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●1525号 2026年6月28日 【一面トップ】 〝戦闘終結覚書〟で四面楚歌 ――中間選挙まで5ヵ月に焦るトランプ 【一面サブ】 自民党のごまかし改憲案 ――戦争に備えた緊急事態条項 【コラム】 飛耳長目 【二面トップ】 進む「帝国主義化」と不可分 ――円安進行と物価高騰、金利引き上げは 社会衰退の表れ 【二面サブ】 読者からの投稿 ――命を削る産廃処理の現場から ※『海つばめ』PDF版見本 【1面トップ】〝戦闘終結覚書〟で四面楚歌中間選挙まで5ヵ月に焦るトランプネタニヤフ(Net)と共同で始めたトランプ(DJT)のイラン軍事攻撃は、15日にイラン・レバノン全戦線における戦闘終結覚書の合意を発表。功を急いだDJTはイランへの〝譲歩〟で四面楚歌に追い込まれている。 ◇戦闘終結を急ぐトランプの事情2月28日にDJTは、イランに対する軍事攻撃を一方的に開始したが、目論見が外れ、ホルムズ海峡封鎖によるガソリン価格上昇への反発やイラン攻撃反対の世論(早く終結65%)が高まり、11月の中間選挙が共和党に厳しい結果になると予測されている(投票先、民主50%共和44%)。DJTは戦闘終結を〝自己目的〟にして、イランに譲歩した覚書を交わした。 15日に発表された14項目の覚書の最初には、「全戦線での即時・恒久的な軍事行動の終結」が宣言されている。しかし、イスラエルによるレバノンへの攻撃が続いているために、イラン革命防衛隊がホルムズ海峡封鎖を宣言するなど覚書のスタートラインで躓いている。以下、重要な項目についてみてみよう。 DJTがイランに対する軍事攻撃の理由に挙げた「濃縮した核物質」に関しては、「IAEAの監督下現場で希釈処理する」。「経済制裁」は、「覚書に署名後ただちに原油、石油製品の輸出に必要な銀行取引などの制裁を免除」、「凍結しているイランの預金・資産は、覚書の履行後完全に利用可能にする」。「ホルムズ海峡の航行をイランは60日間無償にする」、「米国の海上封鎖を30日以内に終了」。「イランの復興と経済発展」のために地域のパートナーと少なくとも3千億ドルの計画を決定し、必要なすべてのライセンスや許可は米国が与える、今後60日以内に最終合意を得ることなどを約束している(延長も可能)。 戦闘終結覚書合意交渉は、イランに有利な形で進んでいる。核廃絶、経済制裁、ホルムズ海峡の問題において、いずれもイランに譲歩した形で書かれている。イランが要求した「賠償金の支払い」は拒否されたが、新たに「復興・経済開発計画」が盛り込まれた。 これは、民間資本による「イラン投資ファンド」と言われるもので、現段階で3千億ドルの半分以上の出資が確約されていると報じられている。戦争で破壊されたインフラや石油設備にとどまらず、制裁が解除されたイラン市場――人口9千2百万人、石油、LNG埋蔵量は世界3位と2位で潜在的経済力は巨大である――に欧米日韓などからの資本が参入を狙っている。 DJTは、経済制裁下のイランと関係を強固にしてきた中国(中国は輸出先1位、輸入先2位)に対抗し、イラン経済の30%以上を占有、国民を残虐に弾圧する革命防衛隊(1月の反政府デモで2日間に3万人以上を虐殺)の力を削ぐことをも追求しようとしている。 覚書が発表されるや、米国内にはDJTに対する反発、批判、非難が乱れ飛んでいる。身内の共和党保守派からも、「数十年で最悪の外交的失策」「イランの強硬派が米国のうぬぼれ男に対して決定的な勝利」、前副大統領ペンスは「単なる過ちというレベルを遥かに超えている」。 DJTは戦争を仕掛けた責任を棚に上げ、賠償金の支払いを拒否し、民間出資にすり替えたが、民間出資と言っても政府が保証するような出資になるだろう。資本にとってはイスラム独裁体制が存続するイランに投資するリスクは高く、画餅に終わる可能性もある。 ◇トランプを見透かすネタニヤフ2月28日のイランに対する軍事攻撃に乗じて、Netは隣国レバノンに対して地上軍も含めた侵攻を行い、ヒズボラ戦闘員を含め、すでに3千人以上を殺害している。 Netは、軍事力で自国周辺を占領し領土を拡張する帝国主義政策を、ホロコースト犠牲者であるユダヤ人の国家・イスラエルの、正当な〝生存圏〟確保であると主張する。そして批判する国を、反ユダヤ主義のレッテルを張って封じ込めてきた。 