホンダで働きたいと思ってもらえる職場、今いる組合員、そして今後就職を考えている人に対して魅力ある職場を」と、寝ぼけた発言が中央執行委員長挨拶でなされた。

 自動車産業の魅力作りに心を砕くよりも、自動車産業に働く労働者を取り巻く状況を分析し、統合・再編によるリストラが仲間に襲い掛かっている現状にいかに対応するのか、闘いの方向を組合員に明らかにすることが必要ではないのか。彼らはすっかり闘う事を忘れ、雇われている(彼らを「資本の犬」と呼ぶのは全く正当である)。

 組合幹部は、賃上げを政府も掲げる経済政策であり、資本家団体も傘下の企業に要請する国民的課題と解釈する。賃上げ要求書を会社側に提出することが労組の役割と決め込み、中小労組や非正規労働者に形だけの支援を呼び掛けることが労働運動と考えているようだ。

◇自動車産業統合の歴史的意義の確認を

 百年に一度の変革期は、日産やホンダが単独での存続が困難になるほど業界を取り巻く変化は激しい。利潤を目的とした生産様式である資本主義的生産において市場の争奪戦は激しく、競争に敗北した資本は倒産し退場を強いられる。ホンダ・日産の統合は世界的な自動車産業再編を加速する出発点になる可能性がある。

 両者の統合は、トヨタグループ内の新たな再編を引き起こし、部品サプライヤーの整理・淘汰・結合再編を急速に進めるだろう。そして、その過程は労働者の犠牲無しでは進まない。我々は、労働者に犠牲を押し付けることに断固反対し、横暴な資本と闘う事を呼び掛ける。

 しかし労働者は自動車産業再編の歴史的意義を確認しなければならない。自動車産業が2つのグループに統合されそれぞれが、原材料の調達から生産、最終顧客への引き渡しまで一気通貫にシステム化されれば(すでに「トヨタ生産方式」、ホンダは「統合生産支援システム」、日産は「NPW」で、生産管理システムがすでに稼働)、資本の支配を一掃した共同体社会において、自動車産業の統合を合理的に進める手段になるであろう。

 AIの飛躍的発展も自動運転も労働の解放された社会でこそ本来の意義を発する。搾取から解放された人々は社会の構成員として等しく平等な立場で労働に携わる。社会が必要とする資源や生産すべき消費財とその分配はAIによって正確に計算される。自動運転車は全ての人々に移動の自由を保障する。現在それらは、相手を貶めるためのフェイクの発信や自国兵士の命を失うことなく相手を見つけだし殺戮する兵器の開発、株や暗号資産の取引などで、金儲けを企む大金持らによる飽くことのない致富の手段に用いられている。

 労働者が闘いとるべき社会は空想や夢の社会ではなく、現在の資本主義が用意し準備している高度な生産力の発展を引き継ぐことで実現される。

 新年を迎え、労働者の皆さんに呼び掛ける。労働者の団結した労働の解放をめざす自覚した闘いを開始し発展させよう。労働者党と共に! (古)


【2面サブ】

ネタニヤフ政権打倒を
イスラエル労働者の課題に

ハマス壊滅を口実にパレスチナ壊滅に進む
ネタニヤフ

 去年12月8日、シリアのアサド独裁政権はあっけなく崩壊し、反体制派「シャーム解放委員会」(HTS)が政権を握った。隣接するイスラエルは、シリア領内を攻撃し、占領地ゴラン高原で入植者の人口を倍増させる計画など進め、その帝国主義的本性をここでも現わしている。

 一昨年10月7日のハマスのイスラエル奇襲攻撃以降、レバノンのヒズボラはハマスを支援してイスラエルとの戦闘を続けてきたが、先月11月26日にアメリカの仲介でイスラエルとレバノンは停戦に合意。しかし、イスラエルのガザに対する攻撃は激しさを増すだけで、イスラエルによるガザの人々の殺害、生活の破壊・悪化は深刻だ。イスラエルのガザに対する帝国主義的蛮行は、世界の労働者人民が糾弾し、国連も国際法違反だと断罪するが、イスラエルは意に介さず殺戮を続けている。

