![]() ![]() |
||||||||||||
![]() |
![]() |
|||||||||||
購読申し込みはこちらから | ||||||||||||
|
●1504号 2025年8月10日 【一面トップ】 トランプ関税合意で解決か ――日本は巨額投資等を約束 【一面サブ】 参政党の反グローバル資本主義 ――「国際金融資本」という仮想敵を作り 【コラム】 飛耳長目 【二面トップ】 戦争する国家に向かう日本 ――帝国主義との闘いに民族主義を持ち出して はならない! 【二面サブ】 圧迫されるパレスチナの民族独立を! ――イスラエル、米国の帝国主義的蛮行糾弾! 《前号の訂正》 ※『海つばめ』PDF版見本 【1面トップ】トランプ関税合意で解決か日本は巨額投資等を約束石破は先月23日に、日米の関税交渉が合意したと発表した。交渉が行き詰まり25%の関税が、今月1日から日本にかけられる可能性が高いと身構えていた政府や経済界は、合意にひとまず安堵したが、合意文書なき〝口約束〟でしかないことが暴露された。日米合意をどのように評価すべきか。 ◇成果が欲しくて急ぐトランプと石破石破政権は、550万人が働きGDPの10%強を生産し、基幹産業である自動車産業にかけられている、27・5%の関税撤廃を最優先に交渉してきた。交渉担当者赤沢の8回目の米国訪問で、トランプから申し出があり急遽交渉し、15%の関税(一律10%は15%に自動車は27・5%が15%に)対米投資は5千5百億ドル(80兆円)で合意したと発表された。1日の大統領令では自動車関税についての言及はなかった。 5千5百億ドルの投資についてトランプは、自分に決定権があるかのように、「私の指示で5千5百億ドルの投資先を決める」、「利益分配は、米国が9で日本は1。ボーイング機100機、コメ調達を即時75%増やす、兵器は毎年数十億ドル追加購入、米国内の認証で米車の輸入を認めた」など、矢継ぎ早に発表した。しかも、実施状況を四半期ごとに調査し、〝約束通り〟でなければ税率を25%に戻すという勝手なものである。 4日の国会審議で立憲野田の「なぜ文書、作らないのか」という質問に対して、石破は「考えた結果、合意文書はつくらない」と回答したがあまりにも無責任である。すでに日米で解釈に違いが表面化している。 米国側は、ラトニック商務長官が、「日本は銀行家になった」と表現し、ベッセント米財務長官は「(日本の対米投資は)革新的な資金調達ツール」と。トランプにとっては関税で譲歩(25%を15%に)しても、5千5百億ドルもの投資を引き出すほうがよっぽど利益になると判断したのである。それはトランプの〝私の指示で投資先を決める〟という勝手な思い込みにも現れている。トランプは、関税を引き下げる代わりにトランプが要求する対米投資9分野に投資を約束させる「ディール」に他国を引き入れるために、日本との合意が必要だったのである。 トランプが日本との合意を急いだのは国内的な事情もあった。7月の世論調査で、トランプの「純支持率」(支持マイナス不支持)はマイナス14%と最低値のまま推移していた。トランプの政策が国民生活に「マイナス」が49%、「プラス」は27%にとどまった。関税政策は、経済を「損なう」が57%と、「活性化する」を上回り、7月に成立した「減税法案」は、「不支持」が55%と、「支持」35%を大きく上回った。調査では来年の中間選挙投票先について「民主党候補に投票する」が僅かに上回った(7月発信のジェトロ短信)。 トランプに対するネガティブな状況の転換を図るためにも、トランプの「ディール」に日本が応じたことを発表したかったのである。トランプはSNSに〝関税の力で日本が史上初めて米国に対して市場を開放した〟と投稿した。「投資で関税を『買う』」(ラトニック)と評された日本の合意に倣い、EUも合意が発表され、韓国も15%と4千億ドルの投資で合意したと発表された。 ◇膨張するマグマ、平穏な日は続くか7月11日に発表された6月の米国財政収支は270億ドルの黒字になった。関税収入が過去最高の272億ドルになったことが要因。米国労働省が発表した6月の消費者物価指数は2・7%上昇(前月2・4%)となった。エネルギーと食料品を除いたコア指数は2・9%(前月2・8%)と前月から加速した。ジェトロ短信(7・16)によれば、「今回の調査結果は関税引き上げの影響が顕在化した」と分析しているが、トランプは「インフレはほとんどない。数字も非常に良好で、許容範囲内だ」と強弁し、「関税によって物価が上昇するという見方は依然として間違えている」とホワイトハウス報道官はコメントした。日本の財務省によれば、「日本の米国向け自動車輸出単価は5月に前年同月比で2割下がった」。日本勢は米国市場での販売価格を維持するため関税コストを日本側で吸収してきた。トヨタは関税の影響で4~5月の2か月間で1800億円の利益が減少した。日本から米国向け輸出全般で見ても、米国向け数量は4月から6月まで大きな変化はなく、輸出価格が10%ほど低下している。これは関税分を輸出業者が肩代わりしていることを示している。関税が正式に適用されると(自動車は下がる予定だが他は5%アップ)、日本の自動車メーカーも米国内での販売価格を上げることを発表している。在庫状況や企業の体力によって価格転嫁の違いはあれ、物価上昇の影響が表れるのはこれからである。米国の最大の貿易相手国、中国とはこれからが交渉本番である。 ◇労働者は石破に協力しない「合意文書」なき関税合意に見られる、日本の曖昧な対応は、日本が置かれている対米関係から生み出されている。米国向け輸出は、中国に次ぐ2番目で1400億ドル(18・7%)。