今週から、世界各国の革命的、民主々義的文学、プロレタリア・労働者文学の主要な作品をとりあげ、その作品論を連載します。紙面が限られていますので、作品は小説の形式をとるものとし、可能な限り、国別、時代順を守ること、一人の作家について1〜2の作品に限定することを“原則”にしたいと思います。といっても、重要な意義をもつ作品についてはこの“原則”を緩和することもありえます。
 また、とり上げてほしい作品がありましたら、編集者の方へお寄せ下さい。
                  1983年1月30日「火花」第575号
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 1.チェルヌイシェフスキー「何をなすべきか」
   レーニンも愛読
 2.ツルゲーネフ「父と子」
   すべてを否定――新しい革命家像
 3.ゴーゴリ「外套」
   あわれな小官吏の生活――作者は満腔の同情を注ぐ
 4.ネクラーソフ「デカブリストの妻」
   偉大なる革命の詩――専制の犠牲者に熱い愛情
 5.ゴンチャロフ「オブローモフ」
   支配階級の退廃を描く
 6.トルストイ「復活」
   傾向性と芸術性を両立―― 支配階級の腐敗全体を告発
 7.ドストエフスキー「貧しき人々」
   不幸な人々へ深い同情――ヒューマニズムの限界も示す
 8.ゴーリキー「母」
   労働者の聞い描く――学ぶべき教訓は無限
 9.マヤコフスキー叙事詩「レーニン」
   ロシア革命叙事詩――詩の全てを「攻撃する階級」=プロレタリアートに捧げて
10.ショーロホフ「静かなドン」
   革命と内乱期描く――動揺する中農の側から
11.ソルジェーニツイン「イワン・デニソビッチの一日」
   スターリン時代を告発――だがその限界も明らか
 1.ハイネ「アッタ・トロル」
   本質は革命詩人……マルクスらも高く評価
 2.ハウプトマン「はたおりたち」
   労働者の蜂起描く……しかし自然発生性に拝詭
 3.レマルク「西部戦線異常なし」
   最高の反戦文学……戦争の無意味さを描く
 4.ブレヒト「屠殺場の聖ヨハンナ」
   革命的共産主義を擁護……共産党は当時まだ革命的だった
 5.アンナ・ゼーガース「死者はいつまでも若い」
   一時代を自覚的に描く……擡頭するナチス、労働者の生活や抵抗
 1.ヴィクトル・ユゴー「(一七)九三年」
   大革命を描く……ヴァンデの反乱を背景に
 2.ジュール・ヴァレーズ「パリ・コミューン」
   最初のブロレタリア革命を描く……パリ・コミューンの栄光と挫折
 3.エミール・ゾラ「ジェルミナール」
   資本と賃労働の死闘……第二帝政時代のフランス労働者の生き様
 4.アンリ・バルビュス「砲火」
   戦争の悲惨・大衆の覚醒……フランスの側からの反戦小説
 5.ロマン・ロラン「魅せられたる魂」
   闘いの時代の真の人間ドラマ……人間主義から共産主義へ
 6.エレンブルグ「パリ陥落」
   人民戦線の裏切り……しかし作者は人民戦線を支持!
 7.ルイ・アラゴン「レ・コミュニスト」
   共産党員を理想化……混乱と動揺をものともせず
 1.A・J・クローニン「星は地上を見ている」
   労働者一家の運命描く……イギリス石炭労働者と労働党の生きた歴史
 2.ジョージ・オーウェル「動物農場」
   スターリン主義を諷刺……動物たちに人物を重ねる
 3.ヘミングウェイ「誰がために鐘は鳴る」
   スペイン内乱の劇的な描写……作者の自由主義的立場を反映
 4.スタインベック「月は沈みぬ」
   ナチ侵攻への抵抗……労働者人民は屈伏せず
 5.ウィアリム・ヘッリク「スペインに死す」
   国際旅団の闘い通して……スペイン内乱の事態を暴露
 6.アンドレ・マルロー「希望」
   スペイン内乱を描く……“正規軍”同士の戦闘として
 7.ヴァスコ・プラトリーニ「貧しき恋人たち」
   イタリアの民衆の抵抗……“前衛”の弱さも反映
 1.アプトン・シンクレア「ジャングル」
   すさまじい“暴露文学”……資本の下でほろびる労働者群
 2.
スタインベック「怒りの葡萄」
   資本のジャガノートへの告発……滅ぼされた農民たちの姿を描く
 3.
コールドウェル「タバコ・ロード」
   貧窮農民(プーア・ホワイト)を描く……1930年代のアメリカ南部の一断面
 4.
ドライザー「アメリカの悲劇」
   アメリカの階級制度を暴露……小説としては上出来ではない
 1.アンドレマルロー「人間の条件」
   中国革命の“悲劇”……1927年の上海を舞台に描く
 2.
老舎「駱駝祥子(ロートシャンズ)」
   “純”労働者小説……挫折した北京の車夫の一生
 3.
魯迅『阿Q正伝』
   封建中国を告発……だがインテリ的立場を出ず
 4.
茅盾(マオトン)『子夜(真夜中)』
   資本家諸層の死闘……国民党支配崩壊の予感
 1.金芝河(キムジハ)「五賊」
   反朴闘争ののろし……金芝河を金芝河たらしめた詩
 2.
パブロ・ネルーダ「チキカマタの夜」
   チリ人民の苦悩を歌う……しかし、民族主義をこえず
 3.
ホセ・ソンブレ・ブイグ「ベルチリヨン一六六」
   キューバ革命の前夜を描く……労働者の闘いと苦悩を反映
 4.
エメ・ア・アストウリアス「緑の法王」
   米国大資本を告発――中南米の「法王」として君臨