DJTの足元を見透かすように、Netはレバノン侵攻をヒズボラからの攻撃に対する自衛、反撃の戦いと強弁し、ヒズボラ絶滅作戦の占領地を併合しようと策動する。戦闘終結を急ぐDJTに抗い、Netは21日声明を発表し、「レバノン南部に必要な限りとどまり続ける」と主張した。同日始まった米・イラン協議で、イランがイスラエルのレバノン攻撃は合意違反と米に抗議。Netの声明は、「戦闘終結合意をイスラエルは認めない、攻撃は続ける」という決意に他ならない。 ◇深刻なG7の経済状況フランスG7サミットは15~17日に行われた。覚書の発表とも重なり戦闘終結への期待から、G7首脳はDJTの機嫌を取るための〝おだてるのも外交〟と振舞った。ベルサイユ宮殿の晩餐会会場で覚書に署名する演出など、DJTの懐柔に努めるしか能がなかった。 EU各国はイラン攻撃に反対し、支援を拒否しDJTとの関係は悪化していた。イラン攻撃を英仏は「国際法違反」と批判。スペインは米軍基地の使用を拒否。DJTと良好な関係だった伊メローニ首相も「国際秩序の危機」と突き放していた。 「欧州外交問題評議会」が5月に実施した世論調査の結果、欧州15カ国の国民のうち、米国を「同盟国」とみなしているのは、わずか11%(1年半前は22%)と半減した。 欧州がDJTの機嫌取りに終始したのは、EU経済はエネルギー輸入国としてホルムズ海峡封鎖によるエネルギー危機に脆弱であるからだ。 海峡封鎖で原油価格が急上昇し、26年のインフレ率は予想より1ポイント高い3・1%、GDP成長率は予想より0・3ポイント下方修正された。とりわけ、EU主要国である独・仏の経済成長率は0~1%と低迷している。EUの中東産原油依存度は12%程度と大きく依存していないが、供給量以上に価格上昇の影響が深刻(EUには経済的に弱小な加盟国もある)である。 ホルムズ海峡封鎖が解除され原油価格が下落しても、労働者に過酷な労働を強いて経営危機の犠牲を労働者に押し付ける(独自動車資本の解雇を見よ)資本の搾取労働が軽減されることはない。 克服するべきは、資本主義的生産である。世界の労働者と連帯し、資本の支配を打倒し労働の解放を勝ち取るため、若く活動的な諸君の闘いが求められている! (古) 【1面サブ】自民党のごまかし改憲案戦争に備えた緊急事態条項6月18日、衆院憲法審査会で、今国会で初めて憲法9条に関する集中討議が行われた。討議の中で自民党は現行の9条を維持したうえで、自衛隊を明記すべきだとした。ここには9条改定に対する反発をかわし、軍備を一層拡大しようとする意図が透けて見える。 ◇高市の改憲の狙い9条は「戦争の放棄」の第1項と、「戦力の放棄」の第2項とからなっている。自民党の新藤議員は法制審で「自民党案が1項、2項をそのまま残すのは、平和主義を尊重する姿勢の表れ」であり、「自衛隊の一層の充実強化を図る」と主張した。だが自民党が憲法の「平和主義を尊重する」というのは本当か。 憲法改定に熱心に取り組んだのは、高市が「師」と仰ぐ安倍である。安倍が改憲を目指して最初に取り組んだのは、改憲の手続きを定めた96条の改定であった。発議に必要な賛成を、衆参各院の3分の2以上から過半数に引き下げることを提案した。しかし、批判を受けて、9条への自衛隊の明記、緊急事態対応、教育の充実、参院選での合区解消の4項目を打ち上げた。これは比較的受け入れられやすく、一度改憲を実現してから本格的な改憲に進もうという思惑からである。だが、これも批判を浴び、安保法制を通じて、日本の存立を危機的な状態になったとする「緊急事態」などを持ち出し、米国との軍事的な共同行動=「集団自衛」行動を正当化するなど憲法を骨抜きにしたが、憲法条文そのものには手を付けられなかった。 その後安倍の改憲4項目はそのまま、自民党の公約として引き継がれた。 高市には、2004年に書いた論文「憲法改定のススメ」がある。そこでは、「日本国は自衛のための戦力(国防軍)を持てる」、「『国民はどうするべきか』を冒頭に示す」、「日本国民は国防の義務を負う」、「有事の際、私権一部制限に協力する」などと書いているが、これこそ高市が改憲を目指す本音である。 ◇緊急事態条項の危険な意図自民党改憲4項目の中で高市が重視しているのは、「自衛隊の明記」と「緊急事態条項」である。 自衛隊は憲法に明記されなくても実際上、最新の武器を持った軍隊だ。にもかかわらず自民党は「自衛のために必要最小限の実力を持った実力組織」で、「戦力」には該当せず、9条とは矛盾しないとごまかしてきた。