◇パレスチナの壊滅に邁進するネタニヤフ

 ネタニヤフ政権によるガザへの攻撃の主要な目標は、「ハマスの壊滅」である。しかしネタニヤフは、「ハマスの壊滅」を口実に、ガザのパレスチナ住民に対して無差別な攻撃を加え、住民の集合住宅、食料配給所、避難場所である病院、学校、難民キャンプ、そしてポリオワクチン接種会場までをも攻撃している。一昨年10月以降のイスラエル軍の攻撃で、4万5200人(12月22日)以上が殺害されている。

 今ではガザの土地の9割近くに対して、イスラエル軍は「非難」命令を出し、ガザの人口の約9割が避難民となっている。パレスチナ住民の生活は、完全に破壊されている。

 さらにイスラエルの攻撃は、パレスチナ難民への人道支援を担う国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の職員やジャーナリストなどにも及んでいる。

 UNRWAの活動を敵視するイスラエルは10月28日、パレスチナ難民への人道支援を担うUNRWAのイスラエル国内での活動を禁止する法案を国会で可決、11月3日にはUNRWAとの数十年にわたる協力協定を正式に終了。これが発効する今月末からは難民救済活動ができなくなるのだ。

◇目に余る非道なイスラエルに対する抗議

 ネタニヤフが国連総会で演説するためにニューヨークに到着した9月26日、ガザへの侵攻に抗議するデモが同市内で行われ、ネタニヤフの戦争犯罪を厳しく非難し、イスラエルに武器を送り続けている米政府に、武器輸出の中止を強く求めた。

 国連安保理でのガザ停戦決議は米国の拒否権で否決されるが、国連総会はガザでの即時停戦を求める決議がなされ(9月18日、12月5日)、国連報告書はイスラエルをジェノサイドと非難(11月14日)した。

 11月21日国際刑事裁判所(ICC)は、ネタニヤフに戦争犯罪や人道に対する犯罪の容疑で逮捕状を出した。しかしICCに加盟していないイスラエルと米国は反発した。このように多くの国ではこれらに賛同し、イスラエルに対して強く抗議しているが、イスラエル、ネタニヤフはそれを一顧だにせず、犯罪を繰り返している。国連決議・国際法無視のイスラエルと支援する米国こそが、自らが言う「ならず者国家」だ。

◇イスラエル労働者はネタニヤフ政権打倒の闘いを!

 『イスラエルvs.ユダヤ人』(明石書店2022年)でシルヴァン・シペルは、パレスチナ人から土地を奪い追放し、パレスチナ人の抵抗を抑圧するイスラエルの行為は「人種差別的な自民族主義」(同P40)だと批判する。「ほとんどの(イスラエル)国民はパレスチナ人を追放することこそが解決策だと考えている」(同P75)が、それは教育の結果だとし、一方、パレスチナ占領に反対する少数のユダヤ系国民の反体制派活動家は、「これまでにない統制と意見の封殺に直面している」(同P200)とシペルは訴える。このように、ネタニヤフは『追放』の歴史を偽り、抑圧政治を行い国内の批判を抑え、パレスチナ弾圧を強化しているのだ。

 しかし、9月に人質解放を求める約50万人が参加する抗議デモが行われたテルアビブでは、10月26、27日、「人質解放」とともにガザ、レバノンでの戦争反対、ガザでのパレスチナ人に対する「民族浄化」反対の主張を掲げた市民約3000人のデモ、集会が行われた。ひたすら「ハマス壊滅」を進めパレスチナ人を殺害するネタニヤフ政治に対し、労働者大衆の批判が公然化しつつあることを示すものだ。

 イスラエル労働者は必ず、ネタニヤフ政権が行うガザやヨルダン川西岸でのジェノサイドの蛮行を許さず、国内においては、内外の労働者を抑圧して資本主義体制維持を図るネタニヤフ政権打倒を自らの課題とし、パレスチナ労働者との共闘を期し、階級的闘いを推し進めていくであろう。

 イスラエルのパレスチナとの停戦協議が進む気配があるが、それはパレスチナに対する差別・抑圧からの解放とパレスチナ国家樹立に進むものでなければならない。 (佐)

   

《1489号の訂正》
 『海つばめ』前号2面、3段目の後ろから5行目 「国家資本主義的な発展」は、「国家主導の資本主義的な発展」の誤りですので訂正させていただきます。
誤解を招き申し訳ありませんでした。。

ページTOP