自動車は7・2兆円(部品含む)で、日本の輸出の30%を占める。 トランプに自動車を人質に取られた石破の関税交渉が、5千5百億ドルの曖昧な投資(石破は「融資の上限枠で、投資とは違う」と繰り返す)の約束である。トランプは、米国雇用統計の悪化に激怒し、統計局長を解雇するような専制君主であり、石破が言うように「普通の人ではない」。 石破が言いたいのは、「国益」の為に皆で協力して暴君トランプと戦おうという事である。しかし、労働者はきっぱり拒否する。労働者の闘いは搾取の廃絶を目指す闘いである。 (古) 【1面サブ】参政党の反グローバル資本主義国際金融資本」という仮想敵を作り◇国際金融資本という闇勢力参政党のグローバル資本主義批判は、資本主義の本性を分析するためではない。「国際金融資本」というグローバリズムの闇勢力が利益を得るために世界の資本主義経済を操っていることを強調するところにある。 しかも、日本はこの金融資本勢力によって数百年にわたって虐げられてきた、そして、今ではすっかり「経済的なプランテーション」に成り下がったと断じる。 つまり、日本はこの闇勢力によって、経済的に隷属させられていると言うのだ――参政党の反グローバリズムは、「参政党Q&Aブック基礎編」やその後に改訂された「参政党ドリル」で表明されている。当初、闇勢力とは「ユダヤ系の国際金融資本を中心とする複数の組織の総称」とされていたが、改訂版では「ユダヤ系」を削除している。 さらに、先の参院選街頭演説では、「国際金融資本」を封印し、グローバル大企業の強欲を強調し、強欲から日本を守るためには「日本人ファースト」の政治が必要だと思わせるように、巧みに誘導しているのが分かる。この特徴的な神谷代表の演説を以下紹介する。 ◇神谷の大衆扇動「グローバリズム大企業は利益を増やすことばかりを考えていて、そのために働く人たちの賃金をどんどん圧縮していく。労働力を買い叩くだけでは飽き足らず、もっと安い労働力が欲しいから、外国人労働力をどんどん入れるようなことまで推し進めるのだ。この中で、一部の資産家だけが儲かり、中間層は没落し、貧しい人たちはさらに貧しくなっていく。グローバル展開しやすいように、各国政府に働きかけ、国境を緩めるように規制緩和をさせるように動いて、世界的に貧富の格差をさらに押し広げている。そもそもグローバリズムの起源は、かつてのスペインとポルトガルが始めた世界侵略にある。現地の人たちを奴隷化し、経済侵略を深めていった。これが世界の歴史で、それが形を変えて今も世界中で行われているのだ」(現代ビジネス、25・7・29)。 グローバル企業のみならず、どんな企業でも、労働者の賃金を下げるなら利潤を増大できる。賃金と利潤は対立する関係にあるからだ。人手不足を補うために、外国人労働者を「研修制度」で管理し、日本のパートなどの非正規労働者と同じように極小賃金で働かせてきたのは事実である。 しかし、外国人を低賃金で働かせたのは、人手不足が深刻な建築、農業、小売りなどの中小零細企業が中心であり、これを後押しする政府であった。外国人労働者は日本人が敬遠する職場で働かされたのであり、日本人の仕事を奪ったのでは無い。 ところが、神谷はグローバル企業の陰謀で外国人が日本に送り込まれていると刷り込む。そして、日本の労働者が低賃金なのは、かの企業が行う国境規制緩和によって発生しているのだから、外国人を制限しろと言い出すのである。そして、最後に、グローバリズムはスペインとポルトガルが始めた世界侵略が起源であり、それが現在まで続いていると、ここで初めて「国際金融資本」という闇勢力を暗に匂わし、日本でのナショナリズムの必要性に繋げて行くのである。 一見、資本主義体制を批判するかに見せかけながら、外部に諸悪の根源があると誘導する参政党の理屈や神谷の扇動は、かつてヒットラーがドイツを苦しめるのはユダヤ金融資本だと訴え、ドイツ人民族主義による国民的な団結を図っていったことに近しいと言えよう。参政党の反動性を暴露する闘いは始まったばかりである。 (W) 【飛耳長目】 ★厚労省によると、日本の自殺者数は「年間2万人を超え深刻な状況である」と警鐘を鳴らす(98年以降の14年間は3万人超!)★中でも若年層の10~39歳の死因1位は自殺で、「国際的にもG7の中でも日本のみである」。自殺の原因は10代では学校での「いじめ」や人間関係、成績不振で、これは、詰め込み・選別教育で、生徒ばかりか教師までが追い立てられる教育荒廃を露呈している★文科省によると、年間4~500人の教員が自殺している。精神的負担と業務の多忙からうつ病のリスクが高い職種で、休職者数は年々過去最多を更新している★20~30歳代では「勤務問題」が40歳以上よりも顕著に多い。資本にとってこの世代は〝新鮮な搾取材料〟であり、長時間の非人間的労働や非正規労働によって、血の一滴まで搾り取られているのだ★40代の死因1位はガン、次いで自殺、心疾患、脳血管疾患が続く。仕事の責任の増加と子育てや介護で経済的負担も増える年代で、更年期とも重なる。うつ病の有病率は18~24歳とこの年代が高い★就業状況別では自殺者の半数以上は無職者だが、20・30歳代男性では有職者が無職者の2倍。20歳代女性では同等、30歳代女性は無職者の方が1・5倍も多い。いずれも資本の過酷な支配と、社会の退廃を反映している。 (Y) 【2面トップ】労働の解放をめざす労働者党は毎年広島で行われる原水禁大会の参加者にビラを配布し、帝国主義との闘いを呼びかけてきました。今年のビラを紹介します。 戦争する国家に向かう日本帝国主義との闘いに民族主義を
| |||||||||||
![]() |