自衛隊が憲法に明記されれば、「自衛のための必要な実力」を持った「実力組織」へと、一層大っぴらに軍事力強化・拡大に走ることは必至だ。 さらに見逃せないのは「緊急事態条項」の新設だ。自民党は、大災害とかテロなど「国の安全と国民の生命」にかかわる「緊急事態」が起こった場合に対処するために、議員の任期を延長したり、政府は法律と同じ効力を持つ「政令」を出すことができるようにする。 自民党は大災害とかテロへの対応を持ち出して「緊急事態条項」が必要と言うが、その真の狙いはかつて高市が「憲法改定のススメ」で書いたように、国民を戦争に駆り出せるようにするとか、戦争に必要な物資や土地を政府が強制的に調達するためである。 共産党は自民党の改憲策動に対して、「平和憲法を守れ」とか「自由と民主主義を謳った憲法を守れ」と叫んでいる。しかし、9条憲法の下で自衛隊が実質的に世界有数の軍隊となったように、労働者は「改憲反対」にとどまることはできない。労働の搾取、私的利益追求を原理とする資本の体制こそ、反動的な高市政権を生み出した。労働者は、観念的で無力な護憲運動を乗り越え、階級的な闘いを発展させていかなくてはならない。 (T) 【飛耳長目】 ★高市の軍拡主義の右腕として、防衛大臣の小泉がアジア諸国を飛び回っている。この節操のない男は、今や「軍需ブローカー」と言って良い。オーストラリアと11隻のもがみ型護衛艦の共同開発、インドネシアではあさぎり型護衛艦、フィリピンへはあぶくま型護衛艦の輸出と次々と商談をまとめた。護衛艦と言うと聞こえが良いが、駆逐艦やフリゲートの日本独自の総称で、主力戦闘艦の事である★日英伊との次期戦闘機の共同開発や防衛装備品、武器の輸出を含め、三菱重工や川崎重工、IHI、三菱電機等の軍事資本は生産力からして手狭な発注先・自衛隊から、アジア等の市場へと大きく進出することになる。それは、高市の「自国防衛」から「同盟国、同志国との共同抑止へ」と一致し、軍事独占資本が長年の要求を叶えつつあるということでもある★自動車、半導体関連品、機械(産業用・工作・建設)という3大輸出品に、新たに軍需品が加わり、それもまた高市の「新たな産業の育成」と一致する。しかも、軍需品の生産は自動車生産と同様にピラミッド型の下請け階層構造をもつ産業でもある。しかし、軍需品は戦争や人殺し、人間生活の破壊のための使用価値しかもたず、今日の日本の資本主義が行き詰まり、どんなにか腐朽性や寄生性を強め退廃しているかの証しでもある。 (義) 【2面トップ】進む「帝国主義化」と不可分円安進行と物価高騰、金利引き上げは社会衰退の表れ日銀はさる16日(6月)、政策金利を1%に引上げた。遅いという声やまだ引上げるべきでないという声が錯綜しているが、今回の金利引上げの背景で渦巻く日本資本主義の現状を考えて見る。 ◇高市のおっとり刀日銀が決定した政策金利の引上げは、高市の金利引き上げ反対を封じた結果だと言われる。高市は、原油を確保しガソリン補助金を給付し景気を維持している、だから、金利引上げは高市の政策に水を差すと考えた。 ところが、問題となったのは原油確保やガソリン価格維持ではなかった。石油精製によって作られる肥料やナフサ(プラスチック類の基礎材料)などがこれまで通りに輸入できず、危機感を抱いた経営者達は政府に対して猛烈に抗議していた。 例えば、日本塗装工業会は、「塗料や希釈用のシンナーが不足し、4月中旬時点で通常どおり入手できる会員がわずか2・7%という危機的状況に陥った」、このままでは「倒産が相次ぐ事態になりかねない」として、4月14日に国土交通省へ駆け込み、資材の供給確保を求める要望書を提出して早急な対応を迫った。 日本商工会議所もまた、「注文があっても原料が来ないため作れないという悲鳴が連休明けから殺到し、相談件数が月1000件規模に達した」。小林健会頭はこれを「第3次オイルショック」と位置づけ、政府に対して適正な流通を促すよう強く要請した(『会議所ニュース』6月1日号)。 高市の〝やった振り〟では何も解決できなかった。輸入原油価格は、5月には前年比で67・2%上昇し、加えて、石油精製材料の不足は深刻になっていくばかりであった。 そのため、企業物価指数が見る見る上がり、5月の指数は前年比で6・3%上昇。企業物価指数を品目別に見るなら、ナフサや軽油などの「石油・石炭製品」が前年比で13・8%、「化学製品」が13・4%、銅やアルミなどの「非鉄金属」は42・2%も上昇。 米国とイランの間で停戦合意が為されたが、生産拠点が破壊されており、状況は直ぐには回復しない。従って、企業物価の高騰が「一時的」では終りそうもなく、生活手段に価格は転嫁されていく。既に、食品メーカー各社が相次いで値上げを発表しているように、今後、労働者が利用する食品・家庭用品・教育用品はズンズン上がるだろう。 ◇強気が消えた高市経営者団体や地方から、強い対応を求められたが、既に後手になっており、高市は金利引き上げ反対の声をトーンダウンさせ、物価に対応せざるを得なくなった。 日銀も日銀である。植田は政策金利の引上げについて、4月の会合では「ただちに対応する緊急度はない」と述べていたが、6月に入るや「利上げの是非についてしっかりと議論する必要がある」、後手に回れば「景気のみならず、金融市場や金融システムに大きな負荷をかける恐れがある」と前言を翻した(6月4日『朝日新聞』)。 既に上がりだした生活手段の物価が今後急騰するなら、労働者の間からごうごうと非難があがり、貿易輸出能力は下がり、為替はさらに円安圧力を受け、市場金利もまた上昇圧力を受けることになる。日銀と高市政権は、これらの火消しをすることが第一の課題となり、政策金利を引上げたのである。 だが、この金利引き上げで、果たして事態は収拾するのか? ◇「焼け石に水」政策金利を1%に引上げたが、為替は円高に動かず、逆に20日に1ドル=161円になり、慌てて財務大臣が為替介入を示唆した。しかし、4月30日から5月連休中にかけて行った過去最大の為替介入(約12兆円を使った)でも、大して効果が無かった。為替介入を何回やっても「焼け石に水」であり、今の円安状態が続く可能性が高い。 このように、円の為替安が続いている原因は、米国との金利差を利用した米国の国債や金融商品を購入する動きもあるが、本質的には日本資本主義の「帝国主義化」と不可分な関係にある。次にそれを見ていく。 ◇帝国主義への道日本は90年のバブル崩壊で過剰生産が顕在化し、90年代半ばには金融機関の破綻も起きた。通信機器・電気機器・半導体部門では、国内生産を大幅に減らし海外生産委託に踏みきり、また、大資本はアジアを中心に対外直接投資を強めた。 04年には企業の営業利益よりも営業外収益(本業以外の収益で、海外労働者の剰余労働を搾取した資本収益等)の方が上回るようになり、その後も営業外収益が膨らみ続けた。 その結果、国際収支統計の「第一次所得収支」(搾取した収益)は大幅な黒字(年30~50兆円)になっていく。しかし、海外子会社から還流する利潤は統計に載るが、実際には海外で再投資されており、為替市場を通過しない。そのため、このカネは円高に作用しない。 他方、海外生産が強まると共に、貿易輸出は減り貿易収支の黒字も減り、為替は円安に振れた。本来なら、円安になれば海外で安く売ることができ貿易収支は改善する。だが、円安による輸入原材料の上昇を吸収できる高い生産性は無くなっている。そのため、輸出能力は落ち、貿易収支はすっかり赤字化し、しかも円安は改善しない(AIなどの使用料金を支払うサービス収支も赤字だ)。 このように、資本主義の「帝国主義化」と結びつき、また、産業の衰退とも関連して、為替安(円安)が進んできたのは明白である。 しかも、円安進行によって輸入品物価は上昇し、それらが価格転嫁され、生活必需品はここ数年で2倍3倍に上昇した。だが、労働者の賃金は中高年労働者を中心に抑制され、反対に大企業やIT企業などは営業利益を大幅に増やしている。 物価が上昇すれば市場金利も上昇する。だが、今進む長期金利の激しい上昇は、高市政権の「軍事と経済の積極財政」がもたらす財政不安、信用不安の現れなのだ。「帝国主義化」する資本主義の矛盾が日常的に噴出し始めた。 今回の政策金利引上げで、国債市場では長期国債金利はさらに上がるだろう。金利上昇は国家予算の中から支払う「国債費」(借金払い)を膨らませ、予算の3割に達しようとしている。日銀の国債評価損も50兆円を越えていくだろう。資本主義は危機を迎えている。しかも高市の軍事路線はこれを加速させている。一切の解決は資本主義を解体し、労働の解放を実現した共同労働社会を築くことである! (W) 【2面サブ】読者からの投稿命を削る産廃処理の現場から
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